起業するのに画期的なビジネスモデル・商品・サービスは必要ない?+創業・第二創業促進補助金とは?+第二創業とは?+レンタルオフィス・バーチャルオフィスで起業・法人登記する場合の注意点

起業するのに画期的なビジネスモデル・商品・サービスは必要ない?

先日、中小企業庁から「中小企業・小規模企業白書」の2017年版が発行されました。

中小企業及び小規模企業の現状分析と将来の展望をまとめた政府の報告書です。

起業家・中小企業とお仕事をさせて頂く機会が多い我々士業やコンサルタントにとっては必読ですが、一般の方がこういった政府刊行物を目にする機会は少ないと思います。

で、さっそく目を通してみました。

「起業家が起業に関心を持ったきっかけ」が特に面白いですね。

実際に起業した方がアンケートに答えてらっしゃいますから、起業予定者の方にとっては、大いに参考になると思います。

当ページではそれぞれの年代別の1位のみを掲載します。

男性 女性
40代以下 周囲の起業家・経営者の影響(40.7%) 周囲に勧められた (33.3%)
50代 勤務先の先行き不安・待遇悪化(35.7%) 周囲に勧められた (37.4%)
60代以上 周囲の起業家・経営者の影響(25.2%) 勤務先ではやりたいことができなかった(30.3%)

※2~3位の起業動機も見てみたいという方はこちらの要約版のPDF(2017年版 中小企業白書・小規模企業白書 要約)をご覧になってください。

男性と女性では大きな隔たりがあります。

男性は周囲の影響が大きいですね。

40代以下&60代以上がともに「周囲の起業家・経営者の影響」となっています。

身近に起業家や経営者がいる場合に、その影響を受けて起業する人が多いのでしょう。

斬新なビジネスアイデア・ビジネスモデルを思いついたから、画期的な商品・サービスを作ったから、などはありません。ランク外です。笑

意外だと思われましたでしょうか?これまで数多く起業家支援を行ってきましたが、そんな方は一握りもいませんでした。

起業動機は至って現実的であると、政府の統計にもきっちり出ているのです。

個人的な話をして申し訳ありませんが、私も父親が飲食店の経営をしていましたし、母方の祖父も食品生産工場を営んでいました。

幼少期からこういった環境で育っているので、自分で事業をはじめるということに大きなリスクを感じることも、敷居が高いと感じることもありませんでした。

むしろ最初からどこかの会社に勤めるという発想自体ありませんでした・・・。

もし父親がサラリーマンだったら行政書士事務所の開業を決意することもなかったかもしれません。

周囲の環境は自覚の有無に関わらずそれほどまでに大きな影響があるのだと思われます。

会社の同僚や学生時代の友人が起業して上手くいっている場合も「あいつでもできたんだから自分もできるはず!」と普通に思えますよね。起業に対する漠然とした不安感もなくなります。

要は、男は単純^^;

起業したいという気持ちはあるのに、必要以上にリスクを感じてしまう、あるいは不安に感じてしまうという方は、起業家・経営者が集まるセミナーに参加するなり、身近で起業している人がいたら話を聞きに行くなり、仕事を手伝わせてもらうなりをすれば、リスク・不安感は拭えると思います。

一方の女性はと言いますと、40代以下、50代以下ともに「周囲に勧められた」となっています。

男性と女性のそもそもの考え方・脳の働きが全く異なることがわかりますね。

男性に比べると非常に現実的です。

誰に勧められるのかよくわかりませんが、おそらく、女性は優秀な人が多いのでしょうね。

その能力を周りの人間が見出して、君ならできるよ!あるいは、一緒にやらない?と誘われることが多いのかもしれません。

最後に、50代男性1位が勤務先の先行き不安・待遇悪化、続いて2位が「勤務先ではやりたいことができなかった」となっています。

自発的な起業でない場合、上手くいくことが少ないのですが、それでもなんとか頑張って成功してほしいですね。

これらの年代の方は30~40年もの長期間勤め上げて身に付けたスキル・経験を遺憾なく活用してほしいと思います。そして、成功してほしいと思います。

今は熟年起業する方も増えてきていますし、脱サラして起業する方達のコミュニティーとかがあれば面白そうですが^^

この年代の方は、前述のようにその業界で必要となるスキル・経験はお持ちですので、関連した業種で起業される方が成功する確率は上がるでしょうね。

よくあるのが、脱サラしてラーメン店や喫茶店・飲食店、コンビニエンスストアといった全く異なる業界で起業するケースですが、成功する確率はかなり低いと思われます。

自身が磨いてきたスキルと業界経験を活かせる業種で起業すれば、当然成功確率上がります。その上で、いかに集客・マーケティングなどのスキルを身につけることができれば、尚良しです。

まとめ

こういった統計値を見ることで、自分の今の立ち位置がわかりますし、今の自分の境遇においても自分だけが特別じゃないということが実感できると思います。

起業家の起業動機などみなほぼ同じなんだなとということがわかりますよね。あとはやるかやらないかだけの違いです。

起業とリスクについては、その他のページでも色々と書いていますので、お時間のある方はぜひ参考にしてみてください。

 

 

創業・第二創業促進補助金とは?

起業や第二創業を行う際に補助を受けられる制度

創業・第二創業促進補助金は、国からの委託を受けた電通が実施している補助金制度です。

起業するにはいろいろとお金がかかるものです。会社を立ち上げるだけでもお金がかかりますし、設立した後は経営が安定するまで持ちこたえられるだけの資金力も欠かせません。

経営をはじめていきなり順調に利益を上げられるケースはほとんどありませんから、その間我慢するためには資金力という名の企業体力が求められるわけです。

ただ起業する場合、資金に余裕を持って準備を行っていけるケースはほとんどありません。

それに大半は中小規模の企業からスタートするだけに、融資を受ける際に担保となる不動産などの資産も持ち合わせていないものです。

そのため会社を設立して経営をスタートさせたはいいものの、途中で資金繰りが悪化して破綻に追い込まれてしまうことも少なくありません。

こうした問題は起業の際だけでなく新事業への進出を目指す第二創業の際にもつきまとうものですが、中小企業を支援するため、公的資金の形でこうした機会に融資を行う制度がいくつか設けられています。

創業促進補助金はそんな支援制度のひとつです。

どれぐらいの補助を受けられるのか

この創業促進補助金では創業、第二創業のいずれかで利用することが可能です。

補助金の金額はどちらも同じで上限で200万円、下限で100万円となっています。ポイントとなるのは補助率で、用途にかかる費用に対して3分の2まで。つまり200万円が上限だからといって必ずしも満額を受け取ることができるとは限らないことになります。

この補助金を活用できる対象となる経費は幅広く、店舗・オフィスを賃貸するときの費用、設備投資にかかった費用、創業や販路・顧客の開拓にかかる経費、さらに人件費も含まれます。

創業・第二創業の際に必要となる経費のほとんどをカバーできる非常に魅力的な制度といえます。

 

利用の際のポイント

補助金ですから、返済不要な点が何よりも魅力です。

創業をサポートする制度の多くは返済が必要な融資なので、創業資金が十分ではないときなどに使用すると役立つでしょう。

もちろん、どの企業でも利用できるわけではなく、申し込んだ上で審査をクリアしてはじめて補助を受けられることになります。

平成28年4月に行われた募集では応募総数が2866件に対して採択された総数は136件となっており、少々狭いハードルとなりますが、これから創業・第二創業を検討している人や企業で少しでも多くの資金を調達しておきたいという場合には申し込みを検討してみてはいかがでしょうか。

詳しくは電通の公式サイトをご覧ください。→https://sogyo-hojo-28.jp/

 

 

第二創業とは?第二創業のメリットと成功させるポイント

第二創業って何?

第二創業とは中小企業などで新しい経営者が就任し、先代から引き継いだ事業の業務転換をしたり、これまでとは別の分野に進出することをいいます。

つまり事業の地盤はそのままに、経営革新を行ってさらなる飛躍を目指す、第二の幕開け期のことです。

事業後継者だけでなく、現在の経営者が新たな分野に挑戦することも第二創業といえますが、多くの中小企業では経営者の高齢化といった事情もあり、事業が衰退期に入っていることがわかっていても次の一手を打つ方法がわからず、手をこまねいている事態が少なくありません。

このため若い世代が事業を引き継いだときに、第二創業が行われるのが一般的です。

企業には創業者が事業を立ち上げ、成長させ、成長のピークに達する熟成期を経て、右肩下がりに売り上げが減少する衰退期に達するといった、山形のライフサイクルがあります。

子どもが親が創業した会社を継ぐなどトップが交代する時期に、衰退期に入っていることが多いのも、後継者が第二創業にチャレンジする背景となっています。

時代の変化に伴い、経済状況やユーザーニーズは目まぐるしく変わっていきます。

創業時のままの経営方法では、今の時代のニーズに合わないのは当然です。

この状態を放置したまま経営を続ければ経営状態はジリ貧に悪化し、最悪の場合は倒産へと至ります。

倒産を避けるためには、自社のライフサイクルを正しく把握する必要があります。

そして衰退期または成熟期にあるなら、新製品の開発や新規市場の開拓などの第二創業に挑まなければ会社の繁栄は期待できません。

政府や自治体なども第二創業を奨励しており、補助金の支給などを通して第二創業を支援しています。

中小企業庁のページを参考までに掲載しておきます。ご参考にしてください。

第二創業のメリット

「第二創業」は何もないところから起業する新規創業に比べると、失敗するリスクが少ないのがメリットです。

これまでの事業活動で築いてきた信用、既存事業の収益などが活用できるため、これまでの基盤を活用しながら比較的余裕をもって新規分野に参入できるという特長があります。

ただ、既存事業の収益は右肩下がりに減っている状況ですから、まだ既存事業の収益がある程度確保できる早い時期に第二創業にとりかかることが大切です。

第二創業を成功させるポイント

第二創業の強みである、これまで築いた事業基盤を最大限に活用することが、成功へと導くポイントとなります。

そのためには自社の強みと弱みを正しく分析し、既存事業の強みを活かせる事業計画を立案する必要があります。

このような事業計画なら説得力がありますから、金融機関からの融資も引き出しやすくなります。

 

 

レンタルオフィス・バーチャルオフィスで起業・法人登記する場合の注意点

最近では、起業の際にレンタルオフィスやバーチャルオフィスを借りることはめずらしくありません。

特にウェブ系のお仕事であったり、フリーランス・コンサルタントなど必ずしも店舗やオフィスを構える必要がない業種の方が多く利用されています。

今の世の中、ネットがあればどこでも仕事ができる時代です。

レンタルオフィスやバーチャルオフィスは、初期費用やランニングコストを抑えることができるのも魅力の1つです。

レンタルオフィスとバーチャルオフィスの違い

レンタルオフィスには自分が使える専用のスペースがありますが、バーチャルオフィスには自分専用のスペースはなく、単にそこの住所だけ借りているだけという点です。バーチャルオフィス=仮想オフィスとも呼ばれる所以です

価格面でもレンタルオフィスが月数万円、バーチャルオフィスは月数千円程度というところが多いようです。

登記可能か運営会社に事前に確認しておきましょう。

会社を設立するには、法務局へ法人設立登記を行いますが、その際に会社の住所も決めておかなければなりません。

レンタルオフィスやバーチャルオフィスの住所を登記することに法的な問題はありませんので、オフィスを借りる際には運営会社に法人登記が可能かどうかを確認しておきましょう。

レンタルオフィスやバーチャルオフィスでは「取引先の信用面が・・・」と思われるかもしれませんが、実際バーチャルオフィスと登記されるわけでも名刺やホームページにバーチャルオフィスと書くわけでもないので、住所を調べられない限りは知られることはありません。

登記する場合の注意点

では、レンタルオフィスやバーチャルオフィスの住所で登記をする場合、どのような注意点があるでしょうか?

まずは社会保険関係です。社会保険は国の制度ですので、法人であればあなた1人の会社であれ、数名の会社であれ、加入義務があります。

しかしながらバーチャルオフィスの場合、加入できない、手続きが想像以上に複雑でややこしくなるといった事が起こりえます。これは法律で会計帳簿や資金台帳などは会社に保管しておく義務があるのですが、バーチャルオフィスには保管場所がないからです。

もちろんオプションで専用の書庫やスペースを借りること等で対応は可能ですが、年金事務所によって対応が異なるようです。

同じように従業員を雇った場合、労災保険に加入しますが、実際その場所で労働者が働いてるわけではないので、こちらも労働局によって対応が異なる事があるようです。社会保険・労災保険に関しては、事前に加入窓口で確認しておくほうが良いでしょう。

次に、役所に許可を得なければできない事業が含まれているかどうかです。

例えば、建設業、労働者派遣業、古物商、不動産業などは、役所から許可を取得しなければなりません。

許可を取得するには色々な要件を満たす必要がありますが、机がない・電話がないなど営業所としての実態がないバーチャルオフィスでは許可が下りない可能性は高いです。

中にはレンタルオフィスやバーチャルオフィスで許可を取得したといった話しを聞くかもしれませんが、申請先によって必要な書類や判断基準が違うことは多々あります。

いわゆる「ご当地ルール」もあります。申請先によって審査や許可の基準が若干異なるのです。レンタルオフィス・バーチャルオフィスを事務所として許認可事業を行う場合は、必ず事前に許可要件を窓口で確認しておきましょう。

そしてよく聞かれるのが、レンタルオフィス・バーチャルオフィスでは、銀行口座を開設できないのでは?という事です。

実際はレンタルオフィスやバーチャルオフィスであっても、各銀行の審査基準にもよりますが、口座開設はできます(バーチャルオフィスは過去に詐欺等で多く悪用されていたという事実がありますので、レンタルオフィスよりも審査が厳しいのは間違いないでしょう)。

大手都市銀行にバーチャルオフィスで資本金が極端に少ない(1円や1万円など)会社が口座開設を申し込んだ場合、高い確率で断られると思います。こういった場合は、都市銀行よりハードルが低いと思われる地方銀行やネット銀行、信用金庫などを利用することも考えましょう。

金融機関によって運用は異なりますが、信用力が無い会社の場合、口座開設の際に、補足資料として会社概要、事業計画書や会社のホームページ、取引先との契約書や受注書、オフィスの利用規約などを揃えて提出させられたり、窓口で直接事業内容について説明させられたりといったこともあるようです。

まとめ

レンタルオフィスやバーチャルオフィスはコストも安く、気軽に利用ができる反面、当ページで説明してきたようなデメリットもあります。会社登記ができるからと安易にレンタルオフィスやバーチャルオフィスを借りるのはお勧めはできません。

コストに見合った利益が得られるのであれば良いのですが、高い登記費用を払って会社を設立しても、肝心の事業を始めることができなければ、何の意味もありません。社会保険に入れない、労働保険に入れない、許認可が取れない、銀行口座が作れない。安物買いの銭失いにもなりかねません。

レンタル・バーチャルオフィスで起業を考えている人は、まずは運営会社や関係各所へ事前に確認を取ってこれらの事項をクリアしてから、賃貸契約を行うようにしてください。急がば回れです。気軽に借りられるからこそ、きちんと準備を行うようにしましょう。