決算整理仕分3(商品売上原価の算定、利益会計の処理)

■商品売上原価の算定(三分法の決算整理)

●概要

損益計算書では、売上高・売上原価・売上総利益を求めるが、ここでは三分法(収益・費用に関する現簿記ルール)における売上高・売上原価・売上総利益の算定方法を記載する。単純な仕入額の総計を売上原価にするだけは計算することができないため。

仕入は当期に仕入れた分=当期に売れた分とは限らない。仕入=当期の売上ではないため、決算で細かい調整が必要。

100個商品が売れたとして、その仕入の内容はいくつもある。

  • ・期首からあった商品10個+当期中の仕入90個
  • ・当期中の仕入110個-売れ残り10個

などのパターンがある。

●決算時における「売上原価」の考え方

また「売上原価」は売れた商品にのみに対しての原価である。仕入れしたすべての商品に対する原価ではないため、損益計算書の売上原価を求める際は決算時に以下の方法で計算する必要がある。

●商品売上原価の算定方法(三分法の決算整理方法)

★売上原価算定仕分方法(有名な仕分方法なのでこのまま覚えたほうがよい)=通称「しーくりくりしー」という

  • (借)仕入(貸)繰越商品→期首商品のこと
  • (借)繰越商品(貸)仕入→期末商品のこと

たとえば、当期末商品棚卸高200万円、前期末商品棚卸高100万円(前期分の商品が100万円のこっていて、当期は200万円分商品が残った)

  • (借)仕入1,000,000(貸)繰越商品1,000,000
  • (借)繰越商品2,000,000(貸)仕入2,000,000

この仕分により期首は商品(棚卸)が100万円あったが、期末においては合計200万円になったということ。この仕訳でとりあえず商品原価が求められるらしい。

当期販売で売れた部分のみが売上原価なので、↑でいうと300万円(当期販売分の仕入100×3)が売上原価となる。

 

 

 

 

■利益の会計処理

利益を算出する書類の代表例として損益計算書があるが、損益計算書を作成し直接利益を出すのではなく、利益を算出する決算整理仕訳を行ってから(試算表)、それを損益計算書という形で表すだけ。これは決算整理仕訳の一番最後に行われる。

 

STEP1、すべての収益の勘定科目残高を損益勘定に振り替える

  • (借)売上2,000(貸)損益2300
  • (借)受取利息200
  • (借)受取配当金100

STEP2、すべての費用の勘定科目残高を損益勘定に振り替える

  • (借)損益1300(貸)仕入800
  •        (貸)給料200
  •        (貸)旅費交通費100
  •        (貸)減価償却費100
  •        (貸)支払家賃90
  •        (貸)支払利息10
  • (借)損益1,000(貸)繰越利益剰余金1,000

STEP3、損益勘定の残高が当期純利益となる。

STEP4、翌期首の試算表の完成

損益計算書の収益と費用の部分が計算されなくなり、残った繰越利益剰余金が純資産として翌期首試算表に残る形となった。