■今や採用に直結するのは職務経歴書(履歴書と職務経歴書。2つの書類が持つ、それぞれの意味)
◆履歴書は基本情報
ひとむかし前までは中途採用でも履歴書だけで選考される場合がほとんどでした。しかし現在は、履歴書と職務経歴書はセットで提出するものとなっています。新卒採用の就職とは異なり、転職では職務経歴書も必須と考えてください。履歴書のみでOKの場合も、職務経歴書を添えたほうが有利です。この2つの書類の役割は、まず履歴書では基本情報を伝えます。氏名、住所、学歴、職歴など基本となるデータを記載します。あなたのこれまでの学歴や職歴をわかりやすく書くことを心がけましょう。
●履歴書で採用側が重視するポイント(基本となるあなたの情報)
- ・氏名、住所など基本情報やどのような経歴の持ち主かを見るための書類
- ・加工のない情報を相手にわかりやすく書き、アピールは庶務経歴書にまかせる
- ・履歴書は基本情報を確認するための書類と考えるとよい。難しく考えることなく、自分の情報をわかりやすく書けていればそれで充分。経歴のブランクなど、相手に伝えておきたいことがある場合は、履歴書ではなく、職務経歴書に記述するようにしたほうがよい。
◆職務経歴書には加工が必要
職務経歴書は、履歴書に職歴として書いた事柄が相手に伝わるようさらに詳しく加工した書類です。これまであなたが、どのような業界でどこの会社に勤め、何の職種でどんな業務を行ってきたのかを、採用担当者にアピールできるようアレンジして作ります。そのため履歴書では内容にさほど違いや差は出ませんが、職務経歴書は書き方によって大きく差がついてしますのです。職務経歴書は面接まで進むための重要なツールです。仕事の経歴を単に並べただけの書類ではなく、あなたの経験と能力を採用側にアピールするための戦略的ツールと考えてください。履歴書だけでは転職でもっとも重要な職歴が伝わらない。
●職務経歴書で採用側が重視するポイント(職場でのあなたの姿)
- ・履歴書だけでは伝えられない経歴を、詳しく相手がイメージしやすいように書く
- ・相手のほしいものにマッチするよう自分のスキルや経験をアピールする
- ・転職では職務経歴書のウエイトが大きく、実際のアピールはこちらで行う。履歴書で書いた経歴を実際の売り上げなどの数字を示して、詳しく知ってもらう。また相手が求めていることと自分のスキルや経験がどの点でマッチするか、ということに気を付けながら書いていくことが必要。
■書類は人事だけが読むは大間違い
◆新卒と転職で書類選考の担当は異なる(新卒=人事部、転職=将来の上司)
応募書類を作成する際に重要なのが、その応募書類を誰が見ているかということ。新卒募集の場合は募集人数が多いこともあり、たいてい人事部門の担当者が見るが、転職では募集している部門の責任者が直接見るので、具体的なスキルや経験が求められると考えたほうがよい。
◆転職者の書類にはどんな要素が必要か
転職面接を担当する部門責任者はほしい人材の具体的なイメージを持っているので、充分な企業研究が必要。また書類を見る際には、ほしいスキルや経験を持っているかということに着目するので自分がその会社に入り、経験やスキルをどの場面で活かせるかなどをイメージしながら、書類を作成する必要があります。部門担当者はその人がどんなスキルをもっていて、どんな仕事をこなしてきたか、など実際に自分のしたでやってもらう仕事をイメージしながら自分の求めているものとマッチングさせて選考しているのです。相手となる現場の責任者を意識することが大切する。
■担当者が応募書類を見るのは2分。勝負は2分。キーワードが重要。
◆自分の職歴を分解してみる
採用担当者が応募書類を見る時間はおおむね2分前後。その間に担当者の気持ちをキャッチしなければならず、よりわかりやすく応募書類をまとめる必要があります。自分がどういう経験をしてきたのかをはっきりとつかみ、相手がキャッチしやすいキーワードを見つけておくことが必要です。自分の職歴を分析してみると、実はそこに知識・経験→行動→結果といったサイクルが見えてきます。そのサイクルに自分の職歴を当てはめることが、いまあなたが応募しようとしている仕事との共通点が浮かびあがってくるはずです。
◆キーワードはマッチするものを中心に
キーワードを見つける際に意識するのは希望職種とのマッチングです。採用側こんな種類の仕事をしてほしいという具体的なイメージを持っています。なので自分の保有しているものの中から一体何が必要とされるのかどんな力がその職場で発揮できるのかを考える必要があるのです。下のサイクルで経歴を分析する際、一方的に自分の保有する能力や知識をキーワードとして掘り起こすのではなく、相手の求めるものとのマッチングを意識してみてください。
◆自分の分析に必要な視点(サイクルで見るあなたの職歴)
- 知識・経験(私は○○の知識や経験を持っています)
- ↓
- 行動(○○の知識や経験をもとに○○をやってきました)
- ↓
- 結果(○○ができるようになりました。○○の成果がでました)
●自己PR例文
大手企業の大規模販促やキャンペーンサイトの画面構成から、デザイン、HTMLの作成までクリエイティブにかかわる一連の流れを経験(知識・経験)しました。デザイン面のみの理想の追求ではなく、スケジュールやコスト制約の中で高いクオリティとユーザビリティを求めながら仕事をしていく(行動)うちに、ビジネス感覚を鍛えることができました。(結果)
■採用現場の現実を知っておく
◆ワンオフゼムな書類にしない(埋もれてしまう書類にしない)
決まり切ったフレーズの志望動機や募集要項をそのまま貼り付けた書類はNG。また、必要とされるのはビジネス感覚です。担当者は多くの書類の中から、ネットで検索するかのように自分のアンテナに引っかかるものをピックアップしていくのです。そのためまずはキーワードを見つけ相手の求めるものは何かを考え、そこからさらに相手にマッチする表現へと翻訳することが必要なってきます。
●担当者もがっかりなワンオフゼムな書類
例)決まりきったフレーズに終始するNG自己PR例文
前職の営業ではフットワークよく精力的に活動しておりました。分野は異なりますが、営業で鍛えたお客様とのコミュニケーション力には自身があり、それば御社でも十分に活かせると思います。どうぞよろしくお願いいたします。
➡コミュニケーション力は営業の応募で特に多い表現。またフットワーク=営業を安易な考えを表したもので特に営業経験のない応募者が、つい書いてしまいがちな表現である。
例2)募集要項を貼り付けるNG自己PR例文
前職の営業経験では、信頼関係と自己管理の大切さを学びました。また、お客様が今何を必要としているのかを常に考え、細かい気遣いを忘れずに、日々営業活動に励んでまいりました。
➡募集要項に求められる人材として自己管理能力、お客様への気遣いできる人とありそれをそのまま自己PR文として書いた例。具体的な動きや取組みや内容の記述がなく、アピールにはならない。
◆相手のほしい言葉に翻訳した書類にする(転職者と採用担当者のマッチングできる応募書類にしよう)
- 転職者
- ・自分の職歴を細かく分析する
- ・売りとなるキーワードを探す
- ・相手の求めるいる表現に翻訳する
- 採用担当者
- ・仕事の合間を縫って書類に目を通す。時間にして2分前後
- ・ネットで検索するかのようにほしいキーワードを探す
上記のポイントのような転職者と採用担当者のマッチポイントを探す。想いの丈を長々と書き連ねても採用担当者が必ずそれを文面からくみ取ってるかといえば、決してそうでもない。採用担当者の求めるものが何であるかを把握したうえで、自分の経験とマッチさせるようなに書くのがベスト。
■採用側が気にする点を押さえる
◆書類にも第一印象がある、ポイントを押さえて簡潔にする
●ビジネス文書ということを意識する
- ・言葉遣いに気をつける
- ビジネスマナーの基本を疑われるので、敬語の使い方は特に注意
- ・簡潔な文章
- なるべく箇条書きにし、読みやすい文章を心掛ける
- ・以上を忘れない
- 履歴書の学歴・職務欄・職務経歴書の最後には必ず以上と入れる
- ・レイアウトに気を遣う
- 職務経歴書はレイアウトに気を付ける。基本はすっきりとバランスよくする。
- ・項目と見出しを立てる
- 職務経歴書ではどこに何が書かれているか一目でわかるよう書き方を工夫する
- ・矛盾点をなくす
- 職歴や志望動機が履歴書と職務経歴書で異なっていないか読み直す
●外見に気を付ける
- ・用紙の汚れに気を付ける
- 書類が汚れたり、にじんだり、かすれたりしていないかを気を配る。修正液は使用しない。
- ・日付や年号を間違えない
- 書類の日付、学歴や職歴の年号のミスは致命的。日付は提出日の年月日で。
- ・マーカーは使わない
- 強調させたくも色ペンの使用はNG。括弧などを使う。
- ・ペンは黒か濃紺で
- 必ず黒ペン(万年筆なら黒や濃紺)で書く
●文章が長い人は面接でも失敗しがち(採用側より)
職務経歴書が4~5枚にわたっていて文章が長い人は、面接も下手なことが多いといえます。文章が長くなるのは相手に伝えたいことが整理できていないためで、面接での受け答えでも話がながくなり、要領を得ない回答になりがちです。
■書類は自分の分身、誠実さ・まじめさは書類に出る