<株とは?>
→株式会社が資金を集めるために発行するのが株
株というのは、株式会社が資金を集めるために発行するものです。株式会社は、株を売って得たお金で研究開発をしたり社員を雇ったりして、事業を拡大していきます。
企業の株を買うことは、企業が事業を行うための資金を提供するということになります。株主=出資者であり、その会社のオーナーのひとりです。
企業にとっての株式発行のメリットと、株主になって手にする利益と権利についてご説明します。
→株主からお金を集めることと銀行からお金を借りることの違い
資金が必要なら銀行から借りればいいのに、なんで企業はわざわざ株を発行するのでしょうか。それは、株独特のメリットがあるからです。銀行から借りたお金は利子をつけて返さないといけません。同様に、社債を発行して得たお金も返さないといけません。
しかし、株を発行して株主から集めたお金は返済しなくてもいいんです。
→株主になれば配当金や株の売却益で利益が得られる
では株主は株を買って出資したら、お金を出しっぱなしで終わってしまうのでしょうか。それでは、出資する旨味が全くありませんよね。
株主は、出資した企業が利益を出せば、利益の還元(配当金)を受け取れます。
企業によっては、株主優待として株主に自社商品や商品券を贈るところもあります。
また、株主は持っている株を売ることもできます。
さらに、株主になれば会社の経営に参加できます。実際の企業経営は経営陣の仕事ですが、株主になれば株主総会での議決権を得て、会社の意思決定に参加できます。議決権の大きさは保有している株数の多さに応じて決まり、保有株数が多ければ(大株主なら)議決権も大きくなります。
<その2>
おおざっぱに一言で言ってしまえば「会社の一部である」といえます。会社が株券を発行する主な目的は、資金調達ですから、その資金調達の一端をになうということは、実質的に会社のオーナーの一人となると いうことです。2005年に、ライブドアとフジテレビの一件がありましたが、株の力のすごさを実感させられました。当時、ライブドアはニッポン放送の株を 過半数取得したので、ニッポン放送はライブドアのものとなりました。このように株主になることは、その会社の経営まで影響を与えることができます。
しかし私たち一般の個人投資家は、そんなにたくさんのお金を持っていません。ですので、今お話したことはあまり意味がないかもしれません…(笑)。私たちが株を買う目的は、株券を買って株主となり、個人オーナーとしての権利を手に入れることです。これに関する詳細は長くなりますので、後から出てきます「株のかせぎ方を知る」で扱うことにします。
●株式投資のよいところ
- ・経済が勉強できる。経済に敏感になる。
- ・元手が少なくてもできる。10万円~
- ・稼ぎやすい
●投資スタンスを決める(安定か成長か?)
- 安定:10万円を11万円にする投資
- 攻め:10万円を100万円にする投資
- その他:投資額が全てなくなってもいいから(なくなってもいいお金で1点買い)
- →心にゆとりがあるレベルがおすすめ
●投資スタンスの使い分け
- ドルコスト平均法:毎月同じ金額を買う:安定している。NISA等の投資方法。株価が下がった月は多く買うことになり、平均的にならされやすい。永遠に下がり続けるものについては破たんする。5年~10年目安。
- 何回かに分ける:欲しい銘柄を毎週4回に分けて買う等。
- 1点買い:欲しい株を一気に買う。
●損切りについて
持っている株が何らかの影響により今後下がり続ける場合には、早めに見切りをつけて売り損害を減らす。徐々に下がり続ける場合にこそ早めに売った方が損は少ない。
<方法>
- 1、買う前に、損切りラインを決めておく
- 2、5900円以下で損切りとし、株価が5900円以下になれば自動的に売り注文する逆指値注文を活用
- 3、下がった時に買い増ししない(ナンピン。ナンピンは一度持っている株が下がり、チャンスと見てさらに買い足すこと。これは上がると予想して買った株が外れそこからさらに買うことはやめといたほうがよい)
●儲かる株の探し方
- 1)チャートで見る(デイトレ)
- →精神的にきつい
- 2)PER、PBR、配当、割安な株を買う
- →世に出ていない儲かる株を数字的に探す
- 3)これから上がりそうな株を買う
- →ニュースで見かけたり、これから儲かりそうな会社、これから人気になりそうな株を狙う
<株式市場を知る>
●上場とは
100%株主がもっとお金を調達し、投資したいと考え、東京証券取引所や東証マザーズなどへ株を広く売り出して、買ってもらう。東証に上場すればだれでも買えるようになる。
例:ソフトバンクグループが子会社の電話ソフトバンクの株を100%持っていたが、資金調達のために子会社の電話ソフトバンクの株を34%上場し1株1500円で売り出した。これにより2,4兆円の資金調達に成功。メリット:資金調達。デメリット:株主がうるさい。配当金。株式管理がめんどくさい。買収リスクが高まる。
●上場していない株式会社の株取引について
たとえば、資本金700万円で株式700株で自分の会社を設立した場合には。株数は設立者が自由に設定できる。また株の売買も両者の合意あれば、いくらでも取引できる。
●東京証券取引所とは
株式の取引は主に各地の証券取引所で行われています。東京、大阪をはじめとして、名古屋、札幌、福岡などがあります。中でも東京にある東京証券取引所(東証)が一番有名です。みなさんも新聞などで、「おかげさまで、わが社は東証一部上場※を果たしました!」という見出しを見かけているかもしれません。東証の後につく、一部、二部というのは、野球でいうところの一軍、二軍です。二部にいても業績がよいと、一部に格上げされることもあります。
そこで「東証一部」というのは、ひとつのステータスになっています。企業がそこを目指すのは東証一部というだけで企業の認知度、信頼度が大きく上がるからです。わかりやすくたとえると、東大に受験して合格するみたいなものですね(笑)。もちろん、東証だけでなく他の証券取引所でも優秀な企業はたくさんあ りますが、東証一部は上場するための審査基準が非常に厳しいので、審査に通ることが非常にむずかしいのです。裏を返して考えれば、東証一部に上場していれ ば、優秀でつぶれにくい会社であることが多いともいえますね。
●東証マザーズ・東証ジャスダック
またこれらとは別に、「東証マザーズ」や「東証ジャスダック」のような新興市場があります。ベンチャー企業や中小企業などを中心に構成されています。会社の規模が小さいため、比較的値動きの激しい銘柄が多いので、株に慣れるまではおすすめできません。慣れるまでは東証一部の中から銘柄を選んだほうがよいと思います。
次は、株式市場の中で株取引できる時間帯についてみていきます。
<株取引できる時間帯を知る>
私たちが直接株取引をできる時間帯は、平日の朝9時から11時30分まで(前場)と12時30分から15時まで(後場)となっています。(前場は「11時まで」となっていましたが、2011年11月21日より取引時間の延長で「11時30分まで」となりました。)
この時間帯に東京証券取引所などの株式市場が開いていますので、株価が動きます。平日の上記時間以外や土・日・祝日、年末年始などは取引所はお休みですので、取引ができません。
実際に取引ができる時間は上記のとおりですが、株を売買する注文自体は、ネット証券を使えば24時間365日好きな時に出すことができます(証券会社がシステムのメンテナンスをしている時はできませんが…)。
たとえば、【月曜日の19時】に買い注文を出したとします。19時とは、取引所が閉まっている時間です。ですから、その“買い”注文は【翌日(火曜日)の朝9時】に回されます。そこで、誰かが出した“売り”注文とぶつかることにより、買い注文は取り引きが成立することになります。(これに関しましては、後ほど出てくる『株を実際に買ってみる』で詳しく書いてありますので、そちらをご参考ください)
☆株の注文はいつでも出すことができますので、ご安心ください。
<株を取引している参加者を知る>
株式の取引は大きく分けて「個人投資家、機関投資家、外国人投資家」の三者でおこなわれています。この三者の動向が株価の変動に影響を与えるので、それぞれの特徴を知っておく必要があります。
「個人投資家」というのは、みなさんや私のような一般的な投資家のことを指します。売買単位が小さい為、株価に与える影響が最も少ないです。
「機関投資家」というのは、国内にあるプロの投資機関です。主に銀行などの金融機関や一般企業の投資部、投資信託会社などを指します。売買単位が非常に大きい為、株価に与える影響はかなり大きいです。
「外国人投資家」というのは、その名のとおり外国人の投資家です。外国人投資家は国外の資金を使って日本株を買います。為替差益※も関わってくるので、円高になると株が売られる傾向にあります。外国人投資家は、外国の機関投資家という意味も含んでいますので、売買単位が大きく、株価に大きく影響を与えます。それぞれの銘柄にある株主欄に外国投資家の比率が載っています。
このように、私たち個人投資家は影響力が小さく、主な株価変動要因は、機関投資家と外国人投資家の売買です。この二者の売買が最も影響を及ぼしますので、動向には注意する必要があります。ニュースで「機関投資家の売りが…、外国人投資家のオイルマネーが流れ込んで…」など、話題に取り上げられることが多いので、その動きには注目しましょう。
☆機関投資家、外国人投資家の動きに注意しましょう!
<株のリスクを知る>
株のリスクは大きく分けると「値下がりリスク、流動性リスク、倒産リスク」の3つに分けられます。リスクを管理することで知っておく必要があります。
「値下がりリスク」というのは、株価(株の価値)が下がるリスクをいいます。株は時価で取引されますから、上がることも下がることもあります。株価が変動する要因については、応用編の「株価変動要因を考える」で詳しく解説しています。
「流動性リスク」というのは、株を現金に換金するまでのリスクです。売ることができなければ、株券は現金化されません。あまり取引が活発でない銘柄では注意が必要です。取引が少ない場合には思いがけない安値で売るしかない場合もあります。また、実際に現金になるまでには売ってから4営業日必要です。
「倒産リスク」というのは、会社が倒産してなくなるリスクです。倒産してしまったら、株券は紙くずとなります。絶対に会社が倒産しないということはありませんが、銘柄選びを慎重に行えば、倒産リスクはかなり減らすことができます。
一番身近で特に気をつけなければならないのは、「値下がりリスク」です。株は値下がりしなければ損はしません。値下がりしにくい銘柄を選ぶのは、負けにくいことを意味しますから、結果的に勝ちにつながりやすいのです。
<株式投資で得られるもの>
株式投資で得られるものは、たくさんあります。まず経済の情報に詳しくなり、敏感になります。敏感になるというよりも、むしろ、敏感にならざるを得ません(笑)。私の場合もそうでした。それまで政治・経済には、まったく興味がなかったのですが、株主になることで自分の方から「経済の情報を知りたい!」と思うようになりました。…そりゃもう私も必死でしたから(笑)。
情報というのは、株式投資において大きな武器にも防具にもなりますから、できるかぎり知っておいたほうが有利です。
…といいましたが、株をはじめることで実際に欲しいのは、知識ではなく、お金ですよね(笑)。かせぐ方法の根本の部分をみていきます。
株でお金をかせぐ方法は、「値上がり益(キャピタルゲイン)、配当金(インカムゲイン)、株主優待、貸株サービス」の4つがあります。それぞれを個別にみていきます。
「値上がり益」というのは、株価が上がったときの利益をいいます。単純に株が安いときに買って、高いときに売ればもうかります。このもうけが一番大事です。基本的に株が上がる条件を知っておく必要があります。
「配当金」というのは、会社が株主にもうけを還元することです。会社に資金を出してくれてありがとう!というものです。もらえる配当も出した資金の0%から(なし)で、多いところでは5%近くなど、会社によって大きく異なります(配当性向※)。年1回のところもあれば、年2回に分ける(中間配当)ところもあります。
また、業績が悪い会社は配当を実施しません(無配)。逆に業績がいい会社であれば、配当を増やすことがあります(増配)。もちろん業績が悪くなった場合は、配当を減らすこともあります(減配)。株主が配当をもらうためには、権利確定日※に株を持っていなければなりません。配当は預貯金とは異なり、権利確定日に株を持っていれば権利が発生します。株の保有期間はまったく関係ありません!
極端に言えば、権利確定日だけ株を持っていればいいのですから、残りの364日間持っていなくてもよいわけです。権利確定日に株を買って、次の日に売ってもよいのです!1日だけで、数%の配当金をもらえるわけですからお得ですよね(注:次の日に株価が下がることもあります)。(詳しくは、応用編 『個人に人気の株を知る』 を参照してください。)
「株主優待」というのは、会社が株主に対して「株主になってくれてありがとう!」という意味をこめたものです。株主優待の内容は、その会社の商品を3,000円分もらえたり、施設の無料利用券がもらえたりと、会社によってまちまちです。これは実施していない会社もあります。配当金のおまけ的存在と考えて問題ないと思います。(詳しくは、応用編 『株主優待一覧表』 を参照してください)
「貸株(かしかぶ)サービス」というのは、購入した株を証券会社に貸し出すことで証券会社から金利をいただくしくみです。(注:通常は株券を持っているだけで金利がつくことはありません)貸株サービスを利用すると、現在の状況では年0.5%程度の金利が手に入ります。例えば、100万円の株を購入して貸株を利用した場合には、なんと5,000円もの金利が手に入るんです!
しかし、この貸株サービスは、残念ながら取り扱っている証券会社は少ない状態で、マネックス証券がネット証券界で一番手になっています。貸株サービスは『投資家にとってすごくうれしいシステム』だと思っていますので、もちろん利用しています!
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■株式の取引方法の種類
・現物取引・・・現金で株を買う
・信用取引・・・借金で株を買う
信用取引は約3倍まで買えるが、ハイリスクハイリターンのためデイトレーダーが行う。現物取引がベスト。