「心を動かす文章」を書きたい時の7つの型

「心を動かす文章」を書きたい時の7つの型は就活、プログ、社内報、SNS、メルマガ等で有効です。今回は大学生の就活用のエントリーシートの設問項目(プロフィール、自己PR、学生時代に打ち込んだこと、志望動機、座右の銘や好きな言葉、最近気になったニュース、あなたの長所と短所、大学時代学んだ専門分野、最近の話題についてどう考えるか)で書く文章という設定で例文を示していきます。

 

1、プロフィールの必勝パターン「現在→過去→未来」法

まず「現在」やっている自分の活動を語ります。次にどんなきっかけで今の活動を始めようかと思ったのか「過去」のポイントを語ります。さらに遠く険しい目標に向かって頑張っている「未来」の姿で結びます。達成していない目標を描くことで、現在の自分が「欠落した存在」になるので、ストーリーの黄金律の主人公になることができるのです。

①現在やっている仕事、取り組んでいることを語る(現在)

②それをなぜやろうとしたのかきっかけになる出来事を語る(過去)

③将来どんな目標に向かって進んでいきたいか語る(未来)

設定質問→プロフィール/志望業種→出版社・男子学生

現在、私は高額分で素粒子の研究をしながら書店でアルバイトをしています。考えたら書店はスゴイ場所です。古今東西、ありとあらゆる分野の超有名人たちの知恵の結晶をわずか数千円の金額で手に入れることができるのですから。バイト代はほとんどが書籍代に消えていくのは必然です。

今はそんな私ですが、実は小さいころは本が大嫌いな子供でした。大学に入るまで漫画以外で自分から読んだ本はありませんでした。将来、どんな仕事をしたいかという具体的な目標も特にありませんでした。今の学部もたまたま数字や理科の成績がよかったから入っただけです。

そんな私の人生をかえてくれたのだ、今、働いている書店の店主でした。漫画を買おうと店に入ったとき、入り口付近の棚に「将来目標のない大学生はこれを読め!」とう特大のPOPが目に飛び込んできたのです。それは御社が発行している「未来を動かす仕事」という本でした。私は催眠術にかかったようにその本を買ってしまったのです。

初めて自分で買った本を読んで、頭をハンバーで殴られたような衝撃を受けました。おそらくそれまで本をまったく読んでこなかったからかもしれません。本には本当に「未来を作り動かす力があるんだ」と実感しました。

それから私の書店通いがはじまりました。店主がおすすめしている本を買ってむさぼるように読みました。今までまったく読んでこなかった時間を取り戻すように。やがて、店主に声をかけられるようになり、バイトではたらくことになりました。

書店で働くうちに人生ではじめて目標ができました。昔の自分のような本が大嫌いの学生に、本の魅力を届けたいという目標です。まずは御社に入って「未来を動かす仕事」をもっともっと広めたいです。もっともっと多くの学生に読ませたいです。そしてゆくゆくは、一から本づくりに携われたらいいなと考えています。いつか、店主が特大のPOPで「これを読め」と勧めてくれるような本を作ることが私の人生の目標です。

 

2、PREP(プレップ)法

PREP法とはプレゼンなどで使われる論理的な話し方のことです。「point=結論、reason=理由、example=実例、point=結論」の頭文字をとったものです。

まず結論を述べます。次にその結論に至った理由を説明します。さらに理由に至った具体的なエピソードを描写していきます。最後に再びまとめとしての結論を述べるという構成です。書き出した結論は理由でロゴスを、具体的なエピソードでパトス、エトスを補強することができます。

①冒頭で「私はこう考えます」などの結論を示す(point)

②なぜそうなのかの理由を説明する(reason)

③理由に至った具体的なエピソードを描写(example)

④もう一度結論を簡単にしめす(point)

設定質問→あなたの強みは?/志望業種→生命保険/女子学生

私の強みは、小さいころに父の転勤で何度も引っ越したことから得た「適応能力」と「ネットワーク」です。

小中学生の時、神奈川から福島、鹿児島、大阪、青森、東京と数多くの転校をしました。言葉も風習も気質も違う土地で一から友達を作っていかなければならなかったので、当時は天候がイヤだなと思っていたし、子供なりにとても苦労しました。でも今になって感じるのは、そのおかげで自然とどんな環境でもすぐになじんでいける適応能力が身についているということです。またそれぞれの地方に今でも付き合っている友達がいます。

高校・大学は東京でしたが、大学で地方から入学してきた子たちど積極的に仲良くなりました。きっと心細いだろうなとうのもわかるので。また、いろいろな地方に土地勘があり、方言も喋れるので、話が合うのです。また、毎年、夏休みや春休みはどこに行くか迷うほどに、全国のいろいろな土地から「遊びにおいでよ」というお誘いがあります。まるで日本中に故郷があるみたいです。こんなネットワークも私の大きな財産になっています。

このように、適応能力とネットワークが私の強みです。御社は全国津々浦々に支社や営業所を展開されていますが、私はどこに配属されても適応していける自信があります。

 

3、冒頭「欠落開示」法

冒頭部分で自分の失敗・挫折・欠点などの「欠落」を開示する方法です。そうすることで読み手は興味を覚えます。しかしただ「欠落」を語るだけでは共感はしてもらえません。

①冒頭で、自分の失敗・挫折・欠点などの「欠落」を開示

②そこから這い上がる決意を表明

③高く険しい目標を設定する

④いろいろな障害・葛藤・敵対する者を乗り越えていく姿を見せる

設定質問→志望動機/志望業種→菓子メーカー・男子学生

今では、不採用通知を送ってくれた企業に感謝しています。

10社連続で不採用通知を受け取った時、私の中で何かが変化しました。「よしここからが本番だ。やってやるぞ!」とスイッチが入ったのです。それまでは、「こうすれば受かる」的な情報に右往左往して、なんとなく名前を知っている有名企業をなんとなく受けていたのです。そんな学生を採用する会社がないのは当たり前です。

もう流させて就職活動するのはやめる。ネットで情報を集めない。自分で考えて、絶対に仕事がしたい本命の会社だけに絞って、そこだけを受ける。そう決めたのです。このことを友人に話すと笑われました。でも私は本気です。

「自分はどんな仕事がしたいのか」自問自答を繰り返しているうちに浮上してきたのが御社です。御社の「日本発のおいしいお菓子を世界に向けて展開していく」というビジョンを知ったからです。高校生の時、アメリカで1年間ホームステイをしたことがあるのですが、その時に感じたのは、お菓子が本当にまずいということです。あの時程、日本のお菓子が恋しかったことはありません。特に御社のロングセラー「つっぱりコーン」は、大好きなお菓子でした。日本から送ってもらった「つっぱりコーン」を、アメリカ人に食べさせた時の幸せそうな表情ったら。

「日本のお菓子で世界の人たちを幸せにする」そんな大きな目標が私の心の中に芽生えました。それを実現したい。だから御社で仕事をしたいと思いました。これが志望動機です。

まずは御社のことを徹底的に知ろうと、全国にある5つの工場をすべて見学させていただきました。北海道工場の高橋様、九州工場の吉田様にはお話しを伺い、いろいろなアドバイスをいただきました。コンビニやスーパーに寄ると、ますはお菓子売り場にいく習慣がつきました。そうしているうちに、御社が強い系統、弱い系統もなんとなくわかるよういになってきました。また今でもおつきあいのあるアメリカの友人たちにも、御社のお菓子のセットを送っています。まもなく感想が届くと思いますので、面接のときに疲労させて頂きたいと思っています。

一方的で勝手に熱い志望動機で失礼しました。御社とご縁があることを祈っています。

4、「サビあたま」法

一番盛り上がるところを冒頭に持ってくる手法のこと。冒頭のみで注目を浴びるのが効果的です。

①冒頭で、そのエピソードの一番盛り上がる部分の「会話」「叫び:を持ってきてつかむ

②それがどういう状況のエピソードなのかを説明

③そこから導かれる結論を語る

設定質問→学生時代に一番打ち込んだこと/志望業種→広告会社/女子学生

「立花さんが作ってくれるPOPは本当に効果があるよね」

店長からそう言われるたびに、私は表面上はクールを装いながら、いつもバックヤードで「よっしゃ!」とガッツポーズをしていました。

私は書店でバイトしていて、新書コーナーのPOPを任させていました。そこでPOPを書くことが学生時代に一番打ち込んだことです。完全な自慢ですが、私がPOPを書くと、なぜかその本の売り上げがあがるんです。「なぜか、あがる」と書きましたが、実はただの偶然ではありません。私は、大学で学んでいる心理学の理論を総動員して、POPを書いていたのです。そのためにあえて本は読まずにPOPを書いていました。読むと思い入れができてしまい客観的なPOPにならないからです。

狙った通りに、お客さんが手に取り、買ってくれると本当にうれしかった。でも、うまくいかないときもありました。そんな時もあきらめませんでした。最初の理論でダメなら、また違う心理学の理論を駆使してPOPを書きました。それまでまったく動かなかった本が、POPを変え、置く場所を変えただけでどんどん売れていった時には本当に鳥肌が立ちました。おもしろいなと思うようになりました。御社を志望のも、この不思議な人間の心理や行動をもっと知りたい極めたいと思ったからです。もちろん、書店のPOP作りとマスメディアを使った広告キャンペーンとはぜんぜん違うと思います。でも、商品を買うのは人なんですから、共通点もあるはずです。御社に入って、それを確かめることができたらと、真剣に考えています。

 

5、「名言引用」法

権威を利用する。

①冒頭で、有名人や偉人の名言を引用し解説

②それに合わせた(もしくは反対の)エピソードを紹介

③そこに合わせた(もしくは反対の)自分の意見を提示

設定質問→座右の銘は?/志望業種→飲料メーカー・男子学生

「下足番を命じられたら日本一の下足番になってみろ。そうしたら誰も君を下足番にしておかぬ」

阪急阪神東宝グループの創業者小林一三氏の言葉です。私はこの言葉を1年前に知り、座右の銘にする前に、バイトで確かめてみようと思いました。

アパレルチェーンでバイトした時、清掃にしても商品整理にしても、とにかく誰にも負けないように、工夫して努力したのです。一番うまいと思う先輩のやり方を盗み、さらに自分なりに改良しました。すると、すぐにレジやフィッティングも任されるようになりました。

半年たった時、店長から「バイトリーダーになってほしい」と言って頂きました。バイトリーダーになった私は、他店に負けないように工夫と努力を重ねました。先日「就職活動のためバイトを辞める」という話を店長にしいったら、「うちの会社で正社員になって働かないのか?」と言ってもらったのです。

やっぱり小林一三氏の言葉は正しかった!もちろん、それを座右の銘にしたことはいうまでもありません。(正社員の話は、御社で働きたいので丁重にお断りしました)御社に入社しても、この座右の銘を忘れません。どんな仕事に就いても、まずはその仕事で社内一になることを目指して工夫と努力を続けるつもりです。

6、冒頭「ニュース・話題・出来事」法

最近のニュースや話題に興味を持つ人が多いので、ブログやSNSなどでネタがない時には重宝します。

必ず本人自身の意見もつけます。冒頭のニュースなどから連想されるあんた自身のエピソードがあれば、あなたの意見に対する説得力がさらに増します。

①冒頭で、最近のニュース・話題・出来事を語る

②それに合わせた(もしくは反対の)エピソードを紹介

③そこに合わせた(もしくは反対の)自分の意見を提示

 

 

設定質問→最近興味があったニュースは?/志望職業→書店チェーン・女子学生

先日「大学生の一日の読書時間0分が4割超」というニュースがありました。記事には、「学生が本も読まずに会社に出ていくなんて」という書店店主の言葉が載っていました。全体的に大学生に批判的な記事です。

しかし私は逆に驚きました。「ということは、6割近くに大学生が一日のうち少しは読書をしているの?」と思ったからです。学校でも電車でも、本を読んでいる学生の姿なんて見かけることはほどんどありません。実感としてはもっと読んでいないのでは、と思ったからです。実際に私のまわりの友人に聞いてみても、一か月に一冊も読まない人間がほどんどです。私のように、月の書籍代に数万円を使う学生は超少数派でしょう。「近頃の大学生は」と嘆くのは簡単ですが、時代の流れとして受け止めるしかありません。

これからの書店はこの「読書時間0分」の層にむけて、とにかく店に来てもらうような取り組みをする必要があるのではないでしょうか?私は、一日の読書時間0分の学生たち50人に、どうすれば書店に行きたくなるかのアンケートを取りました。なかなかおもしろいデータが集まりました。そのデータのを元に、「読書時間0分」層を来店させるアイデアをいくつか考えました。

面接のときにぜひ披露させていただければと思います。

7、ヘーゲルの弁証法

ヘーゲル弁証法とは、まず冒頭で自分の意見を述べます。続いてその意見を否定する反論を述べます。さらにその反論を論破し、最初の意見に対してさらに高い次元の自分の意見を展開するのです。ヘーゲルはそれぞれの意見を以下のように呼びました。

最初の意見=テーゼ/反論=アンチテーゼ/より高い次元の意見=ジンテーゼ

弁証法は「自分の意見」を文章化したい時に役立ちます。一度、自分の意見への反論も取り入れるので、より多くの読み手が納得しやすくなるからです。

①最初に一般的な自分の意見やよくある意見を述べる

②それに対するよくある反論を述べる

③反論を組み入れたより高い次元の意見(=自分の本当に言いたいこと)を述べる

設定質問→以下の問題に関する自分の意見を述べよ/志望業種→テレビ局・男子学生

「新入生の担任を受け持つ勤め先の高校の入学式を欠席し、息子の入学式に出席した県立高校の女性教師」の問題について、公を優先すべきか、私を優先すべきか意見を述べよ。

このニュースを最初に聞いた時、私は勤め先の学校の入学式を優先すべきだと思いました。教師という職業についているからには、やはり「公」の立場が大切。特に公務員であればなおさらだと思ったのです。自分が高校生の頃のことを考えたら、別に親に入学式に来てほしいとは思わないけど、やっぱり担任の先生がいきなり休みだと少しがっかりというか拍子抜けするかなと思ったのもありました。実際に、テレビのコメンテーターや政治家などは、「私」を優先した教師を非難しました。

しかし、世の中の意見は教師に同情的できた。「公」の立場は代わりがきくが「私」の立場が代わりがきかない。かけがえのない子供の一生に一度のことだから、という主張です。それは公務員であっても同じだというのです。また教師は、事前に校長に何度も相談し、根回しをしたうえで、有給休暇の申請もして受理させているのだから彼女に落ち度はなく、正当な権利だし、とやかく言う方がおかしいとう意見も多かったようです。

確かに、「私」を優先する意見にもうなずけます。高校生だと別に親に来てほしくないと書きましたが、では、子供が幼稚園や小学校の入学式だった場合はどうでしょう?小さな子供の立場になれば、親が来ないのはかなり不安や寂しさを感じるのではないでしょうか?その場合だとどちらを優先するのが正解でしょうか?

そもそも、一教師に「公」と「私」を対立させ選ばせるというのが問題たっだのです。教師の子供が入学年度になることは事前にわかっているはずです。あらかじめヒアリングしておいて、お互いの入学式の日程や時間をズラす。もしくは、日程がぶつかる年度は、新入生の担任にしないようにする。どうしてもバッティングする場合は、副担任がきっちりフォローする、といった調整をして、「公」「私」を了できるように工夫していくのが、これからの社会のあり方ではないでしょうか?

このような問題は教師だけの問題ではないでしょう。普通の会社員にも起こり得ることです。私が御社に入社させていただいた場合も、「公」と「私」どちらか一方を優先させるのではなく、きちんと両立するような方法を考えていくつもりです。