高齢者医療確保法

被用者は主に労働者災害補償保険法と健康保険法、自営業者などは国民健康保険法による医療の対象となりますが、高齢者については高齢者医療確保法が関係してきます。高齢者を65歳から74歳までの前期高齢者と、75歳以上の後期高齢者に分けて前期高齢者については各医療保険間の負担の公平を図り、後期高齢者については、後期高齢者医療制度の対象者とすることとしています。

 

①概要

(1)高齢者医療確保法

高齢者医療確保法に基づき前期高齢者に係る保険者間の費用負担の調整や後期高齢者医療制度の実施などを行います。この他に健康診査等のしっじなども行います。

[用語]前期高齢者/後期高齢者

65歳以上75歳未満の者を「前期高齢者」といいます。75歳以上の者を「後期高齢者」といいます。

(2)医療費適正化基本方針等

①医療費適正化基本方針・全国医療適正化計画

厚生労働大臣は、医療費適正化を推進するため、医療費適正化基本方針を定めるとともに、6年ごとに、6年を一期とする全国医療費適正化計画を定めます。

②都道府県医療費適正化計画

都道府県は、医療費適正化基本方針に即して、6年ごとに、6年を一期として都道府県医療費適正化計画を定めます。

③特定健康診査

保険者は、40歳以上の加入者に対し、特定健康診査を行います。

 

②前期高齢者に係る費用負担の調整

(1)考え方

医療保険の各保険者の加入者数に占める前期高齢者の割合が、各医療保険でかなり違っています。国民健康保険でんお前期高齢者の割合は、健康保険等の被用者保険の前期高齢者の割合よりもだいぶ高くなっています。会社員等であった方々が退職した後、国民健康保険に移行するわけですから、国民健康保険での高齢者の割合が高くなるわけです。そのために、前期高齢者に関して国民健康保険の負担割合が高くなってしまっています。負担割合について制度間の不均衡があるわけです。そこで、各制度の加入者数の割合に応じて、負担割合の調整することにしています。具体的には、65歳から74歳までの前期高齢者の医療に関する給付費等について、国民健康保険及び各被用者保険の加入数に応じた負担となるよう財政調整を実施します。

(2)実際に行うこと

各保険者から前期高齢者納付金を徴収します。その前期高齢者納付金を基にして、保険者に対して不均衡の調整のための交付金を交付します。

 

③後期高齢者医療制度

(1)概要

後期高齢者を対象にして医療を行います。具体的には、「後期高齢者医療は、高齢者の疾病、負傷、または死亡に関して必要な給付を行うものとする」と規定されています。

(2)被保険者

次のいずれかの該当する者が、後期高齢者医療広域連合が行う高齢者医療の被保険者になります。

  • ●後期高齢者医療広域連増の区域内に住所を有する75歳以上の者
  • ●後期高齢者医療広域連合の区域内の住所を有する65歳から75歳未満の者であった、一定の障害状態にある旨の認定を受けたもの

[用語]後期高齢者医療広域連合

後期高齢者医療の事務を処理するために、都道府県ごとに設けられている、それぞれの届く府県内のすべての市町村が加入する広域連合のことです。

(3)後期高齢者医療給付の種類

下記の種類の給付があります。

●療養の給付 ●入院時食事療養費 ●入院時生活療養費 ●保険外併用療養費 ●療養費 ●訪問看護療養費

●特別療養費 ●移送費 ●高額療養費 ●高額介護合算療養費 ●葬祭費、葬祭の給付 ●傷病手当その他