ベンチマーク制度とは?+商工中金とは?+融資と出資の違いとは?

ベンチマーク制度とは?

環境に配慮した取り組みを評価する制度

二酸化炭素の排出量の増加をはじめ、環境問題が世界規模で取り上げられるようになっています。

オゾン層の減少や温暖化、さらに熱帯雨林をはじめした自然の消滅。これまで資本主義の名の下に自然を搾取し、消費してきた人類がその保護や対策を求められている時代になったといってもよいでしょう。

こうした環境への取り組みは、もちろんひとりひとりが日々の生活の中で取り組んでいく必要があるものですが、電力をはじめとしたエネルギーの消費が多いのは圧倒的に企業です。

それだけに企業が率先して環境問題に取り組んでいかない限り、建設的な環境対策は難しいといわれています。これは日本のように産業化が進んでいる国であればあるほど傾向が強く見られます。

しかし企業は、利益を出すために事業を行っているわけですから、「環境に配慮して省エネに投資しよう、環境のために負担を増やそう」といわれてもそう簡単に取り組むわけにはいきません。

大企業や知名度の高い企業なら資本も大きく、余剰資金もありますから、多少赤字となっても環境への取り組みをアピールすることもできますが、中小企業ではなかなかそういうわけにもいきません。

それだけに政府がさまざまな形で企業に対して省エネへの取り組みを働きかける必要があります。

ベンチマーク制度はそんな企業に対する省エネへの取り組みを促す制度なのです。

経済産業省の資源エネルギー庁によって制度の推進とその取り組みが行われています。

(参考:経済産業省・ベンチマーク制度における今後の方針について

クラスに分けたうえで対応を行っているのが特徴

このベンチマーク制度の特徴は環境に対する取り組みをS、A、B、Cの4段階のクラスに分けて評価しています。

これは省エネルギー法にもとづいたもので、省エネ対策の成果が現れている優良企業・事業者はSクラスに分類され、経済産業省のホームページで企業名や連続達成年数を公開する一方、対策がうまく進んでいない、取り組みをしっかり行っていないCクラスの企業は注意文書を送付した、改善命令や罰則を科すといった取り組みを行っています。

メリットもある

もうひとつ大きなポイントは、単に省エネへの取り組みをしっかり行っていない企業に注意を呼びかけたり罰則を科すだけでなく、優良な企業に関しては税制の優遇、融資の支援といった「見返り」を行っている点です。

しっかりやればメリットが得られ、やっていなければデメリットをこうむる。これがベンチマーク制度の基本的な仕組みなのです。

この制度はエネルギーの消費がとくに多い6業種10分野が対象となっています。

石油化学やセメント、洋紙など、この制度が当てはまる業種を経営している事業者は省エネへの取り組みを経営努力と並行して行っていく必要があるわけです。

 

 

商工組合中央金庫(商工中金)とは?

政府と金融機関の共同出資による銀行

中小企業が資金調達などを行う際に活用する機会が多い商工中金。

これは「商工組合中央金庫」との略称で、政府と民間団体が共同で出資することによって運営されている金融機関です。

(→商工中金の公式ホームページはこちらをご覧ください

いわゆる「政府系金融機関」に含まれるものですが、このような形式で運営されているのはこの銀行だけです。

民間団体が出資していることもあり、他の政府系の金融機関に比べると民間の金融機関に近いといわれており、中小企業だけでなく幅広く金融に関するサービスを行っているのが特徴です。

中小企業にとっては行っている融資にまず目が行きますが、そのほかにも預金や債権の発行なども重要なポイントです。

なお、金融不安などで日本の銀行の格付けの低下が話題になることもありますが、この商工中金は日本でもっとも高い格付けを得ています。

政府系だからこそという面もありますが、その分安心して利用できる銀行ともいえるでしょう。

中小企業に向けたサービス

商工中金という名称からも企業の支援や景気の安定化などを目指した取り組みを行っていることが窺えますが、実際に中小企業を対象にした金融サービスを大きな柱としています。

融資はもちろん、資金の移動、手形取引などを行っているほか、国際為替など国際的な業務も行っているのが大きな特徴です。

中小企業に対しては長期安定取引、企業間・地域間連携の促進を経営のモットーとしており、広い視野にたった支援・救済業務を行っている点も大きな特徴です。

中小企業へのおもな支援策としてとくに有名なのが「セーフティネット支援」です。

これは景気の変動や金融不安などの影響を受けやすい中小企業に対して支援を行う制度で、経済状況の急激な悪化や災害といった、不測の事態によって経営危機に陥ってしまった企業に対して融資を行っています。

外的要因、つまり企業がコントロールしきれない部分で業績が悪化し、なおかつ支援をすることで中長期的には業績の回復を見込める企業を対象にしているのが特徴です。

中小企業の場合、資金力の問題で厳しい状況を持ちこたえる体力が不足していることから破綻してしまうことが多いため、可能性がある会社を救済するためにこの制度が設けられています。

そのほか業務の改善や新規事業の立ち上げなど、経営の革新を行う企業に対して融資する「革新のための資金」など、中小企業をメインのターゲットとした支援制度を多数用意しています。

金融機関としてはほかにも金融債なども発行しています。

現在は完全民営化に向けての準備が進められている段階で、今後新たな変化やサービスの充実なども期待できるでしょう。

 

 

融資と出資の違いとは?【資金調達ガイド】

そんなことは知っているよと思われる方もいらっしゃると思いますが、創業期における「出資」についてはその相手方によっては注意が必要になります。

起業前のこの段階で簡単で結構ですので、頭に入れておいてもらえればと思います。

融資とは?

融資とは金融機関からの借り入れを言います。

家族・知人からお金を借りて利子を払う場合も融資には違いありません、家族間や私人間では、この言葉はあまり用いることはありません

融資は、金融機関が扱っている金融商品と考えて差し支えはありません。

銀行は預金や両替などのサービスもやってますが、結局は金貸し業です。お金を貸して、利息を付けて返済させる。その利息が儲けになります。

起業家がまず利用すべきは金貸しのプロである金融機関からの融資になります。

公的金融機関の日本政策金融公庫は国が100%の出資を行っており、民間の銀行などよりは利息も安く、借入もしやすいです。

自己資金と金融機関からの融資を持ってしても必要資金に届かない場合に、次に説明する出資を受けるかどうかを検討することになります。

出資とは?

出資には2通りあります。対価性があるかどうかです。

一切の見返りを求めない家族等からの出資(正確に言うと出資と呼んでいるだけ)と、見返りが必要なベンチャーキャピタルやエンジェル投資家等からの出資(株式や配当などで返す)があります。

前者の場合は、贈与みたいなものです(家族とは言えきちんと出資契約を交わして配当などを行う場合もありますが、稀です)。

家族ですから、出資をしたからと言って経営に口出しするケースはほとんどありません。

後者の場合は、基本的にはガンガン口を出してきます。彼らはそれが仕事のようなもので、自分たちが利益を得るために出資をしているわけですから。

少々乱暴な言い方になりますが、金貸しのプロである銀行のようなものです。口を出してくるという面で言えば銀行よりも質が悪いかもしれません(中には金出して口出さずの天使のような投資家もいますが。これを本当のエンジェル投資家というのかもしれませんね。笑)。

彼らから出資を受けた場合、通常は出資の対価として「株式」や「転換社債」などを渡します。

このとき、議決権割合には特に注意しておかなければなりません。

議決権の3分の2以上をあなた自身が保有しておく必要があります。

詳細はこちらのページ(株主総会の決議要件)を参考にして頂ければと思いますが、議決権の3分の2以上を投資家に持たれてしまうと、否応なしに解任させられる可能性が出てきます。

自分の手で創業し、育ててきた会社が乗っ取られてしまう可能性もあるということですね。

何もプロの投資家でなくてもそのくらいの知識は持っている一般人もいますから、家族以外から出資を受ける場合は、この議決権には十分に注意してください。

なお、少数株主として出資してもらう場合でも配当等は行わなければなりません。1円でもお金を出してもらったら、何らかの形でそれに報いなければならないのが出資であると覚えておきましょう。

まとめ

融資、出資いずれの場合も、プロである金融機関やベンチャーキャピタルが扱っていますので、そう簡単には融通してくれません。

お金を出すに値すると思わせるだけの事業計画が必要です。また、他を圧倒するようなあなた自身の起業家精神、経営者としての能力も必要になります。事業計画やあなたの能力を適切かつ明確に伝える為のプレゼン力ももちろん必要です。