企業分析ツール(株価・経営・財務諸表等)

株価分析ツールの紹介

現在の株価が、「割安」か「割高」かを判断する方法としては、PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)を使うのが一般的です。しかし、PERやPBRを使って評価しても、それぞれに問題点があって、正確に会社の価値を表現できないのも事実です。

割安・割高を判断する別の方法として、理論株価を使う方法があります。会社が持っている事業や財産などを使って、本来あるべき株価(理論株価)を算出し、それと現在の株価を比較します。これをもし手作業でやるとしたら、大変骨が折れる作業になりますが、自動的に決算書から数字を読みとって計算までしてくれるツールがあったらどうでしょうか!?そんな、夢のような分析ツールを紹介したいと思います。

具体的な手法としては、会社の企業価値(=事業価値+財産価値)を計算し、そこから有利子負債を引くことによって、株主価値を計算します。株主価値というのは本来あるべき理論株価と同じ意味なので、理論株価と現在の株価を比較することで、どれくらい割高か割安かがわかるのです。

これらの複雑な計算を自動でやってくれるのが、GMOクリック証券の株価分析ツールです(口座開設をしている方は無料で使えるツールです)。見た目にもわかりやすく、図を使って解説されているので、大変重宝すると思います。

■ ソフトバンク〔9984〕を例にして、株価分析ツールを使ったサンプル画像です。

 

【上の図の解説】

まず、ソフトバンクが持っている事業価値が1株あたり5,847円(緑色)と算出されました。これは、ソフトバンクが携帯電話事業やネット事業などで稼ぐ力です。

次に、となりの財産価値を見てみましょう。会社の持つ財産価値は1株あたり-145円(水色)となりました。これは、会社が持っている現金や土地などの合計で、直接的には事業には必要ない財産を指します。企業価値とは“事業価値”と“財産価値”を足したものなので、合計すると5,702円となりました。

ここから有利子負債846円(赤色)を引くと、理論株価が算出されます。ソフトバンクの理論株価が4,855円(黄色)と計算されました。ちなみに、この日のソフトバンクの株価は7,362円(オレンジ色)でしたから、この両者を比較すると・・・「51%割高」と答えが出ました!これらの複雑な計算をクリック1回でしてくれる便利ツールなんです。(事業価値や財産価値などの詳しい算出方法は、なぜか日本人が知らなかった新しい株の本を参考にしてください)

※ご注意
・株式分割などによって「発行済みの株数」が変化していると、正しい数字が表示されない場合があります。
・理論株価は、将来の株価を確実に予測するものではございませんので、参考程度にお使いください。
・新規公開株(IPO)など、銘柄によってはまだ対応していないこともあるようです。

【上の図の解説】

次は、株主価値(理論株価×株数)と期末の時価総額(株価)の推移を表すグラフです。かんたんに言えば、価値価格の比較です。価値より価格の方が高ければ(青色の塗りつぶし部分)割高ですし、価値より価格の方が安ければ(赤色の塗りつぶし部分)割安というわけです。できるだけ割安に株を買おうというのが“バリュー投資ですから、赤色部分のような、価値より価格の方が高い状態で株を買いたいものです。

具体的に解説しますと、“株主価値”というのは、先ほどの黄色部分のことで、事業価値と財産価値を足したものから有利子負債(借金)を引いた数字です。ざっくりと本来の会社の価値と考えても問題ないです。“期末の時価総額”というのは、そのときの会社の価格です。株価(時価)×株数で計算されます。この両者を比較して、会社の価値と株価の推移を時間軸で見たという分析です。

このグラフから見てとれる考察は、2006年の第4四半期(Q4)ではずいぶんと「割高」だったが、2008年の第2四半期~第3四半期(Q2~Q3)の間に「割高と割安が逆転」し、2011年の第2四半期(Q2)においても、なお「割安」な状況が続いていると言えます。

【上の図の解説】

次は、ソフトバ ンクの倍率評価と、倍率評価を見るポイント(例)を表す図です。 倍率評価からは、

「事業価値(ソフトバンクの主力事業)は営業利益の何倍になっているのか?」
「市場価値(株価水準)から見て、PER・キャッシュフロー倍率(PCFR)・PBRは何倍になっているか?」

を視覚的に理解できます。この図から見てわかることは、営業利益、純利益、営業キャッシュフローが毎年順調に伸びていること、総資産に占める借金の割合が多いため株主資本が少ないことです。ソフトバンクは成長企業なので、PERも17.9倍と今の純利益に比べて高い評価を受けていることもうなづけますね。

■株価分析ツールの使い方を紹介します!(ご利用は無料です♪)

1、GMOクリック証券に口座開設後、ログインします。

↓2、「株式」をクリックします。

↓3、検索窓に、調べたい会社名「(例)ソフトバンク」、もしくは、銘柄コードの「9984」と打ち込み、「検索」ボタンをクリックします。

↓4、「財務分析」をクリックすると、株価分析ツールのページがはじめに表示されます。

↓5、株価分析のページが表示されました。

 

 

経営分析ツールの紹介

「会社の決算書を自力で読みとく力」を持っていると、財務分析する上で心強いのですが、株をはじめたばかりの方が決算書をきちんと読みとくのは難しいと思います。そんな初心者の方でも、感覚的に会社の状態を判断できるツールがこの経営分析ツールです。 図やグラフを使って視覚的にも理解できますし、かんたんな“ひとことコメント”も付いているので、株初心者の方にも使いやすいと思います。

前のページで紹介した株価分析ツールと同じく、GMOクリック証券に口座を持っていれば使えるツールなので、これらを合わせて使うと、さらに分析の精度が上がると思います。

■ ソフトバンク〔9984〕を例にして、経営分析ツールを使ったサンプル画像です。(バリューチェーン分析)

【上の図の解説】

ソフトバンク過去10年分の経営状態をグラフに表したものです(2002年~2011年)。
それぞれが表しているものは、

・資金調達 → 2005年から株主資本が増えています。
・投資(設備) → 2007年に固定資産が急増しています。(ボーダフォンの買収〔1.75兆円〕による影響)
・仕入 → 2007年に仕入債務(未払い金)が急増しています。(ボーダフォンの買収〔1.75兆円〕による影響)
・生産 → 2007年~2008年をピークに棚卸資産(商品や在庫)が減少しています。
・販売 → 2007年に売上高が急増しています。(ボーダフォンの買収による影響)
・回収 → 2008年をピークに売上債権(売掛〔ツケ〕)の減少が続いています。

個々に詳しく見ていきたい場合は、「決算書」と照らし合わせてみる必要がありますが、簡易的に見たい場合は、そこまでしなくてもよいと思います。ただし、急激なよくない変化(販売の急減や棚卸資産の急増など)が見られた場合は、詳しくチェックしたいところです。

■バリューチェーン分析例  ファーストリテイリング(ユニクロ)の場合

■経営効率分析 ROICツリー(Return On Invested Capital)

【上の図の解説】

上の図は、ROIC(ロイック)と呼ばれる指標を分解して分析したものです。ROICは「投下資本営業利益率」と呼ばれ、“企業が事業活動のために投じた資本(IC)に対して、本業でどれだけの利益を出せたか”を測る指標です。ROICは数字は高い方が効率的な経営をしています。

ソフトバンクの場合、2003年ではマイナスでしたが、徐々に改善していき、2011年にはROIC11.4%を示しています。事業が好調の要因の1つとしては、「原価率」の低下による「売上高営業利益率」の上昇であると、このROICツリーからわかります。

■経営分析ツールの使い方を紹介します(無料で使えます!)

1、GMOクリック証券に口座開設後、ログインします。

2、「株式」をクリックします。

3、検索窓に、調べたい会社名「(例)ソフトバンク」、もしくは、銘柄コードの「9984」と打ち込み、「検索」ボタンをクリックします。

4、「財務分析」をクリックすると、株価分析ツールのページがはじめに表示されます。

5、株価分析のページが表示されました。ここで、「経営分析」をクリックしてください。

6、経営分析ツールのページが表示されました。

経営分析はむずかしい要素が多い部類に入りますが、このように見た目でわかりやすい分析ができるので、「数字や分析はちょっと苦手…」という方も、GMOクリック証券の経営分析ツールを一度チャレンジしてみてください♪会社の現状やこれまでの傾向など参考になるかと思います。

 

 

財務諸表分析ツールの紹介

企業分析をするのには、貸借対照表(B/S)、損益計算書(P/L)、キャッシュフロー計算書(C/F)を読みとく力が欠かせませんが、これらを決算書から細かく調べるのは、とにかく骨が折れる作業です。そんな面倒な作業を一手に引き受けてくれるのが、財務諸表分析ツールです。3年から10年分の時間の流れとともに、視覚的にチェックできるツールなので大変便利です。

前のページで紹介した「株価分析ツール」や「経営分析ツール」と同じく、GMOクリック証券に口座を持っていれば使えるツールなので、これらを合わせて使うと、さらに分析の精度が上がると思います。

■ ソフトバンク〔9984〕を例にして、財務諸表分析ツールを使ったサンプル画像です。
<過去3年分で貸借対照表を見た場合>

<過去10年分貸借対照表を見た場合>

【上の図の解説】

ソフトバンクの過去3年分、過去10年分の貸借対照表をグラフに表したものです。過去3年分(上グラフ)で見ると大きな変化はありませんが、最近10年分(下グラフ)で見ると、2007年に「長期借入金」が大きく膨らんでいることがわかります。これは、ソフトバンクがボーダフォンの買収するときに資金調達して、貸借対照表全体が膨らんだことが原因です。純資産と比べると、有利子負債は減ってはきているものの、まだまだ負債が大きいな~という印象を受けます。

■ソフトバンクの損益計算書を見ると・・・(最近5年分と10年分を選択できます)

【上の図の解説】

ソフトバンクの過去10年分の損益計算書をグラフに表したものです。「売上高」、「営業利益」、「純利益」の3つ項目の、2002年から2011年までの10年間の推移がわかります。上のグラフは、その3項目すべてを示していて、下のグラフは「営業利益」と「純利益」の2つの絞って表したものです。

このグラフからは、2005年まで赤字続きだったソフトバンクの事業が、2006年から黒字に転換し、その後毎年伸びてきていることがわかります。ボーダフォンの買収の後、事業拡大はうまく行っているといえそうです。

■ソフトバンクのキャッシュフロー計算書を見ると・・・(最近10年分)

【上の図の解説】

一番上のキャッシュフローポジションの推移を見ると、2008年まで「投資期」でしたが、2009年から「安定期」に入ったことがわかります。真ん中のマトリックス表を見ると、視覚的に「投資期から安定期へ」とよい方向に移っている様子がわかります。

一番下のグラフからは、2007年に大きな変動がみられます。この年にボーダフォンを買収したので、投資キャッシュフローが2兆円近くのマイナスとなり、買収のための資金調達をしたことによって、財務キャッシュフローが大きくプラスになっています。2009年からは、営業キャッシュフローから投資キャッシュフローを引いた「フリーキャッシュフロー」が伸びてきており、順調に事業が回っていることがうかがえます。

■経営分析ツールの使い方を紹介します(無料で使えます!)

1、GMOクリック証券に口座開設後、ログインします。

2、「株式」をクリックします。

3、検索窓に、調べたい会社名「(例)ソフトバンク」、もしくは、銘柄コードの「9984」と打ち込み、「検索」ボタンをクリックします。

4、「財務分析」をクリックすると、株価分析ツールのページがはじめに表示されます。

5、(株価分析ツールのページへ)ここで、「財務諸表」をクリックします。

6、財務諸表分析ツールのページが表示されました。

このように、財務諸表分析も手軽にできますので、「会社の分析はちょっと…」という方も、GMOクリック証券の財務諸表分析ツールを一度チャレンジしてみてください♪会社の現状やこれまでの傾向など、自分の考えとは違った見方ができるので参考になると思います。

最後は、シミュレータの紹介です。売上高や営業利益の成長率などをお好みで調節して、自分だけの理論株価を算出することができます。

 

 

シミュレータの紹介

シミュレータを使って将来予測ができます。「売上成長率」、「営業利益率」、「償却(しょうきゃく)」、「設備投資」、「割引率」の5項目を操作して、自分仕様にアレンジしてください。(用語の解説は文章中にあります)

■ ソフトバンク〔9984〕を例にして、シミュレータを使ったサンプル画像です。

 

 

【上の図の解説】

ソフトバンクの「売上高営業利益フリーキャッシュフロー」を過去5年分と未来の5年分をグラフに表したものです(パラメータの数字を動かす前は、“ゼロ成長”となっています)。パラメーターは「売上成長率」、「営業利益率」、「償却(しょうきゃく)」、「設備投資」、「割引率」の5つの項目を操作できます。

・売上成長率

毎年の売上高の成長率です。(100億円が110億円になった場合、成長率は10%です)

売上高を高くすると、売上高、営業利益、フリーキャッシュフローがすべて上がるので、理論株価も大きく上がります。理論株価に与える影響が大きい項目です。

・営業利益率

営業利益率は「営業利益÷売上高」で計算できます。10%以上あれば優秀です。

営業利益率を高くすると、営業利益とフリーキャッシュフローが上がるので、理論株価も上がります。

・償却

償却(しょうきゃく)とは「減価償却」の略で、時間の経過とともに値が少していく資産(車やパソコンなどの機械)を徐々に費用化するルールとなっています。資産価値の減少を毎年費用として損益計算書に計上するものの、現金の支出(キャッシュフローの減少)は伴わないので、キャッシュフロー計算書では減価償却費をプラスする必要があります。

ですから、償却を高くするとフリーキャッシュフローが上がることになります。

・設備投資

設備投資とは、会社が事業を継続するために、設備に対して投資をすることです。

例えば、何かを生産するための工場や機械、車、パソコン、備品などがあります。

設備投資を多くすると、現金が出ていくのでフリーキャッシュフローが下がります。

・割引率

割引率とは、資本の調達先より期待されているコストのことです。

つまり、会社側の資金調達の方法の違いや会社の経営状態によって割引率は異なるのです。

会社は主に、「株券発行などによるもの(資本)」と「銀行などからの借金(負債)」で資金を得ますが、一般的には、株主に対してのコストは高く、債権者(銀行など)に対しては低くなっています。

これは、借金返済の方が株主への配当などよりも優先度が高く、会社の破たんがなければ、一定のリターンが約束される半面、株主は株価変動のリスクを取っており、リターンは不確実だからです。

もしこれが倒産しかかっているような会社の場合は、資金の調達に高い金利負担を強いられるため、割引率は高く設定する必要があります。割引率を高くすると、理論株価は下がります。

これら5つの項目は、直近(一番新しい数字)や最近の「3年平均(2009年~2011年)」、「5年平均(2007年~2011年)」の数字を使うこともできます。ソフトバンクの場合は、財務諸表分析ツールで見たように、2009年から安定期に入っているので、「3年平均」の数字を使って理論株価を考えるのが妥当でしょうか。

■シミュレータの使い方

■トヨタ自動車の例

 

■シミュレータの使い方を紹介します(無料で使えます!)

1、GMOクリック証券に口座開設後、ログインします。

2、「株式」をクリックします。

3、検索窓に、調べたい会社名「(例)ソフトバンク」、もしくは、銘柄コードの「9984」と打ち込み、「検索」ボタンをクリックします。

4、「財務分析」をクリックすると、株価分析ツールのページがはじめに表示されます。

5、(株価分析ツールのページへ)ここで、「シミュレータ」をクリックします。

6、シミュレータのページが表示されました。

このように、GMOクリック証券のシミュレータ機能を使うと、自分の好きなようにアレンジができるので、未来における「楽観シナリオ」や「悲観シナリオ」などを想定しながら、予測を立てることができます。理論株価が決まる前提条件をいろいろと変えてみてください。将来に向かって予測を立てるときには、どうしても変数がたくさん存在するので、会社分析をするときはこの機能を使って、さまざまなパターンを試してみるとおもしろいと思います。