労働基準法第三章では、賃金の支払い方法などの賃金に関する事項についてまとめてあります。確実に労働者に賃金が渡されるように、支払い方法が規定されています。その他、平均賃金という「お金の単位」について規定されています。
①賃金の支払い
賃金の支払い方法については、まず「賃金支払いの5原則」と呼ばれる5つの原則が規定されています。それらの5つの原則に対して、それぞれの例外が規定されています。
・5原則
- [条文]
- ●賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。
- ●賃金は、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。
前記が、賃金の支払いの原則に関する条文の記述です。太字で強調した箇所が5原則です。これらを守っていれば、確実に労働者本人に定期的に賃金が支払われることになります。
(1)通貨で・・・現金で支払いなさいということです。現金以外は不可。
(2)直接・・・本人に直接支払いなさいということ。代理人に支払うことができません。
(3)全額を・・・全額払え、といっています。なんらかの理由をつけて差し引くといったことができないことになります。
(4)毎月1回以上、一定の期日に
定期的に、1月に1回、労働者の手元に賃金が渡ることになります。「毎月1回」だけでは不十分です。不定期になってしまいます。
・例外
原則 | 例外 |
通貨で |
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直接 |
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全額を |
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毎月1回以上、一定の期日に |
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②平均賃金
平均賃金とは、いわば、労働基準法でのお金の単位です。労働基準法のいくつかの規定で、労働者に現金を支払うことになっています。それらのものについて、たとえば、「平均賃金の100分の60」とか、「平均賃金の1.200日分」といった形で支払う額が規定されています。平均賃金は、大雑把にいうと、3ヶ月の給料の1日平均額です。
平均賃金=算定すべき事由の発生した日以前3ヶ月間の総日数÷算定すべき事由の発生した日以前の3ヶ月間の総日数