商談・プレゼンテーションの基本

1、提案書について

提案書はニーズに基づいて作成されるためにニーズを引き出す方法として

  • <おおまかに聞き出す>
  • ・「○○については、今、何かお困りのことがございますか」
  • ・「○○は、今、どうなっているでしょうか」
  • <掘り下げて聞き出す>
  • ・「すると、○○を○○にしたいとお考えなのですね」
  • ・「そのお困りになっている状況を、もう少し詳しくお聞かせください」
  • <選択肢をあげて聞き出す>
  • ・「ABCのうち、どれをご希望ですか」
  • ・「ABのうち、Bのほうをお勧めしますが、いかがでしょうか」

■提案書作成の前に確認しておくこと

  • ①、お客様がとくにきにかけているポイントは何か
  • ②、決裁者は誰か
  • ③、商品・サービスはいつまでに必要か
  • ④、価格はいくらを希望しているのか
  • ⑤ライバル会社はいるか

3、提案書づくりのポイント

■関係者に提案作成の協力を求める

  • <上司・先輩>
  • ・同じ商品・サービスを成約させたときのポイントを聞く
  • ・提案書のひな形を提供してもらう
  • ・提案書の内容をチェックしてもらう
  • ・価格の相談する
  • <自社の他部門>
  • ・品質や機能など技術面の相談をする
  • ・納期、納品スケジュールの相談をする
  • ・サービス体制の相談をする
  • <営業マン>
  • ・お客様の課題、ニーズを収集する
  • ・提案のコンセプトを考える

■お客様のニーズに柔軟に対応する

提案する内容はお客様の要望に応え、納得してもらえるものでなくてはなりませんが、提案するたびにお客様の要望が変わっていくケースも少なくない。

<在庫管理システムの提案例>

①当初のお客様のニーズ・・・手書きの伝票を使って商品の在庫管理をしているのでミスや漏れが多い。この状況を何とかしたい」

営業からの提案・・・バーコードを使って入出情報の管理を行うシステムを採用されてはどうでしょうか

②提案後のお客様のニーズ・・・正確な在庫情報をつかめるようになるのなら、それを製造部門だけでなく経理部門でもタイムリーにわかる様にならないかな

営業からの2度めの提案・・・それなら在庫管理システムと連動する、新たな会計システムの導入をお勧めします

③お客様からの3度目のニーズ・・・そうなると価格が高いなあ。でも将来的には生産・経理・営業部門であらゆる情報を共有化して、一部の外部協力会社にも情報提供していきたいんだ

3度目の提案・・・今回は改善が急がれる在庫管理、製造管理の新システムだけにとどめておき、将来的に売上げ管理、購買管理システムを積み上げられるようなフレームづくり行っておきましょう

■提案書の内容・構成例

提案書にはこれといった絶対的な書き方はありません。ここでは数枚にわたる提案書で書かれる、一般的な内容・構成を紹介します。

  • 1、表紙・・・表紙に盛り込む要素は、お客様名(○○社御中など)、タイトル(○○についてのご提案書など)、提案する日付、提案者名と連絡先など。目次を入れる場合もある
  • 2、目次・(※複数枚に及ぶ場合)・・・ページには通し番号を入れておく。本文の見出しと文言が違わないように注意する。
  • 3、お客様の現状、課題、ニーズ・・・はじめに、この提案書が「何のため」書かれたのかをはっきりさせる。お客様が抱えている現状の問題は何か、実現したいことは何かを確認し、提案によって達成すべき目標(ゴール)を示す。「現在ご使用の汎用工作機械は老朽化のために故障が多く・・・・また最近では受注品目が多岐にわたっているから・・・」
  • 4、提案の結論・・・3を受けて、「そのために、何をするか」を示す。課題やニーズを解決、実現するための提案の結論であり、コンセプトを伝える「当社の新製品である大型○○旋盤機をご採用いただくことにより・・・」
  • 5、提案の特徴、効果・・・どんな方法により、お客様にどんなメリットをもたらすか示す。たとえば「ランニングコスト」がかかりすぎる」「生産スピードを早めたい」といった課題、ニーズに対して、提案する商品・サービスがもつ独自性、優位性によって「経費削減に寄与する」「生産効率がアップする」などの効果を明らかにする・「同製品は新機構の○○システムを取り入れており、生産性は従来機の約3倍にアップし・・・」
  • 6、提案の具体的な内容・・・提案する商品・サービスの具体的な中身について詳細な説明する。ただし、詳細な規格や仕様は必要に応じて別紙扱いする。品質や性能の優位性を訴求するために、他社比較のデータや購入事例などを織り込むことも効果的。また、お客様が購入後の効果、メリットを理解できるイメージ図なども用いる。「A製品を導入後の御社○○工場の生産フローは以下の図の通りに・・・」
  • 7、補足事項の説明・・・アフターサービス(メンテナンスなど)の内容と体制、オプションの内容など、補足的な説明事項を記載する。
  • 8、見積もり額・・・お客様の負担コストがいくらになるかを明示する。購入の内容によっては複数案の提示が必要となる
  • 9、納品までのスケジュール・・・お客様が希望する納期の確認と、納品までのスケジュール、または実施計画を記載する。システム変更などの場合には、各作業工程の個別スケジュールを示し、図表化するなどしてわかりやすく見せる。

4、プレゼンについて

■プレゼンの内容

  • ・自社の商品・サービスの特徴を伝える(性能・品質)
  • ・購入後にお客様が得られるメリットを提示する
  • ・競合商品と比較した場合の優位性を訴求する(劣る点も)
  • ・お客様が負担するコストを説明する
  • ・お客様の要望、抱えている課題に対して、自社の商品・サービスがどう応えられるかを提示する
  • ・購入後にどう変わるかをイメージさせる
  • ・他社での購入事例を紹介する
  • ・万一の場に備えたアフターフォロー体制を説明する

■プレゼンの組み立て方・進め方

●SDS法

①概要(summary)・・・はじめにこれから話す内容を要約して概要(まとめ)を話す「○○者様には、当社のA商品をお勧めいたします」

②詳細(details)・・・本論の部分。内容を詳細に話す。「この新商品Aは従来より耐久性に優れ、価格も・・・」

③まとめ(summary)・・・最後に、全体のまとめを話す「以上のことから、○○社様には当社のA商品をお勧めしたいと考えます」

●PREP法

①結論(要点)point・・・最初に伝えたい結論(または要点)を話す「○○者様には当社のB商品をお勧めいたします」

②理由reason・・・次に、なぜその結論に至るのか、理由を話す「その理由は○○だからです」

③事例examole・・・「たとえば、○○者様でご購入いただいたケースでは・・・」

④結論(要点)point・・・最後にもう一度、結論(または要点)を話す「以上のことから、○○者様には当社のB商品をお勧めしたいと思います」

■プレゼンの進め方

  • ①始まりの挨拶・自己紹介
  • プレゼンで初めて会うお客様側の出席者がいる場合には、自己紹介もきちんと行う 「本日はお忙しい中、お時間をたまわりましてありがとうございます。私はA社営業一課の鈴木一郎と申します」
  • ②経緯の説明/ニーズや課題の確認
  • これまで重ねてきた商談の経緯を踏まえて、お客様のニーズや抱えている課題など、今回のプレゼンのテーマを確認する 「御社システム管理部様より、情報セキュリティシステムの見直しについてのご相談をお受けしました」
  • ③プレゼン内容と進め方の説明
  • これから行うプレゼンの主な内容と、おおまかな流れについて説明する、配布した資料がそろっているかを確認する 「はじめに、サーバーログ監視に関する問題解決のご提案をさせていただきまして、次に・・・・」 「お手元にお配りした資料は4点ございます。1つは・・・」
  • ④本論
  • プレゼンの本論を開始する、SDS法、PREP法などにより、プレゼンの内容をお客様がもっとも理解しやすいように組み立て、進めていく 「アクセルログサーバへの不正アクセスを早期に発見するために、当社のログ管理・ログ監視ソフトの導入をお勧めいたします」 「といいますのは、サーバログ側を監視することによって・・・」 「例えば昨年、B社で起こった不正アクセスによる個人情報の流出に際しては・・・」 「以上にご説明いたしました通り、御社の内部統制策野強化という意味におきましても、当社のログ管理ソフトの導入をぜひ・・・」
  • ⑤質疑応答
  • プレゼンの内容に関する質問、または話に出てこなかったが、お客様が知りたいと思ったことに対して、納得のいくように返答する 「ここまでの話で、何かご質問ございますか」 「今のご質問につきましては、ご回答に必要な資料が手元にそろっておりませんので、後ほど改めてお届けします」
  • ⑥終わりの挨拶
  • 感謝の気持ちを込めて、締めのことを述べる 「本日はこのような機会をいただきまして、ありがとうございました」 「当社製品の採用を前向きにご検討たまわりますよう、重ねてお願い申し上げます」

■プレゼンのポイント

  • ・質問をさえぎらない
  • ・回答を終えたら「以上のご回答でよろしいでしょうか」と確認する
  • ・想定外の質問が出されたら、「○○のご説明につきましては、手元に十分な資料がございませんので、会社に持ち帰りまして、早速確認させていただき、ご回答申し上げます」と後日の回答を約束する。
  • ・はじめと終わりにしっかりと挨拶、お辞儀する
  • ・資料ばかり見ずに、お客様の顔を見て話す

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■商談のコツ

●商談に入るタイミング

お客様は感情で商品を購入するといってもよい。気が熟した時が責めるポイントとなる。

●お客様の目標・表情・動作をよく観察する

興味あり→身を乗り出す。パンフレットを手に取る

興味なし→目線が違う方向に向く、パンフレットを手放す

●効果的な商品紹介

たとえ話などいかに感情に訴えかけることができるかが勝負。商品紹介には数値を使ったたとえ話が効果的です。

例)これによって2千万円くらいのメリットがあります。たとえば社員2人分の退職金を支払えるくらいの差がでるんです。

●お客様が興味を示してくれる話し方をする

物語形式にして相手にも意見を述べてもらう。こういった機能がもしあったら?など語り掛け口調もありです。お客様も聞いてばかりだど眠くなる。

●出直しは後日ではなく、その翌日に

再訪問はできるだけ早く。お客様の都合は考慮すべきですが、出直しは早くすることにこしたことはありません。「ご迷惑とは存じますが、再度お目にかかって直接お話しをさせていただければ幸いでございます。ご都合はいかがでしょうか。」など熱心に交渉していく。

●本当の意味での営業とは

顕在化しているニーズよりも潜在化しているニーズを狙っていく。お客様の悩みや問題点を商品を通じて解決するのが本当の意味での営業です。