- 二、会社員時代にしておくこと
- 三、屋号や事業内容を決める
- 四、開業届けを申請する
- ・開業届-従業員がいない場合
- ・開業届-従業員を雇用する場合
- 五、法人成り(個人事業を株式会社へ変更)
- 六、個人事業の廃業
個人事業主になるために必要なこと
個人事業主になるには、税務署に開業届けを提出すれば簡単になることができますが、このサイトを見ている人は、単に事業主になることが目的ではないはずです。事業主として成功し儲けることや、会社勤めでは得られない自由、わずらわしい人間関係からの解放、仕事のやりがい、家族との時間など、このような個人事業主のメリットを得たいと思って、現在開業を考えている、もしくは、すでに開業しているはずです。このような事業主のメリットを最大限に感じるためには、やはり事前の準備や段取りが重要です。ここでは個人事業の開業に必要な手順や段取りについて説明しています。まず開業までの準備や手続きなど、全体の流れをイメージしてください。
段取り | しておくこと |
---|---|
開業準備 | 事業主(フリーランス)と会社員の違いを知っておく |
事業内容を考える | |
人脈(取引先やパートナー)を作っておく | |
技術やノウハウを身につけておく | |
資金繰りの計画を立てる | |
貯金をしておく | |
競合(ライバル)の調査 | |
事業形態(個人事業 or 法人)の決定 | |
サービス内容(価格など)の決定 | |
屋号(店名、商品名・サービス名)の決定 | |
許認可や届出のチェック | |
開業直前準備 | 事務所や店舗の決定 |
名刺や広告物(ビラやパンフレット)の作成 | |
ホームページの作成 | |
事業用の銀行口座の開設 | |
事業用のクレジットカードの作成 | |
開業手続き | 税務署に「開業届け」を提出する |
青色申告の希望者は 税務署に「所得税の青色申告承認申請書」を提出する |
|
事業に許認可や届出が必要な際は 該当する行政機関に「許認可や届出」を提出する |
|
従業員を雇う場合 | 従業員の募集や採用を行う |
税務署に「給与支払事務所等の開設届出書」を提出する | |
労働基準監督署に労災保険の申請をする | |
ハローワークに雇用保険の申請をする | |
確定申告 | 管轄の税務署に前年の所得を申告する(2月~3月) |
上記に事業主として成功するために必要な手順や段取りについて説明しました。これらをやっていないと成功ができない訳ではありませんが、やっておいた方が良いのは間違いありません。これらの開業の手順や段取りをできるだけ事前に行い、事業主のメリットを感じられるようにしましょう。これから開業を目指している人は上からひとつひとつやっていくようにしてください。すでに事業主として開業している人は、できていないところや気になる項目をチェックするようにしましょう。
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会社員時代にしておくこと
会社員時代にできることは事前にやっておきましょう!
個人事業主は、職場の人間関係に悩まされることなく、自由に誰からも束縛されずに自分のやりたいことができ、頑張ったら頑張った分だけが報酬として手に入るという素晴らしいメリットがありますが、その反面、収入や仕事が安定するかがわからないというデメリットもあります。
このように、個人事業主にはたくさんのメリットがありますが、その反面、収入や仕事が安定するかわからないという不安があるため、独立開業に二の足を踏んでいる会社員の方も多いと思います。
ちなみに、管理人は現在個人事業主として独立開業していますが、独立の不安があり、会社員から個人事業主になるまでに、10年以上の時間がかかりました。じゃあ、そんなに時間をかけたなら、不安は消えているかというとそうでもありません(笑)個人事業主として独立してからも、不安はずっとあります。
では、なぜ個人事業主を続けているのかというと、仕事や将来への不安はありますが、それ以上に自分のやりたいことができることや仕事でのストレスが少ないという個人事業主のメリットを実感しているからです。このような個人事業主の素晴らしさを知ると、二度と会社員に戻りたくないと思う人も多いでしょう。それほど、個人事業主は収入さえ安定すれば良いものです。
個人事業のデメリットとなる収入(安定)への不安を出来る限り少なくするために、何をしておいたら良いかというと、それは「独立の準備」です。独立するまでの収入が安定している会社員の間に、できる限りの準備をしておくことです。そうすることで、個人事業主となってからの仕事の目途をある程度つけることが可能です。
具体的には以下のことを会社員時代にしておきましょう。
- ・開業する事業の内容をしっかり考えておく
「いつ」「どこで」「何を(サービス内容)」「誰に(お客様)」「どのように差別化するのか」を重点的に考えておく - ・人脈(取引先やパートナー)を作っておく
- ・技術やノウハウを身につけておく
- ・なるべく貯金をしておく
(1年間は仕事がなくても、生活していけるように(目安は300~500万くらい)) - ・会社員の時代から週末などを利用してプチ起業をしておく
(会社に見つからない程度に実際にやってみて、顧客の反応や採算を知る) - ・家は会社員時代に買っておく
会社員時代にやっておいた方が良いことは他にもありますが、主要なものを挙げてみました。
できる限り、会社員の内に上記をやってみて、起業の準備をするようにしましょう。
ただし、会社員時代にしておくことにも限界があります。起業前にいくら考えて、準備していても、実際に個人事業を開始してみたら、全然違っていたというのはよくある話です。
しかし、個人事業主のリスクをあらかじめ想定し、準備しておくことは大事です。
あらかじめリスクを想定していると、実際に悪いことが起こっても、パニックになりません。ストレスも感じにくくなります。口で言うのは簡単ですが、これはとても大きなことです。
周りの人が見れば、そんなことは事前にわかっていたはずと思うようなことで廃業してしまう個人事業主が実は多いのです。
上記の会社員時代にしておくことの中で、最もおすすめなのが「プチ起業」です。
片手間ながらも実際にやってみることです。実際にやってみることで、顧客の反応や収入の目途、個人事業の課題などを体感することができます。会社の業務に支障をきたさない程度に、休みや仕事終わりを利用して、プチ起業をしてみることをおすすめします。
この体験が個人事業の財産となりますので、会社員の間に課題に取り組み、収入の目途がついてから、独立するのが最もリスクの少ない、個人事業主のデメリットが少ない方法でしょう。
このようにできるだけ会社員の時にできることは準備しておき、個人事業主のデメリットを減らして、個人事業主のメリットを満喫できるようにしておきましょう。
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屋号や事業内容を決める
開業届けを提出するには、あらかじめ屋号や事業内容などを決めておく必要があります。
個人事業主の開業手続きは、税務署に「開業届け(正式には、個人事業の開廃業等届出書)」という書類を提出するのみの大変簡単な手続きだけで終わります。ただし、税務署に提出する必要がある開業届けに記載する内容を事前に決めておかないと、開業届けの記載時に戸惑います。後で修正はできますが、適当に書くと後悔することにもなりかねませんので、以下の項目については事前に考えておきましょう。
屋号(商号)
屋号(商号)とは、会社で言うと会社名にあたるもので、銀行口座、名刺、看板、領収書や契約書についても、 屋号で表記することが可能です。開業届けには屋号を記入する箇所がありますが、税務署などへの届出時には空欄にしておくことも、後で変更することも可能ですので、そこまで慎重になる必要はないと思います。ちなみに、個人名で活動するなら記入する必要はありません。
なお、個人事業の屋号は、「○○会社」とか、「○○法人」という表現をしてはいけません。一般的には「○○商店」とか「○○事務所」などの 屋号が多いと思われます。個人名で事業を行うことは可能ですが、一般の人から見て、どんな事業を行っているのかが簡単にイメージできて、印象に残りやすい名前を屋号にしておいたほうがよいかと思います。
個人事業の屋号のつけ方
屋号(商号)とは、会社名、店舗名にあたるものです。
屋号(商号)とは、会社で言うと会社名にあたるもので、個人事業の名称や店舗の名前などのことを言います。
一般的には「○○商店」とか「○○事務所」などの 屋号が多いですが、屋号は、銀行口座、名刺、看板、領収書、契約書などで表記することが可能です。
もちろん個人事業に屋号をつけず、自分の名前をそのまま使うことも可能です。フリーランスの人だと、屋号をつけないまま、事業を行っている人もたくさんいます。また、屋号にカナ文字やアルファベットを使うことも可能です。
ただし、顧客や取引先から見て、どんな事業を行っているのかが簡単にイメージできて、印象に残りやすい名前を屋号にしておいたほうがビジネスを成功させる上では良いでしょう。
事業の拡大を目指すなら尚更です。事業の拡大には従業員の雇用が不可欠ですが、個人名で求人を出したとしても、さすがに応募する人は少ないでしょう。また、個人事業やフリーランスから法人化した時も、そのまま屋号が法人名(会社名)に使えるので、屋号をつけておくと、なにかと便利です。そのため、なるべく屋号はつけておいた方が良いでしょう。
屋号を決める際には、まず事業の内容やサービスの内容を決め、そして、競合(ライバル)で同じ名称などがないかをしっかり調査した上で、屋号を決めるようにしましょう。
個人事業の屋号のつけ方
屋号は、顧客や取引先から見て、どんな事業を行っているのかが簡単にイメージできて、印象に残りやすい名前を屋号にしておくことが重要です。屋号がキャッチコピーのようになっていると、多くの人が覚えやすいですし、イメージがしやすくなります。
主力となる商品やサービスの名前を「屋号」と同じにするというのも良いでしょう。
屋号は、途中で変更することも可能ですが、以前の屋号で伝えた顧客や取引先に再度新しい屋号を伝え直すのも大変ですし、税務署に提出する開業届や確定申告を行う際にも使うものですので、一時的な流行りなどではなく、ずっと使えるような屋号にするようにしましょう。
屋号をつける際に注意すること
個人事業の屋号は、「○○会社」とか、「○○法人」という表現をしないようにしましょう。それは○○会社や○○法人というのは、法務局に法人登記し、法人格をもっている法人(会社)に対して使う名称だからです。
また、屋号に、商標登録されている名称を使うのは、避けたほうが良いでしょう。
商標(しょうひょう)とは、商品やサービスの標識(主に、文字、図形、記号、立体的形状など)のことで、商標登録とは、商品やサービスを販売している会社が特許庁に申請をして、商標権の設定がされたものです。
商標登録されている名称が同じ業界でなければ、基本的に大丈夫なようですが、同じ業界の場合は、差し止め請求や訴えられることもあるので注意しましょう。
商標登録がされているかどうかは、特許電子図書館で探すことができます。
また、ホームページを検索してみて、他の個人事業主や会社が使っていないかも調べておいたほうが良いでしょう。
仮に商標登録がされていなくても、同じ名称だと、取引先やお客様から誤解がされやすいですし、マネをされた側も気持ちが良くありません。後でトラブルになるのと大変ですので、商標登録がされているかどうかと、インターネットでの検索は必ず行いましょう。
おすすめの屋号のつけ方
おすすめの屋号のつけ方をご紹介します。
- ・できるだけたくさんの候補を出しておきます。
ブレインストーミングです。少なくても10以上の候補は出しておきましょう。 - ・商標登録がされているか特許電子図書館で調べます。
商標登録がされていたら候補から削除します。 - ・googleやyahooで、候補名を検索して、他で使っていないかを調べます。
最低でも100番目くらいまではチェックしましょう。会社が使っていたり、ホームページがちゃんと更新されているようなら候補から削除します。 - ・残った屋号の候補で、最も事業内容がイメージしやすく、印象に残るものを屋号にします。
この手順を踏むことで、最も事業内容がイメージしやすく、印象に残る屋号ができ、安心して個人事業やフリーランスを進めることができるようになります。
屋号に関するQ&A
屋号とは何?
個人事業主やフリーランスの「事業名」「店舗名」「事務所名」にあたるもので、法人でいう「会社名」のことです。
昔の日本では、武士以外の人が苗字を名乗ることができなかったのですが、人口が増加するにつれて同じ名を持つ人が増えたため、家ごとに名称をつけたことが、屋号の始まりと言われています。
屋号は絶対につけないといけないのか?
そんなことはありません。 フリーランスで働く人を中心に、屋号をつけずに、ビジネスをしている人は多くいます。
ただし、ビジネスをするには、集客が大切となるわけですが、新しい取引先やお客様を増やすためには、まずどんな会社(事業)で、どんな商品・サービスがなのかを、知ってもらうことが大切です。
多くの情報が溢れている現代に、自分の事業や商品のことを知ってもらい、さらに印象に残すためには、「個人名」だけよりも、「屋号」があったほうが良いため、多くの個人事業主やフリーランスの人が屋号をつけています。
屋号は銀行口座に使えるの?
屋号は銀行口座に使うことができます。 ただし、個人の口座とは異なり、事業用の口座という扱いになる銀行が多いため、屋号を銀行口座とする際には 「屋号+氏名」が銀行口座となるケースが一般的です。
ただ、事業用の口座となると、個人の銀行口座の感覚とは異なります。銀行への口座の申し込み時に多くの必要書類が必要だったり、ネットバンキングが有料となったり、口座管理料をとる銀行などもありますので、本当に屋号の銀行口座が必要なのかを考えてみましょう。
個人の銀行口座で問題ない方は、無理に屋号の口座を持つ必要はありません。取引先やお客様に個人の銀行口座で代金を請求して問題ないか検討してみましょう。屋号の口座が必要な方は、銀行によって扱いや対応が異なりますので、いくつかの銀行に相談してみましょう。詳細はこちら。
NGな屋号とは?
屋号は個人事業主やフリーランスにつけるものなので、法人につける名称は使用することはできません。
また、商標登録されている名称や、同業他社が使用していて、取引先やお客様から誤解を受ける恐れがあるものも、屋号につけることは避けたほうが無難です。
(NGな屋号)
- ・○○会社
- ・○○株式会社
- ・○○法人
- ・商標登録されている名称
- ・同業他社ですでに使用している名称
- ・世間一般に知られている名称で、誤解の恐れがある名称
開業日
事業を開始した日付です。店舗を出すような事業なら開店日とするのが普通ですが、無店舗の事業の場合は適当に決めてしまっても良いようで す。ただし、開業届けには、開業日から何日以内という届出期限がありますので、届出期限に間に合う範囲、かつ、契約の締結などの具体的な事業活動を始める以前の適当な日付を決めておいたほうが良いでしょう。
なお、開業届けには、開業日から1ヶ月以内という届出期限があるため、開業日は否応もなく届出日から1ヶ月以内の日となりますが、税務署の担当者によっては柔軟に対応してくれるところもあります。経費処理の関係等、開業日を届出日から1ヶ月以上前にしたい場合は、税務署の担当者に相談してみてください。その際は電話で相談せず、税務署に直接行って相談してみましょう。(電話だと誰だかわからないため、杓子定規な対応となりやすいと思います。)
事業内容 (事業の概要)
開業届けには事業内容の欄がありますので、事業内容に記載する内容を決めておきましょう。
「ホームページの作成」など、独立開業する事業が一目でわかるような簡単かつ簡潔な内容にしましょう。
所得の申告方法について
個人事業主になると、通常、収入(事業所得)が発生しますが、事業所得が発生すると、所得税を納める義務が発生します。個人事業主の場合は、毎年1月1日から12月31日までの1年間に得たすべての所得を自分で計算し、税務署に対して、確定申告をしなければなりません。
この個人事業主の事業所得の申告方法には、「青色申告」と「白色申告」の2種類があります。「青色申告」と「白色申告」で、記帳の方法や特典等に違いがありますが、あらかじめどちらの申告方法にするかを選択しなければなりません。
青色申告を選択すると帳簿付けが義務となる代わりに最高65万円の所得控除、赤字が翌期以降に繰越しできるなどの特典が与えられますので、青色申告にはメリットがあります。しかし、その分帳簿付けが義務となるため経理処理は白色申告よりも煩雑になりますので、売上規模が小さく、経理処理に時間をかけたくない場合には、白色申告で十分ということになります。
青色申告にする場合は、開業届けの記載欄に記載します。白色申告の場合は、特に記載する必要はありません。青色申告を選択しない場合は、自動的に白色申告となります。
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個人事業の開業届けを提出する
開業届けを提出すれば、個人事業主になることができます。
個人事業主で開業するには、法人のように面倒な手続きや費用は発生しませんので、簡単に開業手続きができます。
従業員がおらず、個人事業主のみ(自分一人)で開業するのに、最低限必要な手続きは下記だけです。
- 税務署に「個人事業の開廃業等届出書」を提出する
- 税務署に「所得税の青色申告承認申請書」を提出する
(任意ですが、提出すると節税効果があります)
家族を従業員にする場合を含めて、従業員がいる場合と従業員がいる場合によって、開業手続き(届出書類)が変わってきますので、分けて説明していきます。
開業届け-従業員がいない場合
従業員がいない場合は、所轄の税務署に「個人事業の開廃業等届出書」を提出するのみの最も簡単な手続きとなります。
提出先 |
対象者
|
提出書類 |
提出期限
|
---|---|---|---|
税務署 |
全員
|
個人事業の開廃業等届出書 |
開業日から1ヶ月以内
|
希望者のみ
|
所得税の青色申告承認申請書 |
開業日から2ヶ月以内(注)
|
|
希望者のみ
|
所得税のたな卸資産の評価方法・ 減価償却資産の償却方法の届出書 |
開業した年度の
確定申告期限まで |
(注) 1月1日~1月15日までに開業した場合は、その年の3月15日までとなります。
青色申告を希望する場合には、「個人事業の開廃業等届出書」に加えて、「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要があります。青色申告の詳細については、青色申告と白色申告の違い で説明していますので、参考にしてください。
従来のたな卸資産の評価方法や減価償却資産の償却方法を変更しようとする場合は、「所得税のたな卸資産の評価方法・減価償却資産の償却方法の届出書」を提出します。その年の確定申告時までに、よく考えて有利な方法を選びます。届出がない場合は自動的に、たな卸資産の評価方法:最終仕入原価法、減価償却:定額法となります。在庫などの会計上の資産を多く持っている方は検討する余地がありますが、それ以外の方は、提出しなくていいと思います。
(補足)
正式な開業手続きとしては、国税を管轄する税務署だけでなく、住民税や事業税などの地方税を管轄する都道府県税事務所や市区町村役場に対しても、「個人事業開始等申告書」を提出する必要があります。しかしながら、事業税は所得(売上-経費)が290万円を超えていないと発生しないため、現状では、都道府県税事務所や市区町村役場に「個人事業開始等申告書」を提出しないケースのほうが多いようです。なお、確定申告を行うことで、税務署から都道府県税事務所や市区町村役場に自動的に通知が回るようになっているようです。
開業届け-従業員(家族従業員を含む)を雇用する場合
従業員(家族従業員を含む)がいる場合は、開業手続きが大幅に増えます。
提出先 |
対象者
|
提出書類 |
提出期限
|
---|---|---|---|
税務署 |
全員
|
個人事業の開廃業等届出書 |
開業日から1ヶ月以内
|
希望者のみ
|
所得税の青色申告承認申請書 |
開業日から2ヶ月以内 (注)
|
|
家族に給与を
支払う場合 |
青色事業専従者給与に関する届出書 | ||
従業員を雇う場合
(家族を含む) |
給与支払事務所等の開設届出書 |
給与の支払い
から1ヶ月以内 |
|
従業員10人未満
で特例を希望する 雇用主 |
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 |
随時
|
|
希望者のみ
|
所得税のたな卸資産の評価方法・ 減価償却資産の償却方法の届出書 |
開業した年度の
確定申告期限まで |
|
労働基準 監督署 |
従業員を雇う場合
|
労働保険関係成立届 |
雇用してから10日以内
|
労働保険概算保険料申告書 |
雇用してから50日以内
|
||
ハロー ワーク |
従業員を雇う場合
|
雇用保険適用事業所設置届 |
雇用してから
10日以内 |
雇用保険被保険者資格取得届 | |||
社会保険 事務所 |
従業員が5人以上の場合
|
新規適用届 |
従業員が5人以上に
なった日から5日以内 |
新規適用事業所現況書 | |||
被保険者資格取得届 | |||
健康保険被扶養者届 |
(注) 1月1日~1月15日までに開業した場合は、その年の3月15日までとなります。
従業員がいない場合と比べて、税務署では、青色専従者給与に関する書類、給与支払事務所開設に関する書類、従業員の源泉徴収税に関係する書類が増えます。
また、労働保険(雇用保険と労災保険)に加入する必要があるため、労働基準監督署と公共職業安定所(ハローワーク)に書類を提出する必要があります。
さらに、社会保険の適用事業所となる場合は、社会保険事務所に書類を提出する必要があります。
従業員を雇用する
個人事業主でも、従業員を雇うことができます。
事業が拡大するにつれ、従業員を雇用する必要が出てきますが、従業員を雇用すると様々な手続きや義務の責任が発生します。
人を雇用する以上、事業拡大や節税のメリットだけではありませんので、十分に検討が必要です。
まず、従業員を雇用した場合(家族を含め)は、事業主は源泉徴収義務者となり、従業員の給与から所得税を源泉徴収して税務署に納税する必要があります。
また、パートやアルバイトを含めて従業員を一人でも雇用すれば、業種・規模の如何を問わず、労働保険(雇用保険と労災保険)に加入しなればなりません。
さらに、常勤の従業員が5人以上いる場合には、社会保険(健康保険と厚生年金)の適用事業所となり、社会保険に加入しなければなりません。ただし、第一次産業(農林、水産、畜産業)、接客娯楽業(旅館、料理店、飲食店、映画館、理容業等)、法務業(弁護士、税理士、公認会計士、社労士等事務所)、宗教業(神社、寺院、教会等)の場合、社会保険への加入は任意となります。
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法人成り (個人事業を株式会社に変更)
個人事業が順調に拡大している場合は、法人成り(株式会社化)を検討してみましょう。
個人事業が順調に拡大している場合は、法人化することも検討してみてもいいでしょう。
※個人事業主から法人へ組織変更することを「法人成り」といいます。
ただし、個人事業を法人化するにあたっては、メリットもデメリットも存在しますので、法人成りのメリットとデメリットをよく理解することが大切です。
まず、税金面だけでいうと、個人事業主は所得に応じて税率が大きくなる所得税(最大40%)が適用されるのに対し、法人は2段階の税率の法人税(最大30%)が適用されるため、年間所得が600万円~700万円になれば、個人事業主より法人の方が節税になるといわれています。
個人事業主 | 法人 |
---|---|
所得税 | 法人税 |
所得195万円以下 5% 所得195万円超~330万円以下 10% 所得330万円超~695万円以下 20% 所得695万円超~900万円以下 23% 所得900万円超~1800万円以下 33% 所得1800万円超 40% |
(資本金1億円以下の場合)
所得800万円以下 税率=22% |
逆に、年間所得が600万円~700万円を下回った際は、個人事業主の方が節税となります。また、法人化するには、かなりの手間とコストがかかってきますので、どちらの方がいいかは個人事業主の経営方針によります。
法人成りのメリットとデメリットをまとめてみました。
法人成りのメリット
- ・社会的に信用が高い
- ・金融機関などからの資金調達や融資が有利になる
- ・個人事業主とその家族にも給料を払うことができるため節税になる
- ・給与所得控除が使えるようになる
- ・経営者や家族も社会保険に加入できる
- ・退職金の支給が可能になる
- ・必要経費として認められる範囲が増える
- ・年間所得が600~700万円以上になれば、個人事業よりも節税となる
- ・赤字の繰り越しが最大7年のため、節税できる期間が長くなる
- ・決算期を自由に選択できる (個人事業は1/1~12/31)
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個人事業を廃業する
個人事業主を廃業する際は、税務署に「個人事業の開廃業等届出書」を提出します。
このように個人事業を廃業とするケースは意外と多くありますが、個人事業を廃業する場合は、個人事業の開業手続きと同様に、簡単に行うことができます。
まず、個人事業の開業時に税務署に提出した「個人事業の開廃業等届出書」に、廃業の旨を記入し、税務署に提出をすることで、個人事業を廃業することができます。個人事業を開業する時も、廃業する時も、同じ「個人事業の開廃業等届出書」を使用します。
次に、青色申告による納税を行っていた個人事業主は、「青色申告の取りやめ届出書」を提出します。
消費税の課税事業者の場合は、「事業廃止届出書」を提出する必要があります。
なお、廃業届けを提出した後の費用については、必要経費にならない可能性があるため、急ぐ理由がなければ、廃業日は年末にしておいたほうが無難かもしれません。
個人事業廃業時の届出一覧
個人事業を廃業する際に必要な届出を一覧にしています。
- ・個人事業の開廃業等届出書
- ・青色申告の取りやめ届出書 (青色申告者の場合)
- ・事業廃止届出書 (消費税の課税事業者の場合)
廃業届けを税務署に提出しないと、個人事業主のままとなりますので、確定申告が必要となります。確定申告をしないと、税務署などから連絡が来ますので、個人事業を廃業する場合は、必ず税務署に廃業届けを提出するようにしましょう。