保険証の住所変更手続き

就職、会社での転勤、修学などの引っ越しで住所変更となると、あれ?そう言えば保険証はどうなるの?と何気に気になります。

いやいや、これは何気にではなく、急に病院へ行かなくちゃいけない!保険証が必要だ!という場合を考えて、しっかり住所変更の手続きをしておきましょう。(運転免許証などと同じですね)

また微妙に良くわからない学生の場合もどうすれば良いか、手書きで住所変更する場合、備考に書くの?修正テープとか使うの?などなど、併せて保険証の理解を進めます。

保険証には、国民健康保険と社会保険(健康保険組合や共済組合などの職域保険)がありますが、国民健康保険から順にそれぞれの場合を見て行きましょう。

 

①国民健康保険の住所変更手続き

国民健康保険では、ここは頼りになる市役所で手続きです。 というか、国民健康保険は市区町村毎に運営されてることから、自ずとそうなります。(つまり市役所などが保険者、ということですね)

同一市区町村以外への住所変更では、

  • ●以前お住まいのところでの手続き
  • ●新たな住まいの住所で手続き

と2つ手続きがありますのでご注意くださいね。

●同一市区町村での住所変更

まず同一市区町村での住所変更では、

1)住所変更のみの手続きが必要

  • 住所変更届け(名称は役所による)に記入し、
  • 市役所窓口、または郵送での対応

となります。

即日に交付してもらって受け取りたい、という場合には、本人確認ができるもの(免許証など)、印鑑を持参して窓口で手続きを行いましょう。(本人確認などが出来ないと、結局後日郵送になりますのでご注意を)

●別の市区町村への住所変更

別の市区町村への住所変更では、管轄する市区町村が変更となる、ということから、以下2つの手続きが必要になります。

  • 1)以前お住まいの市区小町村での脱退手続き
  • 2)新たな住所の市区町村での加入手続き

手続きにおいては基本となる、本人確認できるもの(免許証等)、印鑑(認印)をしっかり用意しておきましょう。

[補足]

1)以前の住所での手続き

以前の住所にある市区町村役場で、

  • まず転出届の手続きとともに、
  • 国民健康保険の資格喪失手続きを行います。

また、転出証明書を忘れずにもらっておいてください。 新たな住所での加入時に、提出を求められる場合があります。

2)新たな住所での手続き

新たな住所の市区町村役場で、

  • 転入届の手続きとともに、
  • 国民健康保険の加入手続きを行います。

窓口での手続きでは、新たな保険証は即日交付可。 (即日交付では基本は本人確認ができるもの(免許証など)が必要)新しい保険証は原則として郵送としているところが多いようですね。

  • 手続き基本3点セット
  • 転出証明書(前住所地発行のもの)
  • 本人確認ができるもの(免許証等)
  • 印鑑
  • その他
  • マイナンバーカードまたは通知カードが必要となる場合があります。(例:神奈川県 平塚市)
  • 保険料は原則口座振替として、銀行の届出印及びキャッシュカードが必要となる場合があります。(例:調布市)

お住いの地域によっては、この例にある平塚市のようにマイナンバーカードや通知カードが必要になる場合もあります。また、調布市のようにキャッシュカード等が必要になる場合もあったりします。事前に市役所などのページで手続きに必要なものを調べて、2度手間にならないようにしておきましょう。

●郵送での住所変更

保険証の住所変更で、市区町村の役場によっては郵送対応をしている場合があります。(不可としている場合もあります)

まずは市役所などのページを確認するか、直接電話などで聞いてみてください。

基本は窓口にて転入手続きとともに、保険証の住所変更(新たな保険証の発行)をしておく、というその流れです。(職員が手続きを誘導してくれます)

郵送対応ができる場合には、

  • 本人確認ができる免許証などの身分証明証のコピー
  • それまでの保険証

が必要となります。 郵送での注意ポイントは、以下の記事を参照してみてくださいね。

 

●新住所での手続きポイントは?

以前の場所で脱退手続きを行い、新たな住所で国民健康保険に入る、といった場合には、手続きを速攻で行います。

ポイントは「新たな住所で国民健康保険に入るまでの期間(期限)」です。

●期限の重要性

期限は、その前の国民健康保険の資格を喪失した日から2週間以内です。(つまり以前の住所で転出届をだした日から14日以内)

別の記事(下方参照)でも説明してますが、この2週間(つまり14日)という期間で手続きを行わない場合には、その期間中に仮に病院へ行って医療費がかかったという場合でも、その医療費には保険が適用されず、払い戻しができません。

つまり「全額負担」となる、ということです。

 

②社会保険の住所変更は簡単

国民健康保険の住所変更に比べて、社会保険の住所変更は非常に簡単です。基本は

●ご自身で、

保険証の住所欄にある旧住所を二重線で消して、 新住所を書く。

ということになっています。まずは住所変更になったら、お勤めの会社に住所変更のご連絡をしてみてください。住所変更の手続をしてくれるはずです。

参考までに、協会けんぽでは以下の説明となっています。

  • ●変更後の住所を事業主に申請する
  • ●同一都道府県内での住所変更
  • 変更届(※1)を記入し、協会けんぽ支部へ提出。
  • 保険証は裏面の住所をご自身で訂正して継続利用。
  • ●異なる都道府県へ住所変更
  • 変更届(※1)を記入し「転入先の協会けんぽ支部」へ提出。
  • 後日新たな保険証が支部から届く。
  • その後、古い保険証は返納。

※1)変更届について

「任意継続被保険者氏名・住所・性別・生年月日・電話番号変更(訂正)届」といったとても長い名前のものです。^-^;)

名前の通り、結婚して名前が変わった場合にも、この長い名前の変更届を出すことになりますね。

詳しくは以下を参照ください。全国健康保険協会

 

1)身分証として使えるのに手書きで修正しても良い?

社会保険の保険証で、この「二重線で消して新住所を書く」ということについて、本当にご自身で行って良いのか、と気にされる場合があります。

それでも、そもそもがこの住所欄は「ご自身で住所を書く欄」となることから、この心配は不要、ということですね。

身分証明証の代わりにもなり得る、それでも手書きで住所を書く、修正できる、ということに不安を覚えるかもしれませんが、それは身分証明証として認めるかどうかの相手側の問題でもあります。

今では身分証としての効力は、保険証は補完資料としての位置づけの場合も多く、

◎身分証明証としては「写真入り」であり住所も自分では変更できない運転免許証などが基本

であり、その補完資料として健康保険証などの提示が求められる場合がる、という流れになっているようです。 (金融機関関連での手続きなど)そういった意味では、「写真入り」のパスポートでも住所は自分で書くことから、身分証の効力としては運転免許証には及ばない、補完資料としての位置づけになる場合があります。

 

2)保険証の住所変更は備考欄に書く?

社会保険の場合で住所変更では、旧住所を2重線で消して新しい住所を書く、となりますが、ではその新しい住所はどこに書くのでしょうか。答えは・・・

  • 住所欄の余白があれば住所欄か、
  • 備考欄に新住所を記入

 

詳しくは各保険協会のHP・電話にて確認ください。

 

3)住所変更の修正はシールや修正テープ?

住所変更が多く、 既に備考欄が一杯、新たに書き込むスペースがない! という場合には、

◎シールや修正テープを貼って、その上に新住所を書く

という対応になります。シールや修正テープなどは白いものであればどんなものでも構いません。(つまり新住所がはっきりと分かることが重要、ということですね)

健康保険組合によっては、そうなった場合には、保険証再交付書類に必要事項を記入し、保険証を添えて健康保険組合に申請する必要もあります。まずは健康保険組合に問い合わせするのが良いです。

詳しくは各保険協会のHP・電話にて確認ください。

 

 

③住所変更したら、保険証は病院で使える?使えない?

1)社会保険ではそのまま使える

保険証の住所変更で気になるのは、勿論「病院」です。

社会保険の場合は、保険者(健康保険組合)は変わりませんので、そのまま使えます。

2)保険者とは

この「保険者」とは、病院が医療費を請求する相手、あなたから見れば、医療費を負担してくれるところです。

国民健康保険では市区町村、社会保険では健康保険組合です。

この相手が変わらない場合には、住所変更しても保険証は使用できる、ということになります。

3)国民健康保険ではどうなる?

国民健康保険の場合、同じ市区町村内での住所変更であれば、保険者(市区町村)は変わりませんので、そのまま使えるはず、とはなります。

それでも、いくら同じ市区町村内での住所変更だから、と、そのままにしておくと、新たに保険証が発行された時に正しい住所に届きません。(転送不要で送られてきます)

また医療機関での取り扱いにより、後で請求が来ないとも限りません。

保険料についてのお知らせや、そもそも新しい保険証が届かない場合、病院受診にも影響が出ますので、住所変更は必須事項として、しっかり手続き行いましょう。

 

 

④学生の場合の保険証の住所変更

1)社会保険の被扶養者の場合

社会保険の被扶養者になっている場合には、上で見てきたように「手書きで住所を訂正」で対応すれば良いですね。

基本は、住所変更による異動届などが必要になることもありますので、扶養者による勤め先、会社に確認は必要です。

 

2)国民健康保険の被扶養者の場合

■学生でも基本は住所変更

学生でも、国民健康保険の場合「基本は現住所に住所変更」です。ただ学生の場合は、住民票が実家のまま、ということがあります。

学校に通うために離れて暮らしてはいても所有物の多くが実家にあり実際何度も帰省する、というような場合、住民票の基本である生活の拠点はあくまで実家にある(つまり住民票は実家のまま)、という形でよく説明が見られます。

それでも、学生だから住民票は移さなくても良い、という話にはなりません。

よく「学生は~だから住所変更する必要ないと法律で定められている」という情報もありますが、2次、3次情報を元にした又聞きの内容となりますのでご注意くださいね。(法的には下方にある国民健康保険法を参照ください)

  • 学生であれ基本は現住所に住民票を移動する
  • そして国民健康保険証の住所も変更する

というのも、

  • 有効期限が切れた場合、 新しい保険証は登録されている住所宛てに送られる
  • 住所変更されていないと、受け取ることが出来きない

また、何かの手続き上、国民健康保険証の提出が必要であり、住所が現住所となっていることが必要であれば、住所変更の手続きが必要となってきます。

 

■国民健康保険でのきまり

国民健康保険法では、学生(修学中の人)に対する規定を以下のようにしています。

  • [第百十六条]
  • 修学のため一の市町村の区域内に住所を有する被保険者であつて、修学していないとすれば他の市町村の区域内に住所を有する他人と同一の世帯に属するものと認められるものは、第五条の規定にかかわらず、当該他の市町村の行なう国民健康保険の被保険者とし、かつ、この法律の適用については、当該世帯に属するものとみなす。

読んでいて理解するのに2,3時間かかるような文章ですね(笑)

つまり、

修学のために他の市町村に住所がある人は、扶養者世帯に属する被保険者とみなしますよ

という意味です。

引っ越しによる住民票の移動が前提であり、この決まりがあるからこそ、各市区町村では以下に説明のある「遠隔地被保険者証」(マル学保険証)の発行、というものを用意しているんですね。

ちなみに上の第百十六条の記述内にある第五条とは、

  • 第二章 市町村  (被保険者)
  • 第五条 市町村又は特別区(以下単に「市町村」という。)の区域内に住所を有する者は、当該市町村が行う国民健康保険の被保険者とする。

その住所に住んでる人は、その市町村の国民健康保険に加入する、という内容です。

 

■遠隔地被保険者証(マル学保険証)を利用する!

学生の住所変更では、扶養者(ご両親など)による

「遠隔地被保険者証」(マル学)(※1)

の手続きが必要になりますので、扶養者と相談してください。

この「遠隔地被保険者証」交付に必要なものとしては、

  • 在学証明書や学生証、入学の事実が確認できるもの
  • 国民健康保険証
  • 認印

※)在学証明証はその年のもの(新年度4月1日以降に発行したもの)が必要

※)学生の住民票が必要になる場合があります

手続き場所は「元の住所の市区町村」 (新しい住所の自治体ではありません)

となります。

  • [※1)遠隔地被保険者証とは]
  • 遠隔地被保険者証とは「学校や仕事などの都合」により「扶養者より遠く離れて生活する場合」にこの申請を行うことで、もう1つ保険証が発行される特別な保険証。 学生ではマル学、マル学保険証とも呼ばれるもの。(呼び方は自治体によって異なる)

 

■住所変更で気になる税金は?

ちなみに住所変更する、となると世帯主になることから「税金を払わなくては!?」と心配になるかもしれません。学生の場合、所得は基本はない、ということから、

●確定申告は必要なく、

●つまり住民税もない

ということになりますので安心してください。(勿論、学生でも収入が沢山あれば確定申告の対象です)

また保険料は先ほど出てきた「遠隔地被保険者証」の手続きで扶養者が支払うことになります。