転職の面接でよく聞かれる質問と、答え方のコツ
面接官が見ているポイントと注意点
転職の面接で見られるポイントは、就職活動のときとは大きく異なります。
就職活動では学生のやる気やポテンシャルを重視する傾向にありますが、即戦力が期待される転職では、
- 専門知識の深さやスキルの高さ
- これまでの実績や経験
が重視されます。これに加えて、以下のような点も見られています。
- コミュニケーション力はあるか
- 適性はあるか、ストレス耐性はあるか
- 仕事への意欲、向上心、志望度
そのため、答える際は、以下の点に注意しましょう。
- 具体的な数字や仕事例を交えて、実績や適性をアピールする
- 質問の主旨にあう答えを、筋道をたてて話す(結論から話す/脱線しない)
- 面接前に企業ホームページ(事業内容、実績、決算情報、採用情報)などから企業や業務への理解を深めておき、入社後の仕事がイメージできていることを伝える
- 話の終わりは「だから御社で○○したい」のような前向きな話で締める
- 明るい表情とハキハキとした口調を心がける
転職の面接でよく聞かれる34の質問集
転職の面接でよく聞かれる質問を以下に挙げました。
「面接まで時間がない!」という方は「①最低限押さえておくべき質問集」を、「じっくり準備したい」方は「②さらに踏み込んだ質問集」を読んで準備しましょう。
①最低限押さえておくべき質問集
- 自己紹介をしてください。
- 職務経歴を教えてください。
- 当社を志望した理由は何ですか。
- 退職理由を教えてください。
- 入社後、どのような仕事をしたいですか。
②さらに踏み込んだ質問集
さらに踏み込んだ質問は、大きく分けて「仕事に関する質問」「あなたに関する質問」「企業に対する理解度をみる質問」「その他の質問(キャリアチェンジ、女性に関するものなど)」に分けられます。
それぞれでよく聞かれる質問と、答え方のコツを紹介します。
■仕事に関する質問
- これまでしてきた仕事について、簡単に話してください。
- 仕事をするうえで大事にしていることは何ですか。
- あなたにとって仕事とは何ですか。
- 仕事で一番嬉しかった(悔しかった)ことは何ですか。
- 一番大きな失敗談と、その後どう仕事に活かしたか教えてください。
- 成長したと実感したことはありますか。またそれはどんなときでしたか。
- キャリアプランを教えてください。
- どのようなビジネスパーソンになりたいと考えていますか。
<答え方のコツ>
仕事に関する質問に答えるとき重要なのは、具体的な仕事を例に挙げて話すことです。
達成した実績のほか、行ってきた工夫や努力なども、具体的な数字や行動を交えて伝えましょう。
上でも言ったように、転職では即戦力として活躍できることを面接官に伝える必要があります。
大きな成果をあげた仕事や難しかった仕事を選び、その仕事の規模や難易度、具体的な工夫や取り組み、実績などについて、数字を盛り込みながら話せるように準備しておきましょう。
■あなたに関する質問
- 自己PRをしてください。
- 長所と短所を教えてください。
- 強みと弱みを教えてください。
- これまでの人生で挫折を経験したことはありますか。それをどのように乗り越えたか教えてください。
- 前の職場でストレスに感じていたことは何ですか。
- 周囲の人(上司、同僚)はあなたのどのような点を評価していますか。またどのような点に物足りなさを感じていると思いますか。
- 転職回数が多いようですが、なぜですか。
- 退職後ブランクがありますが、なぜですか。
- 当社以外に受けている企業はありますか。
- 現在の年収と希望年収を教えてください。
- 感銘を受けた本を教えてください。
- 仕事以外に関心のあるニュースはありますか。
<答え方のコツ>
答えるときに気をつけるべきポイントは、前向きな姿勢を伝えることと、論理的に話すことです。
話の終わりを「○○を活かして、御社に貢献したい」「○○だったが、御社では○○な仕事がしたい」のように前向きな表現にすると意欲の高さを伝えることができます。
また、仕事の話を交えると説得力が増して良いですが、脱線しすぎには気をつけましょう。質問の主旨に沿って「結論→具体例」の順に答えるようにしましょう。
■企業に対する理解度をみる質問
- 当社についてどのようなイメージをお持ちですか。
- 当社の強み・弱みはどこにあると思いますか。
- あなたの経験・スキルを、当社でどのように活かせるとお考えですか。
- この業界には他に○○社(ライバル企業)などがありますが、なぜ当社に応募したのですか?
- 10年後、この業界はどうなっていると思われますか。
- この仕事に必要な能力は何だと思いますか。
<答え方のコツ>
企業で働くイメージがついていることを伝えることが重要です。
面接前にホームページや業界紙、社長のインタビュー記事などに目をとおし、事業内容や業務内容について理解を深めておきましょう。
また、応募先企業の競合会社についても調べておきましょう。
■その他の質問(キャリアチェンジ、女性に関するものなど)
- なぜ経験のある○○職を続けようと思わなかったのですか。
- 結婚・出産後は仕事をどうするお考えですか。
- ご家族は転職についてどうお考えですか。
<答え方のコツ>
その企業で働き続けたいという姿勢を伝えることがポイントです。
「すぐに辞めてしまうのでは」という面接官の不安を払拭できるよう、「○○がしたいと考え、△△が魅力の御社を志望しました」、「長く働くための協力体制や家族の理解があります」のように、意志の強さや周りの理解があることを伝えましょう。
2.好印象につながる逆質問のしかた
面接の最後には面接官から「何か質問はありますか?」と質問されることが大半です。
この逆質問は疑問に思っていることを聞くだけでなく、自己PRができる絶好のチャンスであることをご存じでしょうか。
的を射た質問をすることで面接官の印象をグッと上げることも可能です。
以下でそのコツを見ていきましょう。
面接官が見ているポイントと注意点
■面接官が見ているポイント
面接官は「質問はありますか?」という質問をすることで、意欲の高さを見ています(ぜひ入社してほしいと思った候補者に対しては、疑問点を解決してもらい、自社への入社意欲を上げたい、という意図もあります)。
そのため、効果的な逆質問をするには、「入社後の仕事について具体的にイメージできていること」「会社について調べてきたこと」「仕事に対してポジティブな気持ちを持っていること」をアピールする必要があります。
「特にありません」では、それまでどんなに良い受け答えをしていても、面接官の印象は急降下。面接を突破するのは難しいでしょう。
面接前に、以下の点に気をつけて質問を考えておきましょう。
■逆質問の注意点
- 質問は5つ程度用意する
- 企業ホームページや採用サイトに載っていることは聞かない
- 面接官の役職や面接のフェーズに合わせて質問を変える
- 待遇面の質問ばかりではマイナス印象。聞き方にも注意する
面接官に「おっ」と思わせる逆質問集
以上を踏まえ、面接官に意欲や専門スキルの高さを伝えることができる逆質問をご紹介します。面接官の職位と合わせて参考にしてください。
(面接官の職位は人事、部門長、役員・社長の3段階の場合を想定しています)
※最終面接で評価がアップする逆質問については、「最終面接の逆質問で印象アップ!社長・役員に聞く質問集」をご覧ください。
面接官の職位 | 逆質問 |
人事、部門長 | 中途採用で入社した方のうち、活躍されている方はどのようなタイプの方ですか?またそのような方たちのバックグラウンドを教えていただけますか? |
人事、部門長 | ルート営業の仕事ですが、1人あたり何件程度のお客様を、どのようにフォローされているのでしょうか。私はこれまで営業活動するうえで○○の取組みを行ってきたのですが、活かせるでしょうか。 |
人事、部門長 | 決算書では○○年の利益が○%上がっていたようですが、これはどのような効果が現れたのでしょうか? |
人事、部門長 | 今後、TPPや売電の自由化など、さまざまな変革が起こると予想されますが、そのなかで御社の戦略や課題についてどうお考えですか? |
人事、部門長 | 御社の○○という経営理念に大変共感しているのですが、その実践のために現場で取組まれていることがあればお教えいただけますか。 |
人事、部門長、役員・社長 | ○○様(面接官の名前)が、仕事をしていて印象的だったこと(嬉しかったこと)を教えていただけますでしょうか。 |
部門長 | 案件はどのように受注され、どういった体制で取り組まれているのでしょうか。平均的な案件規模・期間はどのくらいでしょうか。 |
部門長 | 御社の競合企業である○○社とは営業エリアが重なっていると思いますが、差別化されるために行っていることがあれば教えてください。 |
部門長 | 御社の有価証券報告書を拝見したところ、対処すべき課題として○○が挙げられていました。これについて、今後どのように対応するお考えでしょうか。 |
部門長 | もし内定をいただけた場合、入社までにさらに勉強をしておくべきことを教えてください。 |
役員・社長 | 御社の○○という経営理念に大変共感したのですが、どのようなお考えからこの理念を掲げられたのですか。 |
社長 | 社長が企業経営をなさるうえで、従業員には何を求めていらっしゃいますか? |
社長 | 失礼ですが、経営者のお立場にいらっしゃるからこそ見える御社の魅力と改善点をお聞かせいただけますか。 |
面接官が答えてくれているあいだは相づちをうつなどして聞く姿勢を示し、話を聞いたあとは「入社後がイメージできました」「ますます御社で働きたいと感じました」のように、ポジティブな感想やお礼を伝えるようにしましょう。
残業、転勤、年収…注意が必要な聞き方例
残業時間、転勤、年収など…待遇の話は聞きづらいと思う方も多いでしょう。
しかし、働くうえで重要なポイントですから、必要であれば質問して構いません。
ただ聞き方よっては、「やる気が感じられない」「仕事に対する姿勢が甘い」「権利主張が強すぎる」…などと悪印象を持たれてしまう恐れがあるため、以下のような点に注意しましょう。
- 1次面接など、初期の面接フェーズで聞くのは避ける
- 質問する際は、まず仕事内容や事業展開など、入社意欲を示す質問を複数したあとで
- 具体的な回答が返ってこない場合でも、深追いするのは避ける
具体的な聞き方は以下を参考にしてください。
■残業時間の聞き方
<聞き方例>
①今の会社では残業するケースがどうしてもあるのですが、御社は残業についてどうお考えですか。どの程度まで許容されていらっしゃいますか。 ②一日も早く社員の方と同じペースで働きたいと考えているのですが、他の社員の方は毎日何時くらいまで仕事をされているのでしょうか? |
残業時間について質問する際、事前に気をつけておきたいのは、残業時間の感覚を応募先企業に合わせておく、という点です。転職会議やvokers、キャリコネなどの口コミサイトで残業時間を確認しておきましょう。
そのうえで、①のように残業を嫌々しているわけではないことを伝えつつ質問したり、②のように意欲を見せるのと合わせて聞いたりすると良いでしょう。
■転勤の聞き方
<聞き方例>
①求人情報には「転勤あり」と記載がありましたが、転勤の頻度や転勤先のエリアを教えていただけないでしょうか。 ②御社は○○県や△△県などに支店をお持ちですが、転勤する方はいらっしゃいますか?いらっしゃる場合はどのくらいの頻度で転勤されているのでしょうか。 |
転勤があると分かっていてその頻度や範囲を知りたい場合は、①のように比較的ストレートに質問して良いでしょう。
転勤があるか分からず、できれば転勤したくない場合は、②のように企業の拠点展開を踏まえて質問すると良いでしょう。単に「転勤はありますか?」と聞くよりもマイルドな印象を与えることができます。
■年収の聞き方
<聞き方例>
①本日の面接で御社で仕事をさせていただきたい思いが強まりました。条件面については御社の規定に従う考えでおりますが、私と同じくらいの年齢、経験の社員の方の年収はどのくらいか教えていただけますか。 ②年齢と実績から給与が決まるとお聞きしているのですが、参考までに、どのくらいの経験や実績を積むと○○万円になる、といった事例を教えていただけますと幸いです。 |
①のように、先に入社意欲を示し、規定や評価に従う姿勢を見せたうえであれば、悪い印象はもたれにくいです。
また、②のように努力することを前提に、やる気を示しつつ質問する手もあります。
ただ、年収は現年収や年齢、スキル等によって一人ひとり異なるものです。
上でもご紹介した転職会議などの口コミサイトでは、部署や職種ごとの年収も見ることができますので、確認してみるとよいでしょう。
3.さいごに
面接でよく聞かれる質問と答え方のコツ、質問するときのポイントは分かりましたか?
具体的な実績・経験や、前向きな意欲を伝えられるよう、回答や逆質問を準備して臨めばきっと結果はついてきます。
みなさんの健闘をお祈りしています!