退職・転職・労働条件に関する質問への対策集

■前職(現職)を辞めた(辞める)理由を教えてください

●人事の本音

ここは会社都合退職と自己都合退職の2つに分けて考えます。前者なら包み隠さずそのまま伝えて欲しいと考えています。経営不振から退職や事業部統合で退職などです。後者で仕事内容に不満があるから、人間関係に不満があるからとダイレクトに伝えるとよろしくない。回答のポイントは主観(好き嫌い)ではなく事実(制度の有無、前例があるかどうか)を問題としているという点。事実を変えようと努力するよりも環境変えて出直したいと考えるのは自己中心的な考えとは少し違いますから悪印象を抱かれる可能性は低い。

●回答例

自身の想い描く今後のキャリアデザインと会社の考え方や方針が異なっていると感じたため退職をいたしました。私が前職への就職を決めたのは一定期間、営業で経験を積んだら企画職へのキャリアパスがあると、採用面接時にご説明いただいたからでした。しかし、実際には企画職への社内異動は非常に困難で、特に営業上がりの社員の場合はそのケースが皆無であるという実態であることがわかったのです。社内公募制度や年に一度、人事に思いを伝えることができる面談制度も一応はあったのですが、これらも全く機能していない状態で自分の目標実現には程遠いことを思い知らされました。そのような状況から、本意ではない営業職でいたずらにじかんを過ごしも仕方がないと思い、退職を決意した次第です。

●回答ポイント

社内異動についての方針は個人の努力でおいそれと変えられるものではありません。そこを退職のメイン理由にしているわけですから、自己中心的な理由だと思われないでしょう。

 

■その理由ならばやめる必要はない(なかった)ように思いますが?

●人事の本音

いかにそれなら退職しても仕方ないと思わせるのがポイント。上司、会社がおかしいという理由はそうとうな理由がないといけない。回答方法はまずは確かにご指摘のとおりと人事のネガティブな指摘を受け入れて、その上で実は~と具体的なエピソードを交えた理由を説明します。単純にやりがいがないという理由はよろしくない。実は私の元に後輩社員が入ってこず、ずっと新人扱いのままでアシスタント業務のみをまかされておりました。このままで、、みたくし前職の中小誹謗はNG。

●回答例

確かにご指摘のとおり、第三者の客観的視点からすると辞める必要はないのではと思われるのは、当然のことと思います。実は前職では業績不振により昨年夏から大幅なリストラがとられ、その結果、多数の社員が会社を去りました。とはいえ、35歳以下の若手社員はこの対象ではなかったのでそのまま続けようと思えば続けられました。しかし仕事ができ尊敬もしていた上司や先輩が次々と去ってしまい、私の会社や仕事に対する士気は下がる一方でした。元来、私は自分を誤魔化すことができない性格なので、気持ちがない状態で、流しながら仕事をするのは本意ではありません。このままでは周りにも迷惑かけてしまうとの判断からきちんとけじめをつけて退職することにした次第です。

●回答ポイント

先に退職理由として前職では勤労意欲がわかず、けじめをつけて退職する的な話をした上での質問です。改めてその決心に至った背景を詳細に語ることで納得感をますことができているでしょう。

 

■退職事由に自己都合退職とありますが、その詳細を教えてください

●人事の本音

自分の落ち度ではない旨を説明。パワハラ・セクハラ・法令違反があればその旨を説明。本人のワガママと思われないようにしましょう。上司がイヤだから、会社にムカついたから。といった内容はオブラートに正直に伝える。上司とうまがあわずと述べ、自分にも非があったと反省点も付け加える。

●回答例

正直に申し上げますが、このまま職場の上司や先輩方と一緒に仕事をしていくのが難しいと感じたことが、前職を退職した大きな理由です。皆さん職人気質といいますか仕事は教わるものではなく盗む的な考え方で転職した当初はそれこそ何をしていいのか途方に暮れる時がありました。そして半年がたってようやく仕事に慣れ後輩が入ってきた時に私と同じ苦労はさせたくないと丁寧に仕事を教えていたら、上司からこれを問題視されひどく叱責されたのです。このことがきっかけで退職を真剣に考えるようになりました。1年半で辞めたことについては、周りからは辛抱が足りないと指摘されていますし、私も甘いところがあったと反省しています。ただ、決断したなら行動は早い方が良いと思いましたしまた気持ちがないまま惰性で働いても、逆に上司や先輩方にもめいわくがかかると思い、退職を決意した次第です。

●回答ポイント

わがままと見られてしまうケースですが、柔らかな表現を用いて、上司や先輩方との考え方の違いに焦点を当てることで納得感のある理由になっています。そして最後に真摯に反省を述べることで潔さをアピールすることにも成功しています。

 

■退職事由に会社都合退職とありますが、その詳細を教えてください

●人事の本音

あなたに非があったのかを確認したい訳ではなく、何があったのか教えて欲しいだけです。隠さずに真実を包み隠さず伝える。回答例のように退職事由をしっかり語った後に最後に前職ではいろいろあったが、今となっては退職の件は吹っ切れたし気持ちも切り替えているという旨の話をして締めるようにしましょう。

●回答例

昨年末、私が在籍していた生産管理部門をベトナムに丸ごと移管することが決まり、日本では居場所がなくなってしまいまして。ベトナムに行くか、辞めるかを選択しなければならなくなりました。家族とも話し合ったのですが、ベトナムに行くのは難しいと判断し、退職する道を選んだ次第です。仕事は面白く、やりがいもありました。ここ数年はチームリーダー的な仕事も任されるようになりこれからますます仕事に打ち込んでいこうとやる気が充満していた矢先の話でしたので本当に残念です。しかしいつまでも過去にこだわっている訳にはいきません。これも人生勉強と割り切って次に向かって気持ちを切り替えていきたいと思っています。

●回答ポイント

私情を入れず淡々と事実を語っていますから、退職理由について人事が不信感を持つことはないでしょう。また無駄に自己防衛に走らずに気持ちを切り替えたいと締めることで人事も交換を持って受け入れてくれる可能性が高いです。

 

■当社とご縁があった場合いつから入社できますか?

●人事の本音

すぐにでもはよろしくない。この質問で人事は現実的な入社時期と想定よりも遅くなるような場合はその理由を聞かせせてもらいたいと思っています。期間を縮める努力で入社意欲をPR。回答方法はまずは入社までにどれくらいかかりそうなのかの展望を述べ、その後になぜそれだけかかるのかの事由についてきちんと説明しておきます。少しでも期間を縮める努力についてを必ずアピールした上で縮めるようにしてください。

●回答例

はい内定をいただいてから約1か月後と考えています。今すぐにでも御社で働きたい気持ちもあるのですが、如何せん現在は在職中です。ですからきちんと引継ぎを完了させてから円満退職したいと思っています。1か月と申したのは、現職の就業規則では退職の場合1か月前に届け出るようにとの記載があるからです。また以前退職された先輩社員の引継ぎ業務にもそれくらいかかっていたようなので。なお今は大規模で長期間拘束されるような任務には携わっていませんので、今の引継ぎであれば、1か月あれば確実に終えられると思っています。そして、もしこの1か月後というタイミングが長すぎるようでしたら、もう少し期間で退職できないか、現勤務先と交渉してみたいと思います。

●回答ポイント

退職にかかるであろう期間を明確な理由から語ることができています。また、最後に入社までの期間を縮める努力も伝えることができているので、人事もその入社意欲を高く評価してくれることでしょう。

 

■今の会社をすぐに辞めることはできますか?

●人事の本音

現職に対して、きちんと筋を通すことは社会人として当たり前。自分勝手さを感じさせない工夫をしていく。

●回答例

申し訳ございませんが、今はまだ在職中のためにすぐに辞めることはできません。今までの退職者の状況を考えると、現職は退職を申し出てから実際に退職するまでにおおよそ1か月間の期間が必要です。もちろん、これよりももっと早くないと、御社が想定している入社のタイミングに合わないということでしたら、現職と相談の上で可能な限り調整してみます。ただ私は今、現職ではチームリーダーとうポジションについております。自分の任務をきちんと遂行してきた自負がありますし、メンバーに対する礼儀という意味でもプロの職業人として失格だと思われるような去り方はしたくありません。きちんと業務引継ぎを終えた上で立つ鳥跡を濁さずの精神で気持ち良く退職し、その上で御社での仕事に全力を尽くしたいと思っています。

●回答ポイント

今すぐにはやめられない理由と共に、期待にこたえようとする姿勢を感じることができます。また去り際に対する想いやプロ意識を語ることにより自分勝手さを感じさせない回答になっています。

 

■現在失業中なのにすぐに入社できないのはなぜですか?

●人事の本音

前職で働き詰めだったので休みたい、家族との調整、他の企業の内定待ちなどがある。人事はこの質問であなたの当社以外の応募先への入社の可能性を探り当社への入社精度を確認したいと思っています。変に隠したりすると心証が悪くなる。例のように人事が納得できる現実的な理由と共にでも御社にはこんな魅力を感じているという志望度の高さをアピールする必要あります。

●回答例

すぐに入社できない理由ですが、まだ私は転職活動を始めたばかりで今のこの転職活動が自身にとって満足、納得のいくレベルにまで達していないことが、一番の理由です。御社の志望度は非常に高いのですが、正直申し上げて今、御社にも複数応募しており、これから選考というところも多いため、今すぐに入社できるとは申し上げられません。やはり転職は人生の大きな選択になりますのでもう少し転職活動を続けて、他社の選考を受け会社の方々と接してみた上で、総合的に進路を決めたいと思っています。ですが、御社は志望度の高い会社であることに間違いはありません。ですのでお世話になることになりましたら、一生懸命働かせていただきます。その際はどうぞよろしくお願い致します。

●回答ポイント

人生を左右する転職活動を自分が納得するまで続けたいというのは、人事にとっても納得できる理由と言えます。最後に志望度の高さと入社後の頑張りを宣言しておくのも効果的でしょう。

 

■転職回数が多いことについてどのようにお考えですか?

●人事の本音

自分はいい加減な人間ではないことを証明していきます。反省の後に御社で頑張る旨をアピールする。回答例のように今までの反省を踏まえた上で、心新たに応募企業で働く旨を伝える。またやめる理由がちゃんとあった旨を伝える。

●回答例

私はこれまでに3回の転職を経験していますので、多い方だと思います。それも自己都合退職ばかりですから、自分勝手でわがままに見られるであろうことも自覚しています。正直に申しますが、20代前半は些細なことでも会社に不平不満を持ち自分にとって気に食わないからという理由で退職していました。この点については若気の至りで青かったと反省しています。30代が目前に迫った今甘いことを言っている場合ではないことは自覚しているつもりです。御社で自分にまかせていただける仕事があれば、それこそ電話番から掃除まで何でも進んでやる覚悟です。そして今後はふらつくことなく御社でしっかり腰を据えて働きたいと思います。

●回答ポイント

転職回数の多さについて、時系列で自身の気持ちの変化を述べた後に、反省の弁につなげています。そして応募企業でのやる気を熱く語ることで人事も当社で頑張ってくれるだろうという期待感を抱いてくれることでしょう。

 

■非正規社員での勤務経験が長く正社員の経験が少ないようですね

●人事の本音

非正規雇用が長いことに関して人事は特に気にしていない応募者が冷静に切り替えせるかを試している。だから非正規での勤務に関して劣等感を抱かずに仕事への真摯な思いと姿勢と実績を語るその上で御社の正社員として働きたい気持ちを伝える。回答方法としては正社員が少ない旨を誤る必要は全くない。正社員の期間はないが、結果は出してきた旨を伝える。

●回答例

確かにご指摘のとおり、今まで3社の勤務経験がありますが、その内2社が非正規社員としての勤務でした。非正規での就労期間は4年になりますので、今までの私の職歴の三分の二を占めている計算になります。現職では正社員登用の道も探りましたが、2%の通過率という超難関試験でしたのでトライしましたがうまくいきませんでした。ただ2社とも正社員の方々と肩を並べて一緒に仕事していましたし、雇用形態が異なる以外は、仕事内容は同じでした。そして今の上司からは鈴木君を一人前以上の戦力としてみていると評価をいただいておりそのことは私の誇りとなっています。今のこの仕事にやりがいを感じていますが、いつまでも雇用が不安定な契約社員では安心して働けません。だから私は御社の正社員となってきちんと責務を担い、御社が求める結果を出していきたいと思っています。

●回答ポイント

非正規といえども仕事で結果を出してきたことをきちんと証明できています。そして最後に御社の正社員で働きたい気持ちを語ることで強い入社意欲をアピールすることに成功しています。

 

■転居を伴う転勤がありますが、大丈夫ですか?

●人事の本音

御社で働けるならどんな場所でも働きますという気持ちがあるものが欲しいがやむを得ない場合は正直に伝える

●回答例

正直申しまして、今は転居を伴う転勤はできません。というのも昨年末より母親の介護を抱えておりまして、私を含め家族総出で介護しており、長男である私は一番の責任者でもあるからです。しかし今預かってくれる施設を探しているの最中で、その費用も両親の貯金から支払って良いとの承諾を得ました。ですから、空いている施設が見つかりさえすればすぐに私は動ける状態になります。それゆえに今すぐは厳しいのですがこのような状況が改善されれば勤務地に対する希望はありません。どんな場所でも全力で取り組むつもりです。

●回答ポイント

母親の介護というやむを得ない理由から今が厳しいけれども近い将来は何とか対応できるという旨を説明できています。

 

■あたなが希望する給与額を教えてください

●人事の本音

この質問に正解はありません。なぜこの金額なのか根拠を示す。あまりにも的を外れた金額を希望するのはNG。現職(前職)から見て、現状維持、減額、増額のどれを選ぼうともその理由を明確に語る必要があります。例えば増額の場合、回答例のように重責を担うからや難易度の高い資格を取得できたから他社から高額で誘われているからといった具合です。現状維持、減額の場合も同様です。御社の既定に従いますだけでは自己主張できないと思われるかもしれません。

●回答例

前職では年収ベースで400万円でしたが450万円を希望します。今回は営業のチームリーダー候補職ということで、管理職に近い立場に就くために、前職よりも重い責任を担うこと、また自分の数字だけでなく、後輩の育成指導やチームの進捗管理といった、チームマネジメント業務を担当すると伺っています。よって、業務範囲も広がるために求人に搭載されていた28歳モデル年収450万円を想定させていただきました。但し、私に対する評価や御社の想定もあることは承知しています。私は御社でのこの仕事に大いに魅力を感じておりますし、御社で働きたいという気持ちが最優先ですので希望金額に固執することなく、幅も持って柔軟に対応させていただければと思っています。

●回答ポイント

前職と応募先との違いを用いて、希望金額の算出根拠をきちんと説明できています。また最後に、希望金額に固執しないという柔軟な姿勢もアピールしておくのは非常に有効です。

 

■現職(前職)よりも給与が下がりますが、大丈夫ですか?

●人事の本音

人事が求めているのは給与が多少下がろうともぜひ当社で働きたいという意欲ですから受け入れるという主旨の話をする。例えば、御社の〇〇業務に是非ともつきたいので、今回の転職に踏み切った。そのため、給与には執着していない的な回答が正解となります。また入社後の取り組みと低い給与に甘んじるのではなく、給与アップを目指す的なアピールで締めておくと理想的な回答となります。

●回答例

はい、大丈夫です。覚悟しています。給与額よりも御社で働くことが、今回の転職の最優先事項ですので。確かに給与だけについて言えば、前職と同額か、それ以上いただきたいというのが本音です。しかし、私はまだ御社で働いておらず何の貢献もしていませんし、また誇るべき経験・スキルを十二分に保有しているわけではありませんので、今は給与のことをとやかく言える立場ではないと考えています。ですからまずは、御社からの提示額に従いと思います。ただし、入社する以上は全力で営業活動に励み、必ずノルマ以上の数字を残します。そして同年代の誰よりも高い給与が取れる人物になるつもりです。

●回答ポイント

給与について本音を展開しながらも、応募先の条件を受け入れる理由を丁寧に伝えています。最後に入社後の頑張りもアピールできていますので、応募先への入社覚悟を強く感じることができます。

 

■当社は残業が多いのですが、大丈夫ですか?

●人事の本音

大丈夫という体で答える。応募先の仕事い就く覚悟と決意をアピールする。回答方法として大丈夫という旨の発言の後に、回答例のように前職でも残業が多かったからといった根拠を述べます。残業は当たり前だくらいの姿勢を見せるのもよい。そして〇〇職に就けるのであれば、それくらいは覚悟しているとその仕事に就く覚悟と決意を述べて締める。残業がどうしてもいやであれば、必要な残業はやるがダラダラ残業は無意味。日常から生産性を向上させる努力が必要だなどと、業務効率の向上策等に触れておくと、理解を得やすい。

●回答例

はいもちろん対応できます。前職では、今回の応募職種と同じ経理職に就いていましたが、前職の経理職では少人数でやっていましたので、常に長時間勤務、長時間残業をこなさなければならない状況でした。ご存知のとおり、この仕事は期限厳守で正確さも要求されるため、働いた時間の長さなんて評価されないことを重々理解しています。また、高度な専門性を要する業務ですので、その場しのぎの派遣社員等では代わりが務まりませんから、自らが最後まで責任を持って担当した業務を完遂しなければいけません。だから、健康上の問題など、やむを得ない事情があるならともかく、長時間残業に対応できないのならば、この仕事に就くのは難しいと考えます。

●回答ポイント

前職の実務経験や、経理職に対する自身の仕事観から、経理職での長時間残業についてきちんと覚悟できていることを、うまく説明できています。社畜的な発言にはせず、でも残業もやむを得ないという姿勢が感じられる、非常に良い回答です。