解雇規定について

解雇に関する事項についてまとめました。勝手にあるいは不当に解雇されないように、また解雇されるとしてもその際に労働者が時間的な猶予を得ることができるようになっています。

①解雇

解雇とは、使用者側からの労働契約の解約をいいます。労働者側からの労働契約の解約(=退職)の場合は、労働者を特に保護する必要がないので、特段の規定を設けていません(前記の労働契約の期間等の保護規定はあります)。解雇については、勝手にあるいは不当に解雇されないように保護規定があります。

 

②解雇制限

大きく次の2つの解雇に関する制限があります。

(1)合理的理由なき解雇は無効

「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、向こうとする」とされています。従来、判例で確立した考え方(解雇権濫用の法理)を法律に明記したものです。この規定は、労働基準法に規定されていましたが、平成20年3月の労働契約法の施行に伴い、労働契約法16条に移行しています。つまりは、合理的な理由なき解雇は無効!ということです。

(2)解雇制限

解雇されては困る次の期間(2種類)について、解雇を制限しています。

  • ●業務上負傷、疾病の療養のために休業する期間+その後の30日間
  • ●産前産後休業+その後の30日間

は解雇不可です。

③解雇予告

合理的理由があり解雇できる場合であっても、突然解雇されては労働者が困るので、予告期間を設けることとしてます。労働者に再就職先を探すなどの猶予期間を与えるためです。使用者は労働者を解雇する場合には、少なくとも30日前に予告するか、又は30日分以上の平均賃金の支払いをしなければなりません(併用することも可能です。例10日前の予告+20日分の平均賃金の支払い)。