契約関連書類まとめ

働く上で重要なビジネス文書作成ツールについてまとめました。

一、見積書について

二、契約書について

契約締結に必要な書類まとめ(個人事業・フリーランス向け)

 

お仕事を契約する際に必要となるのは、契約書だけではありません。丁寧に契約を交わしお仕事を完了させる場合には、見積書→発注書→契約書→受領書→請求書の5つの書類が必要になります。

見積書は、価格や納期など依頼内容をもとにフリーランスが作成します。この見積書をもとに、価格や納期を話し合います。価格や納期が決まれば今度はクライアントが発注書を発行します。発注書は、正式に見積もりに対して同意し仕事を発注するという意志を表す書類です。これに対しフリーランスは契約書を作成し、契約が成立したことを表明します。ここではじめてお仕事の契約が成立したことになります。その後、契約内容にもとづいた業務を行い、イラストデザイナーであればイラストを、ライターであれば作成した文書を、エンジニアであればシステムの構築を行い、それぞれ作品を納品します。

その納品物に対してクライアントは受領書を発行します。これは、条件を満たしたものがきちんと納品されているということを表した書類です。そしてフリーランスは、納品完了後に支払いを請求するための請求書を発行します。

これが基本的な契約から納品までの流れですが、省略されることが多いのが現状です。また、契約書に関しては、クライアント側から提示されることもあります。トラブルが発生した場合、契約書を交わしていれば回避できます。クライアントから契約書を提示された場合には、内容をよくみて問題がないか確認します。提示されなかった場合には、フリーランスが作成しクライアントに提示しましょう。

 

 

一般的な取引の際の文書と交付の流れ(一般企業向け)

 

●秘密保持契約書(NDA)

NDAは、実際に受注有無に関わらず、最初の打ち合わせの段階で締結することが多いです。営業段階でヒアリングした内容には秘密事項が多数含まれています。そのため、まずはNDAを締結してから打ち合わせをする、というスタンスの会社さんも多いようです。

NDAでは、取引内容に依存したような内容は記載せず、秘密保持のみに限定した内容であることが一般的です。そのため、取引都度締結するものではなく、会社間で1回だけ締結します。

一般的には、秘密保持義務は双方が負うべきものですので、「双務契約」であることが多いですが、「片務契約」のNDAが提示される場合もあります。取引先から片務のNDAが提示された場合は、一度相談してみた方が良いでしょう。

●見積書

取引の相手方に対して提出する書類で、商品やサービスの対価がいくらになるのかを事前に知らせるための書類です。相手先はこの見積書を見て購入や契約を検討するため、ビジネスにおいてはもっとも重要な書類と言っても過言ではないでしょう。
すなわち、見積書は出さなければならないから出すものではなく、ビジネスにおいて自社の商材を売り込む際の非常に重要なプレゼンツールと捉えましょう。
見積書が見にくいと、提供する商材が良いものだとしても相手先に対して悪い印象を与えてしまうこともあります。
そのため、見積書については、できる限りわかりやすく見やすい書式でまとめることを意識しましょう。

 

●基本契約書

基本契約書は、正式に受注が確定した段階、または内定した段階で締結することが多いです。基本契約書には、委託者・受託者間の基本的な合意事項が定義されており、逆に、案件固有の事項は書かれていません。例えば、成果物の著作権や瑕疵担保期間などを定義します。

一般的には、会社間で1回だけ締結し、基本契約書に記載されている内容と異なる内容で契約する場合は、都度基本契約書を変更するのではなく、個別契約書で対応することが多いです。

また、基本契約書には収入印紙4,000円が必要です。

 

●発注書(注文書)

相手先が提示した見積書に対する発注の意味で出されるのが「注文書」です。発注書とも言います。注文書には、相手先に対してどのような商品やサービスを「いつまでに」「どのように」提供してほしいのかを明確に記載する必要があります。
また、見積書とおりの発注になることが多い場合は、見積書兼発注書として同じ書面において署名捺印することで運用する場合もあります。

受注が確定したら委託者から社判付きの発注書(注文書)をもらいます。呼び方は発注書・注文書のどちらのケースもあるようですが、いずれにせよ、正式に発注する旨の書類を委託者からもらいます。
書類には発注内容が記載されている必要があるため、見積書の明細や備考と同じ内容を記載することが多いようです。

◎発注書と注文書の違い……発注書と注文書は基本的には同じ意味ですが、会社によっては以下のような目的に対して、発注書と注文書を分けて使われることもあります。
1. 取引先との間でA社→B社「発注書」、B社→A社「受注書」というように受発注の記録を明確にするために書類を2枚用意し、両書類をペアで使う。
2. 一般的な商品や資材などの購買では注文書が使われ、加工や作業を伴うオーダー(例えば工事など)に発注書が使われる。

●発注請書(注文請書)

注文書を受け取ったら、受け取ったことを相手に知らせるために「請書(注文請書)」を発行します。これにより注文した側も安心することができます。
法的にはこの段階で契約が成立したと考えられます。

発注請書は、発注書を受領後、発注を承った旨を通知するための書類で、受託者から委託者に対して発行します。注文請書ともいい、機能・目的は発注請書と同じです。品名、数量、納期や支払期限などの契約条件が記載されます。

発注請書は、「確かにこの条件で注文を受けました」という明確な証跡になるため、発注者が受注者に「そんな注文は受けていない」と言われてしまうリスクを低減できます。一般に、そのような事態は発生しにくいためか、発注請書(注文請書)を発行する習慣のある企業は少ないようです。

しかし、人材不足や資材不足など、需要よりも供給のほうが少ない場合には受注者側の立場が強くなります。そのような場合には、念のため発注請書ないし注文請書の発行を依頼したほうが安心でしょう。また、手続きを簡略化するために、契約書の代わりに「発注書・発注請書(注文書・注文請書)」で代用するケースもあります。

1万円を超える発注請書には収入印紙の貼付が必要です。印紙の金額は契約金額によって異なりますので下記をご確認ください。

 

●個別契約書

「基本契約書+発注書」で済ませてしまうケースが多いようですが、厳密には、案件ごとに個別契約書を締結します。

著作権や瑕疵担保期間など基本的な事項は基本契約書で定義されていますので、個別契約書では、金額・契約期間・契約に含まれる内容など、案件固有の内容を定義します。

また、基本契約書の内容と異なる場合は、個別契約書で再定義します。

個別契約書を締結する場合は発注書は不要ですので、発注請書の変わりに個別契約書に印紙を貼ります。

 

●納品書

相手方から注文があった商品やサービスの納品が完了した時点で発行するものです。これをもって仕事が完了したことを意味します。

納品が完了したタイミングで、受託者から委託者に対して納品書を発行します。納品書は、納品した内容を記載するので、見積書と同じ内容かサマリした内容を記載することが多いです。

顧客側の経理処理や内部統制上、支払いのためには必ず納品書が必要というケースがあります。逆に、納品書は特に求められないケースもありますので、顧客に確認するのが良いかと思います。

●受領書(検収書)

納品された側が、商品やサービスに欠陥や不具合がないのかを確認して相手先に発行するのが受領書(検収書)です(顧客は納品を確認したら受領証に押印し返送する)。受領書(検収書)を発行するとその取引は終了し、相手方から請求書が発行されることになります。検収書には納品内容を記載するため、納品書と同じ内容が記載されていることが多いです。

●請求書

相手方から検収書が発行されたら、正式に代金の請求書を発行します。請求書に記載した内容に沿って相手方から代金が支払われます。また、これらの書類には、会社が正式に発行したことを証明するために、必ず角印で捺印してから発行するようにしましょう。

多くの受託ビジネスの場合、納品基準で請求書を発行することが多いかと思います。そのため、検収書を受領後に請求書を発行するのが基本ですが、納品書・検収書・請求書を一緒に送るケースも多いようです。

請求書には、請求金額やその明細などの情報に加え、「支払期限」と「振込口座」を記載します。「支払期限」は、「月末締翌月末払い」など、基本契約書で定義されている支払サイトにしたがって記載します。

●領収書

入金を確認したら、受注者は領収書を発行・送付する。または支払い明細書を発行・送付する。

請求書後は、顧客が支払期限までに代金を支払います。入金が確認できた後、必要に応じて領収書を発行します。領収書は、請求した金額を確かに受領した旨を伝えるための書類ですが、一般的に、B2Bのビジネスにおいてはあまり使われることは多くないようです。しかし、取引先によっては「領収書をください」と言われるケースもありますので、いつでも提出できるようにはしておきましょう。

 

 

取引書類で注意すべき点

 

発注書/注文書の保存期間
客先や取引先からの注文書や発注書の保存期間は、法人税法上は「帳簿書類」となり確定申告の提出期限から7年間保存しなくてはなりません。 また会社法上は、会計帳簿および重要書類の保存期間は10年とされています。