雇用保険法

 

 

雇用保険は、労働者が失業した場合にその失業中の生活費を支給する保険です。一般的には失業手当を支給するという形で認識されていると思います。そのほかに、英会話学校等で勉強をしたときの受講費用の一部を支給してくれる給付や、高年齢になった場合や育児・介護休業中に、給料の一部に相当する額を支給してくれる給付などがあります。

①雇用保険法の概要

(1)法1条において「雇用保険は、労働者が失業した場合および労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合に必要な給付を行うほか、労働者が自ら職業に関する教育訓練を受けた場合に必要な給付を行う」とされています。上記のそれぞれの事由(保険事故)が生じた場合に、それぞれ給付を行います。それらの給付を失業等給付といいます。なお、これらのほかに、雇用を安定を図る事業等を行うことができます。

失業又は雇用の継続困難又は教育訓練受講→給付行う(雇用保険では、「保険給付」といわずに「給付」といいます)。

(2)雇用保険の運営元

雇用保険は政府が掌握します。

②雇用保険法の適用される範囲

「この法律においては、労働者が雇用される事業を適用事業とするとされています。つまり、1人でも労働者を雇用していたら適用事業になります。この考え方は、労働者災害補償保険法と同じ。労働者災害補償保険も、雇用保険も、労働者を守るための保険のためです。それに対して、個人経営の農林水産業で常時5人未満の労働者を使用する事業は、任意適用扱いとされています。

原則 労働者が1人でもいたら適用する(強制適用者業)

例外 個人経営+農林水産業+常時5人未満=暫定的に任意適用とする(暫定任意適用事業)

 

 

被保険者について

原則として、適用事業に雇用される労働者が雇用保険の被保険者になります。4種類の保険者が存在します。

①一般被保険者

高年齢被保険者、短期雇用特例被保険者および日雇い労働被保険者以外の保険者をいいます。具体的には、常用雇用の正社員などがこれに該当します。

②高年齢被保険者

65歳以上の被保険者です。

③短期雇用特例被保険者

季節的に雇用されるものです。建設業の季節労働等がイメージしやすいと思います。

④日雇い労働被保険者

日雇いで労働する被保険者です。建設業の日雇い労働等がその代表者です。具体的には、次のようにきていされています。

●日々雇用される者

●30日以内の期間を定めて雇用される者(30日以内の期間を定めて短期間だけ働く人も、日雇い労働被保険者になります)

 

 

失業等給付の全体像

失業等給付の全体像をまとめました。失業等給付には、大きく分けて求職中の生活費である求職者給付、就職を促進するための就職促進給付、教育訓練を受講したときの給付である教育訓練給付および雇用の継続が困難である場合に給付する雇用継続給付があります。

●失業等給付

①保険事故/失業

失業に対する失業等給付としては、生活費である求職者給付及び就職を促進するために支給される就職促進給付があります。

このうち、求職者給付は被保険者の種類に応じてそれぞれの給付が規定されています。

求職者給付 一般被保険者

(受給資格者)

基本手当て
技能習得手当て 受講手当て
通所手当て
寄宿手当て
傷病手当
高年齢被保険者(高年齢受給資格者) 高年齢求職者給付金
短期雇用特例被保険者(特例受給資格者) 特例一時金
日雇労働被保険者(日雇受給資格者) 日雇労働求職者給付金
就職促進給付 就業促進手当て 就業手当て
再就職手当て
就業促進定着手当て
常用就職支度手当て
移転費
求職活動支援費 広域求職活動費
短期訓練受講費
求職活動関係役務利用費

 

②保険事故/教育訓練の受講

教育訓練を受講した場合の失業等給付は、教育訓練給付です。

教育訓練給付 教育訓練給付金
教育訓練支援給付金

 

③保険事故/雇用の継続困難

高年齢になった場合、育児する場合及び介護する場合に雇用の継続が困難になることに対して、雇用継続給付をし、雇用の継続を図ることとしています。

雇用継続給付 高年齢雇用継続給付 高年齢雇用継続基本給付金
高年齢再就職給付金
育児休業給付 育児休業給付金
介護休業給付 介護休業給付金