株だけを売買したときの税金対策(株と株を売った場合=株だけ)
1つ目の組み合わせは、「株」と他の「株」を売った場合の税金対策を見ていきましょう。ちなみに、「株と投資信託を売った場合(次のページ)」と、税金対策のやり方は同じです。ですので、次ページもご一緒に読んでいただくと、より深く理解できると思います。
Q.『日本株』と他の『日本株』を売って出た損や利益は、お互いに損益通算できるの?
A.はい、損益通算できます。
その場合、確定申告をしなくてもいい人と、必要な人がいます。ポイントは、「口座の種類」や「どれだけ利益が出たか」の2つが関係します。
<確定申告をしなくてもいい人>
確定申告をしなくてもいい人は、『同じ証券会社の“源泉徴収ありの特定口座”内で取引している方』や、『“源泉徴収なしの特定口座”で取引している方で、年収2,000万円以内のサラリーマンで、株などの所得が20万円以内』の人です。その場合は、証券会社で損益通算の処理がなされるので確定申告の必要はありません。(ただし、“損失の繰り越し控除”を受ける場合には確定申告が必要です。→補足1へ)。
<確定申告をしないとダメ人>
確定申告をしないとダメな人は、『複数の口座で取引していて、他の口座で損失がでている場合』や、『“源泉徴収なしの特定口座”内で取引していて、株などの所得が20万円を超える場合』などです。今回は、後者の条件(株などの所得が20万円超え…)で確定申告が必要な方を例をあげて解説しています。また、前者の条件(複数の口座で…)での解説は、「株と投資信託の組み合わせ」でご紹介していますので、こちらも合わせてご覧ください。
●株の利益が1年間で30万円出た人(源泉徴収なしの特定口座を使用)
名前 | サトウさん(OL/27歳) |
---|---|
年収 | 500万円 |
株などの所得 | 30万円 ←ここがキモ! |
使っている証券会社の数 | 1社 |
使っている口座の種類 | 源泉徴収なしの特定口座 ←ここがキモ! |
■サトウさんが運用している金融資産とその損益<2015年>
サトウさん |
商品名 | 損益 | 税金 | |
---|---|---|---|---|
★日本株 | 売却益 | +50万円 | 10万円 (税率20%) |
|
★日本株 | 売却損 | -20万円 | 0円 | |
確定申告をすると… | +30万円 | 6万円 |
◎解説:
サトウさんのように、1つの証券会社しか利用していなくても、「源泉徴収なしの特定口座」で取引していて、かつ利益が20万円超えている場合には、確定申告をしなければいけません。これは損益通算するためにしたほうがいい、というのではなく、規則で必ず確定申告しなくてはいけません。
具体的には、まず1年間の取引の内容を証券会社が計算してくれます。そして、その明細(年間取引報告書)が自宅へ送られてきます。そこに書いてある損益を合計し、金額が+20万円超えたら自分で確定申告の手続きをおこなうことになります。
サトウさんの場合は、上の表を見るとA株で+50万円の利益が出ています。しかし一方のB株では-20万円の損失が出ています。この2つの損益は合わせることができるので、合計すると+30万円(=50万円-20万円)になります。利益が20万円を超えたので、確定申告をして税金を払う必要があります。サトウさんが払う税金は、この30万円に20%の税率をかけた金額です。計算すると…
30万円×20%=6万円 ←最終的な税金!
この6万円を税金として払います。ここで注意する点は、マイナスになっている分もしっかりと確定申告することです。そうしないと、利益にかかる税金をすべて払うことになります。それでは節税になりませんので、マイナス分も忘れずに確定申告してくださいね。
補足1:
上記の例の場合は損益通算し結果+30万円になりましたが、もし損益通算しても合計がマイナスだった場合、そのマイナス分を翌年以降3年間にわたって、株などの利益から差し引く(=控除)することができます(これを“3年間の繰り越し控除”といいます)。その場合は、取引をしていない場合でも、毎年確定申告が必要です。
損を出したときこそ節税するチャンスです!
このページをご覧になっている方は、すでに株やFXなどをはじめている方だけでなく、これからはじめようとしている方もいらしゃると思います。みなさん、『利益を出すこと』を目的としているはずで、『損をするつもり』ではじめる人なんていませんよね。しかし、100%利益を出し続けることは簡単ではありません。投資をしていく中で、時には損を出してしまうこともあると思います。その損を利用して節税ができる方法を見ていきます。
節税ができる例を、1つあげてみましょう。たとえば、証券会社A社の株取引で+50万円の利益がでたとします。この場合、株の利益には“20%”の税率がかかるので、10万円(=50万円×20%)の税金を払うことになります。一方、証券会社B社の株取引で-30万円の損失が出てしまいました。こちらは利益がないので税金はゼロです。つまり、このまま何もしなければ“10万円”の税金を払うことになります。
しかし、実はこの2つの株同士は、【確定申告】をすることで「利益」と「損失」を合わせることができるんです(後ほど、合わせることのできる組み合わせをご紹介していきます)。これを損益通算といいます。2つを合わせると+20万円(=-30万円+50万円)になり、このお金に税金がかかります。計算すると、4万円(=20万円×20%)となり、損益通算する前と比べてなんと6万円もお得になります♪
このように、投資で出た損は他で出た利益と合わせることで税金額を減らせたり、ゼロにできることもあります。ですから、どこかで損が出てしまった場合は、損益通算ができるかを一度チェックしてみてください。さらに、損益通算をしても、年間でマイナスになってしまった場合は、翌年以降3年間にわたって損を繰り越すこともできます(繰越控除)。損益通算や損失の繰り越しをする場合は、確定申告をする必要がありますので注意してください。
さて、それでは一体どんな投資商品が損益通算の対象となるのでしょうか?ここからは実際にみなさんが当てはまりそうな組み合わせを出していき、それに対して損益通算ができるのか、できないのかを簡単に解説していきます。ご自身の状況に近いものがありましたら、参考にお使いください。
株の損失と給料の税金対策
6つ目の組み合わせは、「株の損失」と「給料」を見ていきましょう。
Q.『株の損失』と『給料』って、損益通算できるの?
A.いいえ、損益通算できません。
◎解説:
「株で出した損失」と「給料」は、課税方法が違いますので損益通算することはできません。具体的に言いますと、株で出た損益は【申告分離課税】扱いで、原則20%の税金がかかります。一方、給料は【総合課税】扱いで、所得の多さによって税金が変わります(これを、累進課税といいます)。このように、それぞれ別々に税金を計算します。
補足:
株の損益は、次にあげる商品とは損益通算できます。
- 他の株の売却損益
- 株式投資信託の売却損益
- ミニ株、ETF、信用取引の売却損益
- 株の配当金(“申告分離課税”を選んだ場合に限ります)
さらに、損益通算してもマイナスだった場合は、それを翌年以降3年間にわたって繰り越すことができます。今年-10万円が残ったら、例えば次の年に+10万円をだしても税金を払わなくていいんです。ただし、繰り越す場合には取引をしなくても、毎年確定申告をする必要がありますので注意してください!
株で損失と配当が出たときの税金対策
5つ目の組み合わせは、「株の損失」と「株の配当」が出た場合を見ていきましょう。
Q.『株の損失』と『株の配当』って、損益通算できるの?
A.はい、損益通算できます。
◎解説:
2009年1月から、「株の配当金」と「株の売却損」との損益通算ができるようになりました。ここでひとつ注意してください。「株の配当金」を確定申告をするときに【総合課税】扱いにするか、【申告分離課税】扱いにするか、ご自身の好きな方を選ぶことができます。どちらもメリットはありますが、損益通算をする場合は【申告分離課税】を選んで確定申告してください。もし、仮に総合課税を選んでしまったら“損益通算”はできませんので注意してください。(配当金についての詳しい内容は、“配当金も確定申告すればお得になる!?”をご覧ください)
サカモトさんを参考に、損益通算の例を具体的に見てみましょう☆
<サカモトさんデータ>
名前 | サカモトさん(会社員/47歳) |
---|---|
年収 | 700万円 |
株などの所得 | 10万円 |
使っている証券会社の数 | 1社 |
使っている口座の種類 | 源泉徴収ありの特定口座 |
■サカモトさんが運用している金融資産とその損益<2015年>
サカモトさん |
商品名 | 損益 | 税金 | |
---|---|---|---|---|
★日本株 | 配当金 | +10万円 | 2万円 (税率20%) |
|
★日本株 | 売却損 | -10万円 | 0円 | |
“申告分離課税”を選んで確定申告をすると… | 0万円 | 0万円 |
サカモトさんは今年、株の配当で10万円の利益を、株の売買では10万円の損失を出しています。配当金には20%の税率がかかりますので、このまま何もしないとサカモトさんは2万円(10万円×20%)の税金を源泉徴収で支払うことになります。しかし、はじめにお伝えしたとおり、この2つは損益通算ができますので、まずそれぞれ確定申告をします。その時、配当金は必ず“申告分離課税”を選んでください。確定申告後に支払わなければいけない税金は、「株の配当金」と「株の損失」の合計額に20%の税率をかけた金額です。計算すると…
(配当10万円)+(損失-10万円)=0円 ←最終的な利益!
このように、損益通算することで10万円だった利益が“0円”になりました。0円には税金はかかりませんので、支払う税金もゼロです♪ 今回は損益通算をしたことで、2万円の税金が戻ってきました☆
補足1:
サカモトさんの例では、損益通算した結果0円になりましたが、もし損益通算しても合計がマイナスだった場合、そのマイナス分を翌年以降3年間にわたって、株などの利益から差し引く(=控除する)ことができます(これを“3年間の繰り越し控除”といいます)。その場合は、取引をしてない場合でも、毎年忘れずに確定申告が必要です。
補足2:
配当金で【申告分離課税】を選んだ場合は、株の他にも“投資信託”や“ETF”の売却損などとも損益通算できます。また、【総合課税】を選んだ場合は配当控除が受けられます(詳しくは、“配当金も確定申告すればお得になる!?”をご覧ください)
株とFXを売買した場合の税金対策
4つ目の組み合わせは、「株」と「FX」を売った場合です。
Q.『日本株』と『FX』を売って出た損や利益は、お互いに損益通算できるの?
A.いいえ、損益通算できません。
◎解説:
「日本株」と「FX」は、所得の種類が違いますので損益通算することができません。株が“株式等に係る譲渡所得等”なのに対して、FXは“先物取引に係る雑所得等”になります。ちなみに、日本株の売却益にかかる税率も、FXの売却益にかかる税率も一律20%になります。
★ワンポイント
「FX」は、“日経平均先物取引”や“商品先物取引”などと損益通算できます。また、損益通算してもマイナスの場合は、確定申告をすることによって翌年以降3年間にわたり、利益から引くことができます。
自分に合った証券口座を選ぶ
株取引をする前に、まずは証券口座を作る必要があります。
その時に、“口座の種類”を選ばなければなりません。口座の種類には、「1.源泉徴収ありの特定口座」、「2.源泉徴収なしの特定口座」、「3.一般口座」の3つがあります。3つの大きな違いは、“税金の支払い方法の違い”と、“税金の免除があるかないか”という点です。さっそくそれぞれの特徴を見ていきましょう!
■源泉徴収ありの特定口座の場合
「1.源泉徴収ありの特定口座」を選んで取り引きをした場合、利益が出ても確定申告の必要はありません。
なぜなら、利益が出た瞬間に証券会社があらかじめ税金(株なら利益の20%)を差し引いているからです。つまり、私たちが受け取る利益は、すでに税金が引かれた後のものになります。確定申告をしなくていいので楽チンですが、利益が出るたびに必ず税金が引かれてしまうので、投資効率が落ちてしまいます。
■源泉徴収なしの特定口座、または一般口座の場合
一方、「2.源泉徴収なしの特定口座」や「3.一般口座※」を選んだ方は、利益が出たときは確定申告が必要です。
しかし、うれしいことに『年収が2,000万円以下で、かつ、株や投資信託などの利益が20万円以下の方』は確定申告が免除されます!つまり、株などの利益が年間で20万円を超えない方は税金を払わなくていいのです。取引をあまりしない人や、少額な取引をする人には高い節税効果が期待できそうです。(※一般口座は、すべての取引の損益を自分で計算しなければいけないなど、いろいろと面倒なのでおすすめはしていません…)
<損失が出たら確定申告すると節税になる!?>
また、損が出たら確定申告はしなくていいのですが、どの口座でも確定申告をすることで“損益通算”ができたり、“翌年以降3年間にわたって損失を繰り越して、利益から引くこと”ができたりと、節税につながる可能性があります!証券会社から届く年間取引報告書などで、できるかどうか確認してください。
下表に、特定口座の「源泉徴収あり」と、「源泉徴収なし」の2つのメリット・デメリットをまとめました。こちらの表を参考にして、ご自分に合った口座を選んでください。
<特定口座の比較表>
源泉徴収ありの特定口座 | 源泉徴収なしの特定口座 | |
---|---|---|
♪メリット |
確定申告をする必要はありません。(証券会社が代わりに手続きをしてくれます) 主婦や学生の方は、いくら利益が出ても扶養から外れることはありません。 |
年収2,000万円以下のサラリーマンで、株などの利益が20万円以下の人は、税金を払わなくていいです(確定申告も不要です)。 (上記の条件に当てはまらず確定申告が必要な方は)確定申告をする際に、“年間取引報告書”が発行されるので、面倒な計算作業をする必要がありません。 |
デメリット |
金額に関係なく、利益が発生した瞬間に税金が引かれた状態になります(株なら20%)。そうなるとその分のお金を投資に回すことができなくなります。 |
20万円以上の利益を出した場合は確定申告をしなければいけません。 主婦や学生の方は、利益が38万円以上の場合、「配偶者」、「扶養者」から外れてしまいます。そうすると、ご主人の税負担が増加してしまいます。 |
★こんな人におすすめ |
◎確定申告が面倒だったり、よくわからない人 ◎「配偶者控除」や「扶養控除」の適用を受けている人 |
◎売買をする回数が多い人 ◎年間の利益が20万円以下になりそうな人 ◎節税をしたい人 |
実際に、人物を仮定してそれぞれ「源泉徴収あり・なし」のどちらが有利になりそうかを考えてみました!
1パターン目は会社員の方をモデルにしています。2パターン目はパートの方や学生さんをモデルにしています。(※口座を選ぶ基準には個人差がありますので、あくまで参考程度にご覧ください)。
①会社員(株などの所得が20万円以下の場合)
分散投資でコツコツと! |
|
☆「源泉徴収なし」の特定口座がおすすめ!
①のAさんは、「源泉徴収なしの特別口座」を選ぶと、税金を払わないですみます。
その理由は、まず給料を1ヵ所からしかもらっていないことです。そして、年収が2,000万円以下の会社員であり、株などの所得(給与所得と退職所得以外)も20万円以下になりそうだからです。税金を払わなくていいので、確定申告をする必要もありません。ただし、所得が20万円を超えた場合は確定申告をしなければいけませんのでご注意ください。
②専業主婦・パート・学生(株などの所得が38万円を超えそうな場合)
割安な銘柄を狙い撃ち♪ |
|
☆「源泉徴収あり」の特定口座がおすすめ!
②のBさんのように配偶者控除を受けている人は、株などの所得(給与所得と退職所得以外)が38万円を超えてしまうと、基本的には配偶者から外されてしまい、配偶者控除が受けられなくなってしまいます。そうなると、ご主人の税負担が増えてしまいます。(76万円未満でしたら、配偶者特別控除が受けられます)。
しかし、「源泉徴収あり」の特定口座で取引をすれば、どれだけ利益が出ていても配偶者から外れることはありません。ですので、森さんのように38万円を超えるような利益を出そうとしている主婦の方や、扶養控除を受けている学生さんは、「源泉徴収あり」の特定口座で取引されることをおすすめします。
反対に、株などの所得が20万円以下に収まりそうな方は、源泉徴収なしの特定口座のが税金がかかりませんのでおすすめです。
確定申告をしてかしこく節税 – 損益通算
損を出してそのままではモッタイナイ!
株や投資信託で利益が出たときは、口座の種類や金額によって、確定申告が必要かどうかが決まります(参考:証券口座の種類を選ぼう)。一方、“損”が出た場合は、どの口座でも基本的に確定申告は必要ないのですが、申告をすることで他の商品と損益通算ができます。また、それでもまだマイナスが残ってしまった場合は、翌年以降3年間にわたって利益から引くことができます(3年間の繰り越し控除)。
<確定申告のメリット その1>
■他の商品と損益通算ができる
損益通算とは、その年の各種所得の計算上、「不動産所得、事業所得、山林所得、譲渡所得」の金額に損(赤字)が出た場合、この損失額をほかの各種所得の利益から差し引くことができます。利益が減れば税金も減りますので、節税につながります。株の売買益は譲渡所得になりますので、損益通算をすることができます。
それでは、他にどんな金融商品が損益通算の対象になるのでしょうか。まずは下の表をご覧ください。それぞれの商品の中で、さらに『売却益(売った時の利益)』、『利息・配当・分配金』、『償還金』、『解約金』にわけて、課税方法をまとめています。基本的に、同じ課税方法(例: 申告分離課税)同士だと、損益通算できる可能性が高いです。また、下表の“同じ色同士”は損益通算ができます。
<商品別で見る課税方法一覧表>
商品名 | 売却益 | 利息・配当・分配金 | 償還金 | 解約金 |
---|---|---|---|---|
日本株
※ミニ株・るいとう・ETFを含む |
申告分離課税 (20%) |
申告分離課税 (20%) |
– | – |
株式投資信託
|
申告分離課税 (20%) |
申告分離課税 (20%) |
申告分離課税 (20%) |
申告分離課税 (20%) |
商品先物・日経225先物
|
申告分離課税 (20%) |
– | – | – |
くりっく365(FX)
|
申告分離課税 (20%) |
– | – | – |
非くりっく365(FX)
|
申告分離課税 (20%) |
– | – | – |
外貨預金
|
総合課税 | 源泉分離課税 (20%) |
– | – |
外貨MMF・外債
|
申告分離課税 (20%) |
申告分離課税 (20%) |
申告分離課税 (20%) |
– |
※↑同じ色同士は損益通算ができます。ただし、総合課税は利益が出て合計額が増えることはあっても、損失を出して合計額を減らすことはできません。
<損益通算ができるもの>
『株』と損益通算できる代表的なものとして、『株式投資信託』があげられます。また、『ミニ株やるいとう、ETFの売却損益』とも可能です。FXは『商品先物や日経225先物』と可能です。
<損益通算ができない所得>
■グループ1 – 配当所得
商品 | 税率 |
---|---|
日本株の配当(総合課税を選んだ場合※) | 総合課税 |
株式投資信託の償還・解約金・分配金(総合課税を選んだ場合※) | 総合課税 |
外国株、海外ETFの配当 | 20%~ |
※「総合課税」と「申告分離課税」のどちらかを選べます。「申告分離課税」を選ぶと損益通算できます。
■グループ2 – 雑所得
商品 | 税率 |
---|---|
外貨預金の為替差益 | 総合課税 |
純金・プラチナなどの積立 | 総合課税 |
☆次のページでは、確定申告をするメリット その2となる、「3年間の繰り越し控除」の解説をしていきます。
確定申告をしてかしこく節税 – 繰り越し控除
損を出してそのままではモッタイナイ!
前のページでは、確定申告をする大きなメリットの1つとして、「損益通算」をご紹介しました。今回は、もう1つのメリットである「3年間の繰り越し控除」についてご紹介していきます!
<確定申告のメリット その2>
■3年間の繰り越し控除ができる
株や投資信託などで損を出してしまった場合は、申告すれば翌年以降3年間にわたって利益から引くことができます。利益を減らすことで税金を減らしたり、さらにはゼロにすることも可能です。
もし、2016年に損失が出たら、その分を3年後の2019年まで繰り越すことができます。例えば、2016年に50万円の損失を出して、(損失の)繰り越し申告をしていたとします。2017年に5万円の利益が出ても、損失の金額のほうが多いため税金はかかりません。さらに、残った損失(50万円-5万円=45万円)は2018年の利益から引くことができます(↓の表をご覧ください)。なお、繰り越すためには、取引をしなくても毎年忘れないように確定申告が必要です。
<2016年に出た損失を繰り越す場合>
年 | 損益 | 計算 | 税金 |
---|---|---|---|
2016年←●ここから | -50万円 | -50万円 | 0円 |
2017年 | +5万円 | -50万円+5万円=-45万円 | 0円 |
2018年 | +10万円 | -45万円+10万円=-35万円 | 0円 |
2019年←●ここまで有効! | +20万円 | -35万円+20万円=-15万円 | 0円 |
2020年 | +15万円 | +15万円 | 3万円 |
<確定申告をするために税務署へ行くのが面倒な方は“イータックス”を利用しよう!>
毎年、わざわざ税務署や大型ショッピングセンターなどに設置された確定申告会場に行くのは面倒!という方は、インターネット上のやりとりだけで申告ができる【e-tax(イータックス)】を利用してみてはいかがでしょうか?イータックスなら24時間送信可能です!また、確定申告ができる期間は、申告方法に関わらず2月16日から3月15日の間と決められています。
●イータックスを利用する前にあらかじめ準備するもの
1.電子証明書…住民票のある市区町村の窓口で、「住基カード+電子証明書」を申請する。500円~2,000円程度。
2.ICカードリーダー…量販店などで3,000円程度で買えます。e-tax対応と書いてあるのを選びましょう。ICカードリーダーは最初に1回買っておけばその後もずっと使えます♪
☆損をしたときも確定申告をして節税しましょう!
株の配当金も確定申告すればお得!?
株の「配当金」にも、株を売って利益が出たときと同じように税金がかかります。基本的には源泉徴収されるので、確定申告をする必要はありません。しかし、確定申告をすると配当控除の適用を受けられたり、株や投資信託の損失と損益通算ができるようになります。配当控除か損益通算のどちらか1つだけ選べるので、配当控除の適用を受けた場合、損益通算はできませんし、逆に損益通算をした場合、配当控除の適用は受けられません。これは、配当金を確定申告をするときに、【総合課税】として申告するか、【申告分離課税】として申告するかで決まります。
<配当金の税金の支払い方法は3つ>
- 配当金に対して20%の源泉徴収で終了。
- 確定申告をして、配当控除の適用を受ける。(※総合課税を選ぶ)
- 確定申告をして、株などと損益通算をする。(※申告分離課税を選ぶ)
■確定申告するとどうなる?
確定申告をして得をする人を、「総合課税」と「申告分離課税」で比較してみました。ご自身の状況に当てはまるかどうかチェックしてください♪
●「総合課税」で申告すると得をする人 ♪
- 配当を含めた課税所得が695万円以下↓の人
- 配偶者控除などの適用を受けている人で、配当以外に所得がなく(専業主婦など)、株の利益や配当所得などの合計が38万円以下↓の人
●「申告分離課税」で申告すると得をする人 ♪
- 株やETF、株式投資信託による売却損がある人
続いて、それぞれをくわしく解説します。ご自身が当てはまる方を読み進めてください。
<総合課税を選んだ場合>
- 税率 … 15%~55%の累進課税(所得が多いほど、税率も高くなる)
- 配当控除を受けることができる
●「総合課税」で申告すると得をする人 ♪
- 配当を含めた課税所得が695万円以下↓の人
- 配偶者控除などの適用を受けている人で、配当以外に所得がなく(専業主婦など)、株の利益や配当所得などの合計が38万円以下↓の人
●総合課税を選ぶと損をする人
- 配当を入れた課税所得が695万円超↑の人
- 配偶者控除などの適用を受けている人で、配当以外に所得がなく(専業主婦など)、株の利益や配当所得などが38万円超↑の人(扶養から外れてしまいます)
配当金を受け取るときには、配当金の20%(所得税15%+住民税5%)がすでに差し引かれています。例えば、10万円の配当が出ていたら、そのうちの2万円が税金で引かれているわけです。この「支払う税金を軽くしましょう」という措置が『配当控除』です。具体的に説明すると、「給与」と「配当」を合わせた所得金額が695万円以下の人は、配当の税率が下がります(確定申告しないと20%のままです)。逆に、所得金額が695万円超の人が確定申告をすると、源泉徴収される20%より多くの税金を払うことになります。注意してください。(※下の一覧表を参照)
<所得金額に応じた税率+配当控除率の一覧表>
課税される 所得金額 |
所得税 | 住民税 | 最終的に かかる 税率 |
源泉徴収率 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
税率 | 配当控除 | 合計 | 税率 | 配当控除 | 合計 | |||
195万円以下 お得! |
5% | 10% | 0% | 10% | 2.8% | 7.2% | 7.2%※ | 一律20% |
195万円超~ 330万円以下 お得! |
10% | 0% | 7.2% | |||||
330万円超~ 695万円以下 お得! |
20% | 10% | 17.2% | |||||
695万円超~ 900万円以下 |
23% | 13% | 20.2% | |||||
900万円超~ 1,000万円以下 |
33% | 23% | 30.2% | |||||
1,000万円超~ 1,800万円以下 |
33% | 5% | 28% | 1.4% | 8.6% | 36.6% | ||
1,000万円超~ 4,000万円以下 |
40% | 35% | 43.6% | |||||
4,000万円超 | 45% | 40% | 48.6% |
※所得税の配当控除率(10%)のうち、所得税率(5%)を超える部分(5%)が還付されるわけではないので、7.2%(10%-2.8%)が最終的にかかる税率となります。
配当控除率は、納税者の課税される総所得金額によって変わります。
●所得税に対する配当控除
- 課税総所得金額が1000万円以下 … 控除率 10%
- 課税総所得金額が1000万円超 … 控除率 5%
●住民税に対する配当控除
- 課税総所得金額が1000万円以下 … 控除率 2.8%
- 課税総所得金額が1000万円超 … 控除率 1.4%
<申告分離課税を選んだ場合>
- 税率 … 一律20%
- 株などと損益通算ができる
●申告分離課税を選ぶと得をする人♪
- 株やETF、株式投信による売却損がある人
●申告分離課税を選ぶと損をする人
- 配偶者控除などの適用を受けている人で、株の利益や配当所得などが38万円超↑の人(扶養から外れてしまいます)
申告分離課税を選んで得をすることは、株や投資信託などの譲渡損失(売却してでた損失)と損益通算ができることです!(損益通算の解説)。つまり、株などで損失を出している場合には節税ができるのです。さらに平成22年より、「源泉徴収ありの特定口座」に上場株式等の配当を組み入れることによって、その口座内で生じた譲渡損失と確定申告をせずに通算することができるようになりました。※申告分離課税を選ぶと配当控除の適用はありません。
※記事の内容が古くなっていたり、間違っている可能性がございますので、税務署やお住まいの自治体などにて最新の情報をご確認の上、ご判断をお願いいたします。
FXの税金ってどうなってるの?
FXで利益が出たら、原則は自分で“確定申告”をして税金を払う必要があります。なぜなら、FXには株のように源泉徴収されるしくみがないからです。申告をしないままにしておくと、「無申告加算税」や「延滞税」などの罰金が課せられ、最悪の場合は「脱税」として有罪になってしまうこともあります。こういったムダな税金を払わないためにも、きちんと申告をしましょう!
■確定申告をしなくてもいい人もいます!
では、FXで利益が出たら全員が確定申告をしないといけないかというと、実はそうでもありません。中には確定申告をしなくてもいい人もいます。以下の条件に1つでも当てはまる方は、申告をする必要はありません。
●確定申告がいらない人
- 年収2,000万円以下のサラリーマンで、給与所得以外の所得が20万円以下の人
- 専業主婦や無職の方で所得が38万円以下の人
- パート収入が65万円以下で、FXなどの所得が38万円以下の人
つまり、たいていの人は、FXで20万円以上の利益が出なければ確定申告をする必要はありません。ここで1つ気をつけたいことは、上記の2と3の方がFXで38万円以上の利益が出てしまうと、配偶者控除(扶養)から外されてしまうことです。外れてしまうと、ご主人の税額負担が増えてしまうので、気をつけてください。また、金額によっては、ご自身の「国民健康保険料」や「国民年金保険料」などの支払いが発生してしまいます。あらかじめ、このあたりの税負担がかかることも頭に入れておいてください。
【注意】2012年1月より、『非くりっく365』と『くりっく365』の税率が統一され、どちらも一律20%になりました。ですので、ここから先の記事は新税制になる前の“古い”情報です。
■「くりっく365」と「非くりっく365」で税制に違いがあります(※2012年1月以降は違いがありません)
FXの取引方法には、東京金融取引所に上場する「くりっく365」と、FX会社が直接取引をする「非くりっく365」の2種類あり、どちらで取引するかで税率や税制の優遇措置が大きく変わります。まずは、ご自身がどちらの方法で取引しているのかを確認してください。もし両方とも利用している場合でしたら、2種類の方法で申告する必要があります。
◎「くりっく365」と「非くりっく365」の違い
くりっく365 | 非くりっく365 | |
---|---|---|
税制 | 申告分離課 | 総合課税 |
税率 | 一律20% | 15%~50% (所得金額によって変わる) |
損益通算 | 商品先物取引などと通算できる | できない |
損失の 繰り越し |
損益通算をしても損失が残った場合、翌年以降3年間にわたって利益から損失を引くことができる | できない |
■くりっく365はお得な面がいっぱい!
「くりっく365」は税制面でとても優遇されています。FXでどれだけ利益を出しても税率20%のままで変わりません(非くりっく365は所得金額に応じて15%~50%です)。そして、日経平均先物取引や商品先物取引などと“損益通算”ができます。例えば、商品先物の“石油”で損が出た場合、「くりっく365」で出た利益から引くことができます。引かれた後の利益に税率がかかりますので、支払う税金が少なくなります。さらに、それでもまだマイナスの場合は、確定申告をすることで翌年度以降3年間にわたって、利益からマイナス分を引くことができます!
→クリック365を取り扱っている証券会社(FX・外国為替のはじめ方)
■非くりっく365は主婦の方におすすめ!?
一方、非くりっく365は、総合課税として累進税率が適用されます(給与などと同じあつかい)。累進税率というのは、所得が多ければ多いほど税率が上がるというもので、最大で50%の税率が適用されます。ただし、所得金額が195万円以下の場合は税率が15%となっており、くりっく365の20%より有利になります。ですので、専業主婦や無職の方など、所得の少ない方には使い勝手がいいかもしれませんね。さらに、取引手数料が安いのも魅力の1つです♪非くりっく365は“損益通算”も損失の“繰越控除”もできません。
この「税率」、「税金の優遇措置」、「手数料」の3つのポイントが「くりっく365」と「非くりっく365」の大きな違いになります。
◎非くりっく365の税率
所得金額 | 税率 |
---|---|
195万円以下 | 15% |
195万円超~330万円以下 | 20% |
330万円超~695万円以下 | 30% |
695万円超~900万円以下 | 33% |
900万円超~1800万円以下 | 43% |
1800万円超 | 50% |
■利益から必要経費を引くことができます!
「くりっく365」も非くりっく365も、“必要経費”が認められていますので、FXで出た利益から経費を引くことができます。これも節税手段の1つです。特に効果が大きいのは累進課税の非くりっく365です。所得(FXで出た利益も含みます)が増えると税率もアップしてしまいますので、できるだけ経費を計上して、利益を抑えることが節税につながります。
必要経費に入るものは売買手数料のほか、FX関連の書籍、プロバイダー費用の一部、新聞代やセミナー参加費などがあります。経費に入るかわからないことがあれば、ぜひ税務署に相談してみてください。なかなか聞きづらいかもしれませんが、とても親切ていねいに教えてくれますよ♪もちろん無料で利用できます(私も何回か電話しました!)
投資信託の税金ってどうなってるの?
★最新ニュース★
2016年1月から、税制変更により『株式・投資信託等』と『債券・公社債投信』との損益通算ができるようになり、3年間の繰越控除が適用されるようになりました!
投資信託の税金のしくみは、基本的には“株”とあまり変わりません。「特定口座の種類によって確定申告がいらない」、「税率20%」や「損益通算ができる」など、ほとんど同じ扱いになっています。ただし、これは『株式投資信託』の場合の話です。投資信託には「株式投資信託※1」と「公社債投資信託※2」(以下、「株式型」、「公社債型」と略します)があり、どちらの投資信託を買っているかで、税率や税金の優遇が変わってきます。今回は、このあたりの違いを比較していきます。※2016年1月から、税制が変更されて一本化されたので、違いはなくなりました。
※1 … 株式が少しでも入っている投資信託(例:セゾン・バンガード・グローバル・ファンド)
※2 … 株式は全く入っておらず、主に社債や国債などの債券で作られている投資信託(例:グローバル・ソブリン・オープン)
■確定申告をしなくてもいい人
まず、どちらの投資信託にも共通していることが、口座の種類によって確定申告をしなくてもいい人がいるということです。これは株取引のときと全く同じ条件で、源泉徴収“あり”か“なし”かで変わってきます。詳しい内容を“証券口座の種類を選ぼう”のページで紹介していますので、こちらをご参考ください。
ざっくりと言いますと、サラリーマンの方で株や投資信託の利益が20万円以下の人は、「源泉徴収なし」の特定口座を選べば、税金を払わなくてもいいです。ただし、20万円を超えたら確定申告が必要です。
逆に「源泉徴収あり」を選ぶと、どれだけ利益が出ても確定申告をする必要はありません。ただし、投資信託を売却するときに必ず税金(20%)がひかれます。
↓↓ここから先は税制改正される“前”の古い情報です↓↓
(※2016年1月から税制が一本化され、違いがなくなりました)
■「株式型」と「公社債型」で税制に違いがあります
先ほども出てきたように、「株式型」は株と税制面でほとんど変わりなく、色々な優遇措置を受けられます。一方、「公社債型」は特にこれといった優遇措置はありません。
<株式型と公社債型の違い>
株式型 | 公社債型 | |
---|---|---|
税制 | 申告分離課税 | 源泉分離課税 |
税率 | 一律20% | 一律20% |
損益通算 | 売って出た損益や分配金は、株・ミニ株・るいとう・ETF・海外ETF・外国株・信用取引などの売却損益とできる。また、株の配当金とも可能。 | できない |
損失の 繰り越し |
損益通算をしても損失が残った場合、翌年以降3年間にわたって利益から損失を引くことができる | できない |
■株式型は税制面でお得がいっぱい♪
◎株式型の1つ目のメリットは、「投資信託で出た損益」と、「株・ミニ株・るいとう・ETF・海外ETF・外国株・信用取引などを売った時の損益」や「株の配当」と損益通算できる点です。また、投資信託で出た分配金も、上記の損益と通算できます(同じ証券会社の“源泉徴収ありの特定口座”以外で取引している場合は、確定申告が必要です)。
<株式投資信託と上場株式の損益通算できる組み合わせ>
株式投資信託 | 上場株式 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
譲渡益 | 解約・ 償還益 |
分配金※ | 譲渡益 | 配当金※ | ||
株式 投資信託 |
譲渡損 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
解約・ 償還損 |
○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |
上場株式 | 売却損 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
※「申告分離課税」を選んで確定申告をした場合に限り、損益通算が可能です。
◎株式型の2つ目のメリットは、損益通算してもマイナスが残ってしまったとき、そのマイナスを翌年以降3年間にわたって利益から引くことができます(3年間の繰越控除)。
☆投資信託については、姉妹サイト「やさしい投資信託のはじめ方」でくわしく取り扱っておりますので、こちらもご覧いただければと思います。
主婦や学生の方は“38万円”の壁に注意!
このページは、「配偶者(はいぐうしゃ)」や「扶養親族(ふようしんぞく)」となっている方、または「配偶者控除」や「扶養控除」を受けている方を対象に解説しています。また、わかりやすいように「配偶者=妻」、「扶養親族=息子」、「控除を受けている人=夫」と考えて読み進めてください。
主婦や学生の方は、配偶者や扶養に入っている方が多いと思います。その場合、夫は配偶者控除や扶養控除を受けることができ、自分の所得から一定の金額を引くことができます。そうすることで、支払う税金額が減ります。しかし、配偶者(妻)や扶養親族(息子)の収入によっては、控除が受けられなくなってしまう場合があります。
基本的には、妻や息子の合計所得金額が38万円を超えると配偶者や扶養から外されてしまいます。(ここで言う合計所得金額というのは、給与から給与所得控除(最低65万円)を引いたあとの金額+株の利益を指します)。反対に、いくら利益を出しても扶養から外されない人もいます。それぞれの条件を見ていきましょう!
■いくら利益を出しても配偶者や扶養から抜けない人とは?
まずはじめに、「源泉徴収ありの特定口座」を使って株取引をしている方は、株で“いくら利益を出しても”配偶者や扶養から抜けることはありません!源泉徴収された利益は、所得金額の計算から除外されるからです。極端な話、利益が100万円出ようが、1,000万円出ようが大丈夫です。
ただし、何らかの理由で確定申告をすることになった場合は、合計した所得金額によって、配偶者や扶養から抜けてしまう可能性がありますのでご注意ください。例えば、損益通算をするために確定申告をした場合、株の利益は給与と合わせて計算することになります。その合計所得金額が38万円を超えると、配偶者、または扶養から外されてしまいます。(源泉徴収ありを選んだ方は、ここから先は読む必要がありません)
↓↓ここから先は、「源泉徴収なしの特定口座(または一般口座)」を選んだ方だけお読みください↓↓
■配偶者や扶養から外されてしまう人は?(収入が株の売買益だけの場合)
配偶者や扶養から外されてしまう可能性があるのは、「源泉徴収なしの特定口座」、もしくは「一般口座」を使っている人です。例えば、収入が株のみの場合、株で利益を38万円超を出すと確定申告をして所得税を払う必要が出てきます(ちなみに、住民税は利益33万円からかかります)。そうしますと、同時に配偶者や扶養から外されます。「それじゃあ、確定申告をしなければいいのでは?」と思う方がいるかもしれませんが、これでは脱税になってしまいます…(汗”) 「源泉徴収なしの特定口座」、または「一般口座」を使用していて、利益が38万円を超えたときには、必ず確定申告をするようにしましょう!
■配偶者には、「配偶者特別控除」という特別な控除がある
これは妻がいる方に限りますが、妻が38万円を超えて利益が出ても、最大で76万円未満までなら「配偶者特別控除」を受けることができます。控除される金額は「配偶者控除」のときよりも少ないですが、最高38万円から最低3万円までの金額を引くことができます。この引かれる金額は、配偶者の利益の金額によって異なり、利益が76万円に近づくほど、引ける金額も減っていきます。下の表を参考にしてください。(※配偶者特別控除が適用されるのは、夫の収入が1,000万円以下の場合に限ります)。
<収入が株のみの配偶者>
株の利益(合計所得金額) | 配偶者控除 | 配偶者特別控除 |
---|---|---|
38万円以下 | 38万円 | × |
38万円超 40万円未満 | × | 38万円 |
40万円以上 45万円未満 | × | 36万円 |
45万円以上 50万円未満 | × | 31万円 |
50万円以上 55万円未満 | × | 26万円 |
55万円以上 60万円未満 | × | 21万円 |
60万円以上 65万円未満 | × | 16万円 |
65万円以上 70万円未満 | × | 11万円 |
70万円以上 75万円未満 | × | 6万円 |
75万円以上 76万円未満 | × | 3万円 |
76万円以上 | × | × |
☆株の利益が増えていくことで、夫の控除額も段階的に減っていくことがわかりますね。もし、株の利益が76万円を超えると、配偶者特別控除から抜けてしまいます。ですので、心配な方は「源泉徴収あり」の特定口座にすると、いくら利益が出ても抜けることはありませんので、こちらがおすすめです。
■収入がパート(アルバイト)収入のみ、または株収入がある場合
それでは、収入がパート(アルバイト)のみの方、もしくは株とパート(アルバイト)の両方から収入がある方はどうなるのでしょうか?ここで肝心なことは、合計で38万円超の所得が出なければ、配偶者から外れることはないということです。ここで言う38万円の所得というのは、給与から給与所得控除(最低65万円)を引いたあとの金額+株の利益です。少しややこしいかもしれませんが、重要な部分ですのでしっかりと覚えておきましょう。
<パート(アルバイト)収入のみの場合>
パートやアルバイトでもらった給料は給与所得になりますので、給与所得控除というものが引かれます。控除額は最低65万円です。パート・アルバイト収入から65万円を引いた金額が38万円以下なら配偶者から抜けることはありません。例えば、年収が103万円以内の方は、給与所得控除を65万円引くと所得が38万円以内になるので大丈夫です。逆に年収が103万円を超えてしまうと、所得控除65万円を引いても所得が38万円超えになってしまうので、配偶者控除を受けれなくなます。さらに本人も所得税を支払わなければいけません。これがよく耳にする“103万円の壁”というものですね(ちなみに、住民税は利益98万円から発生します)。
<株とパート(アルバイト)収入の場合>
しかし、上記の例では株の利益が入っていませんよね。株の利益は給与所得控除のような特別な控除はありません。ですので株の利益がそのまま所得になります。つまり、株の利益が38万円を超えれば、それだけで配偶者から外れてしまいます。また、株の利益を38万円以内に抑えても、パート収入と合わせて103万円を超えてしまうとこれも外れてしまいます。下の計算に当てはまる方は大丈夫です。
パート収入+株の利益(38万円以下)=103万円以下
ただ、パート収入と株収入を合わせると本当なら150万円以上はいけるのに…という方は、無理やり103万円以内に抑えて控除を受けるメリットはあまりないかもしれません。そのあたりは、夫の収入などによって税額が変わってきますので、「控除を受けて夫と妻が得する金額」と「株や給与によって得る利益」とを比較して、どっちが得をするかを考えてみるといいと思います。
また、年収が130万円以上になりますと、基本的に社会保険料(健康保険料、国民年金)を支払わなければいけなくなります。この年収130万円は月に換算すると約10万8000円です。また、自営業の妻は年収130万円は関係ありません。国民年金の支払いも今までと同じですし、国民健康保険料も変わりません。影響があるのは、会社員や公務員の妻の場合です。繰り返しになりますが、「源泉徴収あり」の特定口座を利用し、確定申告を必要としない場合には、株による利益額は関係ありません。
★以上で投資にかかる税金についての記事を終わります。これらの記事は、最新、かつ、正しい情報を提供するように努めておりますが、誤った情報を掲載してしまうこともあるかもしれません。税務署などでご確認くださいますよう、よろしくお願いいたします。