資金繰りに困ったらスグに行くべき6つの相談窓口とは?+銀行だけじゃない!つなぎ資金を賢く借りる為のポイントとその調達先+銀行融資の審査を通す7つのポイント~融資担当者はココを見ている~

資金繰りに困ったらスグに行くべき6つの相談窓口とは?

【目次(もくじ)】

  • はじめに
  • 1.まずは顧問税理士に相談
    |-顧問税理士に相談するときの注意点
  • 2.外部の資金調達の専門家(行政書士・中小企業診断士・コンサルタントなど)に相談
    |-それぞれの専門家の強みは?
    |-行政書士の強み
    |-中小企業診断士の強み
    |-顧問税理士から紹介を受けるのもアリ
  • 3.取引銀行に相談
    |-取引銀行に相談するときの注意点 |-リスケジュールの相談をしてみる
  • 4.公的機関の窓口(公庫・制度融資)に相談
    |-日本政策金融公庫
    |-マル経融資(小規模事業者経営改善資金融資制度)
    |-制度融資
  • 5.ファクタリング業者
    |-ファクタリングのメリットとデメリット
    |-ファクタリングのメリット
    |-ファクタリングのデメリット
    |-ファクタリング会社の選び方
    |-償還求償権の有無
    |-利用限度額
    |-手数料
    |-応対
    |-契約書の交付
  • 6.ビジネスローン
    |-ビジネスローンとは?
    |-ビジネスローンのメリットとデメリット
    |-ビジネスローンのメリット
    |-ビジネスローンのデメリット
    |-悪徳業者に気を付けよう
  • まとめ

はじめに

会社を経営しているなら、いつも考えなくてはいけないのが資金繰りの問題です。

手掛けたいビジネスがあっても、資金がなければ動けません。

また、万が一資金がショートしてしまったら会社経営自体が暗礁に乗り上げてしまいます。

そこで、資金繰りに困ったらスグに行くべき6つの相談窓口を考えてみました。

1.まずは顧問税理士に相談

資金繰りで困った場合、まずは顧問税理士に相談するのが一般的な流れですが、どんなことに注意すればいいのでしょうか?

1-1.顧問税理士に相談するときの注意点

税理士が顧客から資金繰りの相談をされたときに提供するサービスは、大きく分けると次の3種類です。

  • 現状分析:企業の決算書をもとに、現状の事業計画を分析し、資金繰り表の作成や財務(銀行)格付け診断を行う。
  • 計画の策定:事業計画・長期資金繰り計画、担保の組み換え、返済スケジュールの調整、短期借入金の長期化支援など、企業の特性に応じた資金繰り改善への提案を行う。
  • 実行支援:提案した改善策を実行するために、公的融資制度・銀行の選択、銀行の紹介や交渉支援を行う。

具体的に何をするかは会社によって異なりますが、基本的にはこの3段階で資金繰りの相談を進めていくでしょう。

そのため、顧問税理士に相談する際は、過去の決算書のデータをすぐに参照できる体制を整えておくことや、銀行からの融資に関する書類をひとまとめにしておくことがとても大事です。

顧問税理士も、相談に応じたくても、会社のデータを見ないと何もできません。

日ごろから、必要な情報をすぐに取り出せる体制を整えておきましょう。

2.外部の資金調達の専門家(行政書士・中小企業診断士・コンサルタントなど)に相談

資金繰りの相談は、何も税理士だけの専売特許ではありません。行政書士、中小企業診断士など、他の専門家にも幅広く相談してみましょう。

2-1.それぞれの専門家の強みは?

税理士以外の資金調達の専門家として考えられるのは、行政書士、中小企業診断士です。

それぞれの専門家の強みを考えてみましょう。

2-1-1.行政書士の強み

行政書士の業務というと、代書的業務(官公庁への提出書類の作成代行)や許認可手続きがよく知られているところです。

一見、資金繰りとは縁が遠そうですが、そんなことはありません。

実は日本行政書士会連合会と日本政策金融公庫は中小企業等の支援において公式に連携しています。

中小企業等向けのセミナー・相談会への講師派遣、個別企業からの相談への対応などを合同で行っていると考えるとわかりやすいでしょう。

(参照:日本行政書士会連合会と日本政策金融公庫が中小企業等支援に関する連携の覚書を締結

いわば、行政書士は日本政策金融公庫が公に認めた中小企業支援のエキスパートです。

このような背景があるため、最近では、代書的業務や許認可手続きに加え、資金調達支援を全面に打ち出した行政書士も増えています。

2-1-2.中小企業診断士の強み

経営コンサルタント唯一の国家資格が、中小企業診断士です。

その名の通り、中小企業の経営状態を診断し、適切なアドバイスをするのが業務の大きな役割となっています。

試験においても、中小企業への助言を想定した事例分析が課されるので、ある程度のコンサルティングスキルが付いている人がほとんどでしょう。

資金繰りにおいても、経営者の悩みを的確に分析し、よりよい方向に導くための助言をしてくれます。

先ほど紹介した行政書士と同じく、金融機関との面談にも同席してくれるので、安心してお任せしましょう。

2-2.顧問税理士から紹介を受けるのもアリ

さて、行政書士・中小企業診断士に頼むとしても、どうやって資金繰りに強い人を選べばいいのでしょうか?

一番いいのは、顧問税理士から紹介してもらうことでしょう。

地域で開業している税理士なら、勉強会等で行政書士・中小企業診断士などとのパイプを持っていることが多いです。

顧問税理士が素性を知っている人なら、会社の資金繰りの事情の説明もスムーズにいくので安心できます。

それでも、1人の専門家で決めてしまわず、2~3人の専門家に無料相談してみるのをおすすめします。

資金繰りは会社のお金に関する問題である以上、腹を割って話せる人であるかどうかも重視してください。

3.取引銀行に相談

会社が資金の融資を受ける場合、取引銀行への相談も忘れてはいけません。

相談する際の注意点を考えてみましょう。

3-1.取引銀行に相談するときの注意点

資金繰りに困った場合、一番やってはいけないことは、「取引銀行への相談を遅らせること」です。

資金繰りが厳しくなった時点で、税理士・行政書士・中小企業診断士などの専門家と相談したうえで、返済の一時停止や月ごとの返済額の減額など、状況に応じた対応を依頼するのをおすすめします。

また、税金を滞納している場合は、銀行への返済より優先させて返済してください。

税金の場合、返済を伸ばせば伸ばすほど、高額な延滞税が課されるため、後々の負担が大きくなってしまいます。

銀行との条件交渉においても明らかにマイナスになるので、相談に先立って解消しておくのが必須です。

3-2.リスケジュールの相談をしてみる

取引銀行に返済条件の変更(リスケジュール)や借入の一本化が可能か、相談してみるのも1つです。

貸出先の会社が倒産して債権回収が不能になることを銀行は恐れます。返済条件の変更については銀行も前向きに相談に乗ってくれます。

リスケジュールに応じてもらえた場合や、その他の銀行等からの借入を1つにまとめてもらえれば、月々の返済額は大幅に減ります。毎月の固定支出が減ると、資金繰りは劇的に改善します。

ただし、リスケジュールはいいことばかりでもありません。新規の融資を受けることができなくなりますので、注意しましょう。銀行からすれば、当初の約束を守ってくれなかった会社に新たな融資はしたくないと思うのも当然です。

リスケジュールは基本的には一度しか通用しないと考えておきましょう。リスケに次ぐリスケとなれば、会社の信用は失墜します。銀行もやむを得ず、損切をしてでも、会社を倒産させてでも、回収できるものは回収しようとしてくるかもしれません。

複数回、リスケの打診を行う場合は、慎重に事をすすめることをオススメします。

なお、リスケジュールの際は、決算書のほか、「経営改善計画書」の提出を求められるケースが多いので、予め作成しておくようにしましょう。必要に応じて、顧問税理士や外部の専門家に作成について、相談をされると良いかと思います。

経営改善計画で、今後の業績改善が見込めることをアピールしましょう。

4.公的機関の窓口(公庫・制度融資)に相談

公的機関でも、資金繰りが厳しくなった時のための融資が受けられます。使える融資制度をわかりやすく表にまとめました。公的機関からの借入を公的融資と言いますが、中でも代表的なものは日本政策金融公庫制度融資です。直接相談を行うことも可能ですし、お近くの商工会議所・商工会でも相談を受け付けています。

4-1.日本政策金融公庫

【経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)】

社会経済的な環境の変化によって一時的に売上が落ち込んだり、急な経費の支払い等により経営環境が悪化した場合に利用できます。

利用できる人 社会的、経済的環境の変化等外的要因により、一時的に売上の減少等業況悪化をきたしているが、中長期的にはその業況が回復し発展することが見込まれる方で、次のいずれかに該当する方
1.最近の決算期における売上高が前期または前々期に比し5%以上減少している方
2.最近3ヵ月の売上高が前年同期または前々年同期に比し減少しており、かつ、今後も売上減少が見込まれる方
3.最近の決算期における純利益額または売上高経常利益率が前期または前々期に比し悪化している方
4.最近の取引条件が回収条件の長期化または支払条件の短縮化等により悪化している方
5.社会的な要因による一時的な業況悪化により資金繰りに著しい支障を来している方または来すおそれのある方
6.最近の決算期において、赤字幅が縮小したものの税引前損益または経常損益で損失を生じている方
7.前期の決算期において、税引前損益または経常損益で損失を生じており、最近の決算期において、利益が増加したものの利益準備金及び任意積立金等の合計額を上回る繰越欠損金を有している方
8.前期の決算期において、税引前損益または経常損益で損失を生じており、最近の決算期において、利益が増加したものの債務償還年数が15年以上である方
融資の条件 融資限度額 4,800万円
返済期間 ・設備資金15年以内
(据置期間3年以内)
・運転資金8年以内
(据置期間3年以内)
担保・保証人 相談の上決定
利率 相談の上決定

(参照:経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)|日本政策金融公庫

【金融環境変化対応資金(セーフティネット貸付)】

融資を受けていた金融機関がトラブルを起こしたため、一時的に資金繰りが困難になった場合に利用できます。

利用できる人 金融機関との取引状況の変化により、一時的に資金繰りに困難をきたし、中長期的には資金繰りが改善し経営が安定することが見込まれ、次のいずれかに該当する
①取引金融機関が行政庁から業務停止命令(一部業務停止命令を含む。)を受けた
②取引金融機関が実質的に経営破綻の状態等にある
③預金保険法等の規定に基づき、取引金融機関からの借入等が株式会社整理回収機構に譲渡された方などで、経常利益を計上しているなど、業況が順調であると認められる
④経営状況が悪化していないにもかかわらず、金融機関からの借入金利が長期プライムレートの変動に比べ相対的に上昇するなどの状況にある
⑤国際的な金融不安や経済環境の変化を背景に、取引金融機関から次の(1)から(5)までのいずれかの要請または取扱いを受けている
(1)借入残高の減少
(2)約定した返済条件を超える弁済
(3)当座預金の解約
(4)担保・保証人の追加
(5)借入金利の引上げ
融資の条件 融資限度額 別枠 4,000万円
返済期間 ・設備資金15年以内
(据置期間3年以内)
・運転資金8年以内
(据置期間3年以内)
担保・保証人 相談の上決定
利率 相談の上決定

(参照:金融環境変化対応資金(セーフティネット貸付)|日本政策金融公庫

【マル経融資(小規模事業者経営改善資金融資制度)】

商工会議所や商工会などの経営指導を受けている小規模事業者が、経営改善に必要な資金を無担保・無保証人で利用できる制度です(マル経融資とは?)。

日ごろから経営指導を受けていれば、スムーズに申し込めます。

利用できる人
  • 常時使用する従業員が20人(商業またはサービス業(宿泊業および娯楽業を除く)に属する事業を主たる事業として営む方については5人)以下の法人・個人事業主
  • 最低1年以上、商工会議所・商工会地区内で事業を行っている
  • 商工会議所・商工会の経営・金融に関する指導を原則6か月以上受けていて、事業改善に取り組んでいる
  • 所得税、法人税、事業税、都道府県民税等を完納している
  • 日本政策金融公庫の非対象業種等に属していない業種の事業を営んでいる
融資の条件 融資限度額 2,000万円(平成29年3月31日まで)
返済期間 ・運転資金7年以内(据置期間1年以内)
・設備資金10年以内(据置期間2年以内)
担保・保証人 不要(※保証協会の保証も不要)
利率 年1.16%(特別利率F、平成28年12月9日現在)

(参照:マル経融資(小規模事業者経営改善資金)|日本政策金融公庫

なお、日本政策金融公庫から既に借入を行っていて、更に追加融資を申し込む場合はこちらのページも参考にしてください。

4-2.制度融資

各都道府県でも、資金繰りが厳しい時のつなぎとして使える制度融資を設けています。ここでは、東京都の制度をご紹介しましょう。

利用できる人 原則 次の2つの条件を満たす法人(医業を主たる事業とする法人を除く)
①都・都内区市町村の保証付融資制度を利用し、約定(元金)返済を1年以上継続
②経常利益を計上し、債務超過でなく、「中小企業の会計に関する基本要領」の適用に関する確認書類を提出
例外 上記の①を満たす中小企業者等
融資の条件 融資限度額 原則 5000万円
例外 500万円
返済期間 原則 2年以内
例外
利率 原則 金融機関の定めるところによる
例外

(参照:005_東京都中小企業向け融資制度のご案内

5.ファクタリング業者

資金調達の手段として最近注目されているのがファクタリングです。

ファクタリングでなぜ資金調達ができるのでしょうか?

5-1.ファクタリングの仕組み

分かりやすく言えば、会社が保有している売掛金をファクタリング業者が譲り受け、本来の売掛金の回収日前に手数料を差し引いた部分をファクタリング業者から会社に支払う取引がファクタリングです。

ファクタリング業者は、本来の売掛金の回収日になったら、取引先から売掛金の支払いを受け、資金を回収します。

5-2.ファクタリングのメリットとデメリット

それでは、ファクタリングのメリットとデメリットにはどんなものがあるのでしょうか?

5-2-1.ファクタリングのメリット
  • 売掛金を早めに資金化できる
    売掛金は「すでに売り上げたものに関する代金を後から回収する」目的があるため、回収までに時間がかかります。その間に資金繰りが厳しくなった場合、たとえ手数料をひかれても回収するほうが、結果としてはプラスになります。
  • 利子が発生しない
    ファクタリングは借入ではないので、利子を払う必要はありません。銀行などの金融機関から追加融資を受けると、一時的に資金繰りは改善しますが、同時に利息も支払わなければいけないので、中長期的に悪影響を及ぼす恐れがあります。
5-2-2.ファクタリングのデメリット
  • 手数料がかかる
    ファクタリング業者は、利用者である会社に支払う金額と実際に売掛金の回収分として得られる金額の差額分の手数料を得て収益をあげるビジネスモデルを基本としています。手数料を支払いたくない場合は、あまり魅力的ではありません。
  • 債権譲渡登記、取引先の承諾が必要
    取引先によっては、売掛債権の譲渡にあたって債権譲渡登記を行う必要が生じる場合もあります。また、債券譲渡登記が必要なくても、取引先の承諾を得ていたほうが、トラブルは起こりにくいです。取引先に知られたくない場合は、ファクタリングを利用しにくいのも事実でしょう。

5-3.ファクタリング会社の選び方

ファクタリングを活用できるかどうかは、ファクタリング会社の選び方にかかっています。

選ぶ際のポイントをお伝えしましょう。

5-3-1.償還求償権の有無

万が一、取引先が倒産した場合、売掛金の代金の弁済責任を負うのは会社・ファクタリング業者のどちらになるのでしょうか?

この疑問の答えには、償還求償権の有無が大きくかかわっています。

分かりやすくするために、表にしてみました。

償還請求権 あり 弁済責任は会社にある(会社が払わなくてはいけない)
なし 弁済責任はファクタリング業者にある(会社は何もしなくていい)

ファクタリングを利用する際は、償還求償権はどちらにあるのかをしっかり確認しましょう。

5-3-2.利用限度額

ファクタリング業者によって、利用限度額にはかなり開きがあります。

数十万円程度の少額のみに対応しているか、数億円規模の高額にも対応しているかを把握し、目的に合った業者を選びましょう。

5-3-3.手数料

一般に、初めてファクタリングを利用する場合は、手数料はやや高めです。

他の金融機関と同様、利用実績があるほど手数料は安く、限度額は高くなっていく傾向にあります。

手数料が高いと感じた場合は、ほかの業者にも見積もりを取ってみましょう。

5-3-4.応対

事前の電話相談、面談時の対応も業者を選ぶポイントです。

お金の話である以上、信用がおけるかどうかを大事にしましょう。

事情をよく把握せず、一方的に自社の状況を話してくる業者だった場合、他もあたってみるのをおすすめします。

5-3-5.契約書の交付

信じられない話かもしれませんが、ファクタリング業者の中には、契約の際に正式な契約書を交付しない会社もあります。

悪徳業者の確率が高いので、契約書の有無・内容は冷静に確かめてください。疑問を感じたら、すぐに質問して解決しておきましょう。

ローン

事業資金として使うことを想定して提供されている、無担保のローン商品です。

以前は、ビジネスローンも銀行系とノンバンク系に分かれていましたが、現在では大きな違いが見られなくなりました。

ビジネスローンは次の特徴を持った借入方法を言います。

  • 審査のスピードが速い
  • 無担保・無保証で利用できる
  • 個人事業主や中小企業(特に零細)が主な対象とされている

詳しく見ていきましょう。

6-2.ビジネスローンのメリットとデメリット

6-2-1.メリット
  • 審査から融資までのスピードが速い
    通常の融資とは違い、スコアリングという手法を使って審査を行っているためです。スコアリングとは、簡単に言えば借入をしたい人が提出した情報をデータベースに入力し、瞬時に「いくらまで融資ができるか?」「金利・返済期間はどのくらいか?」を数字として出す仕組みと考えてください。申し込みに必要な書類も少ないため、最短で1日で借りられる場合もあります。
  • 審査に通りやすい
    通常の金融機関の融資に比べると、やや審査は緩いです。そのため、融資を断られた場合でもビジネスローンとして申し込めば、審査に通る可能性もあります。
  • 担保、保証人は原則不要
    担保を提供する必要も、誰かに保証人になってもらう必要もありません。人には知られたくない、という場合でも安心です。
  • 提出書類が少ない
    銀行系金融機関からの借入には、決算書、試算表、資金繰り表、事業計画書、収支計画書、登記事項証明書、印鑑登録証明書など融資の審査に必要となる提出書類が多岐に渡りますが、ビジネスローンの場合は、運転免許証など必要最小限の本人確認書類あるいは事業所証明などだけでOKなケースもあります。ビジネスローンを提供している会社によって必要書類は異なりますので、それぞれ確認してみてください。
6-2-2.デメリット
  • 金利が高い
    借入までのハードルが低くなっている反面、金利はやや高めに設定されています。取引実績があれば低くなる可能性もありますが、最初から低くしてもらうのはあまり期待できません。金利が高ければ、当然、その後の資金繰りに大きな影響を与えます。ビジネスローンの返済資金をビジネスローンで調達するなどを繰り返していくと、雪だるま式に借金が増えていくことになります。最終的には返済ができなくなってしまう可能性も残るのです。高金利の借入は、多重債務のリスクが付いて回ります。ビジネスローンは、本当に必要なときにだけ、スポットで利用しましょう。
  • 業者の質の差が激しい
    ビジネスローンは大手銀行、地方銀行、貸金業者(=ノンバンク)など、様々な業者が提供している商品です。親切な対応をしてくれる業者に当たればあまり問題はありませんが、万が一、対応の悪い業者に当たった場合、フォローが大変になります。

6-3.悪徳業者に気を付けよう

どの業者を利用するかは、個々の事情に応じて考えましょう。 一般に、「大手銀行>地方銀行・信用銀行>ノンバンク」という順番で借入が簡単になります(右に行けば行くほど簡単です)。

しかし、ビジネスローンを使う場合に必ずやってほしいことがあるので覚えておいてください。

業者が悪徳業者(違法業者、いわゆる「闇金」)でないか、ちゃんと確認しましょう。金融庁・貸金業協会のホームページから検索できます。

(参照:違法な金融業者に関する情報について[平成28年12月8日更新]

(参照:【悪質業者の検索】悪質業者の検索 | 日本貸金業協会

まとめ

資金繰りが厳しくなった場合、一番やってはいけないのは「誰にも言わない」ことです。

誰にも相談しない・言わないまま、借入金を増やすなどの付け焼刃な対応を繰り返すばかりでは、いつか限界がきます。

「これはまずいな…」と不安を覚えた時点で、まずは顧問税理士や資金調達の専門家・コンサルタントに相談しましょう。

ここで挙げた方法の中で、資金繰りにの改善に最適なものを組み合わせて、前向きな提案をしてくれるはずです。

 

 

 

 

銀行だけじゃない!
つなぎ資金を賢く借りる為のポイントとその調達先

事業を行っていると、運転資金の悩みは常について回ってくるものです。なかでも、つなぎ資金が必要になった場合、中小企業や個人事業主では、銀行からの資金調達はそう簡単にはいきません。

そこで、資金繰りが悪化するその前に、つなぎ資金を借りる手段は銀行の他にもあるということを知っておくことは大変重要です。

【目次(もくじ)】

  • 1.つなぎ資金とは
  • 2.つなぎ資金が必要となる背景は?
    |-①入金遅れや得意先の倒産などの場合
    |-②大量の注文を受けた場合
    |-③過剰な在庫を抱えている場合
  • 3.つなぎ資金を借りる為の方法
    |-①銀行借入
    |-②ABLの活用
    |-③ノンバンクからの借り入れ
    |-④ファクタリング会社の活用
    |-⑤手形貸付
    |-⑥手形割引
  • 4.つなぎ資金を借りる場合に考えておくべきこと
  • 5.慢性的につなぎ資金が必要になってしまったら
  • 6.まとめ

1.つなぎ資金とは

まず、つなぎ資金とはどんなものなのでしょうか。つなぎ資金とは「将来、資金調達や入金の予定があるが、それまでの支払に必要な資金」のことです。

運転資金の一種と言うこともできますが、その中でも短期的な「次の支払いに必要なお金」とイメージするとわかりやすいでしょう。

2.つなぎ資金が必要となる背景は?

では、どんな場合につなぎ資金が必要になるのでしょうか。

つなぎ資金が必要になるということは、事業そのものに何らかの課題を抱えているケースが大半です。

ですから、「なぜつなぎ資金が必要になったのか?」をまずは把握しておく必要があります。

①入金遅れや得意先の倒産などの場合

回収が遅れたり回収できなくなったりすることで、一時的に資金繰りが悪くなります。

しかし、金額が大きすぎるのではなく、基本的にしっかりと利益を確保できているのであれば、近いうちにつなぎ資金は必要なくなるでしょう。

②大量の注文を受けた場合

得意先から大口の注文を受けた場合や、特定の商品が大量に売れるようになった場合です。

この場合は、受注した商品を準備するために、今後の注文に応じるために、材料や商品の仕入を増やしたために支払が多くなってつなぎ資金が必要になることがあります。

③過剰な在庫を抱えている場合

在庫を過剰に抱えていると、資金が不足します。在庫の調達に資金が必要になる一方で、在庫を販売して現金化することができないためです。

なお、売上の減少自体は、理論上はつなぎ資金が必要になる原因とはなりません。

多くの場合、売上が減少しているにもかかわらず在庫調整をしないせいで、結果として在庫過多になって資金が不足しています。

3.つなぎ資金を借りる為の方法

つなぎ資金が必要となった場合、どこから資金調達できるかを知っておくのは非常に重要です。

つなぎ資金が必要になる原因として多い入金遅れや得意先の倒産による場合は、とにかく短期間で資金を調達しなければ支払いに窮してしまうからです。

最悪の場合、自社が倒産してしまう可能性もあると心得ておきましょう。

以下に、つなぎ資金の調達に活用できる方法を6つ紹介します。

①銀行借入

最も一般的で低金利な調達方法が、銀行借入です。しかし、最もハードルが高い方法でもあります。

銀行から融資を受ける場合には、決算書や事業計画書など多くの書類を提出しなければなりません。

それらを元にして融資しても大丈夫かどうかを判定しているためです。そのため、審査が厳しく時間がかかってしまうのがデメリットです。

差し入れられる担保があるのであれば、審査を通過する可能性は高まるでしょう。

②ABLの活用

ABL(Asset Based Lending)は、銀行借入の一種です。

一般に、銀行借入の際に差し入れられる担保は、土地・建物といった不動産と考えられていますが、ABLでは売掛金・棚卸資産・自動車などの動産を担保として融資を受けることができます。

売掛金などの資産価値に、銀行が設定する一定の料率を掛けて融資限度額が設定されます。

不動産がなくても融資を受けられるのは魅力的ですが、やはり銀行との取引のため審査があり、融資まで時間がかかってしまいます。

また、「コベナンツ」と呼ばれる「融資にあたって担保としている財産に関する約束事」が定められるなど、すぐに必要な資金のために活用するものとは言えません。

将来のつなぎ資金需要のためにABLで融資限度枠を作っておくといった使い方になるでしょう。

③ノンバンクからの借り入れ

ノンバンクとは、銀行のような預金業務を行っていない金融機関です。消費者金融の事業者向けのようなもので、ビジネスローンと呼ばれることもあります。

ノンバンクの特徴は、融資が受けられるまでの時間が非常に短いことです。

そのため、急遽つなぎ資金が必要となった場合でも資金調達をすることができます。

しかし、すぐに融資が受けられる理由は審査を簡易なものにしているためで、その分、金利は高くなります。

超低金利と言われる今の時代でも、金利は年利で10%を超える場合もあります。

④ファクタリング会社の活用

ファクタリングとは、売掛金を金融機関に売却して現金を受け取るものです(※)。

ファクタリングには、売掛先にファクタリングの利用が知られない「2社間ファクタリング」と、ファクタリング会社が直接売掛先から回収をする「3社間ファクタリング」があります。

3社間ファクタリングでは手数料が低く、1~5%程度のところが多いようです。一方の2社間ファクタリングでは、6~30%程度の高額の手数料がかかります。

ファクタリング会社が買い取った債権が売掛先の倒産などで回収できない場合に、自社に支払を求められる「償還請求権」がついている場合は手数料が安く、ついていない場合には手数料が高くなります。

ただ、2社間ファクタリングの多くは、償還請求権が設定されていません。

なお、ファクタリングの手数料は、「金利ではない」ことに注意しましょう。手数料10%で10万円の売掛金を売却した場合には、受け取る金額が10%引きの9万円になるということです。

※信託銀行などが提供している「手形削減サービス」もファクタリングと呼ばれますが、これは代金の支払いをする会社側が検討するものです。ここでは、資金調達手段としてのファクタリングについてのみ説明しています。

⑤手形貸付

仕入代金の支払いに手形を使用している場合、手形を使って資金を借り入れることができます。

銀行からの融資を受ける際に、返済期日を支払期日とした手形を差し入れる場合も手形貸付にあたります。

この場合は、通常の銀行借入と同じように厳しい審査があります。一方、手形貸付や後述する手形割引を専門としている業者もあり、そこを利用すれば、金利は高いものの簡易な審査で、短期間で資金を調達することができます。

利率は、手形を振り出した者である借り入れを申し込んだ事業者の信用力に左右されます。そのため、一概に言うことはできません。また、手形貸付の場合は返済期間が半年から1年程度と、つなぎ資金を調達するという意味では長めの期間を設定するのが一般的です。

1か月だけという資金調達には向かないでしょう。

⑥手形割引

得意先から回収した受取手形を金融機関に裏書譲渡して、割引手数料を差し引いた金額を受け取るのが手形割引です。

この場合、金利がいくらになるかは手形の振出人の信用力に左右されます。

手形専門業者に裏書譲渡する場合、割引手数料は高くなるものの短期間で現金化することができるでしょう。

償還請求権がない場合のファクタリングと異なり、割引に出した手形が不渡りとなった場合には、裏書人である自社が業者に支払をする義務が発生します。

そのリスクが残る分だけ手数料は安くなりますが、万が一の可能性があることを忘れないようにしましょう。

以上のつなぎ資金の調達方法があります。それぞれの特徴を表にまとめました。参考にしてください。

つなぎ資金・つなぎ融資の調達先一覧
金利手数料 審査 調達までの時間 借入金額 信用力
銀行借入 × × 必要
ABL × × 必要
ノンバンク あまりいらない
2社間ファクタリング × あまりいらない
3社間ファクタリング あまりいらない
手形貸付 必要
手形割引 必要

4.つなぎ資金を借りる場合に考えておくべきこと

つなぎ資金を借りることができる手段を知っておくのは重要です。

しかし、もう一つ重要なことは、「つなぎ資金を借りなくて済むような態勢を整えること」です。

前述の通り、つなぎ資金を借りなければならなくなったことには原因があります。現状を切り抜けなければならないためとはいえ、つなぎ資金を高金利で借り入れるのですから、再び借りなくてもよいように努力をすることも忘れてはなりません。

例えば、入金遅れや貸し倒れが発生しても資金不足に陥らないように、手持ちの現預金を確保しておくという対策を取ることができます。

しかし、考えるのはここまでではありません。そもそも、「手持ちの現預金が充分でない経営状態だったから」つなぎ資金が必要となったのです。

もう一歩踏み込んで、どうして現預金が少なくなってしまうのかを考えましょう。

「収入が少ない」のか「支出が多い」のか、またはその両方かです。収入が少ないのであれば、薄利で売っているものの取扱いを減らすか、高い利益を出せる商品に注力するといった手段が考えられます。

支出が多いのであれば、コスト削減方法を考えるべきです。

また、不良在庫を抱えているせいで資金繰りが悪化してしまったのであれば、在庫を減らす手段を考えましょう。

機械が遊んでいるから、勤務時間中ずっと従業員に仕事をさせなければいけないから、在庫が多くなってはいないでしょうか。

本来考えるべきは、最小の在庫で最大の売上を達成することです。場合によっては、従業員の削減や稼働時間の短縮なども視野に入れるべきでしょう。

5.慢性的につなぎ資金が必要になってしまったら

慢性的につなぎ資金を借りなければならなくなると、残念ながら、事業としては末期症状と言わざるをえません。

つなぎ資金の借入利息を10%とし、1年のうち1/4の期間でつなぎ資金を借りているとすると、借入利息2.5%で年中借入をしているようなものです。

しかし、経済産業省の「平成27年中小企業実態基本調査(平成26年度決算実績)」によれば、中小企業の営業利益率は2.62%です。つまり、3か月間つなぎ資金を借りていると、それだけで利益がすべて吹き飛んでしまう計算です。

これでは、借金を返済するためだけに働いているようなものです。それに、少し業績が悪化すると大赤字になってしまいます。

そんな状態になってしまったのであれば、会社の再建を考えるべきです。

日々の資金繰りと営業活動で忙しいでしょうが、そうしているだけで状況が好転することはまずありません。信用保証協会のサポートを受けた上での融資なども考えて、時間をかけて経営改善をしていくことも選択肢として考えるべきです。

6.まとめ

つなぎ資金を借りる為の手段は様々なものがあります。

それぞれの特徴を把握した上で、適切な使い方をすれば、経営にとってプラスに働くことでしょう。

しかし、つなぎ資金の確保ばかりに気を取られて、肝心の経営状況の改善を忘れてはいけません。

つなぎ資金は、「入金があるまでのつなぎ」であると同時に、「一時的に苦しい経営状況を回復させるまでのつなぎ」でもあります。

借りることだけを考えず、事業の未来を見据えて活用するのが、つなぎ資金を賢く利用するためのポイントです。

参考URL:経済産業省「平成27年中小企業実態基本調査(平成26年度決算実績)」

 

 

銀行融資の審査を通す7つのポイント~融資担当者はココを見ている~

会社を運営していくうえで、多くの場合、銀行からの融資を受けたいと思う機会があるでしょう。

信用保証協会の保証がないプロパー融資の場合は、銀行も特に慎重に融資判断を行います。

融資をスムーズに受けられるようにするためには何が必要なのか、融資担当者はどんなところをチェックしているのかについて説明します。

【目次(もくじ)】

  1. 資金使途
  2. 借入金額
  3. 返済原資
  4. 担保・保証人の有無
  5. 返済期間と金利
  6. 経営者の人間性
  7. まとめ ~融資審査を通すためにも最低限そろえておきたい書類について~

ポイント1.資金使途

1つ目のポイントは「資金使途」です。

資金使途には「運転資金」「設備資金」があります。

運転資金とは、事業を運営するために必要な資金です。仕入代金の支払いと売上の回収までタイムラグがあります。

そのため、仕入代金などの支払いから売上回収までの間に資金が必要となり、それが運転資金で継続的に発生するコストです。具体的には、仕入代金、人件費、家賃、広告宣伝費などがあります。

一方、設備資金は、商品や原材料以外の購入に必要な資金です。

機械や自動車、事務用品、事務所の購入や賃貸にあたっての初期費用などが含まれます。

融資担当者は、「なんのために融資を受けようとしているのか」を考えます。

借入を何に使おうとしているのかがわかれば、ちゃんと返済されるかどうかの見込みを立てやすくなるからです。

「設備資金の融資を受けて機械を購入し、売上がアップして業績がよくなれば、返済に問題はなさそうだ」

「運転資金が必要ということだが、売上が減少して必要な運転資金も減っているはずなのに、どうして運転資金が必要なんだろう」

資金使途を確認することで、こういったことを考える手掛かりにしているのです。

融資を受けた後で注意しておかなければならないのは、資金使途違反です。

「設備資金を借りたい」と言っていたのに借入を運転資金に充てていた場合などのとき、資金使途違反に当たります。

そうなると、銀行にとっては確実に返済してもらえるかのシナリオが変わってしまう大問題です。資金使途が違うなら融資できる限度額が変わってしまうからです。

そのため、資金使途違反が発覚すると、会社と銀行との信頼関係が失われ、追加の融資を受けられなくなったり、最悪の場合は即時全額返済を求められたりすることもあります。

「このお金は銀行から借りたもの」と目印がついているわけではないため、悪気なく設備資金で借りたお金を運転資金に回したり、運転資金で借りたお金を設備投資に使ってしまったりしてしまう人もいます。

しかし、設備投資したときの領収書や現物の確認、決算書の分析などで、すぐにバレてしまいます。

どうしても借り入れたときとは違う使途でお金を使いたいケースが発生した場合は、まずは銀行の担当者に相談してみましょう。

ポイント2.借入金額

2つ目のポイントは「借入金額」です。

会社の規模や事業内容から考えて過大な借入をした場合、借入金の支払利息で利益が圧迫されてしまいます。また、元本の返済が資金繰りに影響してしまう可能性もあります。

過大な借入は、会社の成長を阻害してしまうかもしれないのです。

思った以上の成果をあげられないと、最悪の場合、経営状態が大幅に悪化してしまうかもしれません。

そのため、融資担当者は、会社が希望している借入金額が適正なものかどうかを判断しています。あまりに多額の借り入れを希望している場合は、それよりも少ない金額しか融資できないという判断をするでしょう。

では、どれくらいの借入金額にすればいいのでしょうか。

設備資金の場合は、購入しようとしている機械などの設備がいくらかで決まります。

設備の見積もりを取り、その金額を基準にして借入金額を決めましょう。なお、銀行からも、事前に購入予定設備の見積書などの提示が求められます。

運転資金の場合は、一概にいくらと言うことはできません。仕入代金の支払いと売上の回収が、現金なのか掛けなのか、支払・回収の期間などの条件で変わってくるためです。

そこで活用できるのが、運転資金を簡易に求めることができる公式です。

運転資金=売上債権+棚卸資産-買掛債務

となります。

運転資金は、売上の回収に時間がかかるならば大きくなり(売掛金が多くなる)、仕入代金の支払いがゆっくりでいいのならば小さくなります(買掛金が多くなる)。

つまり、小売業など、売上代金を現金ですぐに受け取る場合には、運転資金は少なくて済みます。

ただ、注意しなければならないのは、決算書の貸借対照表から求められる運転資金は、あくまで「決算日に必要な運転資金」だということです。

決算の時期が閑散期で売掛金も棚卸資産も少なくなっているなどの場合には、貸借対照表から求められる運転資金が繁忙期よりも少なくなってしまうのです。

よって、繁閑差が大きい会社の場合は、毎月の試算表で運転資金を求めて、借入金額を決定することをおすすめします。

ポイント3.返済原資

当然ですが、借りたお金は返済しなければなりません。そのため、融資担当者は返済原資があるかどうかをチェックします。

ただし、これは前述の資金使途と借入金額との関連が強いと言えます。

会社の立場から見れば、設備資金で融資を受けて、設備投資をすることで利益を増やします。

また、運転資金として融資を受けたときは、仕入代金を支払って、売上を回収することで利益を出し、それを借入金返済の原資にしようと考えます。

しかし、銀行は融資の返済を確実にしてもらいたいと考えているため、将来の成長性よりも過去の実績を重要視する傾向にあります。

そのため、融資を受けることでこれだけ利益を上げられるという見込みがあったとしても、必ず現状で利益が出せているかという状態を重視します。

こういったポイントを確認するために、決算書や試算表が活用され、場合によっては事業計画書や再建計画書といった事業プランを確認できる資料をチェックされます。

ポイント4.担保・保証人の有無

担保や保証人の有無も、融資審査に影響を与えます。担保や保証人がなければ融資が受けられないというわけではありません。

前述の項目で考慮される財務内容や事業内容に魅力があれば、担保が不足していたり保証人がついていなかったりしても融資を受けることができます。

土地や建物といった担保が差し入れられる場合は、その担保価値に応じた融資が受けやすくなるのは事実です。ただ、どの資産を担保に差し入れるかは注意が必要です。

例えば、工場の土地を担保に融資を受けたとしましょう。

返済が滞った、資金使途違反があったことなどがきっかけとなり、担保権を行使されて工場の土地を第三者に売却されてしまうと、工場の立ち退きを要求されてしまうかもしれません。このように、事業と直結する資産は、極力、担保に供さないようにしましょう。

なお、近年ではABL(Asset Based Lending)という借入方法も増えてきています。

ABLは「動産・売掛金担保融資」とも呼ばれ、売掛金や棚卸資産を担保として融資を受けることができるものです。

「売掛金は簿価の○割、棚卸資産は簿価の△割」というように評価し、その評価額分の融資が受けられるという仕組みです。

担保に差し入れられる固定資産が少ない会社にとって、検討する価値のある方法の1つではないでしょうか。ただし、ABLは運転資金の調達には向いていますが、設備資金の調達には向きません。むしろ、銀行も応じてくれないでしょう。

売掛金や棚卸資産を担保とする場合、繁閑差とともに融資限度額が変動するためです。

ポイント5.返済期間と金利

返済原資があるかどうかを見るときには、事業プランとあわせて現在の返済期間や金利も考慮するポイントになります。

現在の返済期間を見るために、決算書に直接は表れない「債務償還年数」をチェックされます。

債務償還年数とは、「現在の借入金が、会社の利益によって何年で返済することができるか」を求めたものです。

次のような方法で求められます。

債務償還年数=(有利子負債合計-運転資金)÷キャッシュフロー

  • 有利子負債合計:短期・長期借入金や社債など
  • 運転資金:上記の式と同じ
  • キャッシュフロー:利益+減価償却費(利益は、営業利益・経常利益・税引後純利益のいずれかを使用。ただし、営業利益・経常利益を使う時は、税金相当分を控除する)

この債務償還年数は、一般的に、10年以内であればよい状態だとされています。

しかし、現状で10年以内なら融資が受けられるのではありません。融資をした結果、債務償還年数が10年を大きく超えてしまうのであれば、融資をすると「よい状態ではなく」なってしまいます。

そうなると、融資を断られたり、融資額の減額を求められたりする可能性が高くなるでしょう。すでに債務償還年数が10年を超えているのであれば、追加融資を考えるよりも経営状態の改善を図る方がいいのかもしれません。

金利については、現在受けている融資の金利がどれくらいかを確認します。

細かい融資条件を会社から聞くことができなかったとしても、損益計算書の支払利息と貸借対照表の有利子負債を確認すれば、簡易的な借入金利を調べることができます。

その金利を元に、他の金融機関がどれくらいの金利で貸し出しているのかを予想し、今回の融資の金利などをどうするか検討するのです。

ポイント6.経営者の人間性

銀行の担当者は、経営者そのものもしっかりと見極めようとしています。

きっちりしている人であれば比較的安心できますが、いい加減な人であれば、借入にあたっての事業計画もずさんだと感じられてしまうでしょう。

また、イケイケで強気な経営者であれば、提出された事業計画書を多少割り引いて分析しようとするでしょう。

そもそも、会社の経営は堅実でなければなりません。

いい加減なのは論外ですが、かといって強気な経営者がいけないというわけではありません。

強気な予測をたてながらも、その一方でよくない事態を想定してそれに備えることができているのであれば、銀行の担当者も評価してくれるでしょう。

ポイント7.まとめ~融資審査を通すためにも最低限そろえておきたい書類について~

以上のようなポイントが、融資審査を受けるうえでのポイントとなります。

その上で、借りたお金をしっかりと返すことができる会社だということを証明するために、さまざまな書類をそろえておくことが大切です。

可能な限り用意しておきたい書類は、次のようなものです。

  • 決算書(貸借対照表・損益計算書など)
  • 月次試算表
  • 資金繰り表
  • 事業計画書(社歴が短い、新規事業に進出するなどの場合)
  • 再建計画書(経営状況が悪く、再建のために融資を希望する場合)
  • 購入予定資産の見積書(設備資金の融資を希望する場合)

これらの書類は、堅実な経営をしていくために必要な書類(データ)でもあります。

ということは、銀行から提示を求められたときにすばやく提示することができなければ、「この会社はしっかりと経営管理できていないかもしれない」とマイナス評価されてしまうかもしれません。

銀行が「ちゃんと返済してもらえるか」という視点で審査することは、ひいては「会社が最低限の利益をあげ続けることができるか」という経営者の視点に通じるものがあります。

堅実な経営をしていたり、考え抜かれた経営戦略があったりすれば、必然的に銀行への説明にも説得力がつき、融資審査は決してハードなものではなくなるでしょう。