「価格戦略・流通戦略」とは何だろう

第6章 「価格戦略・流通戦略」とは何だろう(価格決定と消費者心理の関係、流通戦略の基本について)

 

1、そもそも価格はどう決めればいいか?(製品の価格を決める3つの方法)

製品の価格を決める3つの方法

コスト重視(積み上げ方式)

原価+利益→価格 かかった費用にマージンをプラスして決める

競争重視(競争関係重視方式)

他社価格≧自社価格 競争相手の価格を基準にして決める

需要重視(心理的価格決定方式)

値ごろ感→価格 買い手の値ごろ感を調べて決める

カスタマー・バリューとテクニカル・バリュー

カスタム・バリュー・・・買い手が買ってもいいと思う価格

テクニカル・バリュー・・・売り手の原価+利益

差が大きいほど、売りやすい。テクニカル・バリューがカスタマー・バリューより大きいと売れない。カスタマー・バリューを引き上げ、テクニカルバリューを抑えれば売れる価格になる。

 

 

2、消費者心理にアピールする価格戦略とは?(98円など、端数のついた価格が多いワケ)

消費者心理にアピールする価格戦略

名声価格(宝石、毛皮、化粧品など)

価格が品質の目安になっているため、ある程度高いほうが売れる。

慣習価格(缶飲料、ガム、のどあめなど)

以前からの価格を消費者が当然と思っているので上げ下げしてもプラスにならない。

端数価格(食品、雑貨など)

980円、1万9800円など、ぎりぎりまで下げている印象を与えて売る

価格ライン(衣料、化粧品など)

一般・中級・高級など価格帯を分けておき、その中から好みのものをえらべるようにする

差別価格(劇場、ツアー旅行など)

S席料金で高級感を出したり、オフシーズン価格で割安感を感じさせたりする。

 

 

3、「価格弾力性」とはどういうものか?(値下げの効果には、いろいろなパターンと違いがある)

価格の変化によって、そのせいの売れ行き(需要)がどれくらい変化するかをあらわす指標を「価格弾力性」とか「価格弾性」といいます。値上げ・値下げの反応を見るのが「価格弾力性」。

「価格弾力性」が高いと値下げの効果が大きい

価格弾力性=需要の変化率÷価格の変化率

・価格弾力性・低・・・価格を下げても売れ行きに変化は少ない

・価格弾力性・高い・・・価格を下げると売れ行きが伸びる

→価格弾力性が低い商品は値下げしても効果が薄い、ということ!

 

 

4、価格の「ブレーク・ポイント」を見つけよう(値下げと売れ行きは必ずしも比例しない)

値下げと売れ行きは比例していない。あるポイントを境に売れ上げが伸びる。これが「ブレークポイント」。

価格には臨界点(フレーク・ポイント)があるということです。つまり、徐々に値下げしても横這いか上がり気味だった売り上げが、急激に増加するポイントがあるのです。

 

 

5、価格管理の方法を知っておこう(オープン価格とディスカウント・リベート)

「希望小売価格」・・・日本では、生産者が設定した価格。流通業者はそれを基準に販売価格を決め、消費者も希望小売かかくと実際の販売価格の両方を勘案して、買う買わないを決めたりします。

「オープン価格」・・・生産者が希望小売価格を設定しないで、小売業者の判断に任せる場合もあります。その価格のこと。

希望小売価格方式では、実際の販売価格との差が大きすぎると、叩き売りの印象が否めません。そのため、成熟期に入って値くずれの心配がある商品や、衰退期で在庫をさばいてしまいたい商品で、オープン価格が採用されることもあります。

<価格管理のポイント>

価格の設定

希望小売価格・・・メーカーから価格体系を提案し流通業者・消費者の目安とする

オープン価格・・・小売店に価格の判断を任せ、不当な価格表示やたたき売りの印象をさける

価格の調整

ディスカウント・・・設定した販売価格から一定の割合を引き、実際の販売価格を安くする

リベート・・・流通業者に利益の一部を分配し催促の刺激、販売価格の調整をする

 

 

6、「流通チャネル」とはどういうものか?(流通戦略の基盤となるのが「流通チャネル=チャネル}である)

商品が消費者の手に渡るまでのすべてのプロセスが「流通チャネル」

生産者→卸売業者→小売業者→消費者

流通チャネルの主な機能とは?

主機能

①調査 何が売れるか、情報収集

②プロモーション 販売促進

③コンタクト 見込み客を探し当てる

④マッチング 包装、販付工事など

⑤交渉 条件の最終合意など

「商流」「情報流通」

販売支援機能

①ロジスティックス 輸送、在庫管理

②ファイナンス 資金の調達、融資

③リスク分散 生産者と危機分散

「物流」

 

 

7、どんな流通チャネルをつくればいいのか?(3つの流通チャネル政策)

<3つの流通チャネル政策>

開放的流通チャネル(=販売業者を選ばない)

消費者がどこでも買えるようにする

選択的流通チャネル(=効率のよ販売業者に限定して取引する)

イメージダウンをさけながら流通コストを抑える

専属的流通チャネル(=1販売業者に1地域の販売権を専属的に与える)

ブランドイメージを保持して価格競争をさける

 

・従来の流通チャネル

  • 生産者
  • 卸売業者
  • 小売業者
  • 消費者

生産者から順番に流す

・垂直的マーケティングシステム

  • 生産者
  • ↓↑
  • 卸売業者
  • ↓↑
  • 小売業者
  • 消費者

消費者にシステムとしてあたる

・サプライチェーンマネジメント

  • 生産者
  • ↓↑
  • 卸売業者
  • ↓↑
  • 小売業者
  • ↓↑
  • 消費者

消費者を出発点に巻き込む