ビジネス文書用語まとめ(敬称・尊卑称・敬語)

 

 

一般的な敬称

・個人(一般):○○様   ・教師・学者・医師・弁護士:○○様、○○先生

・企業・役所・団体宛て:○○御中   ・先輩:賢兄・畏兄・様

・企業・役所・団体の個人宛て:○○様   ・A宅を介してBさんに宛てる:A様方 B様

・複数の個人宛:各位   ・A社を介してB社に宛てる:A社気付 B社御中

 

 

尊称と卑称の使い分け

尊称とは、相手側の物、場所、人を尊敬して使う言葉です。一方で卑称は、自分に属する物、場所、人をへりくだって言うときに使う言葉です。個人であろうと、組織であろうと、相手には「尊称」を、自分には「卑称」を用いましょう。

尊称と卑称(人)

対象 尊称 卑称
本人 ○○様、貴殿、貴兄、貴君 私、わたくし、小生、小職、手間ども
先輩 老兄、賢兄
 社員 貴社(御社)○○様、貴社(御社)社員 当社(行・点)の○○、弊社社員、当社社員、当店店員
お父上、ご尊父様、ご賢父様 父、父親、実父、老父
お母上、ご母堂様、ご賢母様 母、母親、実母、老母
ご主人、ご夫君 夫、主人
奥様、令夫人、ご令室 妻、家内、女房
 息子 ご子息、ご令息  息子、せがれ
ご令嬢、ご息女
家族 皆様、皆々様、ご家族の皆様 私ども、当方、家族、家中

尊称と卑称(もの)

対象 尊称 卑称
会社・銀行・商店 貴社、御社、貴行、貴店、貴店、貴営業所、貴工場 弊社、当社、小社、本社、当店、当行、同社、小店、弊店、わが社
団体 貴会、貴事務所、貴協会、貴組合 弊会、当会、本会
学校 貴校、御校、貴学、御出身校、御母校 当校、本校、本学、母校、我が校
病院 貴院、貴病院 当院、本院
役所 貴庁、貴省、貴局、貴署、貴公社 当省、当庁、当局、本省、当公社
品物 ご厚志、ご高配、お心づくし、佳品 寸志、粗品、心ばかりの品

 

 

敬語について part1

「ご」や「お」をつける言葉

状態や動作 「お(ご)~する」「お(ご}~なる」
尊敬を表現する 先生のお話、社長のご出席、お客様のご都合
上品に表現する お話、お寿司、お茶、お米
先方の身体、考え おからだ、お顔、お考え、ご意見、ご家族、ご出席
先方と関係のあるもの お電話、お手紙、お車、ご返事、ご報告
慣用句 お辞儀、おはよう、ご飯
形容詞や形容動詞 (尊敬語)お忙しい、お近く、お元気(丁寧語)お寒い

「ご」や「お」をつけない言葉

外来語 ジュース、コップ、ニュース、ノート、テキスト
社会的な言葉 会社、新聞、税金、自動車
公共の施設 学校、大学、幼稚園、病院、公園
お・ごの音で始まる言葉 応接室、大広間、折り詰め、奥様、扇
よくない意味の言葉 強盗、泥棒、万引き、横領
色や形 赤、青、九、三角
一音節の言葉 歯、目、毛、葉など

  注意したい若者言葉

ビジネス用語への言い換え例

いま→ただいま さっき→先ほど 今日→本日
すごく→大変、非常に 後で→後ほど 去年→昨年
こんど→このたび ちょっと→少々 やっぱり→やはり
そっち、こっち→そちら、こちら どっち、あっち→どちら、あちら すいません→申し訳ございません

若者言葉の一例

のほう ×お名前のほうをお聞かせ願えますか? ○お名前をお聞かせ願えますか?
から ×5千円からお預かりいたします。 ○5千円をお預かり致します。
の形 ×お待ちいただく形になります。 ○お待ちください。
のやつ ×右のやつでよろしいでしょうか? ○右の商品でよろしいでしょうか?

尊敬語・謙譲語・丁寧語の基礎

尊敬語 (相手について述べる時)相手を直接高めて敬意を表す言葉。他の言葉と組み合わせて使う場合も多い。

  • ①、動作に対する敬意を表す場合
  • ・敬語の動詞を使う。→おっしゃる、いらっしゃる、召し上がる
  • ・助動詞「れる」「られる」を使う→言われる、される、来られる
  • ・動詞を「お(ご)~なる」の形で言う→ご覧になる、お帰りになる
  • ②名詞に「お・ご・芳・貴・尊」などの接頭語をつける→貴社、ご芳名
謙譲語 (自分について述べる時)自分自身がへりくだることで相手の立場を高める言葉。

  • ①敬語の動詞を使う→参る、伺う、申し上げる、存じ上げる
  • ②名詞に「幣・小・愚」などの接頭語をつける→弊社・子社、愚者
丁寧語 丁寧な言葉遣いで、相手への敬意を表す言葉。

  • ①語尾に「ます」や「です」を使う→行きます、楽しみです
  • ②名詞におやごをつける→お名刺、ご連絡、お花

 

●敬語では、どこまでを「身内」と考えるかで、同じ人に対しても尊敬語と謙譲語の使い分けをします。社外の人に、社内の上司のことを話すときなどは、特に注意が必要です。

・社外の人に対して→「部長も参ります」「(部長の)佐藤が○○と申しておりました」=謙譲語を使う

・社内の人に対して→「部長もいらっしゃいます」「佐藤部長が○○とおっしゃいました」=尊敬語を使う

 

 

 

頻出敬語一覧

丁寧語 尊敬語 謙譲語
手紙 お手紙 お手紙、お便り、ご書状 書面、書中
言う 言います おっしゃる、言われる 申す、申し上げる
意見 ご意見 ご意見、ご高見 卑見
聞く 聞きます お聞きになる、聞かれる お聞きする、伺う、拝聴する
来る 来ます いらっしゃる、来られる、お越しいただく、お運びいただく 伺う、参る
もらう もらいます お受け取りになる いただく、賜る、頂戴する

  間違いやすい敬語表現

①謙譲語を尊敬語にしてしまう

本来は下げるべき自分を、相手よりも高めてしまう。

×私が行かれます→○私が伺います、参ります。

②尊敬語を謙譲語にする

本来は高めるべき相手を、自分よりも下げてしまう。

×資料を拝見いただく存じます。→○資料をご覧いただきたく存じます。

③おとれる・られるの二重敬語

敬語を重ねてしまうことは相手を不快させます。

×お客様が起こしになられました→○お客様が起こしになりました。

④不規則変化の尊敬語と謙譲語

不規則変化の尊敬語と謙譲語を正しくつかえるようになると、周りからも一目置かれる存在になります。

不規則変化の尊敬語と謙譲語

標準形 尊敬語 謙譲語
行きます・来ます いらっしゃいます 参ります、伺います
食べます・飲みます 召し上がります いただきます
言います おっしゃいます 申します
帰ります お帰りになります 失礼します
知っています ご存知です 存じ上げています
します・やります なさいます いたします
会います お会いになります お目にかかります
見ます ご覧になります 拝見します
います いらっしゃいます おります

 

 

 

敬語について part2 (文章力が身につく本)

 

<敬語>

原文 先生様がお見えになられました。

改善例 先生がお見えになりました。

原文は二重敬語です。「先生様」は、職名・職業名は敬称扱いするのが原則なので「先生」とします。

「なられました」「なりました」にしたのは、「お~になる」が正しい形ゆえです。語尾の「ました」は、尊敬とは別の丁寧表現です。

職名では、会社の部長、課長なども敬称扱いします。「お~になる」パターンでは「ご利用になられる」「お買い求めになられる}といった二重敬語をよく見かけます。なんでも丁重に言えばよいというものではありません。基本的な敬語の間違いは、その人の素養が疑われ、信用にも影響します。

敬語は敬意を表します。敬意を向ける対象は次の3つです。

<敬意を向ける対象>

  • ①話に上がっている話題の人・・・「○○様」
  • ②話題の人に属する事物・・・○○様の「(ご)尊父」「(ご)令嬢」「(ご)令息」「(ご)尊顔」「(ご)高説」「ご署名」「ご衣装」「お口」など
  • ③話題の人の行為・状態・・・○○様が「喜ばれる」「いらっしゃる」「ご挨拶なさる」「お美しい」「ご立派」など

それぞれの作り方は

  • ①「様」をつける。
  • ②「尊顔」「尊父」などの尊敬名詞か、それらに「ご」をつける、一般名詞に「お」「ご」をつける。
  • ③形容詞・形容動詞には「お」「ご」をつける

 

  • 動詞は以下の3つのタイプに分かれる
  •  ●助動詞「れる・られる」をつけるタイプ 立つ→立たれる
  •  ●尊敬動詞を使うタイプ 言う→おっしゃる 行く・来る→いらっしゃる 食べる・飲む→召し上がる する→なさる・される
  •  ●「ご・お~なさる・される」と「ご・お~になる」を用いるタイプ 見る→ご覧になる
  •  なお一つの動詞でこの3タイプを作れるものもあります。
  •  ●食べる→食べられる(助動詞をつけるタイプ) 召し上がる(尊敬動詞タイプ) お食べになる(お~になるタイプ)

 

 

<謙譲語>

原文 大方のお客様が参られたそうなので、私たちもそろそろ参りませんか

改善例 大方のお客様がいらっしゃったそうなので、私たちもそろそろ参りましょうか

→自分を下げて相手を持ち上げる

例文は、何かの会場にでも向かうときのセリフ。原文の参るは謙譲語で「行く・来る」のへりくだった言い方です。自らを謙遜する表現です。

文の前半の主語はお客様ですので、述語に敬語を使うべきです。後半の主語は私たちなのでよさそうに見えますが、私たちの中には私以外の他者もいるので、参りませんかと疑問形で要求すると、他者が参ることになってしまいます。参りましょうかと自分主体の行為にして誘うなら、問題ありません。

敬語と謙譲語の根本的な違いを図に表すと下のようになります。

対等の関係であれば、敬語も謙譲語も不要です。尊敬表現のポイントはこの対等の関係を崩すことにあり、相手を上げるのが敬語、自分(話し手)を下げるのが謙譲語です。

相手を上げても自分を下げても、斜めの矢印の関係になります。こうして尊敬対象者を仰ぎ見ることで、敬意が表せるものです。

謙譲語の作り方にも、基本のパターンがあります。

<謙譲語の作り方>

①「お・ご~する・いたす」・・・お会いする、お待ちいたす、ご相談する、ご提供いたす

②「お・ご~いただく・申す」・・・お買い求めいただく、ご遠慮申す

③謙譲名詞・・・粗品、粗茶、弊社など

④謙譲動詞・・・言う→申す 食べる→いただく 行く・来る→うかがう・参る 知る→存じる 聞く→うかがう・拝聴する 見る→拝見する する→いたす・申す など