保険証切り替えは期間内でないと大変!病院の受診や扶養の手続きも確認する!

会社を退職したり就職したりする時に必ず必要となる保険証の切り替え。

切り替えはしっかりしておかないと何かと不安でが、その中でも切り替え期間が指定されてますので、この期間内に手続きを終えておくことがとても大切になってきます。

国民健康保険などは、期間内に加入手続きを終えなくても実はその後でもできますが、大きなデメリットを抱え込むことにもつながりかねません。

ここでは、切り替えの期間や手続きの場所、その必要書類から、切替中で保険証がない!といった場合の病院受診、扶養になる場合の手続きなど、保険証の切り替えに必要となる対応を一通り解説しています。

 

 

①保険証の切り替え3つの選択

会社を退職すると、退職日の翌日をもってそれまで加入していた社会保険を脱退することになりますが、その後の医療保険の選択肢としては以下3つあります。

1)健康保険の任意継続

2)国民健康保険(国保)への切り替え

3)扶養への切り替え

これら3つはどのような手続きを行えばよいか、まずは1つ1つ見てみましょう。ちなみにこの記事では便宜上、会社にお勤めの場合に入る保険については一般によく使われている「社会保険」という言葉で説明しています。本来「社会保険」とは、労災保険や雇用保険、厚生年金保険などトータルとして指す言葉のため、そこは混乱しないようにしてくださいね。

 

1)健康保険の任意継続

社会保険では、中小企業などの「協会けんぽ」、大手企業の「健康保険組合」、公務員の共済組合、船員保険などがありますが、退職後は任意継続(退職後も同じ保険に継続してい入ること)が可能です。

国民健康保険と任意継続のどちらが良いかは、下方を参照してみてください。基本は「保険料で比較する」となります。

保険の任意継続については、退職時に手続きの仕方、手続きが有効な期間の説明などがありますので、しっかり確認してみてくださいね。

切り替え期間は基本は20日以内の手続きとなっており、加入期間は2年間まで可能、となります。

※必要な書類や手続きは書く組合に問い合わせ・確認する。

 

 

2)国民健康保険へ切り替え

日本では「国民皆保険」という制度となっています。全ての人はなんらかの医療保険に入っている必要がある、ということであり、つまり、退職して社会保険の資格を喪失すると、ご家族の扶養に入らない場合には、自動的にご存知「国民健康保険」(国保)の加入者となります。

ということから、退職した日の次の日に別の会社に就職しない(次の就職まで1日以上の空白期間がある)場合には、手続きをする、しないにかかわらず、強制的に「国民健康保険」に入ることになり保険料が発生するということになります。(保険料支払の義務が発生するということ)(ただし対象は月の末日に加入されている方)

 

2-1)国民健康保険加入の必要・不要 

社会保険の喪失は、退職日の翌日です。

「以前の職場を退職した日」の次の日に「次の職場へ就職した」という場合には国民健康保険への加入は不要ですが、次の就職まで1日でも間があれば国民健康保険への加入が必要となります。

●国民健康保険への加入が必要:次の就職まで1日でも間があく場合

●国民健康保険への加入が不要:退職した翌日に次の就職をする場合

 

2-2)国民健康保険の切り替え期間と手続き

国民健康保険への手続きは自分で行う必要があります。いざという時になくてはならない保険です。速攻で市役所に出向いて手続きを行いましょう。

手続き場所 社会保険の喪失日(退職日の翌日)以降にお住まいの市区町村で手続き
必要書類 「身分証明書」、「印鑑」、「退職日が確認できる書類」

※)退職日が確認できる書類

「社会保険の資格喪失証明書」「雇用保険の離職票」「退職証明証」など (これらの書類を必要としない市区町村もあります)

同じ名前でない場合もあるかもしれませんが、会社に退職日が確認できるもの、退職証明証をください、と言えば良いと思います。

切り替え期間 退職日の翌日から14日以内(2週間以内)

 

2-3)必要書類がない!至急手続きしたい!という場合

場合によっては、

  • ●書類が揃わなくて手続きができない!
  • ●書類がなくても至急で切り替え手続きしたい!

ということもあると思います。 その場合には、まずは市役所に相談してみてください。

 

(書類が揃わない、という場合)

書類の名前に惑わされず、とにかく退職日が確認できる書類であれば、手続きができます。

(書類がなくても、という場合)

市役所へ相談して市役所から会社へ確認してもらった例も多くあります。(市役所から会社へ在籍日などを確認してもらって手続きを進める例です)

書類がなく市役所から会社へ確認してもらう、という場合には、事前に会社の関連部門(人事部など)の電話番号を調べておいた方がスムーズです。

あらかじめ、会社の名前、人事部の電話番号 ご自分の名前 などを紙などに書いたものを持参すると良いですね。

 

 

2-4)14日以内に手続きしないとどうなる?

国民健康保険の加入手続きでは、退職日の次の日から14日以内、と規定されています。

では、14日過ぎると加入手続きができないか、といえば「できます」。

国民健康保険は、社会保険が失効すると、手続きしなくても自動的に強制加入となります。国民皆保険制度によるものですが、保険料だけはしっかり発生している、ということになりますね。

※)国民健康保険は月の末日に加入している方のみが保険料の対象です

 

(14日に以内と定められている理由)

手続きが「14日以内」と定められている理由は、と言えば...

14日を過ぎると、社会保険が失効した後に仮に病院へ行く必要が出てきたとしても、かかった医療費には保険が適用されず、払い戻しができません。つまり「全額負担」となるからです。

保険料だけはしっかり発生しているのに、保険の適用ができない、となると、もうなんといっていいやら分からなくなります。

普段元気でも、いつどうなるか分かりません。国民健康保険への切り替えは、真っ先に行ってくださいね。

 

2-5)任意継続と国民健康保険、どちらが良い?

退職で悩むのが、「保険の任意継続」をすべきか「国民健康保険に切り替える」べきか、ということです。

健康保険制度として受けられる内容は同じなので、ここは「保険料で判断する」といことになります。

実際にどうなるかは、国民健康保険では市役所、任意継続ではそれまでのお勤め先の健康保険組合等に確認が必要ですが、国民健康保険は前年の収入に対して保険料を決めるため、任意継続するほうが安くなる、というのが一般的なようですね。

 

3)扶養へ切り替え

国民健康保険には入らず、ひとまず家族の被扶養者(扶養に入る)として、扶養者の保険にはいる、というのもあります。ただ、扶養に入るには勿論条件があり「協会けんぽ」の説明を見てみると、

被扶養者となる条件

同居していない場合 配偶者、子、孫および弟妹、父母、祖父母などの直系尊属

同居している場合  上記以外の3親等内の親族(兄姉、伯叔父母、甥姪とその配偶者など) 内縁関係の配偶者の父母および子

被扶養者の認定

被保険者により主として生計を維持されていることと、更に細かい収入条件

 

3-1)切り替えの手続きと必要書類

扶養への切り替えの手続きと必要書類は以下のとおりです。

項目 内容
扶養の手続き 被保険者が社会保険の場合は、被保険者が勤務する企業、会社へ書類の提出
必要書類 健康保険組合が各々独自に決めているため、勤務先の組合に確認

必要書類については、会社から「健康保険被扶養者(異動)届」をもらうことになると思いますので、そちらに記入すればよいです。

また、場合によっては「国民年金第3号被保険者変更届」「年金手帳」「所得証明書」も必要になる場合がありますので確認してみてください。

 

3-2)扶養に入る場合の注意点

扶養に入る前に国民健康保険に加入している場合には、扶養に入ることで(配偶者などの健康保険に入ることで)自動的に国民健康保険から脱退となるわけではありませんので注意が必要です。

国民健康保険の脱退の手続きが必要となりますので、お忘れなく。

国民健康保険の脱退手続き

手続き: 市区町村の役所

提出資料: 脱退届

添付資料: 新しい健康保険の保険証のコピーなど

 

脱退についての詳細は、市役所に確認してみてください。郵送でも処理できるようですね。

 

 

②保険証切り替え中の病院受診

1)保険証がなければ自己負担

退職、就職したり扶養に入る、といったことで保険の切り替えになりますが、この切り替え手続き前に病院受診したらどうなるか。

勿論保険証が無いわけですので「全額自己負担」となります。

 

2)必要な対応

保険証切り替え中や家に忘れてしまった!など、保険証がない場合の必要な対応としては

いったんは全額自己負担で支払い、

保険証を入手したら、診察時のレシートと保険証を持って病院へ、

病院にて払い戻しを受ける

 

となります。

一ヶ月以内なら払い戻しができる、など、払い戻しができる期間や条件など、病院の窓口でしっかり確認しておくことが重要です。

退職などによる国民健康保険への切り替えでは、保険証がなく自己負担になっても「退職日の次の日から14日以内」に国民健康保険の加入手続きを行えば、払い戻しができます。

逆に言えば、この「14日以内に手続きをしない」場合には、払い戻しはできまません。

これはルールとして決まっているものであり仕方ありませんね。

例え「14日以内に手続きをしていなくて払い戻しができない!」となった場合、病院の窓口や市役所などに「払い戻ししてください!」と言っても、できないものはできない、となりますので注意が必要です。(しっかり手続きしなかったあなたが悪い、と言われてしまいます)

 

 

③いろいろなケース

1)保険証がない場合、代用できるもの

会社へ入る場合でも、入社してすぐに保険証をもらえるわけではありません。

手続きの関係上、保険証が来るまでに何日かかかるわけですが、その間の病院受診で保険を利用したい、という場合には、「健康保険被保険者資格証明書」というものがあります。

協会けんぽ(全国健康保険協会)、または健康保険組合に確認してみてください。

ただ「健康保険被保険者資格証明書」の交付にも時間がかかるようで、あまり利用されていないという話もあります。

「健康保険の加入手続き中である旨」の証明書を会社に発行してもらい、それを病院側が承認すれば、という話もありますが、これはかなり厳しいと思われます。

というのも、病院側にしても、保険番号がないと医療費を保険組合などに請求できない、つまり病院側持ちになってしまうからで、中々受け入れられるものではありません。

 

2)自己負担で手持ちのお金がない!といった場合

医療費を全額自己負担で高額となったりして「手持ちのお金がない!」(財布の中に千円しか入ってなかった!)といったようなご経験、ありますか?

こんな場合はどうすれば良いか、といえば、これはもう病院と相談するしかありません。

病院というと人を助ける所だからなんとかしてくれる、と思っていても、慈善事業では勿論なく、経営されている1つの会社のようなものです。

特にお金はどの世界でもシビアなもので、そこには診療といえど定まった厳しいルールがあります。

中には支払わず逃げてしまう人も多くいるようで、病院から見れば、あなただけではなく全ての人に対して自己を守る事を考えなくてはなりません。

病院側の立場に立てばお分かりになると思いますが、近くのATMや銀行などに行ってお金をおろしてくる、ということもルールに則った中での仕方のないことなんですね。

かかりつけのお医者さんの場合では、古くからの確実な信頼関係があれば、会計保留ができる可能性もないこもありません。(馴染みの店でつけといて!というようなものですね!)

この場合でも、上の場合と同じく、ルールに則ってしっかり支払いをする、ということが必要なのは変わりありませんので「古くからの馴染みだから」では済まされることではなない、ということには気を付ける必要があります。

 

3)遠方などで保険証なしに病院にかかったら?

出張や旅行など、行くのにもの凄く時間がかかる場所で病院受診をした時、保険証がなかった!全額負担になった!といった場合の対処はどのようにすれば良いでしょうか?

近くの病院であれば、一ヶ月以内に保険証とレシートを持って再び訪れ、払い戻しを受ける、ということができますが、遠方となるとおいそれと行けません。

こういった場合は、加入している健康保険証の発行元(協会けんぽ、市区町村、健康保険組合など)に療養費の申請をすることで払い戻しが受けられます。

療養費の申請

申請先:健康保険証発行元(協会けんぽ、市区町村、健康保険組合など)

申請書:健康保険療養費支給申請書

4)古い健康保険証を使ったら

新しい保険証をもらった後、古い保険証を使用してしまった!ということもあります。

会社の就職、退職などに伴い、保険証も新しくなりますが、つい古い保険証を使ってしまった、というケースですね。

こういった場合には、三ヶ月ぐらいすると市役所などから「請求書」と「診療報酬明細書」(レセプト)が届きます。(既に無効となっている保険証が利用されたため、保険料の正しい手続きができなかった)

ということで、

1)まずはその支払いをする

2)健康保険証発行元に療養費の申請をする

という手続きをすることになります。

療養費の申請

申請先:健康保険証発行元(協会けんぽ、市区町村、健康保険組合など)

申請書:健康保険療養費支給申請書

添付書類:診療報酬明細書、領収書

ちなみに支払期限は定められていないようです。

あとで必ず請求が来ます。つまりあなただけではなく、いろいろな方にその手間を取らせる、ということになりますので、

古い保険証は絶対使ってはダメ!ということです。

 

 

 

退職するときの健康保険切り替え手続き完全マニュアル

引用サイト→(https://ten-navi.com/hacks/article-9055)

 

今までは会社任せだった健康保険。退職するときになって初めて、健康保険にもいろんな種類があることや手続きについて知る人が多いかもしれません。

手続き後に「こうすればよかった」と後悔しないために、また退職後に安心して医療機関にかかることができるように、チャートで自分にあった健康保険を見つけてみましょう。さらに退職手続きの際に役に立つ、健康保険の切り替え手続き方法も紹介します。

 

1.退職後の健康保険の切り替え手続き、放置は厳禁!!

退職するときには、入社時に会社からもらった健康保険証を返却し、健康保険資格喪失証明書を受け取ります。そして、再就職するしないに関わらず、退職後14日以内に健康保険資格喪失証明書を新しく加入する健康保険事務所または再就職先の会社に提出し、手続きを行う必要があります。これは「国民皆保険制度」といって、国民全員が何らかの公的医療保険に加入し、互いの医療費を支え合う医療制度に基づいた義務なのです。

ですから、「自分は健康だから、健康保険なんて入らなくても大丈夫」という論理は通用しません。未加入者には、未加入時期を遡って健康保険料(税)の支払い請求があり、未納分の健康保険料(税)を支払う義務があるからです。

 

健康保険証がないと、医療機関の窓口で全額を支払うことになる

医療機関を受診したときに健康保険証がない場合には、窓口で治療費の全額を払うことになります。2015年8月現在、医療機関の窓口で支払う治療費の負担割合は3割。例えばインフルエンザに罹って病院に行った場合、健康保険証の有無により支払う金額の差は、表の通り約1万円の違いがあります。

健康保険証なし 健康保険証あり(70歳未満の成人)
初診料 2700円 810円
インフルエンザウイルス検査 2940円 880円
5日分の薬代 7400円 2220円
合計 13040円 3910円
差額 9130円
※転職hacks試算:実際の医療費と異なる場合があります。

このように無保険状態になると、医師の治療が必要な病気にかかっても高い医療費を払えるかどうかという不安があり、おいそれと医療機関を受診するわけにはいきません。困った時に、いつでも安心して医療機関が受診できるように、退職後の健康保険の手続きは、速やかに行うようにしましょう。

【コラム】健康保険資格喪失「証明書」と健康保険資格喪失確認「通知書」の違い

健康保険資格喪失証明書と間違えやすい書類に、健康保険資格喪失確認通知書があります。また資格喪失確認通知書には、健康保険のほかに厚生年金の通知書があり、混同しやすいので注意しましょう。2つの違いは次の通りです。

健康保険資格喪失証明書 健康保険・厚生年金被保険者資格喪失確認通知書
健康保険被保険者資格の喪失を公的に証明する書類 原則として公的証明書類として扱われない
本人の申請により発行される 事業主の届け出によって発行される
事業主もしくは事業所管轄の社会保険事務所で記入・発行してもらう 事業主が社会保険事務所に提出した、健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届の審査後、処理完了の通知として発行される

 

2.退職後の健康保険切り替え選択チャート

退職日の翌日からすぐに次の会社で働き始める「ブランクなし転職」の場合は、健康保険の切り替え手続きは新しい会社任せでOKです。しかし、退職してから再就職まで1日でもブランクがある、または再就職しない場合は、別の健康保険に切り替える必要があります。

新しく健康保険に加入する場合の選択肢は、次の5つになります。

(1)再就職まで1日もブランクがない場合は再就職先の社会保険に切り替える
(2)収入が扶養範囲内の場合は家族の社会保険の扶養に入る
(3)任意継続する
(4)市区町村運営の国民健康保険組合に入る
(5)フリーランス・起業者の健康保険の選択

 

扶養と任意継続は、それぞれ加入するための条件があります。自分の条件に合う健康保険はどれか、チャートで診断してみましょう。

(1)再就職まで1日もブランクがない場合は再就職先の社会保険に切り替える

健康保険の被保険者資格は、前の仕事の退職日に喪失します。新しい就職先での就業開始日が退職日の翌日になる「ブランクなし」の場合は、社会保険が切り替わるだけなので、健康保険資格喪失証明書を再就職先に提出するだけで手続きが完了します。

 

(2)収入が扶養範囲内の場合は家族の社会保険の扶養に入る

退職後すぐに収入の見込みがなく、扶養してもらえる家族がいる場合は、最初に家族が加入している社会保険の扶養に入る(被扶養者になる)ことができるか検討してみましょう。

扶養とは?

 扶養は、老人や幼児・学生である、または心身の障害、失業などの理由により、働くことが困難で独立して生計を営めない者の生活を、他者が援助することです。扶養される側のことを「被扶養者」といいます。

 扶養の特徴

・自分の健康保険料の支払いは0円になる
・扶養に入っても、家族が支払う保険料は変わらない。

 

【コラム】被扶養者の認定基準とは?

健康保険法では、以下のように被扶養者の認定基準が定められています。

1.健康保険法に定められる被扶養者の範囲であること(下図ピンクが扶養範囲)

2.後期高齢者(70歳以上)に該当していないこと

3.被保険者がその家族を扶養せざるを得ない理由があること
4.被保険者がその家族の生活費を主に負担していること
5.被保険者には継続的にその家族を養う経済的扶養能力があること
6.その家族の年収が、被保険者の年収の1/2未満であること
7.その家族の収入が年間130万円未満(60歳以上または59歳以下の障害年金受給者は年間180万円未満)であること。
出典:三菱電機健康保険組合

この場合「被保険者」は扶養してくれる家族、「その家族」とは自分を意味します。退職後の自分の状況が1〜7すべてに合致する場合にのみ被扶養者になることができます。注意しなければいけないのが3と7の条件です。

3は就労できない状況(失業状態)であることを証明する、以下のような書類が必要になります。

・雇用保険に加入していると、退職時に会社から受け取ることができる書類……雇用保険受給資格者証、離職票
・元の会社に依頼して証明書の発行をしてもらう書類……退職証明書

7の条件の「年収が130万円未満(月額約108,333円)であること」ですが、年収は退職時点のものではなく、退職後1年間の見通しとして年間130万円を越えるかどうかで判断されます。ですから、退職前の時点で130万円を越えていても、退職後の収入が月額約108,333円未満であれば加入できる可能性があります。

詳しくは、家族が加入している社会保険事務所に問い合わせをお願いしましょう。また、申請する際には、退職時に受け取った源泉徴収票など収入を証明する書類が必要になります。

 

※質問に答えていくだけで、被扶養認定されるか調べることができるHPはこちら。
チャートで確認!健康保険扶養認定-全国健康保険協会

(3)任意継続条件を満たし、収入が扶養範囲外の場合は任意継続

任意継続とは?

任意継続とは、退職後も前職と同じ社会保険の健康保険を継続して使用できる制度です。任意継続の条件は、以下の通りです。

・資格を喪失する日の前日までに、継続して2ヶ月以上の保険に入っていること
・資格喪失日(退職日当日)から20日以内に、加入している健康保険組合に任意継続の申請を行うこと

任意継続の特徴

・扶養家族が何人いても健康保険料(税)は一定額
・月々に支払う健康保険料(税)が退職前の約2倍になる。理由は、退職前は雇用主と被保険者本人がそれぞれ50%ずつ負担していた健康保険料(税)を、退職後は被保険者本人が100%負担するため
・収入が減った場合の減額措置がないため、収入が減ると負担が大きくなる
・再就職して新たに社会保険に加入した場合を除いて、2年間は他の健康保険に切り替えることができない
・保険料(税)の支払いが1日でも遅延すると即座に被保険者資格を失い、他の健康保険に切り替える必要がある

 (4)任意継続せず扶養にも入らない場合は市区町村運営の国民健康保険組合に入る

市区町村運営の国民健康保険とは?

市町村運営の国民健康保険とは、社会保険加入者以外の人が加入する、いわゆる普通の国民健康保険です。診療施設などでは「国保」と呼ばれている、ごく一般的な健康保険になります。

市区町村運営の国民健康保険の特徴

・加入条件がない
・扶養制度がないため、世帯人数が増えると健康保険料(税)も増額される
・住んでいる自治体によって健康保険料(税)に差がある

【コラム】健康保険料(税)最高額・広島市と最低額・富士市の差は年間最大345,015円!

健康保険料(税)は、収入によって変動する金額と収入に関わらず設定されている金額があるほか、資産の有無など複合的な算出方法により決定されているため、単純に年収額だけでは判断できません。しかし単身・介護保険未加入で年収400万円というモデルケースでは、1位の広島県広島市と最下位(126位)の静岡県富士市の年間健康保険料(税)の差額は、年間345,015円にもなるという結果が出ています。

 

出典:国民健康保険料 高い自治体(市、区)ランキング

全国の国民健康保険料(税)を知りたい場合は、国民健康保険計算機のHPを参照してください。

(5)フリーランス・起業者の健康保険の選択

任意継続をしない場合や扶養に入れない場合は、もれなく市区町村運営の国民健康保険に入る必要があります。しかし職業によっては、市区町村運営の国民健康保険以外の国民健康保険組合に入るという選択肢もあります。

同業種・同業者が共同運営する国民健康保険組合に入る

同業種・同業者が共同運営する国民健康保険組合とは、小規模経営者とその従業員や個人事業主など、組合の定める資格を得た組合員によって組織・運営されている団体です。現在は、土木建築作業員を対象とした全国土木建築国民健康保険組合のほか、建設業32組合、三師(医師・歯科医師・薬剤師)組合が92組合、「その他一般」が40組合存在しています。例えば、「その他一般」に属する国民健康保険組合には以下のものがあります。

美容国民健康保険組合 整容国民健康保険組合 美容師、理容師が加入可能
食品国民健康保険組合 飲食店が加入可能
食料国民健康保険組合 米屋が加入可能
小売市場国民健康保険組合 小売市場で市場業務に従事している人が加入可能
文芸美術国民健康保険組合 芸術家、作家が加入可能
芸能人国民健康保険組合 芸能人が加入可能
板金業国民健康保険組合 建築板金業が加入可能
浴場国民健康保険組合 銭湯が加入可能
小売市場国民健康保険組合 小売市場で市場業務に従事している人が加入可能
税理士国民健康保険組合 税理士が加入可能

 

同業種・同業者が共同運営する国民健康保険組合の特徴

・(4)の市区町村運営の国民健康保険と違い、家族を扶養に入れることができる・収入の増減に関わらず、保険料(税)は一定額
・組合に加入していない職場の場合は、職能が同じでも加入できない
例えば、全国土木建築国民健康保険組合の場合は、組合の加入事業所に雇い入れられることが条件。つまり建築関連の事業所でも、全国土木建築国民健康保険組合に加入していない事業所に勤めた場合には、組合員になることができない。
・組合員になるために別の組合加盟団体の会員になる必要があり、保険料(税)とは別に加盟団体への入会費・年会費が発生する
例えば日本国内の文芸・美術及び著作活動従事者を対象とした文芸美術国民健康保険組合は、いけばな協会をはじめとする何らかの組合加盟団体の会員にならないと組合員資格を得ることができない。

 起業して社会保険に加入する

起業して自らが経営者となった場合は、会社として社会保険組合に加入した上で、個人として会社の健康保険組合に加入することになります。ただし経営者の場合は、会社規模(従業員数)や年収、立場により社会保険組合への加入が認められない場合もあります。起業する場合には、健康保険について社会保険労務士に確認をとりましょう。

3.任意継続と国民健康保険どちらが得か?

退職後に家族の扶養に入れない場合、任意継続と一般的な国民健康保険、どちらに入るのが得なのか悩む人も多いでしょう。そこで手続き、健康保険証が届くまでの期間、保険料(税)の3つの観点から、両者を比較してみました。

手続きの手間は任意継続の方が楽

任意継続 市区町村運営の国民健康保険
書類の準備 健康保険任意継続被保険者資格取得申出書 健康保険資格喪失証明書の発行申請
書類入手先 会社または所属している社会保険事務所 会社または所属している社会保険事務所
書類のダウンロードHP 協会けんぽHP 協会けんぽHP
加入申請先 会社または所属している社会保険事務所 自治体の健康保険窓口
郵送受付 ×
手続き期限 退職後20日以内(それ以降は不可) 特になし(未加入時期を遡って加入可能)

申請書類の取り寄せなどの手間は、どちらも大差ありません。退職の際に、あらかじめ会社が書類を用意してくれる場合もあります。逆に違いがあるのが、郵送受付と手続き期限です。

任意継続を選択する場合は、手続きは退職後20日以内厳守になります。21日以降は申請書類を受け付けてもらえなくなるので、必然的に市区町村運営の国民健康保険に入ることになります。申請は郵送でも受け付けてもらえる点が便利です。

一方、市区町村運営の国民健康保険の場合は、直接窓口に出向いて手続きをする必要があります。退職後なるべく早く手続きを済ませるのが理想的ですが、未加入時期を遡って加入することができるので、任意継続のように厳密な期限はありません。

健康保険資格喪失証明書については、健康保険証のよくある悩みと解決策のQ.健康保険資格喪失証明書がない場合はどうたらいいの?を参照してください。

 

健康保険証が届くまでの期間は任意継続の方が早い

任意継続 市区町村運営の国民健康保険
健康保険証発行までの期間 申請書受付から3〜5営業日 自治体ごとに違うが、おおむね申請受付から約一週間
受取方法 郵送 郵送

健康保険証が手元に届くまでの期間は、両者とも約一週間とほとんど変わりません。自治体によって違いがありますが、市区町村運営の国民健康保険の場合は、申請時に医療機関にかかりたいのですぐに健康保険証が必要だと申し出ると、保険療養費と同じ負担で医療機関の受診ができる仮の健康保険証や書類を発行してもらえる場合もあります。

 

保険料(税)比較

保険料(税)は世帯人数や資産によっても変わるので、モデルケースとして以下の条件で試算します。

任意継続 市区町村運営の国民健康保険
(東京都世田谷区)
A.39歳独身・介護保険なし 年額 \334,992(月額 ¥27,916)

※年間上限額

年額 ¥318,988(月額 ¥26,582)
B.40歳配偶者、子ども1人あり・介護保険あり 年額 \392,784(月額 \32,732)

※年間上限額

年額 ¥388,730(月額 \32、394)
試算:転職hacks ※実際の金額と異なる場合があります
参考:平成26年4月からの保険料額表・世田谷区平成26年度の保険料計算式

Aは、39歳・独身・東京都世田谷区在住・年収400万円(賞与含まず)・介護保険なし・固定資産なしでの保険料(税)です。保険料(税)は退職時の月収の9.97%ですが、任意継続の場合は都道府県別に一定以上の収入だと保険料が一律になる上限額が設定されています。平成26年度の東京都の上限額は月収28万円であるため、保険料に換算すると年額334,992円が年間上限額になります。市区町村運営の国民健康保険と比べる少々高く、年間16,004円の差があります。

Bは、介護保険料(税)の徴収があるケースです。本人40歳(年収400万円)、配偶者40歳(パート年収100万円)、子ども6歳の3人家族、東京都世田谷区在住・介護保険あり・固定資産なしで試算しました。こちらのケースでも、任意継続するよりも市区町村運営の国民健康保険に加入した方が保険料(税)は安くなりますが、年額で4,054円と差額は縮まります。

 

月収35万円以上は任意継続が得

実際に計算してみると、任意継続した方が保険料(税)は高くなることがわかりました。では、いったい年収がいくらになったら、任意継続の方が得になるのでしょうか。ポイントは、年間上限額にあります。

任意継続 東京都世田谷区の国民健康保険
介護分なし 334,992円 69万円
介護分あり 392,784円 85万円

健康保険料(税)の年間上限額は、市区町村運営の国民健康保険が圧倒的に高額です。つまり、任意継続の年間上限額を超える年収がある場合は、市区町村運営の国民健康保険料(税)の方が高くなるということです。

試算の結果判明した金額は、東京都世田谷区の場合は税込(額面)年収425万円以上、つまり税込(額面)月収35万円以上。賞与にも健康保険料(税)と厚生年金保険料がかかるので、月額報酬のみで年額400万円で別途賞与がある場合、任意継続をした方が保険料(税)は安くなる可能性が高いでしょう。

年収 年間の国民健康保険料(税)
東京都世田谷区・介護なし
任意継続の保険料(税)との差額
420万円 ¥332,364 -2628円
425万円 ¥335,708 +716円
430万円 ¥339,052 +4060円
任意継続の年間上限額 334,992円

 

扶養家族が3人以上いる場合は任意継続が得

任意継続のメリットは、扶養家族が増えても保険料(税)が変わらないことです。一方、市区町村運営の国民健康保険は世帯人数によって保険料(税)が加算されていくので、世帯人数が増えれば保険料(税)が上がります。本人40歳(年収400万円)、配偶者40歳(パート年収100万円)、東京都世田谷区在住・固定資産なしで試算した結果、任意継続すると保険料()が安くなる扶養人数は3人以上でした。

扶養人数
(本人以外の世帯人数)
世田谷区の年間国民健康保険料(税)
介護分なし
世田谷区の年間国民健康保険料(税)
介護分あり
1人(配偶者) ¥279,260(月額\23,272) \347,330(月額\28,944)
2人(配偶者+子ども1人) \320,660(月額\26,722) ¥388,730(月額\32,394)
3人(配偶者+子ども2人) \362,030(月額\30,172) \430,130(月額\35,844)
任意継続の年間上限額 334,992円

繰り返しになりますが、市区町村運営の国民健康保険は、自治体によって保険料(税)率や算出方法が違いますので、あくまで参考としてとらえてください。地域ごとの国民健康保険料(税)が知りたい場合は、試算ができるHPや自治体のHPを利用するほか、直接市区町村役所に聞くこともできます。

いずれにせよ、退職後にどの健康保険にするか迷った場合は、具体的な金額を調べて比較するとよいでしょう。

4.健康保険切り替え手続き方法

健康保険別に、詳しい手続き手順を説明します。

(1)再就職先で加入手続きをする

・退職時に健康保険資格喪失証明書を受け取り、再就職先に提出

健康保険資格喪失証明書を転職先に提出するだけです。自分の扶養に入れている家族がいる場合は、書類の提出と同時に転職先で申請します。元の会社から書類を受け取っていない場合には、早急に会社が所属していた社会保険事務所に問い合わせて、発行手続きをしてもらいましょう。

(2)家族の健康保険の扶養に入る

・必要書類を用意して家族に渡す

手続きは家族と、家族が加入している社会保険事務所に行く必要があります。申請に必要な書類を教えてもらったら速やかに書類をそろえ、手続きをしてもらいましょう。

(3)任意継続する

・健康保険任意継続被保険者資格取得申出書を健康保険協会に提出する

会社の健康保険担当者または社会保険事務所のHPなどから、健康保険任意継続被保険者資格取得申出書を入手し、必要事項を記入して所属していた社会保険事務所に提出します。扶養家族の申請は、同じ書類に扶養家族の情報を記入します。別途、扶養家族の収入などを確認する書類が必要になる場合もあるので、会社の健康保険担当者または健康保険協会のHPで確認しましょう。

(4)市区町村運営の国民健康保険組合に入る

・健康保険資格喪失証明書を市区町村役所の健康保険窓口に提出する

直接本人が市区町村役所に出向いて、健康保険窓口で健康保険資格喪失証明書を提出し、加入書類を書くだけで終了します。ほとんどの自治体は、健康保険と国民年金の加入手続きがセットになっていますので、年金手帳もいっしょに持参し、厚生年金から国民年金への切り替え手続きもすませてしまいましょう。

 

【コラム】平成27年10月から交付されるマイナンバーで、健康保険の切り替え手続きが楽になる!?

マイナンバーとは、住民票を有するすべての人に一人1つの番号を付して、社会保障や税、災害対策の分野で効率的に情報を管理し、複数機関に存在する個人情報が同一人物の情報であると確認できるようにするものです。健康保険や年金情報とともに、住民票や戸籍などもマイナンバーで管理されているため、健康保険の切り替え手続きに必要な各種書類を取り寄せる必要がなくなり、情報の照合や転記・入力にかかる時間と労力の削減と、紙資源の節約になるといわれています。

マイナンバーは、今年10月以降に送付される通知カードに記載されています。10月以降に転職を検討している人はもちろん、在職中の方も会社にマイナンバーを申請する必要がありますので、通知カードは大切に保管しておきましょう。

マイナンバー制度の内容や手続き方法は、内閣官房HPを参照してください。

5.健康保険証のよくある悩みと解決策

健康保険の切り替え手続きを済ませても、新しい健康保険証が手元に届くまで1週間ほどかかります。その間、病院にかかったときに保険を使えるのか、前の健康保険証は使ってよいのかなど、健康保険証に関する困り事をケース別に解決していきます。

Q.健康保険証を返し忘れた場合は?
A.元の会社宛か健康保険協会に郵送等で返却しましょう

すぐに再就職するかどうかに関わらず、任意継続した場合でも、前の健康保険証は扶養家族の健康保険証も含め、すべて会社または所属していた健康保険協会に返却します。ゴミとして廃棄してはいけません。被保険者の資格が喪失した健康保険証でも医療機関を受診すること自体は可能ですし、身分証明書代わりに使用するなど、悪用される危険があります。

また返却が確認できないと、社会保険事務所から返却の催促があります。紛失した場合には、会社の責任として社会保険事務所に紛失届けを提出しなければいけないため、当事者として書類の記入や提出を求められることもあります。会社に返却する際に送付先の部署がわからない場合は、会社に電話で問い合わせてみましょう。

 

【コラム】郵送返却の方法と添え状の書き方

・返却は簡易書留で

健康保険証は個人情報の塊なので、受け渡しの記録と追跡の確認ができる「簡易書留」で出すと安心です。特別な封筒を購入する必要はないので、健康保険証が入るサイズの普通の封筒を用意します。

「簡易書留」の発送手続きは郵便局の窓口で行います。料金は郵便料金+310円。手続きをすると、郵便物の引き受け番号が書かれた受領書をもらいます。Webサイトで荷物の配達状況を確認する時に必要になりますので、捨てずに取っておきましょう。

返却する際には、健康保険証のほかに、簡単な添え状を書いて送付します。

 

・退職した会社に返却する場合の添え状の書き方例
拝啓 (時候の挨拶) 貴社ますますご隆昌のこととお慶び申し上げます。
在職中は大変お世話になり、ありがとうございました。
本日社会保険証をお送りいたしますので、お手数をおかけいたしますが、よろしくお取りはからい頂きますよう、お願い申し上げます。
末筆ながら、貴社のますますのご発展と皆様方のご健勝とご多幸を祈念申し上げます。
敬具
平成25年○月○日(送付した日付)
自分の氏名
(会社名)御中
・社会保険事務所に返却する場合の添え状の書き方例
前略
本日、社会保険証をお送りいたしますので、お手数をおかけいたしますが、よろしくお取りはからい頂きますよう、お願い申し上げます。
草々
平成25年9月30日(送付した日付)
自分の氏名
協会けんぽ ○○支部御中

Q.健康保険資格喪失証明書がない場合はどうしたらいいの?
A.会社または健康保険組合に証明書の発行を依頼する

退職手続きの時点で「健康保険資格喪失証明書」が受け取れなかった場合、いつ頃、どんな方法で受け取ることができるのか、会社に確認しましょう。実は、「健康保険資格喪失証明書」は会社ではなく、健康保険協会が発行する書類です。書類のやり取り手順については、健康保険協会から会社に届き、それを会社から退職者に渡すという流れが一般的ですので、多少時間がかかる場合もあります。

会社から「自分で取り寄せてください」と言われたら、加入していた健康保険協会に電話で問い合わせます。健康保険の手続きは速やかに行うことが原則ですので、一週間経っても書類が手元に届かない場合は問い合わせてみましょう。

Q.新しい健康保険証が届かない時はどうするの?
A.一週間たっても届かなければ健康保険協会に問い合わせる

健康保険協会にもよりますが、一般的に新しい健康保険証が発行されるのは3〜5営業日が必要だとされています。ですから、一週間経っても手元に届かない場合は、それ以上待たずに必ず問い合わせをしましょう。

Q.健康保険を切り替えたら扶養家族の健康保険証はどうなるの?
A.新しい健康保険証が届くのを待つ

国民健康保険や家族の保険に切り替えた場合だけでなく、任意継続にした場合でも、健康保険証はすべて新しくなります。ですから扶養家族の健康保険証も、原則として被保険者本人のものといっしょに送付されてきます。ただし、扶養資格審査に必要な書類の提出が遅れると、当然新しい健康保険証の到着も遅れることになります。

Q.健康保険を切り替えたら乳児医療証はどうなるの?
A.自治体の乳児医療証の取扱窓口で切り替え手続きをする

国民健康保険の取扱窓口は「各市区町村の国民健康保険課」ですが、乳児医療証の取扱窓口は「各市区町村の子ども家庭主管課」または「福祉保健局の保健政策部 医療助成課」になっており、管理部署が違います。健康保険が変わると乳児医療証の変更手続きも必要になるので、自分で直接取扱窓口に出向き、変更の手続きをしましょう。

Q.退職前から継続して行っている治療は、健康保険の切り替えでどうなるの?
A.健康保険が切り替わることを医師や支払窓口に報告する

持病などで定期的に通院している場合は、退職後新しい健康保険証が届くまで1〜2週間の余裕をみて、退職後の通院日を決めるのが得策です。薬を服用している場合には、健康保険が切り替わることを医師と支払い窓口担当者に報告し、保険が切り替わる前に十分な量の薬を受け取れるようにしてもらいましょう。

Q.健康保険証がないけど医療機関にかかる場合はどうするの?
A.一時立て替え払いで全額を支払い、後日新しい健康保険組合に療養(医療)費の請求をする

健康保険証がないときに医療機関を受診した場合は、かかった療養(医療)費の全額を窓口で支払う、一時立て替え払いをします。そして健康保険証が届いた後に、所属する健康保険に療養(医療)費支給申請を行い、療養(医療)費の払い戻しを受けます。申請から返金までは数週間かかる場合があり、返金方法も医療機関や健康保険の種類によって違います。

また、払い戻される療養(医療)費は全額ではなく、保険診療を受けた場合を基準に計算した額から一部負担金相当額を差し引いた額、つまり通常の診察であれば健康保険側の負担割合である7割の金額になります。療養(医療)費支給申請には、医療機関から発行された領収書の原本などの書類が必要になるので、詳細は各健康保険協会HPや窓口で確認してください。 

Q.被保険者資格を喪失した健康保険証で受診した場合はどうなるの?
A.元の健康保険組合に医療費を返還し、新しい健康保険組合に療養(医療)費の請求をする

被保険者資格を喪失した健康保険証で受診した場合は、以下の手順で療養(医療)費支給申請を行います。

1.受診した際に、窓口で健康保険負担額分の医療費を支払います。
2.後日、所属している健康保険組合より、負担した医療費の返還請求があります。通知書といっしょに納入通知書兼領収書が同封されているので、指定期日までに納付します。納付した領収書は、新たに加入した健康保険に対する療養費の請求をする時に必要になるので、紛失しないように気を付けましょう。
3.新たに加入した健康保険へ療養(医療)費支給申請を行い、療養費の払い戻しを受けます。請求方法は、前述の「・健康保険証がない間、医療機関にかかる必要がある場合の対処法」と同じです。

しかし2つの機関での手続きが必要になるため、申請から返金まで1ヶ月以上かかる場合があります。

Q.健康保険料と健康保険税はどう違うの?
A.徴収権の時効や滞納時の差し押さえの優先順位が違います

市区町村運営の国民健康保険の納税通知書には、自治体によって健康保険と健康保険の2種類の記載が存在します。加入者側からすると、どちらも市区町村に納めるお金であり、受けられる医療に違いはありません。

しかし、保険料(税)を徴収する市区町村にとっては、下記のように滞納者に対する措置に関して大きく違いがあるため、国民健康保険組合を運営する市区町村にとって有利な保険税方式を採用しているところが多いようです。

保険料 保険税
徴収に関する法令 国税徴収法 地方税法
徴収権の消滅時効 2年 5年
差し押さえの優先順位 住民税の次 住民税と同じ
過去の滞納分に対して請求できる上限年数 最大2年 最大3年

いずれにせよ、期日までにきちんと保険料(税)を納めていれば、表記が「料」でも「税」でも中身は同じです。

6.まとめ

退職後すぐに再就職しない場合には、次に入る健康保険を何にすべきかよく検討する必要があります。

まずは扶養家族の健康保険に入れないか検討しましょう。失業保険の給付猶予期間だけでも扶養に入れればお得です。

入れない場合は、退職前の健康保険の任意継続か、市区町村運営の国民健康保険のうち、保険料(税)や手続きの手間を比べてより自分に合っているほうを選ぶのがよいでしょう。