給与手取り計算方法

 

一、給与手取り計算方法

二、給料の振り込み時間は何時頃が多いのか・注意点

三、給料日は何日が多い?雇用形態別に給料日がわかる

給与手取り計算方法

これから初めての給料をもらう人や、求人広告を見ている人の中には、額面上の給料はわかっていても、実際に手取りでいくらもらえるのかわからないという人もいるのではないでしょうか。

「手取り金額」とは、会社から支払われる額面上の給料全体から税金や社会保険料を引いたもの。一般的なサラリーマンで、額面のおよそ75~80%ほどが手取りとなります。

実際に、毎月の手取り金額がいくらになるのか、また世の中の人が手取りでいくらくらいもらっているのかを調査してみました。

 

1.そもそも手取りとは?

実際に手元に入ってくる金額が「手取り」

「手取り」とは、基本給や残業代など、会社から支給されるお金の総額である「額面給与」から、所得税や住民税といった税金、年金や健康保険料などの社会保険料が「控除」として引かれた金額を指します。毎月の給料として、会社から実際にもらえるのがこの「手取り」です。

下のイメージの紫色の部分が「手取り金額」に当たります。

 

手取りは支給から控除を引いた額

税金負荷イメージ
手取り金額がどのように決まるのか、詳しい内訳を見てみましょう。大きくはもらえる分の「支給」と引かれる分の「控除」に分かれており、その差額が「手取り」となります。

【支給】自分に支払われるもの

会社からもらえる金額。残業代に当たる(2)時間外労働手当や(3)超過勤務手当がいくらか、(6)出張手当があるかどうかによって、毎月の総額が変動します。

(1)基本給
毎月支払われることが決まっている基本的な賃金。残業手当や役職手当といった諸手当や、出来高によって支払われる「歩合給」などは除きます。

(2)時間外労働手当
いわゆる残業代の基本的なもの。

(3)超過勤務手当
残業代のうち、深夜残業や休日出勤などにかかるもの。金額が割り増しされている。

(4)資格手当
業務上必要な資格を持っているともらえる手当。

(5)住宅関連手当
会社に住宅補助制度がある場合にもらえる手当。

(6)出張手当
出張があった場合にもらえる手当。非課税。

その他、会社によっては交通費(通勤手当/非課税)や独自の手当などが含まれることがあります。

【控除】給料から天引きされるもの

給料からあらかじめ引かれてしまう金額。健康保険料や年金などの社会保険、および住民税は、一度金額が決まるとその先1年間変わりません。その一方、所得税は月々の支給額によって変動するので、たくさん残業した月は、他の月よりも多めに引かれることになります。

 (7)健康保険
怪我や病気の際、3割負担で病院にかかれる国の医療保険。保険料は会社と半額ずつ負担します。会社がどの健康保険組合に加入しているかによって、保険料率が違います。

(8)介護保険
介護が必要になった際、1~2割の負担でサービスを受けるための保険。40歳以上になると加入義務が発生し、健康保険料と一緒に納めます。

(9)厚生年金
将来年金をもらうために払う掛け金。保険料は会社と半額ずつ負担します。

(10)雇用保険
失業したときに失業給付などを受けるための保険。農林水産、酒造、建築など事業によっても保険料率が異なります。

(11)所得税
給料から、非課税となる諸手当を除いた部分にかかる税金。年収が高いほど税率も高くなる累進課税方式で、給料支払い時には「源泉徴収」という形で一旦天引きされますが、「年末調整」(あるいは確定申告)で正確な税額が算出されて精算されます。

(12)住民税
住んでいる都道府県・市町村などに納める税金。前年の年収によって金額が決まり、翌年の6月から12ヶ月の均等割で支払う仕組みです。

そのほか、会社によっては労働組合費や退職金の積み立て金、社宅の家賃なども引かれる場合があります。

給与明細を見れば具体的な金額がわかる

自分の手取り金額を今すぐ知りたいという人は、給与明細を見てみましょう。

給与明細の項目名は会社によって違うことがありますが、下の図では右下の「差引支給額」が「手取り金額」を表しています。基本給や諸手当の合計の「総支給額」から、保険料や所得税などの「総控除額」が引かれた後の金額となっています。

同じ会社で働く人でも、みなし労働時間制で残業代がなかったり、正社員だけに退職金の積み立てがあったりと、雇用形態によっても金額が変わることがあります。ただし派遣社員や契約社員だからといって、健康保険や年金に入れないことはありません。疑問があれば会社に問い合わせてみましょう。

【コラム】転職時に聞かれる年収は額面で計算する

転職をするときには、応募先の会社に前職の年収を聞かれることがあります。その場合は手取りではなく、額面での年間総支給額を答えましょう。つまり基本給だけでなく残業代やボーナスなどを含め、1年間に支給されたお金をすべて合算した金額となります(ただし交通費や経費精算分などは除く)。

求人広告を見る場合も同様です。記載されている給与額は控除を引く前の金額なので、実際にいくらもらえるのか手取り額を知りたい人は、2. 給料のうち手取りはいくらになるのか?を参照し、自分で計算してみるとよいでしょう。

2.給料のうち手取りはいくらになるのか?

額面の75~85%が手取りとして入ってくる

手取りとして手元に入ってくるのは、額面給与のおおよそ75~80%です。

独身者の場合、月給が額面で22万円の人は約80%の17万6000円が手取りになります。おおよその金額だけわかればいい人は、自分の月給に80%をかけてみてください。

厳密には同じ額面給与であっても、手取り額の割合には幅があります。なぜなら養っている家族の人数や前年の年収など、さまざまな要素で「控除」として引かれる金額が変化するからです。また、所得税は累進課税なので、給与が高くなれば所得税率も上がっていきます。すると手取りの割合は、60万円を超えたあたりで約75%となります。

額面給与に対する手取り金額の試算は以下の通り。

※「扶養家族」とは、収入のない専業主婦、16歳以上の子供、親など、収入を得ている人に養われている人たちのことです。扶養家族がいると、所得税・住民税で優遇される「扶養控除」が受けられます。ただし16歳未満の子供は子供手当がもらえるので、税金を計算する際の扶養家族には含まれません。また、19歳以上23歳未満の子供、70歳以上の親は所得税・住民税を計算する上でさらに優遇されます。

正確な手取り額の計算方法

手取り額の計算は、支給や控除などひとつひとつの金額さえわかれば簡単なもの。基本給や残業代(時間外手当)などの諸手当をすべて足した「総支給額」から、保険料や税金などの「控除」を引けばよいのです。

就職3年目、25歳独身で一人暮らしをしている人の例を見てみましょう。

このうち毎月変動するのは、表の黄色い部分で、(2)時間外労働手当、(3)超過勤務手当、(6)出張手当、(11)所得税の4つ。(2)時間外労働手当と(3)超過勤務手当は残業時間によって、(6)出張手当は出張の有無や期間などによって、(11)所得税は(A)総支給額合計によって変わります。

また、それぞれの金額を知りたい場合は以下を確認・計算してみましょう。

【支給】
会社の規定をチェック。残業時間や出張など、自分の労働状況をあわせて確認し、算出してみましょう。

【控除】(7)~(10)の4つをまとめて「社会保険料」と言います。

(7)健康保険
給与の4.985%(協会けんぽ/東京の場合)。保険料率は、会社で入っている健康保険組合によって異なります。

(8)介護保険
40歳以上のみに、給与の0.79%(協会けんぽの場合。全国一律)が加算される。健康保険料と同様、保険料率は会社で入っている健康保険組合によって異なります。

(9)厚生年金
給与の8.914%。厳密には給与をランク分けした「標準報酬月額等級」によって決まります。
※詳しくは→日本年金機構 標準報酬月額等級と保険料額表 一般の被保険者

(10)雇用保険
→給与の0.5%(一般事業。農林水産、清酒製造、建設では給与の0.6%となる)。
※詳しくは→平成27年度の雇用保険料率

(11)所得税
→月給から社会保険料を引いた金額を、下記の一覧から確認。
※詳しくは→国税庁 給与所得の源泉徴収税額表(平成27年分)

(12)住民税
→6月ごろ会社経由で配布される「住民税課税決定通知書」を確認します。厳密には、前年の年収から控除を引いた上で10%を掛け、均等割にあたる4000円を足して総額を算出。さらにこれを12ヶ月に分けて支払います。

【コラム】新卒の初任給は引かれるものが少ない

就職して初めてもらう給料を「初任給」といいます。実はこの初任給からは引かれるものが少ないため、翌月以降より少し高額。具体的には社会保険料や住民税が引かれていません。

社会保険料は前の月の給料に対して支払うため、初めてもらう給料では発生せず、翌月から引かれます(会社の給与のタイミングによっても異なります)。また、住民税は前年の1年間の収入に対しての金額が算出され、12ヶ月で割った額が月々の給料から引かれる仕組みなので、入社2年目から支払いが始まります。

そのため、1年目から2年目で昇給がないと、2年目のほうが手取りが少ないという悲しい逆転現象も起こってしまうことも……。昇給の見込みがない人は、お金の使い方には十分注意をしておきましょう。

ボーナスの手取り額の計算方法

今度はボーナス(賞与)について見てみましょう。ボーナスの手取り額も、額面の75~85%が手取りになると考えればOKです。

たとえば上記の例の就職3年目、25歳独身で一人暮らしをしている人が、基本給3か月分の63万円を賞与としてもらう場合、手取り金額は51万7263円となります。支給に対する手取りの割合は、約82%です。

ボーナスの手取り額は、普段の手取り額を計算する場合とはいくつか違う点があります。

【控除】
(7)健康保険、(8)介護保険、(9)厚生年金
(1)賞与額から1000円未満を切り捨て、普段と同じ保険料率をかけてその半額を算出します。

(10)雇用保険
給与にそれぞれの保険料率(一般事業で0.5%、農林水産、清酒製造、建設では給与の0.6%)をかけた額を算出します。

(11)所得税
前月の給与から社会保険料を引いた金額(課税対象額)に、賞与用の所得税率を確認。賞与の金額にかけて算出します。賞与に対する所得税率は、普段の給与よりも高めに設定されていますが、年末調整(もしくは確定申告)で精算されます。
※詳しくは→国税庁 賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(平成27年分)

(12)住民税
ボーナスからは引かれません。

手取り金額の約1.25倍が月給となる

逆に、「手取り収入を○○円にするためには、月給でいくらもらえればいいのか逆算したい」という人もいますよね。金額をざっくり知りたいという人は、手取り金額を1.25倍してみてください(給与の80%が手取りとして換算)。

たとえば手取りで25万円もらいたい場合は、25万×1.25=31万2500円となりますから、31万2500円以上の月給の求人を探せばよいというわけです。

【コラム】年金や保険は4~6月の給与をベースに算出される

厚生年金や健康保険は、毎年4~6月の給与平均額をもとに1年分の金額が算出されます。そのため、4~6月にたくさん残業をしてしまったり、6月いっぱいまで給料の高い会社で働いて、7月以降は安月給の会社に転職……などという場合には、その後の負担が大きくなってしまいますので注意しましょう。

(参考)
All About「4・5・6月の残業代で社会保険料が上がる!?」
日経電子版「手当が増えても手取り減…給与の落とし穴」

3.給料の手取り額、いくらくらいが普通?

大学新卒の初任給の平均は手取りで約16万円

新社会人イメージ手取り金額の出し方がわかったところで、気になるのは他の人がいくらくらいの給料をもらっているのかということではないでしょうか。

厚生労働省の平成26年度の調査によれば、大学を新規で卒業した人の初任給の平均は20万400円。80%が手取りになるとして単純計算すると、約16万円となります。男女別で見ると、男性の20万2900円に対して女性は19万7200円と、5700円の差が出ています。

 

出典:平成26年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況:1 学歴別にみた初任給
※数値の80%が手取り額になるとして試算

20代前半の月あたりの手取りは男性16~18万、女性13~14万が多い

では、20代では月給をいくらくらいもらっている人が多いのでしょうか?

20代の前半の男性では16~17.6万円の層が突出して多く、女性はやや少ない12.8~14.4円の層が多いです。20代後半になると男性で17.6~19.2万円、女性で14.4~16.0万円が多くなります。

その後は年齢が上がるにつれて月給は上がり、男性は30代前半で19.2~20.8万、30代後半で22.4万~24万と上がっていきますが、金額のばらつきも大きくなり、突出して多いという月給層はなくなっていきます。これはどの会社でも新入社員の初任給があまり変わらないものの、その後どのくらい昇給するかは会社ごとに大きく違うためと考えられます。

一方女性は、年齢とともに金額のばらつきが大きくなるという傾向は変わらないものの、30代後半では16~19.2万の層がほぼ横並びになるなど、結婚や出産といったライフイベントによって働き方が変わることで、収入も大きく影響を受けるのではないかという傾向が見られました。

月給の分布_男性

月給の分布_女性厚生労働省 平成26年賃金構造基本統計調査 賃金の分布より作成

【コラム】日本の手取り額は世界的に見れば多いほう?

ここまで手取り額について見てきましたが、「税金や社会保険料に取られすぎ。もっと手取り額を増やせないの?」と考える人もいるのでは。そこで、日本の手取り額が国際水準からみて多いのか少ないのかについて調査してみました。

平成27年2月に財務省が発表した「国民負担率の国際比較(OECD加盟33ヵ国)」を見てみましょう。これは世界各国の「国民所得」に対して、社会保障と税金がどのくらいの割合を占めているかを示しています。国民負担率の国際比較グラフ

出典:財政関係基礎データ(平成27年2月)国民負担率の国際比較(OECD加盟33カ国)(財務省)

このグラフを見ると日本の国民負担率は40.5%で、33カ国中、低いほうから7番目。このなかでは低負担な国だとわかります。

しかし、これは手取り収入が額面の75~80%であることを考えると、ずいぶんギャップのある数字です。実は、「国民負担率」は法人税なども含めた数字のため、単純な「手取り額」を示しているわけではないのです。それでも国民の負担感という意味では、ひとつの指標になると考えてよいでしょう。

たとえばアメリカの国民負担率を見てみると、31.1%と日本を下回っています。これはひとつには病院にかかるときの健康保険制度が、国民全員が加入するという仕組みではないことが影響していると考えられます。

国民負担率は、社会保障を手厚くするか、それとも個人の裁量に任せるのかという国の方針ともかかわってきます。個人的なことのように思える「手取り」の問題ですが、実は国のあり方ともかかわりがあるということが実感できるのではないでしょうか。

4.まとめ

以上が手取り金額の計算方法と、平均賃金のまとめです。

「手取り」金額とは、給料全体から社会保険料や税金を引いたもので、おおよそ額面の80%。引かれてしまう分も少なくありませんが、自分の給料をしっかりと把握しておくことが大切です。

 

 

 

 

給料の振込み時間は何時?知っておきたい【給料】にまつわる注意点

1.給料が引き出せるのは「金融機関の営業開始時間から」

公共料金やカードの支払い等のため、お給料を引き出せるようになる時間が何時なのか気になることはありますよね。多くの場合、給料日の銀行の営業開始時間から引き出すことができるようになります。

一般的には「営業開始時間から」引き出せる

たいていの場合は、給料を振り込む企業側は給料日の数日前までに振込み手続きを行います。銀行では給料日前日の深夜には処理を行うので、給料日当日の銀行窓口が開く時間・ATMが作動する時間には引き出せるようになっています。

インターネットバンキング、24時間稼働のATMの場合

インターネットバンキングの場合は、当日の午前0時を過ぎた時点で情報が更新され、引き出せる状態になっているのが普通です。24時間営業のATMの場合も同じです。

給料日が土日祝日の場合は前営業日が多い

給料日が土日祝日に当たった場合、多くは前営業日に振り込まれます。企業によっては翌営業日になる事例もあるようですが、基本的には労働基準法で指導されている「給与振込は、給料日のおよそ午前10時までに引き出せるようにしなければならない」という基準に則って、前営業日に振り込むことが適切と言われます。

中小企業などの場合は注意!

企業規模がそれほど大きくない場合、まれに担当者が銀行窓口まで直接振込みに行くことがあります。その場合は、給料が引き出せるようになる時間は上記より若干遅くなります。
ちなみに、一般的な手続きの期限は、全員が振込元と同じ銀行の場合は給料日の2営業日前まで、他行の場合は給料日の3営業日前までです。

また、ボーナス月や年末等の混み合う時期には、銀行側の処理が遅れる可能性もあります。余裕を持って生活しておきたいものです。

2.お給料のトラブル対処法

ないに越したことはありませんが、もしお給料の支払いでトラブルが発生したら、どうしたら良いでしょうか?

給料日なのに、口座に振込みがなかったら…

午前中に確認した場合は、上記のように、繁忙期で手続きが遅れていたり、企業から銀行に送られた入金のためのデータに不備が合ったりしたことによって、入金が遅くなっている可能性もあります。
銀行では随時処理が行われているため、午後に時間を改めて確認してみると入金されているかもしれません。

翌日になっても振込みがない場合は、まずは会社の人事・経理など、給与支払いを行っている部署に問い合わせましょう。

それでも給料が支払われない場合は、労働基準法に反するとして労働基準監督署等に相談することができます。
その際の手続きには手順があります。

  1. 賃金支払規定の証拠として、給与明細や給与規定等を用意する
  2. 内容証明郵便で勤務先会社に対して未払い賃金の支払を請求する

フローについて詳しくは以下のページにまとまっているので参考にしてください。
(参考)横谷法律事務所「勤務先会社が賃金を支払わない場合、どうすればよいか」 

振込まれた額が間違っていたら…

いつもと違う金額が振り込まれていたり、給与額として提示された額と違っていたりした場合は、その金額が多い・少ないに関わらず、使わずにまずは担当部署に問い合わせるべきです。
手続き上での間違いの場合だった場合は、当然ながらその差額をきちんと返す義務があります。

ちなみに、間違っていることを知りながらそのお金を使ってしまった場合は、罪に問われます。カードで引き出した場合は窃盗罪(刑法第235条)、通帳に記帳した上で使った場合は詐欺罪(刑法246条第1項)に当たってしまいます。

各種料金の支払日に合わせて給料振込日を変えられる?

公共料金やクレジットカードなどの支払日に合わせて家計の管理をシンプルにしたい、等の理由で給料日を変更してもらうことは原則としてはできません。なぜなら、給料の支払日は基本的に就業規則で決められているからです。
たとえばクレジットカード会社の中には、給料日に合わせて支払日を選べるサービスを行っているところもありますので確認してみましょう。

(参考)
三井住友VISAカード
 ・エポスカード

会社が倒産して給料が払われないまま退職に…

勤める企業が倒産して給料が支払われないまま退職することになった場合、「未払賃金立替払制度」が利用できます。これは、一定の条件を満たした場合に、独立行政法人労働者健康福祉機構が勤務先の企業に代わって給料を支払ってくれる制度です。

支払われる条件は、

(1)使用者(勤務先企業)が、
[1]1年以上事業活動を行っていたこと
[2]倒産したこと(2)労働者が、倒産について裁判所への申立て等(法律上の倒産の場合)又は労働基準監督署への認定申請(事実上の倒産の場合)が行われた日の6か月前の日から2年の間に退職した者であること

と定められています。
詳細は、厚生労働省のページをよく確認のうえ、手続きを行ってください。
参考:厚生労働省「未払賃金立替払制度の概要」

大前提の「賃金の5原則」とは

賃金の支払いに関しては、労働基準法でその原則が定められています。

(労働基準法24条1項)
「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」(労働基準法24条2項)
「賃金は、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない」

これを分解して整理したものが、「賃金の5原則」と言われます。最低限守られるべき原則として、知っておきましょう。

【賃金の5原則】
・賃金は通貨(現金)で支払わなければならない。
・賃金は直接本人に支払わなければならない。
・賃金は全額を支払わなければならない。
・賃金は毎月1回以上支払わなければならない。
・賃金は一定期日に支払わなければならない。

例えば「給料が指定された日に支払われない」など、雇用契約に基づく賃金の支払いにおいて上記が守られていない場合は、労働基準法に反するとして労働基準監督署等に相談することができますし、それでも解決しない場合は弁護士に相談し、裁判で争うことも可能になります。

3.主要銀行の営業時間・ATM利用可能時間

銀行の窓口の営業時間やATMが利用できる時間は、店舗・設置箇所によってさまざまです。
多くの銀行のホームページには店舗検索機能がありますので活用してください。

金融機関の営業時間の目安

都市銀行など、主要な銀行に多い営業時間は以下です。
ただし、前述のように、店舗によってかなりばらつきがあるので、最寄りの店舗やATMごとに確認しましょう。特にATMの稼働時間は注意が必要です。

窓口営業時間:午前9時〜午後3時
ATM利用可能時間:午前8時45分〜午後9時

主な金融機関ごとの店舗・ATM検索

ゆうちょ銀行

・都市銀行

・ネット銀行など

・信託銀行など

地方銀行はこちらに一覧がまとまっています。

 

 

 

 

給料日は何日が多い?雇用形態別に給料日がわかる

 

一ヶ月の内、給料日は気分がいいものですよね。
そんな給料日ですが、世間一般では給料は何日が多いのでしょうか?
ここでは雇用形態別に給料日は何日が多いのか説明していくとともに、
給料日が土日祝日の場合の振込みのタイミングや、自分の給料日の調べ方などもご紹介します。

 

 

1.給料日はいつ?何日が多い?

給料日の決まり方は、正社員なのか、派遣社員なのか、アルバイトなのか、公務員なのかによって異なりますので、それぞれの給料日はいつが多いのか紹介します。

正社員の給料日は25日が多い

一般企業の正社員の給料日は企業によって異なります。
ただ、多くの企業で「五・十日(ごとおび)」にあたる5日、10日、15日、20日、25日、30日もしくは1日や月末最終日を給料日にしています。
その中でも給料日として多いのは25日です。

派遣社員の給料日は25日が多い、次に15日が多い

派遣社員の給料日は25日が最も多く、次に15日が多いです。

また、派遣社員の場合、給料日が1回ではなく、2回あることがあります。
これは派遣社員の給与体系が月給制ではなく、時給制の企業が多いからです。
給料日が月に2回の場合は、
当月の1回目の給料日が月末、2回目の給料日を翌月15日とする企業が多いです。

派遣の給料の支払方法は月給以外にも日払い・週払いもあります。
一日限りの単発の派遣であれば働いた当日に給料が支払われる場合が多いです。
週ごとに支払いがある場合は、週の最終出社日にあたる金曜日に支払われる場合が多いようです。

アルバイトの給料日は25日が多い

アルバイトの給料日も25日であることが多いようですが、支払い体系や企業・店によってまちまちです。

アルバイトの給与の支払い体系は『日払い』『週払い』『月払い』の主に3つ存在します。
日払いは、基本的にその日働いた分の給与をその日にもらえます。
そのため給料日は働いた日次第で変わります。
週払いも日払いと同様、働いた週の分の給与をその週の最終日にもらえるのが一般的です。
月払いの場合は、正社員と同じく、給料日は25日、その次に15日であることが比較的多いです。

大手コンビニの給料日は?

総務省統計局のデータによると、アルバイトの人数は約1,566,900人。
その中でもコンビニは全国に約54,400件店舗があり、
一店舗あたりのアルバイト人数が平均15人であることから、
コンビニで働くアルバイト人数は約816,000人と推測されます。
このデータからアルバイトの約52%はコンビニで働いていることになります。

ここではそんなアルバイト先の代表格である大手コンビニの給料日をまとめます。
今コンビニのアルバイト先を探している人やコンビニで働いている人の中で、
各コンビニの給料日が気になっている人は、参考にしてみてください。
ただし、店舗によって給料日が異なることもあるのでアルバイトに申し込む際には
給料日を店舗に確認しましょう。

セブンイレブンの給料日・・・15日締め:当月25日払い

セブンイレブンの給料日は、基本的に25日です。
セブンイレブンのホームページに掲載されております。
セブンイレブン 教えてセブンFAQ

ローソンの給料日・・・15日締め:当月月末払い

ローソンの給料日は、基本的に月末です。※独自調査により

ファミリーマートの給料日・・・月末締め:翌月10日払い

ファミリーマートの給料日は、基本的に10日です。※独自調査により

サークルKサンクスの給料日・・・15日締め:当月25日払い(または翌月5日払い)

サークルKサンクスの給料日は、25日または5日が多いようです。※独自調査により
給料が手渡しの店舗も多いので、店舗に給料日とともに支払方法も確認しましょう。

ミニストップの給料日・・・15日締め:当月28日払い

ミニストップの給料日は、基本的に28日です。※独自調査により

2.給料日の9時には振り込まれている場合が多い

給料日がわかったら次は給料が振り込まれる時間が気になりますよね。
一般的に銀行窓口が開く時間・ATMが作動する時間には給料を引き出せるようになっています。
午前9時には窓口・ATMともに開いていますので、
給料日の午前9時には給料が振り込まれている場合が多いです。

そのほか、給料の振込み時間について詳しく知りたい人はこちらを参考にしてください。
給料の振込み時間は何時?知っておきたい【給料】にまつわる注意点

3.締め日は、月末または10日が多い

給料日はわかったけれども、いつの分の給料を受け取ることができるのか。
それは締め日によって異なりますので、給料日とあわせて締め日にも注意しましょう。

正社員・派遣社員・アルバイトともに、締め日は月末または10日が多いです。

ただし、例外もあります。
例えば、派遣社員で給料日が2回ある場合、
当月の1回目の締め日が15日(月の真ん中)、2回目の締め日を月末とする企業が多いです。
また、アルバイトの場合、締め日と給料日が下記のようになっている企業・店も多くあります。

【アルバイトの締め日と給料日】
・15日締め:当月25日払い
・月末締め:翌月5日払い
・月末締め:翌月10日払い
・月末締め:翌月15日払い
・月末締め:翌月25日払い

なぜ給料日は25日が多い?

なぜ一般企業・アルバイトの給料日は25日が多いのでしょうか?
切りよく月末にしてしまえばいいのにと思ってしまうところですが、そこには理由があるようです。

25日を給料日にする企業が多い理由は、諸説あります。
以下の事情により、給料日を25日にする企業が多いようです。

事情①支払いや引き落としが月末最終日に多い
給料が振り込まれる前に引き落としがあっては残高が足りないなんて方もいらっしゃいます。
そのため月末より前に給料日を設定する企業が多いのです。

事情②昔の慣習が残っている
支払いや引き落としが月末最終日に多いため、
1日から10日までは会計の締め切りなどで経理部は忙しい企業が多いようです。
今のように自動的にシステムで給与計算ができなかった時代、給与は手計算で算出していました。
そうなると経理部が給与計算に取りかかれるのが10日以降になってしまいます。
そのため実際に給与が確定し、支払いを行えるのが25日ごろになっていました。
特に古くからある企業ではこの慣習が残り、今も給料日を25日している企業が多いのです。

事情③給料日を固定したい
給料日を切りよく月末にしてしまえばいいと思うところですが、
月末だと1月は31日、2月は28日、4月だと30日など月によって給料日が変動してしまいます。

4.給料日が土日祝日の場合、振込みは前営業日が一般的

給料日が土日祝日の場合は、その前営業日に給与が振り込まれることが一般的です。
例えば、土日祝日がお休みの企業で、給料日が25日だが、
その月の25日が土曜日であった場合、前営業日である24日金曜日に給与が振り込まれます。

ただ、給料日が土日祝日であった場合、
休日明けに給与を支払うことは労働基準法に違反するわけではありません。
就業規則に規定されてあれば、休日明けに給与を支払うことは可能です。
そのため、給料日が休日の場合、その前営業日に給与が振り込まれるのか、休日明けになってしまうのか気になる人は、一度人事部または経理部に確認してみましょう。

5.給料日の調べ方

ここまでは一般的に給料日が多い日はいつなのか、について触れてきましたが、あなたの勤め先の給料日はいつなのでしょうか?ぱっと思い出せない人は下記を見ればすぐに給料日がわかります。

【現在の勤め先の給料日を知る方法】
・給与明細書
給与明細書の中に『支給日』や『給与期間』、『支払年月日』という欄があります。

【就職先・転職先の給料日を知る方法】
・条件通知書やオファーレター
内定後に企業側から提示される給与や福利厚生の内容が書かれた条件通知書やオファーレターに給料日が書かれている企業もあります。

 

 

6.公務員の給料日はいつ?

ここまでは企業・店で働く正社員・派遣社員・アルバイトの給料日について説明してきましたが、公務員も同じなのでしょうか?
ここでは公務員の給料日について解説します。

国家公務員の給料日は16日、17日、18日が多い

国家公務員の給料日は、所属する組織によって決まっていて、
16日、17日、18日を給料日とする組織が多いです。

下記のように人事院規則九―七(俸給等の支給)で定められています。

職員の属する組織の区分 給料日
会計検査院 16日
人事院
内閣(内閣府を除く。)
内閣府本府
宮内庁
公正取引委員会
国家公安委員会
特定個人情報保護委員会
金融庁
消費者庁
総務省(公害等調整委員会を除く。)
公害等調整委員会
法務省
外務省
財務省
文部科学省 17日
厚生労働省 16日
農林水産省
経済産業省(特許庁及び中小企業庁を除く。) 18日
特許庁 17日
中小企業庁
国土交通省 16日
環境省(原子力規制委員会を除く。)
原子力規制委員会 18日
防衛省

参考:人事院規則九―七(俸給等の支給)

地方公務員の給料日は地域によって異なる

地方公務員の給料日は、地域ごとに各々で定めています。
例えば、東京都は東京都知事が定める日(現在は15日)
大阪府は人事委員会規則で定める日(現在は17日)とされています。

7.まとめ

いかがでしたか。
給料日は勤め先によって異なりますが、正社員・派遣社員・アルバイトの場合は25日を給料日にしているところが多いようです。
国家公務員の場合はきちっと組織ごとに法律で給料日が定められており、地方公務員は地域ごとに知事や市長など、その地域のトップが給料日を決めています。