■約束手形について
小切手と見た目も使い方も似ているが、小難しい。簿記3級では約束手形のみ出題され、為替手形はない。
約束手形を受け取ったものは、銀行へ持っていけば支払いされる。小切手と異なることは、小切手は銀行持参時にその場で現金がもらえたが、約束手形は手形に記載ある支払期日にその分のお金が口座へ振り込まれる(振出人の当座預金から持参人の預金へ資金移動)。額面金額をもらえるのは振出日から4~5ヶ月後と時間かかる。また額面に応じた収入印紙も貼らなくてはならない。
※銀行へ手形を持っていくことを「取り立て依頼」に出すという。手形も小切手と同様に当座預金口座という専門の口座から振替される。
★それぞれのお金の動き
小切手:受け取った側は銀行ですぐに現金もらえる。銀行はその時、振出人側の当座預金から引き落とす。
約束手形:受け取った側は銀行ですぐにもらえず、支払期日に金額が口座へ振り込まれる。銀行が期日になったら振出人口座から受取人口座へ資金移動してくれる。
例)
A社がB社から商品を約束手形にて購入。B社は約束手形を銀行へ提出した。
振出人側(購入者A社側)
①1月1日、A社は50万円の商品をB社から購入し、代金については手形を振り出した(手形の期限は4月30日)。
- (借)仕入500,000(貸)支払手形500,000
- 仕入という費用が発生/支払手形という負債の増加
②1月3日、B社は銀行へ手形を持参し、取り立て依頼をした。
(借)(貸)仕訳なし=この時点ではお金に動きない。
③4月30日、手形の期日になり手形が決済された。
(借)支払手形500,000(貸)当座預金500,000
支払手形という負債の減少/当座預金という資産の減少
受取側(販売者側=各宛人ともいう)
①1月1日、A社は50万円の商品をB社から購入し、代金については手形を振り出した(手形の期限は4月30日)。
- (借)受取手形500,000(貸)売上500,000
- 受取手形という資産の増加/売り上げという収益の増加
②1月3日、B社は銀行へ手形を持参し、取り立て依頼をした。
(借)(貸)仕訳なし=この時点ではお金に動きない。
③4月30日、手形の期日になり手形が決済された。
(借)当座預金500,000(貸)受取手形500,000
当座預金という資産の増加/受取手形という資産の減少
■電子記録債権・電子記録債務について
電子記録債権とは10年程前から始まった売掛金、買掛金を目に見えない電子取引で行う取引形態。仕訳自体はシンプル。
電子記録債権が誕生した経緯は「手形の使用をやめたい」という考えから。
- 【手形は不便】
- 手形を振り出した側
- ・手形に金額や社名等を記入
- ・収入印紙を貼り付け
- 手形を受け取った側
- ・領収書を振出側に作成&郵送(収入印紙貼り付け)
- ・手形を銀行に持参&書類記入
↓電子記録債権にすれば以下の手続きのみとなり実務としてもだいぶ楽になるらしい。だが、まだまだ手形は実務で使用されている。
- 手形を振り出した側
- ・登録手続き
- ・FAX送信
- 手形を受け取った側
- ・領収書を作成&郵送
例)
債務者(A社)側
①1月1日、A社は50万円の商品をB社から購入し、代金については掛けとした。
(借)仕入500,000(貸)買掛金500,000
仕入という費用が発生/買掛金という負債の増加
②1月31日A社はB社に対する買掛金について、電子記録機関に債務発生の記録を行った。
(借)買掛金500,000(貸)電子記録債務500,000
※②の仕訳は、①で発生した買掛金について電子的な債務に変更する手続きだけを行うイメージ。「買掛金➡電子記録債務」。
③5月31日、上記電子記録債務の支払いが行われた(当座預金での資金移動)。
(借)電子記録債務500,000(貸)当座預金500,000
電子記録債務という負債の減少/当座預金という資産の減少
債権者(B社側)
①1月1日、A社は50万円の商品をB社から購入し、代金については掛けとした。
(借)売掛金500,000(貸)売上500,000
売掛金という資産の増加/売上という収益の発生
②1月31日A社はB社に対する買掛金について、電子記録機関に債務発生の記録を行った。
(借)電子記録債権500,000(貸)売掛金500,000
電子記録債務という資産の増加/売掛金という資産の減少=売掛金が電子記録債権に変更した。
③5月31日、上記電子記録債務の支払いが行われた(当座預金での資金移動)。
(借)当座預金500,000(貸)電子記録債権500,000
当座預金という資産の増加/電子記録債権という資産の減少
■借入金・貸付金・手形借入金・手形貸付金について
●通常の借入と貸付について
例)
A社はB社に現金1万円を貸し付けた。
貸した側(A社側)
(借)貸付金(貸)現金10,000
貸付金という資産の増加/現金という資産の減少
借りた側(B社側)
(借)現金10,000(貸)借入金10,000
●手形を使った借入金・貸付金
通常企業がお金の貸し借りするときは何か証拠を残す。たとえば借用証書。この借用証書の代わりに手形を使用する場合がある。この場合以下のように勘定科目が少し変わる。
例)
A社はB社に現金1万円を貸し付けた。B社はA社に手形を渡した。
貸した側(A社側)
(借)手形貸付金(貸)現金10,000
貸付金という資産の増加/現金という資産の減少
借りた側(B社側)
(借)現金10,000(貸)手形借入金10,000
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