労働保険の保険料の徴収等に関する法律(以下は徴収法といいます)は、労働災害補償保険と雇用保険に関する保険料を徴収するための規定をまとまた法律です。保険料の徴収に必要な手続きをまとめた手続法であるという言い方ができます。原則的には、労働者災害補償保険と雇用保険の保険料である一般保険料を徴収します。
~全体について~
労働者災害補償保険と雇用保険をあわせて「労働保険」といいます。この労働保険にかんして事業主と被保険者から徴収する保険料の種類。額、納付方法等が徴収法に規定されています。
①徴収法の概要
徴収法は、労働保険の適用・徴収事務を円滑に処理することを目的に制定されています。徴収事務に関する手続きほうで、何を、いつまでに、どこにといった規定がおおく存在します。
②適用事業
労働者災害補償保険法、雇用保険法の適用事業が対象になります。ここでの適用単位になる事業とは、経営上一体をなす本店、支店、工業等を総合した企業そのものをさすのではなく、個々の本店、支店、工場、事務所などを指します。徴収法では、これらの適用事業につき、各規定において次の3つの分類方式のいずれかの方式で区分して適用することがあります。
(1)強制適用事業/任意適用事業
労働者災害補償保険法及び雇用保険のように、原則として「労働者を使用する事業、労働者が雇用される事業」であれば適用事業になります(強制適用)。それに対して、個人経営の農林水産業で規模が小さいなどの一定要件を満たした事業は任意適用事業となります。
(2)一元適用事業/二元適用事業
労働者災害補償保険法と雇用保険法をあわせて(一元的に)処理する事業を、一元適用事業といいます。徴収法の適用は、この一元的に適用することを原則としています。それに対して、労働者災害補償保険法と雇用保険で、適用労働者の範囲が異なる事業などは、両保険の適用徴収を一元的に処理することは実情に即さないので、別個の2つの事業とみなして、それそれ徴収法を適用することとしています。それらの事業を二元適用事業といいます。あくまでも例外で、限定された事業に限っています。
一般保険料 | 一般的な保険料 |
特別加入保険料 | 特別加入者用の保険料 |
印刷保険料 | 日雇労働被保険者用の保険料 |
特例給付保険料 | 雇用保険に未加入とされた者に係る保険料 |
②一般保険料
労働者災害補償保険法及び雇用保険に関する一般的な保険料です。労働者の賃金総額に労災保険率及び雇用保険率を乗じて算定されます。
一般保険料=賃金総額×(労災保険率+雇用保険率)
(1)賃金総額
支払われた賃金の総額をいいます。
(2)労災保険率
事業の種類に応じて1000分の2.5~1000分の88の間で決められています。
(3)雇用保険率
事業の種類に応じて保険料率とされています。一般的には、1000分の11になります。
事業の種類 | 雇用保険率(平成28年度) |
一般の事業 | 1000分の11 |
農林水産の事業 | 1000分の13 |
酒造製造の事業 | 1000分の13 |
建築の事業 | 1000分の14 |
③特別加入保険料
(1)概要
労働者災害補償保険法に規定される特別加入者に係る保険料です。特別加入者の種類に応じて3種類の特別加入保険料があります。
労災保険の特別加入者 | 保険料の種類 |
中小事業主等 | 第1種特別加入者保険料 |
一人親方等 | 第2種特別加入保険料 |
海外派遣者 | 第3種特別加入保険料 |
(2)特別加入保険料額
特別加入保険料は、特別加入保険料算定基礎額の総額に特別加入保険率を乗じて算定されます。
特別加入保険料=特別加入保険料算定基礎額の総額×特別加入保険料率
保険料率などは専門資料参考願います。
④印紙保険料
雇用保険法に規定される日雇労働被保険者に係る保険料です。日雇労働被保険者の賃金日額に応じて、次の3段階の印紙保険料のいずれかを納付します。
等級 | 賃金日額 | 印紙保険料 |
第1級 | 11300円以上 | 176円 |
第2級 | 8200円以上11300円未満 | 146円 |
第3級 | 8200円未満 | 96円 |