「ストーリー」を加えよう

第5章

より深い共感を与えよう

 

 

STEP1 ストーリーで書くことの基本

なぜこのタイトルだとテレビを見たくなるのか?

例)

青函トンネルの工事を振り返る→友の死を超えて青函トンネル・24年の大工事

世界規格YHSを作った人たち→窓際族が世界規格を作ったVHS周年の逆転劇

 

ストーリーはどのような文章に有効か?

会社をPRしたり、商品を売り込むときです。具体的には会社のサイト、会社案内、お店の紹介、プレス利リーズ、チラシ、メルマガ、DM、セールスレターです。

具体的には商品開発のストーリー、素材や製法に対するこだわりを熱く語るストーリー、これだけは譲れない頑固さをアピール、受け継がれてきた歴史や伝統を語るストーリーなどです。

要するに伝えたい思いや情報をストーリーにして語るということです。

ストーリーの肝は「人」

例)

やきとり一筋30年の当店オーナーが、毎年、全国の有名ブランド鶏を食べ比べて一番「おいしい」と思った鶏だけを使用。やきとりマイスターの資格を持った職人たちが、一串入魂の気構えでじっくり炭火で焼き上げます。

 

ストーリーを使うメリット

①興味を持ってもらえる ②感情移入してもらえる ③記憶に残る ④失敗を語ることでより深い共感を得ることができる

⑤イメージ共有できる

ポイントは・・・つかむ・揺らす・満足させるです。

 

 

STEP2 「ストーリーの黄金律」で大きく心を揺さぶる

人類共通の感動のツボ「ストーリーの黄金律」とは?

  • ①何かが欠落している、または欠落させらえれた主人公が、
  • ②遠く険しく目標やゴールに向かって
  • ③数多くの葛藤、障害、敵対するものを乗り越えていく
会社の成り立ち文(会社紹介文)

悪い例

1957年、のちに日清食品を創業する安藤百福氏は、インスタントラーメンの製造に着手した。時代は戦後から高度成長期を迎えていた。安藤氏は戦前、大阪で繊維などを扱う商社を経営していたが、空襲ですべての事業所や工場が焼けてしまった。戦後、百貨店をはじめいろいろな事業を手がけ、成功を収めた。しかし頼み込まれて信用組合の理事長に就任したが、この信用組合が資金繰りに行き詰まり倒産する。理事長の安藤は負債を弁済することになり、戦前から蓄えてきた個人資産をすべて失い、借家の自宅を除いて無一文になる。インスタントラーメンの開発に情熱をかけた。安藤氏は庭に小さな小屋を作らせ、朝から真夜中まで麺の研究に没頭した。「すべての人に十分な食料があれば世界は平和になる」という思いからだった。妻が夕食作りのために使っていた天ぷら油に麺を入れてみたことがきっかけで、開発に成功した。1958年8月25日、「チキンラーメン」という名前で販売を始めた。1袋35円だった。

良い例

「世界平和のために、47歳からの挑戦」チキンラーメン開発秘話

「すべての人に十分な食料があれば世界は平和になる」そんな思いで、安藤百福がインスタントラーメンの開発に着手したのは47歳の時。しかも一文なしの失意のどん底からのスタートだった。理事長を務めていた信用組合が倒産して借家の自宅を残して全財産を失った。罪悪感を感じた安藤は、何か世の中に役立つことをしようと思った。

安藤の脳裏によぎったのが、終戦直後、空襲で焼け野原になった場所で、屋台の一杯のラーメンを求めて多くの人が長い行列をつくっていた光景であった。一杯の温かいラーメンは、空腹を満たすだけでなく人の心も温める。高度成長期を迎えていた日本で、労働者が手軽に買って食べられるインスタントラーメンを開発しようと思い立った。

安藤はさっそく研究用の小屋を作った。麺に関してはまったくの素人だったが、裸電球の下で一日も休まず研究を続けた。しかし失敗の連続でうまくいかない。

それをある日、妻が夕食作りのために使っていた天ぷら油に麺を入れてみた。すると揚げることで麺から水分が抜けるだけでなく、表面に小さな穴が空いて調理が早くなる効果もあることがわかった。これがきっかけになり、安藤はお湯をかけるだけで出来上がるラーメンを完成させたのだ。1年の月日が経っていた。 1958年8月25日に大阪市で販売されたチキンラーメンは爆発的の売れ、2年後には月産10万食に達した。

 

自己PR文

悪い例(学生時代に力を入れたこと)

私は、大学2年生の10月から12月までの間、自分の住んでいた川浜市の職員の方と学生とで協力してクリスマスのイベントを実施することで力を入れました。市としても初めて実施するイベントで、企画や準備をするのはすべて一から。どのような内容にするか、参加人数はどのくらいになるのかなどの予想がつかないことが多く苦労しました。しかし、他の学生や職員の方と、お店に協力していただくための交渉や、宣伝のための撮影などチームワークを重視して努力しました。結果として、最初は参加者を100人と見積もっていましたが、実際に参加していただけたのは400人。多くの方々に楽しんでもらうことができました。この経験から、たった一日のイベントをするにも半年間もの準備期間が必要になることがわかりました。しかし、努力すればそれだけ成果が出るということも同時に実感することができたのです。

→ひとつのイベントに絞ったことは悪くあいません。しかしやったことはそんなに大したことではないので、インパクトがあるかというと微妙です。

 

良い例

「仕事」の意味を少しだけ感じることができたイベント

私は、大学2年生になるまで、特に力を入れたこともありませんでした。当然、「仕事」に対しても真面目に考えたことがありません。そんなダメな私が、仕事の意味やおもしろさを少しだけ感じることができたのは、川浜市のクリスマスイベントを実施するという企画に参加したことがきっかけです。それは市の職員と学生が一緒になって実施していくというものですが、市としても始めての試みで、誰も最終形のイメージが地元のお店に協力していただくお願いをすることになりました。最初はなぜ自分がやらなきゃいけないんだと思いましたが、協力してくれる店が増えていき、みんなから「すごいね」といわれると俄然おもしらくなり、気づいたら、そのインパクトにどんどんのめり込んでいく自分を発見しました。結果、せいぜい100人と見込まれたイベントの参加者は400人を超え、多くの人に楽しんでもらうことができました。「大人が言う仕事のおもしろさってこういうことかもしれないと感じることができたのです。もちらん、本当の仕事に比べたらささやかな出来事だと思います。来年以降は、ぜひ御社の仕事に夢中になり、より本当の「仕事のおもしろさ」を感じたいです。

→ストーリーが感じられる文章になりました。これば1行目に主人公の欠落を持ってきたことで、読み手の心をつかむことができたからです。つまりA君ストーリーの主人公になっている。

 

 

 

STEP5 ストーリー・ブランディングの「3本の矢」とは?

情報の価値を「見えるか」する

ストーリーブランディングとは、会社、商品などが持っている本来の価値をわかりやすく見える化する手法です。「3本の矢」は

①志 ②独自化のポイント ③魅力的なエピソード

社長メッセージ

悪い例

ダイヤモンド医療機器は、1994年の創業以来、医療機器部門でイノベーションをもたらす製品やお客様へのサービスを次々と提供していきました。「世の中の健康を支える」を企業理念に掲げ、医療の発展や人々の健やかな暮らしに貢献してまいります。また増加する医療費を軽減させる検査機器を開発します。先進的なテクノロジーを用いることで、ハイクオリティな検査・診断技術の創出に取り組み、治療のさらなる改善に貢献します。また患者ひとりひとりに最適な医療の実現を目指しています。

代表取締役社長 佐藤学

→よくある話みたいに感じ取られている。

良い例

日本を「健康長寿大国にする」会社

いくら長生きしても病院のベッドで寝たきりになるのでは幸せとはいえないでしょう。「日本中の皆さんに健康なままで長生きしてほしい」ダイヤモンド医療機器は1994年の創業以来、ずっとそんな志をもって、製品開発に取り組んだきました。

重い病気を早期発見することは、多くの人々の命を救うだけではありません。増大する医療費の軽減にも役立ち、結果として皆さんひとりひとりが明るく快適な老後を過ごせることに繋がるのです。

そんな未来を実現するために、当社は、あらゆる産業から最新技術を導入し、同業他社とはまったく違う独自の発想で革新的な医療機器「ダイヤ3号」を発売しました。

病院の先生から声をかけていただくこともよくあります。先日も早期に発見されたことで内視鏡の手術ですんだ患者さんからじきじきにお手紙をいただきました。「ダイヤ3号は私の命の恩人です」と。

これからも「日本を健康長寿大国にする」ために、全員の力を結集していろいろな課題に取り組んでいきます。ご支援よろしくお願いします。 代表取締役社長 佐藤学

「3本の矢」

①志=日本を健康長寿大国にする

②独自化のポイント=革新的な医療機器「ダイヤ3号」

③魅力的なエピソード=医師からの感謝の言葉、患者からの感謝の手紙

という3本の矢がしっかりとしているのでどのような「志」がある会社で、同業他社と何が違うのかが明確になっています。またそれを裏付けるようなエピソードもあるので説得力が出ているのが分かります。結果として、原文よりも分かりやすく、こころが動く文章になっています。