開業時の資金調達・公的融資を成功させる為の7つのポイント
はじめに
開業時や開業後間もない時期に、必要な資金を満額自分自身で用意できるとは限りません。
では、創業に必要な資金はどこから調達すれば良いのでしょうか?
一般的な資金調達の方法として、①自己資金、②家族・知人からの資金提供、③金融機関からの融資の3つに分けることができますが、創業時は、世間的には「信用」がない状態ですから、銀行など民間金融機関からの融資は不可能です。
いきなり銀行の窓口に行って「お金を貸してください」と言っても相手にもされず追い返されるだけです。
しかし、信用が無い企業でも、融資をしてくれる金融機関がまったく無い訳ではありません。創業時でも、融資が可能な金融機関は大きく分けて2つあります。
日本政策金融公庫と制度融資(信用保証協会の保証付き自治体融資)です。
当ページでは、日本政策金融公庫と信用保証協会、2つの金融機関について、それぞれの概要と融資の条件、借入までの流れ、融資に必要となる申請書類などを解説していきます。
日本政策金融公庫と信用保証協会は公的機関ですので、その分、利子や保証料は低く設定されています。無担保・無保証でも借りれます。自己資金が少なくてもOKです。
民間金融機関では、あり得ないですね。
逆に言えば、それだけ良い条件で借入ができる分、審査も厳しいのです。
とは言え、申請する前から諦める必要はありません。「敵を知り己を知れば百戦危うからず」です。
日本政策金融公庫と制度融資の借入条件を把握し、現在の自己の状況を知れば、自ずと対策法も見えてきます。
それでは、ここから詳しく見て行きましょう。
※なお、下記ページでは、日本政策金融公庫と信用保証協会の相違点にスポットをあてて解説しています。金利・保証料の違い、両方同時に利用できるのか?など。
日本政策金融公庫と信用保証協会付き融資のどちらを利用しようか迷われている方は、当ページとあわせてご覧頂くと、更に理解が深まるかと思います。
目次(もくじ)
- 1.日本政策金融公庫とは?
- 2.制度融資(信用保証協会の保証付き自治体融資)とは?
|-制度融資の窓口はどこ? - 3.個人と会社、どちらでも利用できるのか?
- 4.日本政策金融公庫・制度融資の借り入れの要件の例
|-日本政策金融公庫の「新創業融資」の場合
|-融資担当者にスムーズに自己資金として認めてもらうには
|-見せ金とは?
|-確実に自己資金として評価されるには
|-自己資金の要件緩和について
|-制度融資の「創業融資」の場合 - 5.日本政策金融公庫の融資までの流れ・フロー
- 6.制度融資の融資までの流れ・フロー
- 7.日本政策金融公庫と制度融資に共通する必要書類
|-双方に共通する必要書類
|-日本政策金融公庫からの融資だけに必要な書類
|-その他の必要書類について - 資金調達に強い専門家の無料紹介【公的融資ドットコム】のご案内
ポイント1.日本政策金融公庫とは?
日本政策金融公庫は、政府金融機関である、国民生活金融公庫や中小企業金融公庫等が統廃合し、平成20年10月に設立されました。名称変更前の「国民生活金融公庫」の呼び名の方がなじみがあるかもしれません。
日本政策金融公庫は、国の政策に基づいて、個人・中小企業への融資を行う政府系の金融機関であり、株式会社ですが、国が株式の100%を保有しているので民営化することはありません。
銀行等から資金調達を受けにくい中小企業や、これから起業・独立開業する方などへの融資を行っています。基準をクリアできる企業等には、積極的に融資が行われるので、起業家が利用しやすい金融機関と言えます。
原則、無担保・無保証で融資を受けることができ、低利であることが最大の魅力です。
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ポイント2.制度融資(信用保証協会の保証付き自治体融資)とは?
信用保証協会とは、信用保証協会法に基づき中小企業の円滑な資金調達のために設立された公的機関です。
信用保証協会は企業に対して直接融資をすることはしませんが、企業が金融機関から資金を借り入れる時に、その公的な保証人となってお金を借りやすくなるようサポートしています。
都道府県や市区町村などの自治体が制度を定め、信用保証協会の保証をつけて行う融資のことを「制度融資」といいます。
この「制度融資」は、各自治体が設けていて、その内容も自治体ごとに異なっています。
通常の銀行等の金融機関からの融資と異なる点は、自治体そのものが融資を行うものではなく、自治体が融資に必要な資金の一部を金融機関に預託して、この資金を、定められている条件に従って、金融機関が融資を行うという点です。
そして、この融資を受けるため、信用保証協会の保証が必要になります。
各自治体の支援によって、同金融機関からの融資であっても、低利での貸付が可能になっています。
制度融資の窓口はどこ?
制度融資の申請・相談窓口は、基本的には近くの銀行(都市銀行・地方銀行・信用金庫・信用組合など)窓口になります。
その他、自治体にも直接窓口を置いているケース、地場の商工会議所がその窓口になっているケースもあります。詳細はお近くの自治体のHPなどで確認して見てください。
グーグルで「○○市 制度融資」「○○県 制度融資」などと検索をすると、自治体の案内ページが出てきます。参考までに神戸市の制度融資ページを掲載しておきますので、ご覧いただければと思います。
制度融資の仕組みなども詳しく解説されています。→神戸市中小企業制度融資とは
ポイント3.個人と会社、どちらでも利用できるのか?
日本政策金融公庫・制度融資ともに、事業形態は問われません。
個人事業主として開業する場合、株式会社や合同会社を設立して開業する場合、いずれも利用できます。
どちらが有利ということもありません。
創業と同時に受ける融資については、事業形態がどうといよりも、むしろ、借入人個人の信用・事業経験(スキル)・資金力が問われます。
どういうことかと言いますと、株式会社の場合でも創業時は一からのスタートです。会社という「箱」よりも、会社オーナー兼経営者であるあなたの「器」に重きが置かれて融資の審査は行われます。
例えると、「客船」ではなく「船長」個人にお金を貸すイメージですね。
ただし、事業計画書の内容等は当然異なってきますので、会社なら会社の、個人なら個人の事業計画書を作成する必要があります。
詳しくはこちらのページでも解説していますので、参考にして下さい。
ポイント4.日本政策金融公庫・制度融資の借り入れの要件の例
4-1.日本政策金融公庫の「新創業融資」の場合
日本政策金融公庫では、新たに事業を始める方や事業を開始して間もない方を対象として「無担保・無保証人」で利用できる「新創業融資制度」があります。
新創業融資の利用条件について
利用条件:次の1~3のすべての要件に該当する方
1.創業の要件
新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を2期終えていない方
2.雇用創出、経済活性化、勤務経験または修得技能の要件
次のいずれかに該当する方
(1)雇用の創出を伴う事業を始める方
(2)技術やサービス等に工夫を加え多様なニーズに対応する事業を
始める方
(3)現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方で、次のいずれかに該当する方
ア.現在の企業に継続して6年以上お勤めの方
イ.現在の企業と同じ業種に通算して6年以上お勤めの方
(4)大学等で修得した技能等と密接に関連した職種に継続して
2年以上お勤めの方で、その職種と密接に関連した業種の事業を始める方
(5)既に事業を始めている場合は、事業開始時に(1)~(4)のいずれかに該当した方
3.自己資金の要件
事業開始前、または事業開始後で税務申告を終えていない場合は、
創業時において創業資金総額の3分の1以上(※)の自己資金(注)を確認できる方
(注)事業に使用される予定のない資金は、本要件における自己資金には含みません。
・資金の使い道:事業開始時または事業開始後に必要となる事業資金
・融資限度額:1500万円
・返済期間:運転資金5年以内
(特に必要な場合は7年以内)(うち据置機関6ヶ月以内)
設備資金10年以内(うち据置機関6ヶ月以内)
・利率:基準利率 3.70%~4.00%
・担保保証:不要
融資担当者にスムーズに自己資金として認めてもらうには
新創業融資を成功させるポイントは大きく3つ。
- 自己資金
- 事業経験
- 事業計画
中でも自己資金が特に重要になります。
なぜなら、自己資金の見せ方によって、融資の成否が大きく左右されるからです。
では、この3つのポイントを時間軸で考えてみましょう。
自己資金と事業経験は過去に、事業計画は未来に分類することができます。
事業計画はあくまでもこれから作りますので、今から準備しても全然遅くありません。自分で緻密で具体的かつ理想的な事業計画を作成できるのであれば、それで良しですし、難しい場合は我々行政書士や税理士などの専門家の力を借りて作成することもできます。
次に、事業経験についてですが、あなたの過去にスポットが当てられます。事業経験は長ければ長いほど、融資の審査は有利に働きます。
業界の収益構造や商慣習を知っているのとそうでないのとでは、業績には天と地ほどの差が出て来ると公庫は考えます。
公庫は貸倒れだけはしたくありません。ですから、極力業界経験の長い人に貸したがります。ただ、この事業経験は、今からどうにかしようとしてもできません。過去を変えることはできません。
とはいえ、公庫の新創業融資は事業経験が無くても、雇用の創出を伴う場合や、技術・サービス等に自信がある方の場合は、制度上は融資が可能とされていますから、まだ諦める必要はありません。
やっかいなのが、最後の自己資金なのです。こちらも時間軸で言えば過去に分類されます。
自己資金は、基本的には自分でコツコツと貯めてきた現金(預金)を言います(親や知人・友人からの贈与も準自己資金として認めてくれるケースもありますが、融資担当者によってケースバイケース、絶対とは言えません)。
では、コツコツと貯めてきたことをどう証明するのか?
預金通帳でしか証明できません。
なお、同じ預金でもいわゆる「タンス預金」もNGです。「見せ金」として評価されてしまいます。
見せ金とは?
一時的にどこからかお金を借りてきて自己資金として計上し、その後スグに返済することを「見せ金」といいますが、十中八九、公庫にはバレます。仮にバレなくても、いきなり大きなお金がどかんと通帳に預入られることなど、通常はありませんから。
公庫の担当者は、タンス預金と見せ金との区別の付けようがありません。
ですから、銀行に預けること無くタンスや引き出しに閉まっておいた現金を銀行口座に一度に入金しても、自己資金としては認められません。
確実に自己資金として評価されるには
毎月の給料からコツコツと貯めてきた開業資金が見せ金として扱われないためにはどうすればよいか。毎月、通帳に預け入れて、自己資金が溜まっていく軌跡を残しておく方法によるしかありません。
今からでも遅くはありませんので、開業資金を貯めている人は、タンス預金ではなく、毎月コツコツと銀行に入金していきましょう。
新創業融資の申請時に、預金通帳数カ月分のコピーの提出を求められます。
過去は変えられません。預金通帳の改ざんもできません。
タンス預金でも通帳預金でもあなたが頑張ってきた過去は変わりませんが、自己資金としての評価は100か0になってしまうのです。あなたの不断の努力が水の泡になってしまわないよう、自己資金の扱いには十分に気をつけてください。
なお、生命保険の解約金や親から相続した相続財産なども自己資金として認めてもらえるか?という質問を頂きますが、こちらも難しいと言わざるを得ません。
絶対に無理というわけではありませんが、大半の融資担当者は自己資金としての評価は下げてきますので、やはり、100%自己資金として認めてもらうには、貯金しかありません。
自己資金の要件緩和について
現在、自己資金要件は大幅に緩和されており、10分の1となっています。
しかしながら、要件が緩和されたと言えど、10分の1程度の自己資金では借入は難しいと思っておきましょう。
1000万円の借入を行う場合、100万円しか自己資金を溜めてこなかった場合と、コツコツと300万円溜めてきた場合。お金を貸す側の立場に立って考えてみると、どちらに貸しやすいでしょうか?
後者ですね。
今回の運用改正で申請のハードルは下がりましたが、審査のハードルまで下がったわけではありません。自己資金の審査基準は今後も3分の1で据え置きされるのでは?と言われています。
ですから、自己資金は多いに越したことはありません。今回の緩和で融資は簡単になったんじゃないか?とお考えの方は一度帯を締め直してから融資の申請に臨んでください。
なお、株式会社設立と同時に新創業融資の申請を行う場合は、設立時の資本金も自己資金として認めれてくれますので、下記も参考にしてみてください。
4-2.制度融資の「創業融資」の場合
制度融資は、各自治体によって融資内容や利用要件が異なります。
例えば、東京都であれば、都と信用保証協会と指定金融機関の三者協調のうえに成り立っている「融資制度」があり、都内にある中小企業を対象とし、東京都の定める条件で融資されます。
<東京都創業融資の場合>
・利用条件:次のいずれかに該当するもの
①事業を営んでいない個人で、創業しようとするもの
②事業を営んでいない個人で、自己資金があり、創業しようとするもの
③創業(設立)した日から5年未満の中小企業者及び組合
④創業した日から5年未満であり、東京都が出資する
ベンチャー投資法人傘下の
投資事業有限責任組合から出資を受けている中小企業者
⑤創業した日から5年未満で、独立行政法人中小企業基盤整備機構の
「ベンチャーファンド」事業が出資する投資事業有限責任組合から
出資を受けている中小企業者
⑥分社化しようとする法人
・融資限度額:1企業・1組合
上記①1,000万円
上記②2,500万円(ただし、自己資金に1,000万円を加えた額の範囲内)
上記③④⑤2,500万円
上記⑥1,500万円
・返済期間:運転資金7年以内(うち据置機関1年以内)
設備資金10年以内(うち据置機関1年以内)
・融資期間により
固定金利1.9%~2.7%以内
変動金利:短プラ+0.9%以内
・担保保証:原則不要
ポイント5.日本政策金融公庫の融資までの流れ・フロー
ここからは、日本政策金融公庫の新創業融資の申請から融資実行までの流れについて見ていきましょう。
STEP1:相談
最寄りの日本政策金融公庫の相談係へ行き、相談を受けます。
この時に借入申込書や事業計画書といった申請書類を受け取ります。
申請書類についてはダウンロードでの入手も可能ですので、その場で申請書類が渡されなくても特に問題ございません。
STEP2:申込み
ここでの提出書類は非常に大事になってきます。
この後に各担当者との面談が行われますが、事業計画書をベースに面談が進行していきますので、提出書類の内容はしっかりと把握しておく必要があります。主な提出書類は以下の通りです。
- 借入申込書
(事業を開始する地域を管轄する日本政策金融公庫に提出) - 事業計画書
- 見積書
(設備資金の申し込みの場合) - 登記簿謄本、履歴事項の証明書
(法人の場合) - 不動産の登記簿謄本、登記事項証明書
(担保を考えている方の場合) - 生活衛生同業組合の振興事業に係る資金証明書、都道府県の推薦書
(生活衛生の事業の場合)
融資申請時の注意点については、下記ページを参考にしてください。
STEP3:面談
2の書類審査をパスできれば、担当者との面談が行われます。
面談の内容に関してですが、日本政策金融公庫では以下のように記しています。
- 事業計画などについての質問を行う。
- 準備していただきたい資料は、計画についての資産や資料・負債のわかる書類です。
- 店舗や工場もお訪ねします。
- 事業計画をさまざまな角度から検討して、結果を出します。
面談内容からも分かるように、事業計画が非常に重要になってきます。
申込みをパスするために、事業計画書などの書類作成を専門家(行政書士)に依頼される方がいます。
それに関しては全く問題ないですし、むしろ一度専門家へ相談することをお勧めします。
しかし、専門家による書類作成が終了したらその内容を把握しなければいけません。
書類は完璧であっても面談でその書類内容について答えることができなければ、融資を受けることはできないでしょう。
面談は申し込みしてから1週間後くらいに行われますので、それまでに面談のシミュレーションや事業計画書の内容確認などを何度も行い、万全の状態で面談を迎えられるようにしましょう。
面談時の注意点については下記ページをご覧ください。
STEP4:結果報告
面談終了日の1週間後くらいに結果が通知されます。
ここでの通知内容が決定事項です。
満額の融資を受けることができなくても、それを変えることはできません。
このように融資を受けることができても自分の希望する額に届かない場合があります。
このような時は頭を切り替えて、制度融資の申し込みを行うなどの対策が必要になってきます。
STEP5:融資開始
面談終了日の1週間後くらいに結果が通知されます。
ポイント6.制度融資の融資までの流れ・フロー
次に、制度融資の申請から融資実行までの流れです。
STEP1:金融機関を決める
信用保証協会へ直接申請する場合は除きますが、まず、金融機関を決めなくてはいけません。
窓口とする金融機関については特に指定するものはありませんが、地方銀行・信用金庫からの融資をお勧めします。
メガバンクに比べ新規開業者への融資に対して積極的な傾向にあります。
STEP2:相談
上記STEP1で決めた金融機関の相談係と制度融資についての相談をします。
ここで、制度融資を受けたいという意思表示をしておけば、後々の手続きがスムーズに進みます。
STEP3:申込み
事業計画書などの申請書類を金融機関または開業事務所の地域を管轄している信用保証協会を経由して申し込みます。
融資申請時の注意点については、下記ページを参考にしてください。
STEP4:面談
申請書類は管轄の信用保証協会で審査されます。
書類審査に無事パスできれば、信用保証協会の担当者が開業先まで出向き、簡単な調査を行うと同時、面談をします。
これらをすべて行った上で、問題ないと判断されれば、信用保証協会から金融機関に対して、「信用保証書」が送られます。
ようするに、信用保証協会が保証人になってくれることを了解したことになります。
そして、金融機関は信用保証書を踏まえた上で審査を行ってきます。
ここで、勘違いしやすいのが、信用保証書が下りたからといって、融資が受けられるわけではありません。
あくまで、信用保証書は融資を受けやすくするためのバックグラウンドの1つです。
金融機関の審査を通って初めて融資が受けられます。
面談時の注意点については下記ページをご覧ください。
STEP5:融資開始
審査終了後、金融機関から審査結果が通知されます。
融資を受けられるのか否か、また、受けられるとしても金額はいくらなのかなど、この時点で詳細もはっきりわかります。
その内容に基づいて融資が開始されます。
ポイント7.日本政策金融公庫と制度融資に共通する必要書類
双方に共通する必要書類
- 借入申込書
- 事業計画書
- 2期分の決算
- 設備資金の申し込みの場合は見積書
- 法人の場合は登記簿謄本
- 納税証明書
- 源泉徴収の写し
- 通帳
日本政策金融公庫からの融資だけに必要な書類
- 日本政策金融公庫を初めて利用される方は、「企業概要書」
- 生活衛生に関する事業をお考えの場合は、「生活衛生同業組合の振興事業に係る資金証明書」、「都道府県の推薦書」
- 日本政策金融公庫を初めて利用される方は、「企業概要書」
- 生活衛生に関する事業をお考えの場合は、「生活衛生同業組合の振興事業に係る資金証明書」、「都道府県の推薦書」
その他の必要書類について
- 決算から6ヶ月以上経過している場合は試算表
- 申請者と連帯保証人は印鑑証明書
- 自己資金が必要な場合はそれを証明するもの
- 担保を必要とする場合は不動産の登記簿謄本
※上記では代表的なものを解説させていただきましたが、これらの必要書類については、公庫の融資制度の種類、また、各自治体によって大きく異なります。必要書類を準備する際は、専門家に聞くか、あるいは日本政策金融公庫であれば公式HP、制度融資であれば各自治体のHPで事前に確認しておきましょう。
融資申請時の注意点!これだけはやってはいけない7つのこと
公庫で融資の申請をするにあたり、「これだけは絶対にしてはいけない」、といった注意事項があります。
専門家などを使って、立派な事業計画書が作成できても、自分自身の不注意で融資が受けられなかったケースは枚挙に暇がありません。
事業計画書の作成を専門家に依頼するだけでも、費用はかかります。それを水の泡にするのはもったいないですし、何よりも融資が下りなければそもそも事業を始めることすらできません。
当ページで融資申請時の注意点を記載していきますので、ぜひ確認していただければと思います。
今からでも遅くはありませんので、ご自身で改善できる点はしっかり行っていきましょう。
1.金融・保険業の一部を会社目的に入れてしまう
日本政策金融公庫、信用保証協会の両方が金融、保険業の一部を禁止事業と定めています(保険業でも生命保険の媒介代理、損害保険代理業、保険サービス業などはOKです)。
株式会社や合同会社など法人名義での借入を考えている場合は、定款の事業目的にこれらの文言が記載されていないか、事前に確認をしましょう。
知らなかったではもちろん通用しませんので、この点は注意しておきましょう。
2.各金融機関が定めてある条件を守らない
日本政策金融公庫の新創業融資を利用する場合、申請する条件として創業資金の10分の1以上の自己資金が必要であるといったことや、開業後2期分の税務申告が終了しているものは、融資の対象外になります。注意しておきましょう。
日本政策金融公庫の各種融資制度の利用条件については、公庫の公式ページで詳細に記載されています。
→https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/index.html
信用保証協会の保証制度も利用条件等は詳細に定められています。最低限、要件を確認してから相談窓口には出向くようにしましょう。そもそも要件に合致していないのに、相談に行っても時間の無駄以外の何物でもありません。
3.提出書類に記入ミス、記入もれがある
融資を受ける際には、まず申請書類を提出していかなくてはいけません。
借入申込書や事業計画書など多くの書類を提出していくことになります。
そのすべての書類において、記入ミスや記入もれがあると、大きなマイナス評価になります。「お金を借りるための大事な書類ですら、正確に記入できないのか?」とあなたの経営者としての能力を疑われてしまいます。
粉飾決算、虚偽書類などはもってのほか!
創業融資ではなく、運転資金や設備資金を借りる場合は、決算書などの提出が必要になりますが、融資を引き出す為の「粉飾決算」も絶対にNGです。
金融機関は、融資のプロです。すぐにバレます。仮に審査に通ったとして、後で必ず辻褄が合わなくなるからです。粉飾決算が判明すれば、以後はその銀行とは取引禁止になります。
利益を水増しすれば見た目は儲かっている会社に見えますが、内実はそうではないのに、税負担だけが大きくなります。正常の決算に戻すのにも大変な労力と時間がかかります。
専門家に依頼しているのであればこの辺は問題ないかとおもいますが、自分自身でもしっかり確認を行って融資に望みましょう。
4.運転資金、設備資金以外の理由で融資を必要としている
資金使途については、厳しく問われます。
日本政策金融公庫と制度融資が融資を行う対象者は、設備資金や運転資金、資金繰りで困っている事業者に限られています。
設備資金とは、その名の通り、設備に要する資金を言います。
代表的なものでは、物件購入費用、事務所賃貸の初期費用、店舗内装、自動車、機械器具、事務備品、パソコンなど多岐に渡ります。
なお、運転資金には、経常運転資金(通常の取引で必要な運転資金)、増加運転資金(一定の理由で一時的に増える運転資金)、納税金、季節資金、賞与などの他、急激な業績悪化によって引き起こされる資金繰り悪化を補てんする為の赤字運転資金などもあります。
新創業融資を受ける場合の法人を設立するための資本金や、個人の生活費などといった融資対象外の資金使途では、そもそも融資は受けられません。
5.見せ金を使う
日本政策金融公庫では新規開業者の融資条件として、自己資金の額を重要視しています。
自己資金の多少だけでなく、どのような流れで作ってきた自己資金なのかもまた重要視しています。
自己資金が無い人が、なんとか日本政策金融公庫から融資を受けたいからといって、一時的な自己資金を作ろうとするケースがあります。
一時的な自己資金とは、日本政策金融公庫の審査をパスするためだけに作った自己資金です。友達などからお金を借りたり、サラ金から一時的に引っ張ってきてそれを自分の通帳に振り込み、自己資金として提示するのです。これがいわゆる「見せ金」です。
融資を受けるにあたってこの見せ金は絶対にNGです。公庫の担当者は融資のプロです。このような見せ金は通帳で確認すればすぐにわかります。
見せ金と判断されれば、融資を受けることはもちろんできませんし、さらにその後も融資を受けることができないなどのペナルティも待っています。
6.ノンバンクから借入をしている
サラ金やカード会社などのノンバンクから借入をしている人は、政府機関からの融資は難しくなってきます。
理由としてはまず返済能力を疑われてしまいます。ノンバンクは金利も高いため、そのようなところから借入をしている企業が、今後しっかり返済してくれるのかを疑われても仕方ありません。
通常、高金利のノンバンクからの借入は避けるところですが、避けられない何らかの理由があったとみなされますので、申請者に対する心象はかなり悪くなります(とは言え、絶対に借りれないわけではありません。倒産を避けるためなら、ダメでもともとでもOKです。相談してみましょう)。
税金の滞納もNGです。公庫は納付書や納税証明書などで税金の滞納が無いかを確認します。日本政策金融公庫は政府100%出資の金融機関ですから、税金の滞納には民間の金融機関よりも厳しい目で見ています。
現在、未納となっている税金があれば、完済してから融資にのぞみましょう。
7.面談で喧嘩する。
無いようで実際にある話です。
融資担当者は、基本的には申請者を疑いの目で見ています。
「この人に本当にお金を貸しても大丈夫なのか?」
「この人は本当に事業の為にお金を借りようとしているのか?」
融資担当者がこう考えるのも、当然と言えば当然の話しでして、公庫も貸倒れだけはしたくありません。
本当にお金を貸して大丈夫なのかを、書類のみならず面談でもしっかりと確認しようとします。
実際に粉飾した決算書を持ち込む人もいれば、見せ金を使ってどうにか借入れしようとする輩がいるのもまた事実なわけでして、公庫担当者からすれば、疑うこともまた仕事なのです。
このことがわかっていれば、無駄に融資担当者の言動でイライラしたり、逆に、萎縮してしまうことも無くなります。
公庫の担当者も人間ですから、いろいろな方がいます。
居丈高で上から目線の人もいれば、無愛想な人もいます。その雰囲気に飲まれて、こちらも態度を悪くしてしまったり、喧嘩腰になってしまっては絶対にいけません。
要は、いちいち融資担当者の態度・言動には過剰に反応しなくても良いのです^^v
上から目線の質問でも、態度が悪く無愛想な人からの質問でも、こちらは淡々と適格な返答を行いましょう。
間違っても、「お前なんだ!その態度は!」なんて大声を出してしまったらそこで終わりです。
面談は、事業計画とあなたの人柄を見せる為の貴重なプレゼンテーションの機会です。ひょんなことで、融資自体を諦めざるを得ないような行動にでることだけは、絶対に避けましょう。
あなたの経歴・事業に対する想い、事業計画などを適格に、かつ、気持ちを込めて伝えましょう。面談で伝えるべきは、それ以上でもそれ以下でもありません。
面談に対する心構えに関しては、下記記事も参考にしていただければと思います^^
公庫融資の面談時3つの注意点と面談で必ず聞かれる5つのこと
日本政策金融公庫の融資面談を受けられる方へ。これだけは絶対に頭に入れておいてください。
融資の可否は、
「担当者に融資OKと判断させるだけの材料を、如何に与えることができるか」
にかかっています。
担当者を味方につけましょう。
担当者は「敵」ではありません。あくまでも対等な立場であり、「味方」であるべき存在です。このことは、「融資」の仕組み・本質が分かっていれば、自然に理解できるかと思います。
融資の本質ってなんだ?という方は、まずはこちらのページをご覧になってみてください。
時間が無い方は、読み飛ばしてもらっても結構です。
担当者は面談の結果を、融資担当者が集まる会議又は部署に上げて稟議書という書類を使って報告します。
担当者が全ての決定権を握っているわけではありませんので、この稟議書の出来不出来が融資の可否を決定するといっても過言ではないのです。
面談では、変にへりくだったり、下手にでる必要は全くありませんが、誠実な受け答えを心がけましょう。
横柄な態度を取る人、逆にオロオロと自信なさげな人に、お金を貸そうと思う人はまずいません。後述しますが、服装にも十分に気を遣いましょう。
担当者を味方につけれるかどうかが、融資成功のカギになります。
当ページでは、面談時の注意点と、面談で担当者からよく聞かれる事項について、解説しています。
これらのポイントを事前知識として頭に叩き込んだ上で、面談に臨むことによって、融資実行の可能性を格段に飛躍させることができます。では、どうぞ。
融資面談3つの注意点
申請書類と事業計画書がしっかりと作れても、その後に行われる面談で失敗したのでは融資は受けられません。
書類と同じくらい、面談も重要になってきます。
この2つをパスできて初めて融資を受け取ることができますので、NGな行動は絶対にしないようにしましょう。
ここでは面談での注意事項をまとめていますので、しっかりと確認しておきましょう。
1.聞かれたことだけ明確に答える!
担当者の質問に対して答えられないと、かなりのマイナス評価です。
なぜなら、担当者は事業計画書を元に話を進めていくからです。
事業計画書は自分で作るものですから、答えられないわけがありません。
事業計画書を専門家に依頼して作成した人でも、面談で答えられるように事前の確認と専門家との打ち合わせを行っておく必要があります。
嘘は絶対にNGだが、聞かれていないことまでこちらからベラベラと話す必要もない。
担当者が聞いてもいないことを話す必要はありません。ボロがでてマイナスになる可能性があります。
多くしゃべったからといってプラスになることはありませんので、担当者が質問したことだけに答えていきましょう。
ダラダラと聞かれてもないことを話していても、仕事ができる人間には思われません。質問されたことに対して、適格かつ、明確に、そして端的に答えることが重要なのです。
2.身だしなみにも気をつける!
面談での服装については特に規定はありませんが、面談において申請者の人間性もみられます。
第一印象は非常に重要です。
融資を受ける側、お金を借りる側ですので、あまりにもラフな格好で面談を受けるのはどうかと思います。
少しでも良い印象を持ってもらうためにも身だしなみなどの最低限の努力は行っていきましょう。
スーツは普段着用しないお仕事の方でも、このときばかりはスーツでも良いかもしれません。
仕立ての良いスーツである必要はありませんが、清潔感は必要でしょう。清潔な服装は相手に対するマナーでもあるのです。
服装ごときでマイナスイメージを与える必要は一切ありません。ラフな格好をしてマイナス印象を与えるくらいなら、最初からスーツで行きましょう。
3.面談は本人だけで行く!
面談に専門家などと同行して挑む人もいますが、これはNGです。融資の面談には、起業家であるあなた(申請者)が単独で受けるのが大原則。
担当者は専門家ではなく申請者本人の話が聞きたいのです。
しどろもどろになった本人を専門家が横からフォローしたところで、印象は悪くなる一方です。
たとえ全てを正確に答えられなかったとしても、一人で面接を受けることが大事なのです。
もし、専門家の意見が重要なのであれば、そもそもこの面談自体、意味がありません。
公庫の担当者はあなたの経営者としての「資質」と「人柄」を見ています。このことをしっかりと頭に入れておきましょう。
なお、共同出資・経営の場合、例えば3人で起業するケースでも、申請者となる代表者1人で面談には行くようにしましょう。融資契約はあくまでも申請者本人と公庫の2者が当事者となります。共同経営で事業を開始する場合も、代表者であるあなたが全責任を負うことになるのです。
その覚悟と熱意を持って面談に臨みましょう。
面談で聞かれる5つのこと
さて、ここからは面談の中身を見ていきましょう。
面談では実際どのようなことが聞かれるのでしょうか?
本人が事業計画書の内容を100%理解していれば、それほど難しくは感じないかと思いますが、具体例も知っておきたいところですね。
ここでは、これまでの面談で何が多く聞かれているのか、その上位5つを紹介したいと思います。
1.なぜ開業しようと思ったのか?
開業のきっかけ(開業動機)についてはしっかりと答えられるようにしておいた方がいいでしょう。
事業計画書にも記載しなくてはいけないので答えられないということはないでしょうが、的確に答えられるように準備しておきましょう。
事業計画書とあまりにも違った内容ですと怪しまれますので、事前に事業計画書と照らし合わせながら確認を行っておいた方がいいかと思います。
ここでは前向きな開業動機を答えるようにしましょう。
後ろ向きな発言、例えば、「人間関係が嫌になり退職しました」、「特に他の就職先が見つからなかったので、仕方なく開業することにしました」などはもっての他です。
あなたの事業に対する熱意と想いを適格かつ簡潔に話しましょう。熱意は言葉だけでは伝わりません。
あなたがこれまでに培ってきた経験、知識、仕事に対する姿勢。これらが揃ってはじめて担当者に熱意は伝わります。
2.自己資金の確認
日本政策金融公庫では新規開業者の融資にあたり、自己資金の確認はほぼ間違いなく行われます。
自己資金の金額そのものの確認のみならず、通帳の履歴からどのような経緯で自己資金を作ってきたのかといった流れまで確認されます。
大体6ヶ月から1年位は遡って見られると思っておきましょう。
見せ金と思われるような不審な入金があればその場で質問されます。
単なる口座間の金銭の移動の場合でも注意が必要です。
もし指摘される恐れがあるときは、それが不審ではないことを証明する資料をあらかじめ準備しておくとよいでしょう。
資料を見せて担当者が納得できればそれでOK。担当者が上司に決済を上げる際にも貴重な資料になります。
なお、税金や家賃、水道光熱費など公共料金の支払いを同じ通帳で行っている場合は、送れずに期日までに支払いをしておきましょう。
通帳の履歴から公共料金等の支払いがあきらかに遅れている、あるいは滞納が続いていると判断された場合、お金にルーズでだらしないという印象を与えます。
自己資金の確認は良くも悪くも通帳が全てです。あなたの金銭的真面目さ、誠実さをアピールする為にも綺麗な通帳作りを心がけましょう。通帳明細であれやこれやと詮索されることがなければ、面談もスムーズに終わります。
3.経営がうまくいかない場合を想定した対策
誰もが自分の会社を軌道に乗せようと一生懸命頑張るかと思いますが、その努力とは裏腹に業績が伸び悩んでしまうことも当然想定されます。
こういった状況になった場合の対策方法などを聞かれた時、明確に答えられるように準備しておかなければなりません。
リスク管理も経営者の仕事なのです。
自分の会社の特徴からどのような問題が考えられ、どう対処していくかは、担当者も気になるところなのです。
事業計画書にも経営不振に陥った時の対策方法などといった項目はありませんので、面談対策として個別に準備しておく必要があります。
4.どのように収益を上げるのか?
貸し手にとって一番気になるところです。
売上の見込みがなければお金を返済していくことは不可能ですので、細かな数字や具体的な資金使途なども聞かれるかもしれません。
これは事業計画書にも記載しますので、その内容に問題がなければそこまで細かく聞かれることはないかと思いますが、こちらも、事業計画書と照らし合わせながら事前に確認しておきましょう。
売上見込みについては、その裏付けとなる資料なども用意しておくと良いでしょう。
5.営業場所についての確認
自宅以外の場所で、事業を開始する場合は賃貸借契約書の写しが必要になります。
担当者から質問されるとすれば、事務所使用禁止の規制があるのにもかかわらず、そこを勝手に事務所として申請している場合などにそれについての追及があります。
自宅以外で事業を始められる方は、この辺りを注意しておかなければいけません。
まとめ
以上、いかがでしたでしょうか。
面談を成功させる最大のポイントは何か、お分かりになりましたでしょうか?融資を成功させる為の最大のポイントでもあります。
「準備・準備・準備」です。
大事なところなので3回も言いました^^v
面談に関しては、当ページで解説していることだけ確認して実践して頂くだけでもかなりのポイントアップになると思います。
融資を受けるための事業計画と面談は車の両輪です。どちらか一つでも欠けてしまうと融資は下りません。
事業計画書の作成も面談も、全ては如何に「準備」をするかで決まるのです。
日本政策金融公庫は国民の税金を資源として活動を行っています。杜撰な事業計画しか立てられない、事前に面談のシミュレーションすら行わない。当たり前の「準備」すらしない人に、国民の血税であるお金を貸すわけがありません。
融資は決して簡単では無いということをしっかりと頭に叩き込んで、面談には望むようにしましょう。
なお、融資実行の可能性を上げるためのポイントは他にもあります。最後に関連ページを掲載しておきますので、お時間がある方は合わせてご覧頂ければと思います。
あなたの融資が成功しますように、お役に立てれば幸いです。