給与が支払えない場合・未払いとなる恐れがある場合+労働保険料を滞納するとどうなる?+保証債務は社長が亡くなっても相続される!+自分の信用情報の調べ方

給与が支払えない場合・未払いとなる恐れがある場合

給与の滞納・支払えない場合

あなたが今このページをご覧になっているということは、既に給与の支払いができなくなっているか、あるいは、数カ月先にはそうなる可能性がある、どちらかの状態にいらっしゃるからだと思います。

まずは当サイト内の下記ページを全てお読みになってください。

そして、可能であれば実際に行動に移してもらえればと思います。

これらのページでは資金繰りの改善策、つなぎ資金・つなぎ融資が利用できる金融機関などの紹介も行っています。

  • 資金繰りに困ったらスグに行くべき6つの相談窓口とは?
  • 資金調達の順序と方法を考える
  • 今から出来る!資金繰りを改善する4つの方法
  • 急な事業資金が必要になった場合
  • つなぎ資金をスムーズに調達するには?
  • 「ファクタリング」とは?メリット・デメリットを分かりやすく解説
  • 公庫から融資を断られた場合
  • 日本政策金融公庫で追加融資を成功させるポイントと申請のタイミング
  • 日本政策金融公庫でリスケジュールを申し込む場合の注意点
  • お金を借りるのは悪いことなのか?

当ページをお読みの方も、これまで真面目に、誠実に経営をされてきたと思います。とは言え、事業経営は予期せぬ出来事の連続です。ですが、過去を悔いても仕方ありません。前を向いて現状の問題を解決していくしかありません。

上記で紹介している資金繰り対策を行った上で、それでもどうにもならない場合はどうすればよいでしょうか。

まずは個人資産の取り崩しと自分自身の給与のカット。

まずは自分の個人資産から給与の支払いができないかを考えましょう。

給与所得者は毎月の給料が安定的に入ってくることを前提として生活をしています。

住宅の家賃・ローン、その他の生活費(食費・衣類代・遊興費)子供の教育費など。

あなたも同じとは思いますが、まずはあなたに貯金があるのであれば、そこからどうにか給与が支払えないかを検討しましょう。

取引先や銀行への返済ももちろん優先的に行うべきですが、従業員がいなければ、そもそも事業自体できなくなります。

取引先や銀行への支払い遅延に関しては、支払い方法の変更や条件変更(リスケジュール)などの交渉が可能ですが、従業員の場合はそうはいきません。

給料がもらえないとなれば、よほどのことが無い限り、早々に退職の道を選択するでしょう。

無休で働くよりもまずは会社都合退職で失業保険をもらいながら、次の就職先を探します。

給与所得者の立場になって考えれば自明です。

まず第一に従業員への給料。これが事業継続の大前提です。

あなたの個人資産から補填しても足りない場合は、当然ですが、自分の給料をカットしてそこから支払いに充てましょう。

その次に役員。役員であればこのような財務状態に陥ったことについての責任も自分で感じているでしょうから、カットの交渉も行いやすいと思います。その次に部長・課長クラスの方々。最後に一般従業員の給与カット。減額交渉となります。

労働基準法のスペシャリストである社会保険労務士や弁護士に相談する。

苦肉の策としての従業員の給料カット。その交渉に入る前にまず行わなければならないこと。

それは社会保険労務士への相談です。労働基準法の遵守が必須だからです。

考えたくもないと思いますが、今後は人員そのものの削減・リストラを行う必要も出てくることでしょう。

普段から従業員と信頼関係を築いており、説得に応じてくれる場合はまだ良いですが、そうでないケースがほとんどです。

これも従業員の立場を考えると当然です。

「うちは長きにわたって従業員との信頼関係を築いてきているから大丈夫だ」と思われている社長さんも、要注意です。

社長のことを人間的には信頼していても、自分たちの生活となればまた別の話です。従業員にも生活がありますから、背に腹は変えられません。社長の事が個人的に嫌いではなくても、出るところは出ないといけなくなるのです。

残業代も合わせて請求されるかもしれない。

あなたの会社が残業代等をきちんと払っていれば良いですが、中には退職に際して過去の残業代を一括で請求してくるケースもあります。

これも致し方ないことです。

就業規則・36協定など、きちんと整備していない会社は、給与未払い等の問題だけでなくそこから更に労使トラブルにまで発展、労働基準監督署を巻き込み、更にもつれれば最終的には裁判になります。資金繰りの改善とかの話だけでは収まらなくなります。

これら労働関係の問題は専門である社会保険労務士や弁護士に、まずは相談されることを強くお勧めします。

顧問税理士がいるのであれば、社会保険労務士や弁護士を紹介してくれると思います。

まとめ

以上、いかがでしたでしょうか。

ここまでお読み頂きありがとうございました。最後に、声を大にしてお伝えしたいことがあります。

ヤミ金には絶対に手を出さないこと。

経営者が負わなければならない責任は無限ではありません。法律上は有限です。日本という国には法律による救済システムがきちんと存在しています。

自己破産という道があります。従業員への給料未払いという点に関していえば、労働基準監督署による未払賃金立替払制度(企業が倒産した場合に従業員への未払い給与を補填してくれる制度)もあります。

御存知の通り、ヤミ金は暴利です。一時的にヤミ金からお金を引っ張って給与の支払いをしたところで、とんでもない高金利ですから、その後の資金繰りが改善するとは到底思えません。もとい、資金繰りは絶対に改善しません。

社長個人の名前でヤミ金に手を出してしまい、返済が不能になり、自ら命を絶ってしまう方が後を絶ちませんが、とても悲しいことです。

言葉は悪いですが、たかがお金で命までかける必要はありません。人一倍、責任感があるからこそ、このような痛ましい事態にまで発展してしまうのでしょうが、絶対にあってはならないことです。最後は法律があなたを守ってくれます。救ってくれます。

いくら借金があろうと、借金を免除(免責)してくれる為の法律がこの国には存在しています。

やれることを全てやって、それでもダメな場合は、会社を畳むしかありません。精神誠意やるだけやって、それでもだめなら法律に助けてもらいましょう。弁護士さんに助けてもらいましょう。

 

 

労働保険料を滞納するとどうなる?

会社が支払わなければならない経費の中に「労働保険料」があります。

労働保険料は、雇用保険料と労災保険料をあわせたものです。

雇用保険、労働保険は会社の従業員に対する保険ですので、社長1人の会社であれば加入する必要はありません。

  • 雇用保険・・・従業員が失業した場合などに生活や雇用の安定を図るために必要な給付を行う制度
  • 労災保険・・・従業員が業務中や通勤途中による事故、ケガ、死亡、病気などに対して保障を行う制度

従業員を雇っている場合、労災保険は正社員やパートなどの雇用形態に関わらず、従業員を1人でも雇用した場合は必ず加入しなければなりませんが、雇用保険は原則正社員のみ加入義務があり、パートやアルバイトは労働条件によります。

どちらも保険ですので保険料が掛かります。

雇用保険料は会社と従業員がそれぞれ負担します。会社は従業員に支払う毎月の給与から従業員負担分の保険料徴収して、会社分と合わせて納付します。従業員が各自で保険料を納める必要はありません。

労災保険料は従業員の保険料負担はなく、会社が全額負担・納付しますので、労災保険料も従業員が各自で保険料を納める必要はありません。

この労災保険料と雇用保険料と合わせた「労働保険料」を会社は原則1年に1回一括して納付しなければなりません。労働保険料の納付期限は毎年7月10日に設定されています。

労働保険料を滞納するとどうなる?

納付期日までに納付しない場合、まず「督促状」が届きます。督促状には納付期日が指定されていますので、この指定期日までに労働保険料を納付しない場合は「延滞金」が発生します。

延滞金は、指定期日から完納するまでの日数に応じて計算されます。

それでも期限までに労働保険料を納付しない場合は、「滞納処分」が行われることになります。

滞納処分は、法的手続きにより滞納者の財産から強制的に保険料が徴収される強制処分です。会社の取引先金融機関、取引先の会社、市町村等に対して「財産調査」が行われます。

そして、未納保険料額に相当する財産が差し押さられ、換価代金をもって滞納金に充てられます。

労働保険は強制加入制度ですので、払わなくて済むことはありません。

もし滞納期間中に従業員に労災事故等が起きた場合、労災保険の給付を受けることは可能ですが、給付された労災保険費用の一部、最大40%を保険料とは別に会社から徴収されます。

労働保険料は従業員から預かっているお金が含まれているため、納付をしなければ従業員に不利益を与えることに成りかねません。

もし納付できない事情があるのであれば、早めに労働基準監督署に相談するようにしましょう。

 

 

保証債務は社長が亡くなっても相続される!

通常、金融機関は会社名義の融資を行う場合でも、プラスして社長個人にその融資において連帯債務を負わせます。

とりっぱぐれをしたくないからです。

会社が倒産しても、社長個人に資産があればそこを抑えればいい話ですからね。

資金繰りが悪化して、ここで融資を断られたら倒産するかもしれないというような切迫した状況の中、

「社長個人の連帯保証も付けて下さるのであれば、融資します」

と言われてしまえば、断る方が難しいですよね。

保証債務は残された家族に迷惑を掛けかねない!

社長の個人保証、最大の問題点は残された家族にも迷惑をかけてしまうことにあります。

社長個人が生きているうちは、借金を返せなくなって会社を潰してしまったとしても、金融機関と交渉をして減額してもらうなり、リスケをしてもらうなどなりをして、一生懸命働いて、コツコツ返していくことができます。

ですが、もし、志半ばで死んでしまったら、その借金はどうなるのでしょうか?

相続は、プラスの財産だけでなく、マイナスの財産も相続人に引き継がれることになります。

そして、原則として、この保証債務も引き継がれてしまうのです(配偶者がいる場合は配偶者、子どもがいる場合はさらに子どもも)。

社長が連帯保証人となっていることを知らないままですと、ある日突然銀行から借金の取り立てを受けてしまうことにもなりかねません。大事な家族に死んでから迷惑をかけるなんてことは、避けたいですよね。ましてや、家族が死んで悲しんでいる最中に身に覚えのない借金を返せと言われるのですから、その心労たるや推して知るべしでしょう。。。これだけは絶対に避けなければなりません。

家族には伝えておく。

「家庭に仕事は持ち込まない!」とお考えの方もいらっしゃるでしょう。それはそれで素晴らしいことだと思います。ですが、あなたが亡くなってしまえば、そうも言ってられなくなります。いくら格好を付けていても、あなたの意思とは別のところで勝手に相続は始まってしまうのです。

もし、ご自身が会社の借金の連帯保証人になっている場合は、予め相続人となる家族にその事実を伝えておきましょう。

社長業をしていると、連帯保証人になってほしいと頼まれることもままあります。

例えば、自分の会社の連帯保証人になってもらっている人から「うちの連帯保証人にもなってくれないか?」と頼まれたら、無碍にはできませんし、断りづらいですよね。

自分が自社の連帯保証人となっている場合はもちろん、他人の連帯保証人となっている場合の保証債務も、当然ながら相続の対象になります。

誰かの保証人になっている場合も、きちんと家族に伝えておきましょう。

残された相続人に迷惑を掛けないためにも、予めその事実を伝えること。

そして、もしプラスの財産よりもマイナスの財産(ここで言う保証債務)の額の方が多い場合は、相続放棄という制度があるということも伝えておきましょう。相続放棄に関しては、弁護士や司法書士がその専門です。

相続放棄をすると、故人の借金を返済する義務はなくなりますが、最初から相続人でなかったことになりますので、プラスの財産があったとしても、それすら放棄しなければなりません。詳細は当事務所のこちらのページで解説しています。参考にしてください(参考:相続放棄とは?相続放棄の手続き)。

 

 

自分の信用情報の調べ方

信用情報とは?

信用情報とはその人がこれまでお金を借りた記録を、記載したデータです。

クレジットカードを申し込んだり、お金を借りたりすると、その都度クレジットカード会社や貸金業者は信用情報にそのことを記録します。

その人の名前や住所に加え、登録日、契約内容、貸付額やキャッシング残高などが信用情報に記載されるのです。

そしてその後も返済や借り入れの取り引きがあるたびに情報が記録され、信用情報にはデータがどんどんたまっていきます。

信用情報は信用情報機関が収集、管理、提供を行っており、現在日本には3つの信用情報機関があります。

銀行や信用組合など金融機関の情報を取り扱う全国銀行個人信用情報センター、主にローンを取り扱う会社が加盟する株式会社シー・アイ・シー、主に消費者金融の情報を取り扱う株式会社日本信用情報機構の3つで、金融に関係する会社はいずれかの信用情報機関に加盟しています。

信用情報には借り入れやローン、クレジットカードなどの契約内容と入金、遅延、代位弁済、強制回収といった返済状況の履歴、不渡りや自己破産、個人再生といった債務整理の情報なども記載されます。

自己破産を行った場合、その記録は5年から10年程度残りますから、その間はどこからもお金を借りられなくなります。

自分の信用情報を調べることはできる?

何度クレジットカードやローンを申し込んでも断られるという場合は、信用情報に何らかのデメリットとなる情報が記載されているためかもしれません。

このようなときは、自分の信用情報にどんな内容が記載されているのかを調べることができます。

信用情報は信用情報機関に開示申請をすると、信用情報を郵送してくれます。

開示申請は開示請求書を信用情報機関に郵送して行うのが一般的です。開示申請申込書と手数料、運転免許証など本人であることを証明する書類のコピーを郵送すれば開示請求は完了です。

手数料はゆうちょ銀行の定額小為替証書で1,000円を同封します。

なお開示申請申込書は、信用情報機関のホームページでダウンロードできます。

また、日本信用情報機関ではクレジットカードで手数料を支払うことも可能です。

シー・アイ・シーでは郵送の他にインターネットや窓口でも開示申請が行えます。インターネットから申し込むと手続きが簡単なのでおすすめです。

開示申請が信用情報機関に届くと、その後信用情報が郵便で送られてきます。

信用情報を見て、延滞などマイナスの記録がないか確認しましょう。

信用情報機関に掲載されていても、日本政策金融公庫や制度融資は活用できるのか?

できる場合とそうでない場合があります。詳しくは下記サイトのページをご覧頂ければと思います。