船員保険法

船員保険は船員について健康保険相当の保険給付と労災保険の保険給付に上乗せする保険給付を行う制度です。

①船員保険法の概要等

(1)概要

船員保険法1条において「船員保険法は、船員又はその被扶養者の職務外の事由による疾病、負傷若しくは死亡又は出産に関して保険給付を行うとともに、労働者災害補償保険による保険給付と併せて船員の職務上の事由又は通勤による疾病、負傷、障害又は死亡に関して保険給付を行うこと等により、船員の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする」と規定されています。主要な部分は、下記のように分解して理解することができます。まとめると、健康保険相当の保険事故に対する保険給を行い、また労働者災害補償保険の保険給付とあわせて(上乗せして)業務上や通勤中の保険事故に関して保険給付をおこなうということになります。

[船員保険法で行うこと(主要な部分)]

  • ●船員又はその被扶養者の職務外の事由による疾病、負傷、死亡、出産に関する保険給付
  • →健康保険相当の保険事故に対する保険給付
  • ●職務上の事由又は通勤による疾病、負傷、障害、死亡に関する保健給付(労働者災害補償保険による保健給付と併せて行う)
  • →労災保険とあわせて(上乗せして)行う保険給付

(2)保険者

船員保険は、健康保険法による全国健康保険協会が掌握しています。

 

②保険給付の種類

大きく2種類の保険給付に区分してまとめることができます。

一、職務外の事由に係る保健給付(健康保険相当の給付)

二、職務上、通勤中の事由に係る保健給付及び独自給付(労災保険とあわせて給付する者など)

 

③行方不明手当金

海上で労働している船員に発生する可能性がある「行方不明」という事故に対応する保健給付です。家族に生活費を支給することが趣旨です。

支給要件 被保険者が職務上の事由により1か月以上行方不明になったとき
支給対象者 被扶養者
支給額 1日につき標準報酬日額相当額
支給期間 行方不明となった日の翌日から起算して3か月を限度