ハイビジョンについての基礎知識

■ハイビジョンとAVCHD

ハイビジョンとは、NHKが開発した「高精細度テレビジョン」(HighDefinition Television)というテクノロジーの呼称です。一般的にHDという略称で利用されます。HDはHighDefinitionの頭文字で、解像度・鮮明度という意味です。このHDと呼ばれるハイビジョンに対して、従来の映像は「Standard Definition Television」(標準画質)、略してSDと呼びます。

現在過程で利用されているビデオカメラは、そのほとんどがハイビジョン対応です。本書で利用しているサンプル映像も、ハイビジョン対応のビデオカメラで撮影したものです。ハイビジョン対応ビデオカメラでは、「AVCHD規格」という規格が利用されています。これは、ハイビジョン映像をDVDやHDD、SDメモリーといったメディアに記録するための規格で、ソニーとパナソニックの2社によって策定されたものです。

AVCHDでは撮影した映像を記録する際、圧縮方法(コーデック)として、「MPEG-4 AVC/H.264方式」を利用しています。AVCHD規格では、映像データを動画ファイルをパソコンに読み込むことで、かんたんに編集ができるという特長があります。

なお、ここでは、AVCHD形式の映像データ編集について解説します。4K等の編集については解説しておりません。

 

■ハイビジョンの解像度とアスペクト比

映像の画質は、「解像度」つまり、画素の数で表現されます。解像度、画素の数が大きい方が、より詳細な画質で表現されます。現在のハイビジョンは、「フルハイビジョン」と呼ばれている解像度が狩猟で、「1920(縦)×1080(横)」のピクセル(画素)によって構成されます。従来の標準画質「SD」の解像度「720×480」ですから、フルハイビジョンは、標準画質の4倍の解像度ということなります。またハイビジョンと標準画質とでは、アスペクト比も異なります。標準画質では、アスペクト比が4:3であるのに対し、ハイビジョンでは16:9というワイドな比率が利用されます。

■2Kと4Kについて

現在のハイビジョンでは、2K(にけい)、4K(よんけい)と呼ばれる解像度の利用が普及しつつあります。Kは一般的には1000を意味する単位の「キロ」(kilo)の頭文字ですが、映像の世界ではハイビジョンのことを指しています。現在のハイビジョン(1920×1080)を「1K」とし、2Kはその約2倍、4Kは約4倍の画素数を持つ、という意味になります。たとえば、今後主流となっていく4Kは、「4096×2160」や「3840×2160」といった解像度を持っています。

4K解像度の企画には複数の種類があり、規格によって解像度が異なります。これを、先の解像度の画像と比較してみると、以下の図のようになります。現在では、8Kを一般化しようという計画も進んでいます。

 

■2種類の4K

前述したように、4Kにはいくつかの解像度がありますが、その中でも、主に次の2種類が利用されています。1つは、「4K UHD(Uitra HD)」規格です。解像度は横3840×縦2160ピクセル(アスペクト比が16:9)です。主にテレビ向けの4K規格として、2013年にITU(国際電気通信連合)によって策定されました。この規格はUHD、UHDTVとも呼ばれています。

もう1つが、アメリカの大手映画配給会社などで構成されるデジタルシネマの標準化団体DCIで策定された映画(デジタルシネマ)向けの企画「DCI 4K」です。解像度は横4096×縦2160ピクセル(アスペクト比が1.90:1)で、主に映画の撮影・上映用の機材向けの規格として利用されています。

 

■ポイント MPEG-4 AVC/H.264

H.264は、ITU(国際電気通信連合)によって勧告された映像データの圧縮技術の1つです。この技術は動画圧縮技術の1つであるMPEG-4の一部「MPEG-4 Part 10 Advanced Video Cooding」という名称で、ISO(国際標準化機構)でも勧告されています。そのために、一般的には「MPEG-4AVC/H.264」というように、2つの名前が併記されている場合が多いようです。

MPEG-2と同レベルの画質を保つためにMPEG-4のデータ量はMPEG-2の約半分程度で済みます。現在では、圧縮率の高くて高画質な「H.265」という規格も登場しています。