1.退職の切り出し方は「今ちょっとよろしいですか?」
退職の話は個室で“改まった場”を設けて切り出すこと
退職交渉は、交渉相手以外の耳に入らないよう、人のいないところで行うのがマナー。従って、オフィススペースでいきなり退職を切り出すのではなく、「今ちょっといいですか」などと声がけをして、相手とともに会議室等の外に話が漏れない個室へ移動。二人きりで話すことが基本です。
退職話の切り出し方
○「今ちょっとよろしいですか?」「ご相談があるのですが」
すぐに時間を取ってもらえそうな場合に有効な声がけの仕方。退職の話をすることを伝えてはいないので、相手に必要以上の警戒心を持たれずに済む。よほど忙しそうな場合以外はまずこう声を掛け、「ちょっとこちらへ…」と別室に誘導すると良い。
×「今後のことでお話があります」「大切なお話があります」
「退職のお話があります」はもちろん、あまりにも直接的に退職を匂わせるのはNG。相手を身構えさせるばかりでなく、他の社員にあなたが辞めたがっていることが露骨に伝わってしまう可能性がある。
切り出す相手は“直属の上司”
一般的に、退職の意志をまず伝えねばならない相手は、あなたの直属の上司です。
直属の上司がわからない場合は、あなたがふだん報告・連絡・相談を行っている人、この人の指示・命令の下で働いている…という、あなたを管理している相手のことを思い浮かべてみて下さい。会社組織は縦割りのピラミッド式。自分に最も近い職位の上司から段階的に上へと話を上げていってもらいましょう。
上司の理解・協力なくして退職を成功させるのは遠い道のりです。他の管理職や同僚など、直属の上司以外に先に退職の話を伝えて上司のメンツをつぶすことだけは、くれぐれも避けましょう。
直属の上司が人事決済権を持っていない立場の場合は…
但し、主任・リーダークラスが上司にあたる場合は、人事に関する決裁権を持っていない場合があります。その際は、別途その上の課長やマネージャーといった管理職クラスの人に話をすることになりますが、このとき主任・リーダークラスを飛ばして直接相談を持っていって良いかは、会社の組織や雰囲気次第。判断がつかない場合は、面倒でもまずは主任・リーダークラスに話を持ちかけましょう。
小さな会社で直属の上司が居ない場合は社長に直接でOK
従業員数が少ない会社など、自分の上に管理職が存在せず、すぐ社長となる場合は、直接社長に退職話を切り出して構いません。
声を掛けにくい場合はメールでアポイントを取ろう
見るからに上司が忙しそうな場合や、声かけ自体がしづらい環境の場合は、メールでアポイントを取るのも手です。但し、メールでしても良いのは、あくまで前段の「今ちょっとよろしいですか」にあたる部分だけ。まずアポイントを取って、退職意志を伝えるのは実際に話し合いの場が設けられてからです。
(メール文例) ●●さん お疲れさまです。××です。 ×× |
この際も、変に身構えさせないよう、「今後のことで」「退職のことで」といった退職を直に匂わせるような表現は避け、さりげなく伝えるのがベストです。
2.退職を切り出すベストタイミングはいつ?
一般的には退職日の1.5~3ヶ月前
会社を退職できるのは、退職の意志表示をした2週間後と労働基準法で定められています。これに従えば最低でも辞める2週間前に切り出せばいいことになりますが、あまりに短すぎると反感を買い、トラブルに発展してしまうことがほとんど。できる限り早めに伝え、引継ぎや後任探しなど、協力できる姿勢を見せておいた方が退職交渉はこじれずに済むでしょう。
退職交渉期間や引継ぎを加味すると、どんなに短くても1.5ヶ月程度は猶予が必要です。
有給消化をする場合はプラスその日数分。一般的には、1.5~3ヶ月程度の余裕を持って、退職を切り出します。
次の職場が決まってから退職したい場合は、入社日との兼ね合いもありますが、せっかく次の職場が決まっても辞められないのでは内定が水の泡。可能な範囲で構いませんから、調整を心がけましょう。
但し、繁忙期は避けること
会社にとって最も社員に辞められたくない時期は、人手不足に陥りがちな繁忙期。また、忙しいときは直属の上司もセンシティブになっている可能性があるため、退職日はもちろん、退職交渉を行う日も、極力繁忙期をずらすことがベターです。
退職を切り出すタイミングは就業時間外が望ましい
「13~15時頃がベスト」など、日中の相談を推奨する意見もありますが、就業時間中は業務に集中してほしい、というのが上司を含めた会社側の心理。このため、退職交渉を就業時間内にされることを好ましく思わない職場も存在します。
「今ちょっとよろしいですか」は、お昼などの休憩時間中か夕方以降の就業時間終了後、人気のないタイミングを見計らって切り出しましょう。
なお、就業時間外であっても朝一番から退職の話をするのは、相手に余り良い印象を与えないため、避けた方が無難です。
メール等で話し合いの場をセッティングする際も、就業時間を外したタイミングがベターです。
就業時間が18時までの会社なら18時過ぎにするなど、このためだけに上司を待たせなくて済むような時間帯に。
逆にシフト制の職場や残業がほとんどない職場など、勤務時間外に上司と話すことが難しい仕事の場合は、就業時間中の忙しい時間帯を避けたタイミングで話しかけましょう。
場の流れで退職の話をするのは厳禁
直属の上司と二人きりで飲みに行ったとき、はたまた食事の場など…。仕事の悩みの相談から話の流れに任せて切り出せれば楽ですが、あまりおすすめはできません。
「もう一度考え直しておいで」と突っ返されたり、ただの悩み相談で片付けられてしまう場合が多いからです。
退職交渉は業務外の扱いにはなるものの、くだけすぎた場は相応しくありません。言いたい気持ちをグッとこらえ、場所と日を改めて話すようにしましょう。
3.個室では何と切り出すべき?
無事、直属の上司に時間を取ってもらえたら。個室ではどのように切り出すのがベストでしょうか。
「断言しすぎ」も「相談ベース」もNG
いくら退職の意志が固いからと行って、「○月○日に辞めさせていただきます」と最初から断言してしまうのは、相手の反発を買いやすい言い方です。喧嘩越しはもちろんNG。頑なな姿勢は見せず、ある程度やんわりとした言い方で切り出すのがベストです。
ですが、ソフトにしようとしすぎて相談ベースになってしまうのもNG。いくら最初に「ご相談があるのですが」と言っていたとしても、「実は退職を検討していまして…」など、退職すべきか否か悩んでいるとも取れる伝え方は、相手に「引き止めの余地がある」と思われてしまう結果に。
落ち着いた口調で、「実は、退職をさせていただきたいのですが」と伝え、相手の反応を見ながら、退職日をいつ頃で考えているかを伝えましょう。
退職交渉の秘訣は「いかに相手や会社への負担を軽減できるか」
無事に切り出すことに成功したら、いよいよ退職交渉の始まりです。
引き止めに合わず、お互い円満に退職するためのポイントは、自分本位の考え方を減らし、残された他の社員や会社への負担をいかに軽減できるかを考えることです。
引き止めに合いにくい退職理由の話し方も含め、詳しくは下記のページをご覧下さい。
4.退職を切り出す際に用意しておいた方がよいもの
退職交渉に必要なものは「心の準備」
退職交渉をするにあたって、必ず用意しなければならないアイテムはありません。代わりに、心の準備がとても重要になれます。次の4つがそろった上で、退職の話を切り出しましょう。
ぶれない退職の意志
自分の中で退職の意志が固まり切っていないと、引き止めに遭った際に相手を納得させる説明はできません。
退職交渉用の退職理由
直属の上司が強く引き止めてきそうな相手の場合は、引き止めに合いにくい退職理由を別に用意しておくとベター。
退職予定日
「いつ辞めるんだ?」と聞かれた際に言いよどまないよう、退職予定日のイメージは持っておきましょう。できれば第一希望だけでなく、相手の出方次第では譲歩できるよう「この日までなら残っても良い」というボーダーラインもイメージしておくと良いです。
転職先の内定
もしも退職後すぐに働く意志があるなら、次の転職先が決まってから退職交渉をスタートした方が無難。無職・無収入状態での転職活動は精神的に不安定になりがちで、判断ミスや面接時の自信喪失に繋がりやすく、苦戦する傾向にあるからです。
退職願は、退職交渉が完了した後で
一般的な退職交渉の流れは、まず上司に退職の意志を伝え、話が付いてから退職願を提出します。「退職願」は退職を願い出るという意味の書類なので、企業側が受理しない限り効力を発揮しません。
企業側が退職交渉に応じない場合は退職届を提出
企業側が一切の退職交渉に応じてくれない…そんな切羽詰った状況であれば「退職届」を提出しましょう。(中略)「退職届」は従業員側から一方的に労働契約を解約するための書類です。提出後にたとえ受理されなくても、2週間が経過すれば必ず退職することができると民法627条で定められています。
ただ、これはかなり強引な方法にはなるので、円満退職を目指している人にはあまりおすすめできません。あくまで最終手段として覚えておいて、状況に応じて冷静な対処を心がけましょう。
5.新卒社員の退職の切り出し方
新卒の場合も流れは同じだが、細心の注意と配慮が必要
4月に入社して、まだ一年も経たずに辞めてしまうような新卒社員の場合も、基本的な流れは同じですが、より企業側の気持ちを大切にした対応が求められます。
なぜなら、入社1年目は、全ての世代の中で最も教育に労力がかかるとき。上司や先輩たちは仕事内容どころか社会人マナーもビジネススキルもほとんど知らないあなたを、「将来活躍して欲しいから」という想いから、一人前の社会人へと育てようとしています。
力を割いて育てた分、退職すると聞いたときの心境は複雑なもの。
どんなにあなたが「仕事が上手くいっていない」「戦力になれていない」と感じていても、上司はきっとあなたを引き止めるでしょう。中には本当にあなたの経歴を心配して退職を引き止めようとする場合も…。
どんな理由があって退職するにせよ、会社側のそうした気持ちに対して、しっかりと思いをめぐらせ、言葉を選ぶこと。
けんか腰で退職交渉に臨んでは、退職交渉は長期化するばかり。最後まで感謝の気持ちを大切に、根気強く交渉を進めることが重要です。
不満より「今後やりたいこと」と「この会社ではそれができない理由」
退職する気持ちが堅いなら、間違っても職場や人への不満は口にしないこと。
「改善すれば退職する必要はないね?」と言われてしまったら、退職させてもらうのは一苦労です。
新卒後間もなく退職する場合は、「他にやりたいことが見つかった」ことを退職理由としましょう。加えて、なぜそれが今居る会社ではできないのか、という理由まで、納得のいく説明ができることが大切です。
社会人1~2年目は、業界に対する知識はもちろん社会のこともまだまだわからないことばかり。そんな狭い知識の中であなたが下した決断に対し、より多くの経験・知識を持つ上司から「それならウチでできるよ」とアドバイスされてしまったら切り返すのは難しいもの。
勢いに任せて退職交渉に臨むのではなく、しっかりと退職理由を組み立てた上で切り出すようにしましょう。
6.まとめ
いかがでしたか。退職の切り出し方は、次の4つがポイントです。
1.直属の上司に対し、「今ちょっとよろしいですか?」と声がけをする
2.個室に二人きりの状態になってから、「実は退職をさせていただきたいのですが」と語り出す。
3.退職を切り出すのは退職日の1.5~3ヶ月前。
4.心の準備をしっかりした上で、繁忙期を避けた時期・時間帯に。
大切なのは、残された他の社員への負荷・迷惑を最小限にする協力的な姿勢。円満に退職するための退職交渉術は、下記の記事も参考にして下さい。