退職の挨拶をメールで送る場合の書き方・送り方

最終出社日が近づき、社内の同僚や上司、社外(取引先)に対して退職の挨拶をいつどうやって伝えるべきか、悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
ここでは、社内向け・社外向けに退職の挨拶をメールで送る際のポイントと、すぐに使える例文を紹介します。

 

 

1.退職の挨拶は、メールで送ってOK

社内、あるいは社外(取引先)に向けた退職の挨拶は、メールで済ませて良いものでしょうか。

昔であれば、はがき・手紙といった手書きの文書でお世話になった方々に挨拶を送るといった形が一般的でした。ただ、近年では「退職の挨拶はメールで送る」といった習慣の企業が増えてきています。あなたが現在の職場で、退職の挨拶をメールで受け取ったことがあれば、あなたも挨拶をメールで送ってかまわないでしょう。

2.退職の挨拶メール 3つのキホン

退職の挨拶メールを作成する際に、気をつけるべきは以下の3点です。

・メールを送るタイミング
・宛先
・メールの内容

・メールを送るタイミング…広報後から最終出社日の間の定時以降

退職の挨拶は、会社側から社員に向かって退職の広報が行われた後に送るのが基本です。

社外(取引先)に対しては、引継ぎなどのやり取りが発生することもあるため、広報後のなるべく早いタイミングに送りましょう。

社内に送る場合は、最終出社日に送るケースが多いです。
ただ、社内向けのメールを送るタイミングは、一概にいつが良いとはいえません。最終出社日に送るのが暗黙のマナーとなっている企業もあれば、1週間前には送っておくべきとするところもあり、会社によってばらばらだからです。これまで自分に送られてきた、ほかの人の退職の挨拶メールに揃えるのが無難です。いつ送るべきかの判断がつきかねる人は、上司や人事に一度相談しましょう。

また、挨拶メールは業務に含まれないと見なし、営業時間内に送ることをあまり快く思わない人もいます。最後に波風を立てないよう、定時以降に送信するようにしましょう。

・宛先…1人に送るのか、複数に送るのかによって送信欄を使い分ける

退職の挨拶メールは、部署単位や営業所単位などで一斉に送ってしまってもかまいません。ただ、どの単位ごとに送るべきかは、会社の規模やこれまでの付き合いの深さによって異なります。過去、自分に送られてきているメールを参考にしましょう。
一斉メールを送る場合、To.には自分のメールアドレスを入れ、送信先のアドレスはすべてBcc.に入れましょう。
一方、メールの宛先が1人の場合はTo.に宛先のメールアドレスを入れ、Cc.やBcc.は使用しないというのがマナーです。

・メールの内容…退職理由には触れず、感謝を伝える内容に

内容は今までのお礼と、送り先の今後の活躍を祈る2点にまとめましょう。退職理由については一文程度で済ますこと。メールではあえて書く必要はありません。

3.【社内向け】退職の挨拶メールのポイント&例文

上で述べた3点のポイントをおさえ、最も当たりさわりのないタイプの、社内大勢に向けた退職の挨拶の文例を載せます。

件名:退職のご挨拶(田中太郎)

本文:
○○部の皆様お疲れ様です。田中です。
このたび、一身上の都合により3月末で退社することになり、本日が最終出社日となりました。

本来ならば直接皆様にご挨拶をすべきところ、メールでのご挨拶にて失礼いたします。

在職中はたくさんの方々にお世話になり、本当にありがとうございました。
仕事で失敗したり悩んだりするたび、皆様からあたたかい叱咤激励をいただき、本当に感謝しております。

この会社で学んだこと、経験のすべてを、今後も活かしていきたいと思います。

最後になりましたが、皆様のさらなるご健勝とご活躍をお祈り申し上げます。
今まで、本当にありがとうございました。
……………………………………
〔署名〕
……………………………………

1.件名は「退職の挨拶」と一目でわかるものにする

基本的なビジネスメールのマナーですが、件名は主旨がわかるものにしましょう。「退職のご挨拶(○○)」など、名前とセットになっているものが良いでしょう。
退職の挨拶メールのなかには「お疲れ様です」「お世話になりました」といった件名のものも見られますが、場合によっては読むのを後回しにされたり、読み飛ばされてしまったりすることもあるので避けたほうが無難です。

2.本文では今までの感謝や思い出を、感情を込めて書く

あまりにも端的な内容にしてしまうと「素っ気無い」「会社への思い入れがない人」と冷たい印象を持たれてしまいます。今までのお礼や、思い出・エピソードなどがあればそれらを織り交ぜつつ、あたたかみのある文面を心がけましょう。
上に挙げた文例は、事業部や営業所全体に送るような比較的汎用性のあるもの。同僚や仲の良い仲間に宛てる場合は、もっと多くのエピソードを盛り込み、若干くだけた文体で送った方が、より感謝の伝わる退職の挨拶になるでしょう。

また、メールの本文は読みやすさが非常に重視されます。通常のビジネスメールのマナーと変わりませんが、読み手にとって負担にならないよう、2~3行ごとに改行して視覚的にスッキリしたメールを作りましょう。

3.退職理由は軽く触れる程度にとどめる

退職理由は、あまり書く必要がないと捉えておきましょう。出産や妊娠といった一言で済む理由や、簡潔に書ける前向きなものであれば良いですが、長くなりそうなものや、複雑な場合は「一身上の都合により」としてもOKです。

4.署名には「私用連絡先」を入れても良い

今後も積極的に職場の人たちと連絡をとっていきたい方は、署名欄に私用の連絡先を明記しておいても良いでしょう。残った社員側からしてみると、退職後も連絡を取り合える手段を示されるのは嬉しいものです。本文中に「今後連絡していただける場合は、下記までお願いいたします」など一文を添える方もいます。
ただ、特に希望がない場合はわざわざいれなくても問題ありません。その際は、名前と所属先だけを記載したシンプルな署名をつけましょう。

4.【社外(取引先)向け】退職の挨拶メールのポイント&例文

社外に向けて送る場合、社内に対して送るものよりも若干注意すべきポイントが増えます。まずは文例を見てみましょう。社内に対して送る場合と同じように、読みやすく明るい内容であることが大前提です。

件名:退職のご挨拶(株式会社ABC 田中太郎)

本文:
AAA株式会社 BB部
○○ ▲▲様

いつもお世話になっております。
株式会社ABCの田中でございます。

私事ですが、一身上の都合により、●月●日をもって退社いたします。
在職中はお世話になりましたことを、心より御礼申し上げます。
今後はこれまで学んできたことを活かしつつ、引き続き精進してまいります。

後任は、同じ部署の■■という者が務めさせていただきます。
後日改めて■■がご挨拶に伺いますので、変わらぬご指導の程よろしくお願い申し上げます。

本来であれば、直接お伺いし、ご挨拶すべきところではございますが、メールでのご連絡となりますことをお詫びいたします。

末筆ながら、貴社のご発展と▲▲様のますますのご活躍を心よりお祈り申し上げます。
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〔署名〕
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社外に対して退職の挨拶をメールで送る場合は、2.で述べた注意点に加え、以下の点に気をつけてメールを作成しましょう。

・退社日を明記する
・後任がいる場合は後任者の名前も書いておく
・退職理由や転職先の情報、自分の私用連絡先などは詳しく書かない

・退社日を明記する

「メールをもらったから連絡をしたのに、もう辞めた後だった」といったケースをなくすために退社日は明記しておきましょう。

・後任がいる場合は後任者の名前も書いておく

今後の会社と取引先の関係をスムーズに続けるためにも、後任者の引継ぎは必須です。退職前に後任者と一緒に直接挨拶することができれば一番良いのですが、それが難しい場合は、せめて挨拶メールの中で紹介だけでも済ませておきましょう。
何か事情があって後任が決まっていない場合も、連絡を取れる部署名や連絡先だけは明記しておくことを忘れずに。

・退職理由や転職先の情報、自分の私用連絡先などは詳しく書かない

社外(取引先)に送るメールのなかで一番注意すべき点です。これは、コンプライアンスに関わってきます。
たとえば「来月からは○○会社で働くこととなりましたので、その時はまたよろしくお願いします」など、前職での仕事で得た顧客情報を転職先に持っていくのは原則タブーとされています。退職理由を事細かに伝えることも、会社内のネガティブな情報を伝えることになりかねないので書くべきではありません。
何かしらの理由があり、どうしても退職後の連絡先などを伝えておきたい場合は、自分の上司に相談しましょう。勝手に判断してしまうと、後で予想外に大きな問題に発展してしまう…といったケースもありえます。

5.おわりに

いかがでしたか?
退職の挨拶というのは、どんな立場の人間に送る場合であっても「明るく前向きな内容」「お世話になった感謝を伝える」「読みやすい文章」という3点の守るべきポイントは変わりません。ポイントをおさえ、最後までスマートな印象を残しつつ円満な退職を目指しましょう。