1.目指すは「角の立たない封筒」
退職届は退職を届け出る際に提出する書類。退職願は退職を願い出る際に出す書類。いずれも退職できるか否かを決めるナーバスな存在だけに、それを包む封筒にも細心の注意が必要です。封筒が汚れていたり、非常識なものだったりすれば、受け取る側は何かしら引っかかりを覚えてしまうもの。一度でスムーズに受け取ってもらえるためには、できる限りリスクを排除した、角の立たない封筒を目指すことが重要です。
角の立たない封筒を目指すために意識すべきこと
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2.退職願・退職届に相応しい封筒の種類
退職願の場合も退職届の場合も、相応しいとされる封筒の種類は同じです。
封筒の種類:白い二重封筒・郵便番号枠なし(茶封筒はNG)
![退職願・退職届を入れる封筒](https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/s3-ten-navi.com-wpimg/hacks/wordpress/wp-content/uploads/2015/04/IMG_0788.jpg)
退職願・退職届に相応しいのは白い無地の封筒
退職願・退職届を入れる封筒として相応しいものは、白色で無地のもの。「白封筒」「二重封筒」と呼ばれる、中身が透けないよう紫色の紙などで二重の構造になっているものが、あらたまった用件に相応しいとされています。
茶封筒(クラフト紙でできた薄茶色のもの)は領収書や請求書を入れる、といった事務的な用途で使われるもの。作りも白封筒より安価で、退職願・退職届を入れるにはマナー違反と言われています。
また、白封筒でも、郵便番号を書く「□□□-□□□□」という赤枠があらかじめ書かれているものは、できるだけ避けましょう。退職願・退職届は原則としてポストに投函せず手渡しするものですから、無地のものを買うようにしましょう。
封筒の大きさ:用紙によって使い分ける
使う封筒は、退職願・退職届の用紙に対してジャストサイズなものを選びましょう。封筒は形状・サイズによって長形○号、角形○号などと分かれています。退職願・退職届の封筒は長形(なががた)で、用紙に合わせてそれぞれ次のものを選びましょう。
パソコン出力の場合
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便箋に手書きの場合
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退職願・退職届は、縦長のスリムな封筒に三つ折りで封入するのが一般的です。
一部、応募書類を入れるときのように角形3号(角3封筒)に折り曲げずに入れる場合もOKとするメディアもありますが、そもそも退職願・退職届は人前で堂々と渡すものではありません。
企業側も退職者が出ることはあまり知られたくないと考えていますから、懐に忍ばせられるサイズの封筒が適切です。
3.見本付き・封筒の書き方
退職願・退職届を入れる封筒が用意できたら、次は封筒の表書き・裏書きです。書き損じた際は必ず書き直しを。修正液はNGです。
退職願の封筒の書き方
退職届の封筒の書き方
書くのは「退職願」or「退職届」の文字と、自分の所属・フルネームのみ
退職願を入れる封筒なら「退職願」、退職届の封筒なら「退職届」と、封筒の表面に書きましょう。場所は中央のやや上寄りがベストです。裏には、退職願も退職届も自分の所属部署とフルネームを左下に書くだけです。宛名は必要ありません。
黒いボールペンまたは万年筆で書く
封筒の表書き・裏書きに使用する筆記用具には、黒を使用する、という以外特に決まりはありません。ただし、筆ペンやマジック、サインペンは文字が目立ちすぎてしまうため、避けた方が無難です。
ドラマなどでは、大きく「辞表」や「退職届」と大きく毛筆書きした封筒を上司の机に叩きつけるシーンがありますが、波風を立てずに辞めたいのなら、細いペンで見本程度の大きさで書く方が無難です。
4.退職願・退職届を封入する際のマナー
図解:退職願・退職届の折り方と入れ方
退職願・退職届を封筒に入れる際の折り方と向きについてご説明します。
退職願・退職届は書面が内側になるよう三つ折りにして、封筒へ。封筒に入れる際の向きにもマナーがあります。三角形のオレンジマークの位置に注目して下さい。
- 退職願・退職願の用紙を用意します
- 用紙の下3分の1を折り返します。
- 次に、上3分の1を覆い被せるように折り返します。
- 左回りに90度回転し、封筒(裏側を上にした状態)へ。このとき、封筒裏の右上と用紙の右上(オレンジ部分)の裏面が重なることがポイント。
まっすぐに折り、折り目はキッチリと付けること
ずれのないよう、正確に角と角を合わせてぴっちりと折りましょう。定規を当てて折るとまっすぐに折りやすいです。
用紙にシワが付かないように慎重に封入
封筒に入れる際は、せっかく綺麗に折った用紙が曲がったり、よじれたり、破れたりしないよう慎重に。途中で引っかかって奥に入らない際は、力任せに押し込まず、いったん取り出して中の構造を確認してからもう一度入れましょう。
封はしてもしなくても構わない(但しのり付き封筒は封をすべき)
退職願・退職届の封筒は、手渡しならば封をしなくても構いません。というのも、転職マーケットでも、絶対に封をすべきという専門家、封はしない方がよいという専門家の2通りに見解が分かれています。そのため、どちらで出しても非常識になることはないでしょう。
但し、あらかじめのりシールが付いている封筒を使用する場合は、見栄えの問題上、そのまま提出せず封をした方が無難です。ネットでは「封はしなくてよし」とする意見が多いものの、2015年現在、「郵便番号枠」も「のりシールも」付いていない白の二重封筒は入手しづらい状況にありますから、のりシール付きの封筒を購入し、封をするというのが無難でしょう。
なお、封をする場合は必ず「〆」マークを書きましょう。封をしない場合も、必ずフラップ(フタ)は折り曲げておくこと。
提出するまでクリアファイルに入れておく
純白の封筒は汚れが目立ちやすいです。また、折れたり曲がったりしないよう、提出する直前までA4サイズのクリアファイルに入れておく良いでしょう。
5.退職願・退職届を郵送する場合は…
退職願・退職届は手渡しが原則ですが、病気療養中の場合などは、企業側から「郵送で構わなので送って欲しい」と言われることもあります。その場合の封筒マナーをお伝えしましょう。
退職願・退職届を入れた封筒より少し大きめの封筒を用意
郵送する場合、退職願・退職届の封筒に直接宛名を書くのではなく、もう一回り大きな封筒を別に用意し、その中に封筒ごと入れて送ります。もちろん、郵送用なので郵便番号入りでOKです。
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添え状を書く
送付状の内容は改まったものでなくても構いません。相手に誠意が伝わるよう、一筆言葉を添えるつもりで書くとよいでしょう。なかなか思い浮かばない、という場合は、下記の文例を参考にして下さい。
拝啓 貴社ますますご清栄のことと存じ、お慶び申し上げます。
このたび一身上の都合により退職させて頂くこととなりましたので、同封の通り、退職願(届)を提出させて頂きます。ご査収のほどよろしくお願い申し上げます。 末筆ながら 貴社のご発展をお祈り申し上げます。 敬具 |
郵送用封筒に宛名を書く
- 表面に宛名を書く
- 宛名の左下に赤ペンで「親展」と書く
- 裏面左下1/4ほどのスペースに自分の住所と名前を書く
- 中身を入れた後、最後に封をして、「〆」と書く
「親展」は「宛名本人以外は開けないで」という意味。誤って別の人が開けてしまい、あなたの退職が職場に広まらないための配慮です。また、宛名を書くに当たって誰宛にすべきなのか、あらかじめ企業側に確認しておきましょう。間違っても勝手に決めつけて書かないこと。
郵送用封筒へ添え状を上にして入れる
上から1.添え状(送付状)、2.退職願/退職届入り封筒の順に入れましょう。添え状を上に重ねることで、「退職願」「退職届」の文字が透けない役割も果たします。
なお、この場合も、外側の封筒自体に封をしますから、退職願・退職届の封筒は糊付けしなくても構いません。
郵便局の窓口で郵送の手続きを
切手は自分で貼らず、万が一の事態(料金不足など)に備え、面倒でも郵便局の窓口で郵送をお願いしましょう。また、無事に届いたか知りたい場合は、「配達証明」で送るのも有効です。
6.まとめ
いかがでしたか。せっかく書いた退職願・退職届です。一発で受け取ってもらえるよう、くれぐれも封筒のマナー違反がないように。
買った封筒の形状、「退職願」の文字の大きさ、筆記用具の種類、ちょっとの汚れやよじれなど…やり直すべきか迷ったら、「角が立つ可能性がないか」をもう一度考えてみると、自ずと正解が見えてくるでしょう。