面接官の心をつかむ自己紹介方法

面接官の心をつかむ自己紹介方法

1.好印象に繋がる自己紹介の話し方

自己紹介=職務経歴+自己PR+志望動機

転職活動の時の自己紹介では、あなたの培ってきた経験と実績を伝えることが求められます。自分のポテンシャルの高さを伝えれば良かった就職活動時よりも、より具体性と説得力が求められるのです。

「どんな仕事をしてきたか」「どんなスキルがあるのか」「転職して何がしたいのか」という、この3点を確実に伝えることが大切です。
上記を踏まえ、転職時の自己紹介では以下のように話を進めると良いでしょう。

挨拶・名乗り

職務経歴の概要

自己PR

志望動機

締めの挨拶

気をつけてほしいのは、これら以外の要素を盛り込んで話してしまうこと。「名前、職務経歴、志望動機、自己PR」以外の要素は入れない方が、面接官が要点をつかみやすい「評価される自己紹介」になるということを覚えておいてください。性格や趣味、特技などを伝える必要はありません。

自分を知ってほしいという想いのあまり、たくさんの要素を一気に伝えてしまう方もいますが、それでは「何を伝えたいのか」というポイントがぼやけ、散漫な印象を与える自己紹介になってしまいます。

自己紹介は、面接全体の「つかみ」の部分。あなたの人となり、仕事に対するスタンスや情熱は、この後の面接の中でじっくり伝えていけば良いのです。

3分で自分の魅力を伝え切る「自己紹介」の話し方

面接時の自己紹介は、3分以内が目安です。
3分で話せる自己紹介の文字量は、約900字を目安にすると良いと言われています。自分の強みを伝える「自己PR」を職務経歴と上手くからめながら、以下のように話すと良いでしょう。

【挨拶・名乗り】
「○○と申します。本日はお時間をいただき、ありがとうございます。」

【職務経歴(最終学歴)の概要】
「私は△△大学の経済学部を2010年に卒業し、食品メーカーのABC株式会社に新卒で入社いたしました。
以来、6年間に渡って経理と営業部門を経験してきましたが、もっとも長く携わっていたのは営業です。通算4年間、得意先である卸会社に対するルートセールスをメインに、自社商品の紹介や、プロモーションや販促活動の企画提案を行ってきました。
また、直近の2年間ではチームマネジャーに任じられ、4名のマネジメントを行ってきました。」

【自己PR】
「その4年間の営業活動の中で私が培ってきたのは、顧客に信頼される提案力です。
既存顧客との取引が中心となる中、競合にシェアを奪われないよう、顧客と強い信頼関係を築くように努力してきました。顧客からのニーズを確実に拾っていけるよう、毎月連絡を欠かさず、こまめな提案も心がけてきました。結果、年次5年目のときには年間目標に対して160%の業績をあげました。その実績と努力が認められ、社長賞を受賞しました。また、メンバーのマネジメントを行ううえでは傾聴とアウトプットを心がけています。自分がメンバーにとって一番の理解者であるよう、積極的にメンバーとコミュニケーションをとるようにしていました。また、情報発信の場として仕事共有のミーティングを週に1度行い、メンバーひとりひとりの努力が認められる機会を増やすようにしました。その結果、チーム全体の士気が上がり、2期連続のチーム全員目標達成を実現することができました。」

【志望動機】
「これからは自社の商品だけでなく、もっと幅広い種類の商品の中から顧客にとって最適な選択肢を提案できる仕事がしたいと思い、御社に応募いたしました。営業で培ってきたスキルと経験を、御社での営業活動でも活かし、貢献していく所存です。」

【締めの挨拶】
「本日は、どうぞよろしくお願いいたします。」(計770文字)

<ポイント>

3分話す場合のポイントは、自己PRの話し方にあります。まずアピールしたいポイントを「提案力」「傾聴とアウトプット」などひとことで表します。その後、そのひとことに説得力を持たせるエピソードを端的に続けましょう。数字で表せるわかりやすい実績などを盛り込むと、より印象に残りやすくなります。
仕事の話を具体的に話すことで、面接官はあなたの仕事の様子をかなりイメージしやすくなるでしょう。

ただ、話すことがあまり得意でないという自覚がある人は3分という時間にこだわらず、自分が一番伝えておきたいポイントに焦点を絞って話すようにしましょう。メリハリをつけ、「長い」「散漫」「どんなことをやってきたのか、よくわからない」という印象を与えないようにすることが大切です。

2.「こんなとき、どう話す?」自己紹介のポイント&回答例

ここでは、自己紹介の時によくある質問と、回答のポイント・回答例をご紹介します。

「1分で自己紹介をお願いします」と言われた場合

自己紹介を求められた際、面接官側から「1分でお願いします」など時間制限を設けられることがあります。
この場合の面接官から見られているポイントは、その場で話をまとめられるかという機転と対応力。与えられた時間内でしっかりと自己紹介ができれば、好印象を与えることができます。

1分で話すことができる量は、文字数にすると約300文字。
300文字の中に職務経歴と志望動機を盛り込むには、かなり焦点を絞る必要があります。この場合、自己PRは不要です。職務経歴は概要のみを伝え、志望動機はできるだけ一文で表せるようにしましょう。話の構成は、以下のようにすると良いでしょう。

【挨拶・名乗り】
「○○と申します。本日はお時間をいただき、ありがとうございます。」

【職務経歴の概要】
「前職では新卒入社して以来6年間、食品メーカーのABC株式会社で働いておりました。最も長く携わっていたのは営業で、通算4年間、得意先である卸会社に対するルートセールスをメインに、自社商品の紹介や、プロモーションや販促活動の企画提案を行ってきました。」

【経験から得た、自分の仕事の強みをひとこと】
「仕事の中で培ってきた競合に負けない提案力を活かし、年間目標を160%達成する業績を上げるなどといった形で会社に貢献してきました。」

【志望動機】
「今後は自社の商品だけでなく、もっと幅広い種類の商品の中から顧客にとって最適な選択肢を提示できる仕事がしたいと思い、御社に応募いたしました。」

【締めの挨拶】
「本日は、どうぞよろしくお願いいたします。」(計307文字)

<ポイント>

ポイントは、職務経歴のまとめ方です。
今までの経歴の中で、今回の応募企業・応募職種に一番活かせるものをピックアップしましょう。あわせて実績を伝えるのも忘れずに。

細かい部署移動や仕事内容の変化などは、履歴書や職務経歴書といった書類で伝えているはずなので、自己紹介に盛り込む必要はありません。
「この人は営業を長い間やっていたんだな」「提案に力を入れて仕事をしてきたんだな」など、簡潔な印象を面接官に与えられるよう、わかりやすく伝えましょう。

面接官はあなたの自己紹介を聞きながら興味を持った点を頭の中でピックアップし、その後の面接の構成を組み立てています。伝える要素の取捨選択に困っている方は「深堀りしてほしい話をする」という基準で内容を考えてみましょう。

未経験職種への転職

未経験職種に応募する場合、「職務経歴」よりも「自己PR」に力を入れた自己紹介をしましょう。ポイントは「自己PR」と「志望動機」をうまく繋ぐこと。

「仕事の内容がまったく違うのに、なぜ未経験職種に挑戦しようとしているのか?」と面接官に不審に思われないようにすることが大切です。前職で得たスキル・強み(自己PR)が、応募先の企業で活かせることを示せれば、納得感のある自己紹介になります。

<例>前職の営業職では社外・社内問わず、仕事相手と信頼関係を築き上げることに注力していました。お客様から感謝の言葉をいただくことも多く、上司からも「職場の雰囲気を明るくする」と評価をいただいておりました。また、仕事は迅速さと正確さをモットーに、細かい作業系の業務もすすんで取り組んでいました。
今後は、前職で培ったコミュニケーション能力や業務処理能力を、社内貢献度の高い事務職といった形で活かしていきたいと考えております。

転職回数が多い場合

転職回数が多い場合に困るのが、職務経歴のまとめ方。1~2社経験であれば、列挙するだけでも問題ありませんが、3社以上経験していると職務経歴だけで1分以上話さなくてはいけなくなります。
この場合は「経験業界ごとにまとめる」「特にアピールしたい仕事をしていた部署や会社だけをピックアップして述べる」などすると良いでしょう。
先ほども述べたように、職務経歴の詳細は職務経歴書に記載されています。自己紹介の段階で、すべてを細かく話す必要はありません。面接官には「営業をしていた人」「マーケティングに携わっていた人」という印象さえ与えられれば良いのです。

<例1>
今までは飲食業界で4年間、不動産業界にて2年間、主に人事部に所属してきました。
<例2>
社会人歴は今年で12年になりますが、特にABC会社ではそのうちの6年間をかけて、経理担当として会社に貢献してきました。

3.さいごに

最後に、面接全体に通じる「キホン」を2点お伝えします。

1. 明るい表情かつ、大きな声ではっきりと話す
2. はじめと終わりの「挨拶」を忘れない

どちらも当たり前のことですが、意外と気をつけられていない方が多いのも事実。細部に気を配ることで、他の候補者と差をつけることができます。

1. 明るい表情かつ、大きな声ではっきりと話す
明るくハキハキと話すことは、面接全体のキホン。視覚や聴覚を使って感じ取られる印象は、その人のイメージを大きく左右します。
まっすぐ面接官の顔を見て、声を前に送るイメージで話しましょう。小さい声やこもった声は、消極的な人物に見られがちです。声があまり大きくない人は、言葉尻をはっきり発声するよう心がけると良いでしょう。

2. はじめと終わりの「挨拶」を忘れない
自己紹介を求められ、いきなり職務経歴を話し始めてしまったことはありませんか?
挨拶もなくはじまる自己紹介は、面接官に唐突な印象を与えてしまいがちです。また、自己紹介が終わったことを明確に知らせる最後の挨拶がないものも、歯切れの悪い印象を与えてしまいます。最初と最後をしっかりと締めることで、メリハリのある自己紹介にしましょう。
長い挨拶は必要ありません。自己紹介の始めは「○○と申します。本日はお時間をいただき、ありがとうございます」と一言を。話が終わったときには「本日は、どうぞよろしくお願いいたします」と締めましょう。

どんな場合であっても、自己紹介は「わかりやすさ」が最優先であることには変わりありません。伝えたいポイントをまとめ、面接官に好印象を与えられる自己紹介ができるように努めましょう。