土地の相場(地価)の調べ方

この方法は、あなたや家族が所有している土地の相場を調べる場合に使える方法です。
これから購入を考えている土地など、他人の土地の相場を調べたいときには、相続税路線価・地下公示・地下調査・取引事例の方法を試してください。

■固定資産税評価額を参考にする方法

不動産には毎年、固定資産税や都市計画税が課税されます。
市区町村から送付されてくる「固定資産税納税通知書」に添付されている「課税明細書」を手元に準備しましょう。
その中に記載されている、土地の「価格」または「評価額」の欄を見てください。
「固定資産税評価額」と記載されている場合もあります。
「課税標準額」ではないのでご注意を。

土地の相場の目安は、「固定資産税評価額」÷0.7となります。

例えば、土地の「固定資産税評価額」が2,000万円ならば、
2,000万円÷0.7=2,857万円
が概算の土地の相場です。

下の画像は、横浜市の課税明細書の例です。

 

「固定資産税評価額」は、固定資産税等を課税するために、市区町村が決めている評価額です。
納税者にとっては嬉しいことに、実際の相場よりも安めの水準で課税されているのですね。
あくまでも税金を決めるための評価額ですので、この価格で売買をする義務などはありません。

なお、「固定資産税通知書」が手元にない場合には、市区町村役場の固定資産税担当窓口で、「固定資産評価証明」を取得すれば「固定資産税評価額」を知ることができます。
ただし、数百円の発行手数料と、本人確認書類や委任状が必要な場合があるので、あらかじめ市区町村役場に問い合わせてから窓口に行きましょう。

【注意点】

注意点としては、都心や商業地、人気住宅地などでは、「固定資産税評価額」÷0.7よりも高めの値段で取引されることが多いということ。

それから、農地や山林の場合には、課税額を抑えるために「固定資産税評価額」が非常に安く設定されていることが多いので注意しましょう。
特に農地や山林の場合は、立地や法規制などによって取引相場はピンキリですので、固定資産税評価額を参考にする方法は向いていません。

 

■相続税路線価を参考にする方法

次にご紹介するのは、相続税路線価を参考にする方法です。
不動産会社が土地を査定するときにも、必ず相続税路線価はチェックします。

最新の相続税路線価は、国税庁のホームページで検索できます。

「東京都」→「路線価図」→「中央区」→「銀座5」というように検索します。
見慣れない形式の地図なので、該当する場所を見つけるのが少し大変かもしれません。
※住所を検索しても結果が表示されなかった場合には、「注意点」をご覧ください。

こちらは例として、東京都の銀座駅周辺の相続税路線価です。

道路ごとに細かく路線価が決められていますね。

路線価は、その道路に面している土地の評価額を表しています。
路線価図には、1平米あたりの単価が千円単位で表示されています。
100と書いてあれば、100千円(1平米あたり10万円)という意味です。
数字の後についているA~Gのアルファベットは「借地権割合」というもので、ここでは関係ないので無視してください。

上記の銀座の例では、最も高い中央通り沿いで44,320と書いてあるので、1平米あたり4,432万円ということになります!
ここは全国で最も地価が高い場所です。うらやましいですね・・・
話を元に戻しましょう。

土地の相場の目安は、相続税路線価÷0.8となります。

例えば、相続税路線価が10万円ならば、
10万円÷0.8=125,000円(平米あたり)
が概算の土地の相場です。

相続税路線価は、相続税や贈与税の計算の元になります。
相続税も固定資産税の場合と同様に、実際の相場よりも安く、納税者にやさしい水準で算定されるようになっています。

角地など、複数の道路に面している土地の場合は、正確には全ての道路を考慮する必要がありますが、だいたいの相場を知ることが目的なので、最も高い路線価を参考にしてみましょう。

【注意点】

注意点は3点あります。

1点目は、都心や商業地、人気住宅地などでは、「相続税路線価」÷0.8よりも高めで取引されることが多いということ。

2点目は、形状や面積は別途考慮する必要があるということです。
相続税路線価は、その道路沿いの標準的な面積・形状の土地の値段を示しています。
例えば、50坪くらいの長方形の土地が並んでいる区画整然とした住宅地の場合、相続税路線価は50坪くらいの長方形の土地の値段として決められています。
同じ道路沿いであっても、500坪の土地や、使いにくい形の土地、角地などの条件によって、相場は変わってきますので注意しましょう。

3点目は、相続税路線価が決められていない場所もあるということです。
市街地の主要な道路には相続税路線価が設定されていますが、行き止まりの私道などには路線価が設定されていないことがあります。
この場合には、一番近くの路線価を参考に土地の相場をつかんでください。
また、郊外などでは、そのエリア全体で相続税路線価が決められていない場合もあります。
国税庁のホームページで検索しても該当する町名が表示されないときには、相続税路線価が設定されていないので、次の方法を試してみましょう。

 

■地価公示・地下調査を参考にする方法

次にご紹介するのは、地価公示、地価調査を参考にする方法です。
地価公示の公表地点は全国で2万ポイント以上ありますので、あなたの調べたい場所の近くの値段を調べてみましょう。

こちらの国土交通省のサイトの「地価公示都道府県地価調査」をクリックして住所検索してみてください。

住所で絞ったら、「地図で確認する」をクリックすると、地図上で地価公示等の公表地点を確認することができます。
表示される金額は、1平米あたりの単価です。

地価公示、地価調査は、毎年国土交通省あるいは都道府県が発表している「土地の正常な価格」です。
地価公示は1/1時点、地価調査は7/1時点の価格で、どちらも適正な地価の参考になります。

公的に公表されている指標なので信頼できるものではありますが、調べたい場所のすぐ近くに公表ポイントがあるとは限らないのが欠点です。

【注意点】

地価公示・地価調査は適正価格で取引を行えるように公的に公表された価格ですが、同じ水準で取引する義務まではありません。
実際の相場は上下に幅があると思っておきましょう。
都市部や人気住宅地では地価公示等より高めで取引されることが多く、過疎化が進むようなエリアでは地価公示と同じくらいか、低めに取引されることもあります。

また、大通り沿いと裏通りでは当然、相場が異なります
あなたの土地のすぐ近くに地価公示の発表地点があっても、法規制の違いなどがあれば相場も異なるので注意が必要です。

 

■取引事例を参考にする方法

最後にご紹介するのは、実際の土地の取引事例を参考にする方法です。
通常、過去の土地の取引価格はプライバシーの関係で他人が簡単に知ることはできませんが、個人情報がわからない形で国土交通省が公表しています。
こちらの「土地総合情報システム」というサイトの「不動産取引価格情報検索」から閲覧できます。

左上のドロップダウンで、「平成●年第●四半期(過去2年間を含む)」を選べば、過去2年分の取引価格が検索できます。
種類は「土地」を選んで、例えば「東京都中央区」を選んで検索すると、このような一覧表が表示されます。

検索結果が多すぎるようなら、直近の取引だけに絞ったり、面積などの条件を手掛かりにして並び替えるといいですね。
この中から、あなたの調べたい土地と似ているものを探せば、だいたいの相場が確認できます。

【注意点】

実際の成約価格なので信頼性は高いのですが、調べたい場所のすぐ近くの取引が公表されているとは限らないのが欠点です。
その地域全体の相場観を掴むのには向いている方法といえます。