●現金の仕訳基礎
- 大原則(現金の増減=資産の増減)
- 受け取った=増加した➡借方へ
- 支払った=減少した➡貸方へ
例)
- 電気代1万円を現金で支払った。
- (借)水道光熱費10.000/(貸)現金10.000
- =費用の発生/資産の減少
- 売掛金5.000円を現金で回収した。
- (借)現金5.000/(貸)売掛金5.000
- =現金という資産の増加/売掛金という資産の減少
現金の論点3つ
・現金の範囲 ・現金過不足 ・小口現金
●現金の範囲
・硬貨、紙幣(リアル現金)
・配当金領収書、為替証書、他人振り出しの小切手、郵便為替証書など銀行へもっていくとすぐ現金になるもの(通貨代用証券)。これらは借方は「現金」になる。
例)売掛金2.000円の代金として郵便為替証書を受け取った。
(仮)現金2.000/(貸)売掛金2.000
ポイント・・上のように(仮)の勘定項目は為替証書ではなく、現金とする。通貨代用証券は全て借方項目を現金とするのが特徴。
※配当金領収書・・領収書とあるが投資先の企業から配当金として贈られてくる(現金引換券)
※郵便為替証書・・現金を持ち運びするためのもの。銀行にもっていけば現金と交換できる。
●現金過不足
現金は増減があればその都度仕訳する。帳簿に+-を入れ、残高数値もそのごと記載。経理としてよくあるのはその日の始まりと終わりで現金が一致しているか定期的にチェックする。
例1)
帳簿上の現金残高は11.910円である。現金をカウントしてみたら、11.610円であった。
11.610円(実際の残高)<11.910円(帳簿上の残高)
この場合、実際の残高が正しいとして、帳簿上も実際残高に合わせる。合わせる仕訳は↓
(仮)現金過不足300(貸)現金300
その後切手代300円の仕訳を忘れていたことが判明した。
(借)通信費300(貸)現金過不足300
という形で調整。
例2)
帳簿上の現金残高は11.600円である。現金をカウントしてみたら、11.610円であった(例1とは逆)。
(借)現金10(貸)現金過不足10
➡実際の残高が現金10円多いので資産の増加と考え借方へ仕訳
その後、差額10円は、先日90円の切手を購入した際に謝って100円と仕訳していたことが判明した。また調整する。
(借)現金過不足10(貸)通信費10
※差額原因が究明できない場合は決算の時に修正する。
例3)
金庫内の現金をカウントしたら、1000円札10枚であった、帳簿では「現金」勘定の残高は9,000円であった。
(借)現金1.000(貸)現金過不足1.000
原因調査したら、先日売掛金1.000円を現金で回収したが仕訳していなかった。
(借)現金過不足1.000(貸)売掛金1,000
●小口現金
実際の企業の動きでは入金より出金の方が多い。1階が営業事務所(用度係)、2階が経理部(出納係)など。会社に水道光熱費の徴収がきて支払ったり、営業の出張費の建て替えなど様々。これをいちいち経理部が金庫から出して記帳するのは面倒なので経理部が1階の営業事務所にあらかじめいくらかお金を渡しておく(これが小口現金。小口現金を管理して経理部と連携するものを用度係という。経理部内に用度係は絶対にないわけではない)。営業事務所はこの小口現金で日々のちょっとした支払を行い、何に使ったかを経理部にまとめて定期的に報告する。そして最後にまとめてその報告をもとに仕訳する。この仕組みを「インプレストシステム」という。
例)
①出納係は用度係に10万円を渡した。
(借)小口現金100,000(貸)現金100,000
小口現金という資産の増加/現金という資産の減少=考え方としては簿記上の現金10万円が簿記上の小口現金10万円に代わった。
②用度係は日々の支払いをおこなう。
③金曜夕方、用度係は出納係にこの1週間の支払いの領収書を提出した。ガス代3万円、出張費4万円
④出納係は仕訳する
- (借)水道光熱費30,000(貸)小口現金70,000
- (借)旅費交通費40,000
⑤減った小口現金を補充した(現金で補充)
(借)小口現金70,000(貸)現金70,000
【経理実務】お金の呼び方
- 経理部が扱うお金➡現金とよぶ
- 経理部から出金したまとめった日々の少額のお金の出金に使うお金➡小口現金とよぶ