融資申請時の事業計画書&開業時資金計画書について+融資が下りる事業計画書の作り方+融資が下りる収支計画書の作り方+融資が下りやすい「決算書」とは?

【起業支援専門行政書士がわかりやすく解説】
融資申請時の事業計画書&開業時資金計画書について

当ページでは、日本政策金融公庫信用保証協会などの政府系金融機関の融資申請時に必要となる、1.事業計画書と、2.開業資金計画書について解説しています。

そもそも事業計画書とは何なのか?何のために作成するのか?といった基本的な説明に加えて、具体的な記載の仕方、融資が下りやすくなる為のノウハウも掲載しています。

資金調達でお困りの方は、ぜひ参考にしていただければと思います。

1.事業計画書について

金融機関等への融資申請には、「事業計画書」を作成、提出する必要があります。

創業時は、まだ実績がなく、唯一あるものといえば今後の事業の計画の見通しだけであるため、この「事業計画書」は最も重要な貸し出しの根拠であるとともに、信用面における「担保の代用」ともなるべき性質を持っています。

事業計画書の重要性

金融機関が取り扱っている融資には様々な種類がありますが、その中でも特に創業系の融資では、事業計画書の提出が必須であり、その重要性は日増しに高まっています。

事業計画書とは、その名のとおり、事業内容・経営方針¥事業戦略・財務計画等、事業における今後の計画を計画書としてまとめたものです。

貸し手である金融機関にとって、この事業計画の内容が重要であることはいうまでもありません。

事業計画書は企業にとって経営者の考える企業のあるべき姿そのものです。

当然、内容の出来は融資の結果に大きく影響することになります。

事業計画書の作り方

事業計画書は、金融機関等から雛形を提供された場合は、それを利用すればよく、決まった書式・様式はありません。

日本政策金融公庫のホームページでは、創業者向け事業計画書の様式が公開されています。

業種別に記入例も公表されていますが、公表しているのは単なる記入例=サンプルでしかありませんので、注意してください。

この記入例を参考にして事業計画書を書いても、説得力に欠ける事業計画書になってしまいます。

事業計画書の様式に無理矢理あてはめるのではなく、できるだけ自分の言葉で説明をして、具体的、現実的な数字を使って計画書を作成する必要があります。

販売計画、マーケティング資料等で客観的なデータを集め、成功を見込めるものであるという検証や裏付けを示すことも大切です。

また、事業計画書に図やチャート等を添付することで、商品・サービス内容を具体的かつ明瞭に説明することができます。

事業計画書はただ単に書類の空欄を埋めればよいというものではなく、現実可能性があり、かつ、相手を納得させ、融資を引き出すだけの内容でなければならないのです。

事業計画書作成のポイント

公的融資の審査に必要な事業計画書であれば、『確実に元本と利息を返済できるか』を説明できるかということがポイントです。

特に創業時は過去の実績がなく、一般の融資とは異なり、その事業についての将来性や確実性などが評価のポイントとなります。

審査の際に、返済能力があることを理解してもらうためには、現実的な計画を提示する必要があります。

  • 融資の条件を満たしている
  • 計画の実現が期待できる
  • 事業に必要な経営能力がある
  • 売り上げが立てられる計画である
  • 返済が可能な計画である
  • 数字に裏づけ、根拠がある

事業計画書の具体的な書き方・記載方法については、下記ページでも解説していますので、ぜひ、ご参考ください。

2.開業時資金計画書について

開業時資金計画書とは、いくら開業資金が必要なのか?その資金を得た場合にその資金を何に使うのか?を数字にして説明する為の計画書です。

  • 開業に必要な資金 → 自己資金がいくらあるのか、いくら借入したいのか
  • 資金使途 → 運転資金なのか、設備資金なのか

上記事項を具体的に数字・表にして記載していきます。

例えば、開業資金に500万円が必要な場合で、自己資金が100万円の場合ですと、借入で賄うべきお金は400万円になります。

開業に必要な資金 金額 資金使途 金額
自己資金 100万円 運転資金 100万円
金融機関からの借入 400万円 設備資金 400万円
合計 500万円 合計 500万円

上記はごく簡単な例ですが、実際に作成する場合はそれぞれの項目の内訳を記載し、それぞれの数字もより具体的に記載していくことになります。

事業計画書は「言葉」で、開業時資金計画書は「数字」で計画を現していきます。

様式について、お気付きの方といると思いますが、貸借対照表と似ています。

しかし、貸借対照表と開業時資金計画書では、根本的なところで記載内容が異なります。

貸借対照表は、資産をどこから調達して、その資金を元手に事業を行って、結果、その資金がどんな資産に変わったのかを記載します。いわば、事業の成績表のようなものです。

一方の開業時資金計画書は、資金をどこから調達して、その資金を何に使う予定なのかを記載します。

開業時資金計画書の作成手順

1.自己資金の欄

まず、現在の自己資金について記載します。

自己資金とは、その名の通り、自分が自由に使えるお金です。創業に向けて自分で貯めてきたお金です。

親族・知人友人から贈与してもらったお金も自己資金として認めてもらえることはありますが、その場合でも、贈与契約書など、実際にお金が本当に贈与されたものかが確認できる資料を求められます。

2.金融期間からの借入の欄

自己資金で賄いきれない金額を記入します。

上記の表で言えば、総事業費500万円に対して自己資金が100万円しかありませんから、金融機関から残りの400万円を借りなければなりません。

3.資金使途の欄

自己資金の使い道について記載していきます。

使い道は大きく2つに分類されます。「設備資金」と「運転資金」です。

設備資金とは、設備にかかる費用を言います。飲食店であれば内装代、冷蔵庫その他の備品です。お店をオープンする為に必要な設備にかかるお金です。

運転資金とは、事業の運営にかかる費用を言います。飲食店であれば、人件費、材料代、水道光熱費、広告代など。お店をオープンしてからかかるお金です。

自己資金の額が融資の成否を大きく左右する!

「自己資金」と「金融機関からの借入額」との間が大きければ大きいほど、融資は難しくなります。

ではどのくらいの自己資金があれば、融資の審査は通りやすくなるのでしょうか?

準備している自己資金と同じくらいの借入希望がベストです。

どういうことかと言いますと、金融機関から400万円借りたいのであれば、400万円の自己資金を用意しましょうと言うことです。

金融機関からの借入額は、理想としては準備した自己資金と同じ、あるいはそれよりも低い方が好ましいのです。

ただ、これはあくまでも借りやすくなるということであって、400万円なければ絶対に借りられないということにはなりません。

自己資金が少なくても、日本政策金融公庫の新創業融資などを利用すれば借入は可能です。

新創業融資の制度の内容や自己資金について更に詳しくお知りになりたい方は、こちらのページもぜひ参考になさって下さい。→開業時の資金調達・公的融資を成功させる為の7つのポイント

借入希望額に達しなかった場合はどうすれば良いのか?

このような場合、自分の理想とする資金を調達するには、2つの金融機関からの借入を行っていくしかありません。

例えば、500万円の借入希望で、日本政策金融公庫からは250万円しか借入できなかった場合、残りは制度融資(信用保証協会の保証が付いた金融機関からの借入)からの調達を考えていかねばなりません。

融資を圧縮されてしまった場合の対処法については、こちらのページで詳しく解説していますので、参考にしてください。→融資圧縮時の対処法:日本政策金融公庫融資支援ドットコム

 

 

【これで完璧!】事業計画書作成マニュアル

目次 ~事業計画書作成マニュアル~

  • はじめに
  • まずは事業形態を決定しよう!法人がいい?個人がいい?
    |-法人と個人の違い① ~責任の違い~
    |-法人と個人の違い② ~手続きの違い~
    |-法人と個人の違い③ ~税金の違い~
  • 事業計画書の【具体的な】記載内容を見てみよう。
    |-(1)事業の構想について
    |-(2)事業の具体的な計画について
    |-(3)商品の販売方法について
    |-(4)商品の仕入れについて
    |-(5)開業資金の使い道について
    |-(6)事業の将来性について
  • まとめ

はじめに

これから独立、開業をお考えの方で資金調達が必要な方は多いのではないでしょうか。

これまでの社会経験から独立・開業にあたってのノウハウを持っているのにも関わらず、それを始めるための資金に不安を感じ足踏みしている方もいるかと思います。

では、そのような独立・開業予定者の資金調達に関する問題点を克服するためにはどうしたらいいのでしょうか?

ここでご紹介したいのが、「日本政策金融公庫」(旧:国民生活金融公庫)や「信用保証協会付き融資(制度融資)」といった政府系金融機関です。

これらは新規開業者向けに融資を行っているため、一般金融機関と比べると融資も受けやすく、金利もかなり低く設定されているため新規開業にとってはうってつけです。

しかし、いくら新規開業者向きといっても誰でも融資を受けられるわけではありません。

日本政策金融公庫・制度融資のそれぞれに独自の審査基準があります。

この審査基準に通った人だけが融資を受けることができます。

これらの審査にあたり日本政策金融公庫・制度融資の両方が重要視している項目として、「事業計画書」が挙げられます。

この事業計画書の内容が融資を受けられるか受けられないかの分かれ道と言っても過言ではありません。

「融資が受けられない=資金調達失敗=開業ができない」

となってしまいますので、その一番初めに行う事業計画書の作成に関しては慎重に行っていきましょう。

※借金返済や生活の為の融資は日本政策金融公庫ではできません。借金でお悩みの方は、まずは融資の前に「過払い金」がないかを調べる事からスタートしましょう。

下記から借金がゼロにならないか?過払い金はないか?無料診断ができます。

まずは事業形態を決定しよう!法人がいい?個人がいい?

事業内容の詳細を決めていくことも大事な作業になっていきますが、事業形態の決定もこれと同じくらい必要な作業になってきます。

そもそも事業内容と事業形態とはどのように違うのでしょうか。

独立・開業にあっての資金はいくらくらい必要なのか、うまく軌道に乗るためのアイディアなどと言ったことは「事業内容」にあたります。

一方の「事業形態」はそのような資金・アイディアを生かしていく大本の会社スタイルを言います。

つまり、個人事業での会社設立なのか、法人事業での会社設立なのかを決定することが、ここれから説明する「事業形態を決定する」にあたります。

なぜ、事業形態の決定を重要視しているのかについてですが、個人と法人とでは、後述する事業計画書の作成方法が大きく異なってくる場面が多々あるからです。

どちらで独立・開業していけばいいのかは、その設立する業種によっても変わってきますが、今からこのページで説明する個人と法人での違いを踏まえて決定されることをお勧めします。

法人と個人の違い① ~責任の違い~

まず、法人と個人では責任の範囲が違ってきます。

まず、個人事業者についてですか、責任についてはすべて本人に向けられてきます(無限責任)。その点、法人はすべての責任を負う必要なく、出資した範囲にとどまります(有限責任)。しかし、設立前に融資などの借入をした人は基本的にはその借入れの連帯保証人となっています。

この場合ですと、会社が倒産して返済不能になった場合は、本人が借金を返済していく形になりますので、個人事業者と同じということになります。

法人と個人の違い② ~手続きの違い~

法人を設立する際には法務局で設立登記を行わなければいけません。

この際にかかってくる法定費用として挙げられるのは、設立登記印紙代、定款印紙代、定款認証費用の3つです。この3つの手続きでおおよそ20万くらいかかってきます。専門家へ手続きを依頼した人は、これとは別に報酬を支払わなくてはいけません。

それに比べて個人事業の場合は設立に関しての手続きがありませんので費用が全くかかりません。

また、法人は資本金が必要であるのに対し、個人事業は必要ありません。

さらに、税務署への届出も法人と個人では少し異なってきます。法人と個人で共通する届出は開設届出書、源泉徴収の納期の特例に関する書類、青色申告の承認申請書です。異なるものとしては、法人の場合ですと法人設立届出書、個人事業の場合ですと開廃業等届出書が挙げられます。

法人と個人の違い③ ~税金の違い~

法人の場合は法人税を税金として支払っていきます。

法人税は利益に対しての支払いであり、本人も役員報酬をその利益から受け取り、それに対して個人的に所得税を支払っていきます。

これに対して個人事業では利益に対してすべてを所得税として支払っていきます。法人ではすべての合計の40%が税金として支払うのに対し、個人事業は利益次第で支払額が変わってきます。

つまり、ここで言いたいことは個人事業の場合は儲けが大きくなればなるほど、税金を多く支払っていかなければいけません。

この点、法人であれば利益が出れば出るほど有利となります。

事業計画書の【具体的な】記載内容を見てみよう。

法人か個人か、事業形態が決まりましたので、ここからは具体的な事業計画を事業計画書に落とし込んでいく作業に入ります。

まず、事業計画書の記載内容は下記のように大きく3つに分けることができます。

  1. 事業についての構想と経験
  2. それについての具体的な計画
  3. これらを踏まえての将来性について

これら一つ一つを簡潔かつ、具体的に記載していかなければいけません。

金融機関は、事業計画書を見て、融資の可否を判断します。具体的には、どのくらいの売上が上がるのか、経費はどのくらいかかるのか、利益はいくら出るのかなどの「数字」を細かく見てきます。

金融機関は、「本当にこの人にお金を貸して大丈夫なのか?」を見るために、事業計画書の提出を求めるのです。

当たり前ですが、その事業から利益を出さなければ、返済もできませんし、あなたの生活費すら賄うことができません。

借り主本人の生活費と事業計画の関係性

前述の事業形態において、個人事業を選択した場合、事業計画書上の生活費の扱いには注意しておきましょう。

法人の場合はあなたの生活費は役員報酬となりますから、事業計画書上は経費になります。

対して、個人の場合は、経費になりません。利益を出し、更にそこから借金を返済し、その残りが納税資金であり、生活費になります。

事業計画書の作成にあたっては、法人か個人かでこのような相違点が出てきますので、注意しましょう。

事業だけ成り立っても肝心のあなたの生活がままらないようであれば、事業計画そのものが破綻しているといっても過言ではありません。創業融資の場合は、脱サラの方が多いと思いますので、尚更です。

それでは、今から事業計画書の具体的な記載内容について見ていきましょう。

事業計画書の記載内容

(1)事業の構想と事業経験について

まず、事業の構想について記載していきます。

なぜ開業しようと思ったのか?どのような事業をはじめるのか?競合する企業はどこなのか?など。

開業の動機、事業の概要、市場の動向との比較がこの構想にあたります。

開業の動機や事業の概要に関して、は比較的書きやすい項目かと思いますが、市場の動向との比較に関しては事前に自分で調査しなければいけません。

一番面倒な作業にあたりますが、事業構想の中では最も重要な項目と言ってもいいでしょう。

他社と比較することで、担当者への説得力は大きく変わってきます。

逆にこの比較がなければ、ただの理想論で終わってしまいます。

将来を見据えた話ですので、どうしてもうまくいくケースばかりを考えてしまいますが、それでは良い事業計画書は作れません。

金融機関の担当者は別に大風呂敷を広げて、これだけ儲かりますよ!こんなすごい事業計画なんですよ!と言ってほしいわけではないのです。

開業動機が誠実で、かつ、競合がどの程度いて、あなたの強みは何なのか?を聞きたいのです。そして、本当に返済できるのか?を判断したいのです。

金融機関は、事業計画書の内容を元に、あなたの経営者としての資質も見ています。経営にはリスクは付き物です。そのリスクを盛り込んだ事業計画書になっているのか、この点も金融機関は見ています。

金融機関はまた、全てが事業計画どおりになど行くわけがないと経験上も知っています。

問題が起こったときに、あなたがどれほどの問題解決能力を持っているのか。技量・経験はどの程度あるのかも事業計画書には盛り込んでおくようにしましょう。

(2)事業の具体的な計画について

次は事業構想での内容を具体的に説明していきます。

事業構想では自分の会社への想いや、それに基づくこれからの経営方法などのイメージを説明してきました、がこれを具体化して文章化していかなければいけません。

  • どのような商品を取り扱っていくのか
  • その商品の販売先のターゲットは誰なのか
  • 商品はどこから仕入れるのか

などを記載していきます。

この計画が現実的なものか、非現実的なものなのかは担当者の判断によって決まります。ですから、あなたがいくら現実的だと思っていても、それが伝わらなければ意味はありません。

具体的計画の項目として、まず挙げられるのが「商品」についてです。

どのような商品を扱っていくのかを具体的に説明していきます。

また、その商品を扱っていくにあたり、自分がどのようなスキルがあるのか、また職歴、経験があるのかも一緒に記載していきます。

商品についての具体的説明ができれば、次はその商品を誰に販売していくのか、ターゲットは誰なのかを説明していきます。

まず、販売先を決めるにあって最初に確認することは、法人向けの販売なのか、個人向けの販売なのかです。

法人向けの場合は、個人向けに比べると顧客を捕まえるのが難しいかと思います。

その代わりに報酬も大きく、継続性もあります。もし、すでに顧客先がある場合などは、その詳細も記載しましょう。

また、個人をターゲットにした経営を考えられている方は、地域、性別、年齢層などの詳細も説明していく必要があります。

(3)商品の販売方法について

商品の販売先が明確になれば、次はそれをどのように販売していくのかを具体的に説明していきます。

店舗型の販売を考えている人であれば、その店舗の家賃はいくらかかってくるのか、その規模はどのくらいで、何人くらい雇っていく予定なのかを記載していきます。

また、最近ではインターネットでの販売スタイルが増えてきています。

店舗型に比べればコストは抑えられますが、どのように販売していくかは、専門用語も多くなってきますので、わかりやすく説明していかなければいけません。

(4)商品の仕入れについて

販売する商品をどこから仕入れてくるのかを説明していきます。

すでに仕入先が確定しているのであれば、その取引先の会社の詳細なども記載します。

(5)開業資金の使い道について

開業時に必要になる資金の使い道について説明していきます。店舗型で販売されていく方は、店舗敷金がかかってきますし、備品なども必要になってきます。

また、人件費なども開業時から必要になってくる方もいるかと思います。そのような、開業から2ヶ月間の運転資金の見積もりについても説明していかなければなりません。

(6)事業の将来性について

具体的計画が説明できれば、後はその計画に基づいた将来性がどうなのかです。

いくら素晴らしい計画であっても将来性がなければ意味がありません。

具体的にどのようなことを記載していくかについてですが、収支計画書を簡単にまとめた内容になっていきます。

収支計画書では、細かい数字まで記載する必要がありますが、ここではその必要はありません。

売上が上がり資金が増えても、将来も特に事業を拡大することなくこれまでと同じスタイルで経営していくといった、将来の事業展開について、売上に応じて店舗を拡大していくといった拠点展開について記載していきます。

まとめ

以上、いかがでしたでしょうか。

前述の通り、事業計画書は、金融機関が「この人にならお金を貸しても大丈夫だ」と思えるかどうかを判断する為の、大変重要な資料になります。

事業計画書は数字と文章で成り立っています。

数字(売上・経費・利益)でビジネスモデルが成り立つという根拠を示し、文章で経営者としての資質(開業動機・熱意・事業経験・問題解決力・勤勉さ)をアピールしていきましょう。

なお、経営者の資質に関しては、事業計画書の精査と並行して行われる融資担当者との面談も大きなウェイトを占めます。

事業計画書の内容と面談の印象によって、融資の可否が決まります。面談については、こちらのページでも解説していますので、あわせてご覧いただければと思います。

 

 

 

収支計画書について-具体的な数字の出し方4つのステップ

収支計画書は、金融機関の担当者に、これから3年間に渡り、どのような結果(利益)を出すのかを、具体的に説明する計画書です。

売上、仕入、その他の経費を全部ひっくるめて、利益がどのくらいでるのか具体的に示していきます。

金融機関への借入申込、融資申請時において、ここでのアピールがかなり重要になってきます。

なぜなら、利益がどれくらいかによって返済能力も明らかになってくるからです。

当たり前のことですが返済能力がない人に融資を行うことはできません。

融資を受けることを前提に、その利息もしっかりと返済できるような収支計画書を立てていきましょう。

【目次(もくじ)】

  • 収支計画書の作成手順について
  • 収支計画書での具体的な数字の出し方4つのステップ
    |-ステップ1.経常利益(見込み)を決定する
    |-ステップ2.年間売上・仕入・経費(見込み)を決定する
    |-ステップ3.毎月分の収支計画書を作成する
    |-ステップ4.税金を差し引いて当期純利益を決定する
  • まとめ

※借金返済や生活の為の融資は日本政策金融公庫ではできません。借金でお悩みの方は、まずは融資の前に「過払い金」がないかを調べる事からスタートしましょう。

下記から借金がゼロにならないか?過払い金はないか?無料診断ができます。

 

収支計画書の作成手順について

収支計画書で担当者が確認したいのは、これから「利益をどのくらいあげていけるのか?」です。

これは、1年間の会社の成績を表わす損益計算書に似ています。

損益計算書でも売上、仕入、その他の経費をひっくるめて、利益はいくらだったのかを確認していきます。

それでは、収支計画書と損益計算書の違いはどこにあるのでしょうか?

この違いは「実際の結果」なのか「これからの予測」かにあります。

収支計画書がこれからの予想での利益になっていきます。

これを踏まえた上で、収支計画書の具体的な作成手順について説明していきます。

基本的には損益計画書と同じように作成していきます。

損益計画書では営業外収益・費用、特別利益・損失も組み込まれていますが、収支計画書でここまで予測することは不可能ですので、記載する必要はありません。

しかし、利益を予測する上で、売上から仕入、経費を差し引くだけでなくもう一つ考慮しておかなくてはいけないものがあります。

それは、税金についてです。

法人の場合は法人税、個人事業者の場合は所得税を差し引いた額が利益としてカウントされます。

このような計算方法での利益予測を、毎月ごとの1年分のデータを出します。

それを3年間分提出していく形になります。

収支計画書での具体的な数字の出し方4つのステップ

収支計画書の作成手順だけを見てみれば売上から、仕入、経費、税金を差し引いた利益を出すだけですので非常に簡単なような気がします。

しかし、問題はその売上、仕入、経費をどのように決めていくのか?また、どれから決めていけばいいのか?が非常に難しいところだと思います。

これについて、どれから決めていけばいいのかについて、順に説明していきます。

ステップ1.経常利益(見込み)を決定する

まず、経常利益から決めていきます。

経常利益とは、売上から、税金以外を引いた利益になります。

経常利益が多い分に問題はありませんが、それが現実的な数字でなければ、金融機関の担当者に逆に不信感を与えてしまいます。見通しが甘いと思われてしまうのです。

では、どのような数字が現実的なのでしょうか。

これは、借入希望額の半分くらいに設定するのがいいかと思います。

なぜ、借入額の半分なのかについてですが、これはその後の当期純利益と返済期間の関係性にあります。

金融機関が返済期間として指定する日数はだいたい3年~4年くらいです。

この期間で返済できる収支計画書を作成していかなくてはいけません。

例えば借入希望額が500万円だとします。そうした場合、経常利益を250万円と設定すると当期純利益は70万円くらいになります。

この70万円があなたの返済能力です。

ここから、仮に15万円ずつ返済すれば、金融機関が指定する期間で十分返済可能ですし、無謀な返済計画ではありません。

ステップ2.年間売上・仕入・経費(見込み)を決定する

日本政策金融公庫では売上予測について以下のような目安を定めています。

①販売業など 販売業で店舗売りのウェイトが大きい業種(コンビニエンスストアなど)
算式 1㎡(または1坪)当たりの売上高 × 売場面積
設例 業種:コンビニエンスストア

  • 売場面積 100㎡
  • 1㎡当たりの売上高(月間) 14万円(「小企業の経営指標」による業界平均から算出)

売上予測(1ヵ月)=14万円×100㎡=1,400万円

②サービス業関係業種 飲食店営業、理・美容業などサービス業関係業種
算式 客単価 × 設備単位数(席数)× 回転数
設例 業種:理髪店

  • 理髪椅子 2台
  • 1日1台当たりの回転数 4.5回転
  • 客単価 3,950円 月25日稼働

売上予測(1ヵ月)=3,950円×2台×4.5回転×25日=88万円

③労働集約的な業種 労働集約的な業種(自動車販売業、化粧品販売業、ビル清掃業など)
算式 従業者1人当たりの売上高 × 従業者数
設例 業種:自動車小売業

  • 従業者 3人
  • 従業者 1人当たりの売上高(月間) 274万円(「小企業の経営指標」による業界平均から算出)

売上予測(1ヵ月)=274万円×3人=822万円

④部品製造業、印刷業、運送業 設備が直接売上に結びつき、設備単位当りの生産能力がとらえやすい業種(部品製造業、印刷業、運送業など)
算式 設備の生産能力 ×設備数
設例 業種:部品(ボルト)加工業

  • 施盤 2台
  • 1台当たりの生産能力 1日(8時間稼働)当り500個
  • 加工賃@50円 月25日稼働

売上予測(1ヵ月)=50円×500個×2台×25日=125万円

これは全て1か月ベースのデータですのでこれを1年ベースに直していきます。また、上記のデータはあくまで目安ですので絶対に従う必要はありません。

次に、仕入に関してですがこれも業種ごとに目安があります。

よく「原価率」という言葉を聞くかもしれませんが、それは仕入が全体の何パーセントを占めているのかです。

飲食店であれば原価率30パーセントくらいに抑えられれば良いとされています。

だいたいの人がこれまでの経験を生かした事業を始めますので、経験上の原価率を記載しても全く問題ございません。

最後に経費の具体的な数字を決めていきます。経費の項目として挙げられるのが管理費や販売費です。

これらは、固定のものと変動のものとに分けることができます。

固定費とは、売上などに関係なく、毎月決まった管理費や販売費のことです。

経費に関してはまず、固定費の具体的な数字から決めていくことになります。

固定費として考えられるもの
  • 経営を行っていく事務所、店舗の家賃や駐車場代
  • 固定資産を持っている人は減価償却費
  • 法人もしくは5人以上の個人事業の場合は、法定福利費
  • 法人の場合は、自身の役員報酬
  • 定額払いの保険料etc
変動費として考えられるもの
  • 水道光熱費
  • アルバイトを雇う場合は人件費
  • 消耗品
  • 広告宣伝費etc

この段階で収支計画書が行き詰ってしまったら、最初の経常利益を修正して、帳尻合わせを行ってください。

ステップ3.毎月分の収支計画書を作成する

一年分の収支計画書を作成できたら、そしたら次は毎月分の収支計画書を作成していきます。

一年分が決定しているのですから、それを12等分すれば簡単にできそうな気がします。

固定費については単純に12等分していいかと思います。

事務所・店舗の家賃や役員報酬などといったものは、毎月ごとに変動するものではありませんので、これに関しては単純に割ってもらえればと思います。

しかし、売上や仕入に関しては固定費と同じように12等分するわけにはいきません。

前にも説明しましたが、年間通しての伸び率が非常に重要になってきますし、開業当初と1年先の売上が同じということはめったにありません。

開業当初は多少売上が悪くても、後半の伸びで予測していた年間売上が達成できれば大丈夫ですし、このような、右肩上がりの収支計画書の方が望ましいです。

ステップ4.税金を差し引いて当期純利益を決定する

3までの作業が終われば、全体像はすでに見えてきます。

ここで、1年間の当期純利益を計算していきます。

これまで、計算してきた経常利益から税金を差し引いたものが、この当期純利益となります。

ここで、注意することは、会社形態が法人か個人事業かによって、支払ってく税金とその額が変わっていくということです。

まず、法人の場合ですと法人税を支払っていく形になります。

これにプラスして住民税と事業税のトータル3つの税金を年間の利益に対して35%~40%支払っていきます。

これに対して個人事業の場合は所得税を支払っていく形になり、後は法人と同じく住民税と事業税がプラスされます。

まとめ

以上が収支計画書の数字の具体的な出し方です。いかがでしたでしょうか。

収支計画はあくまでも売上や経常利益、税引き後利益など、「数字」で事業内容を説明する書類です。

金融機関への借入申請には、この他、事業計画書も必要になります。数字がメインの収支計画書に対して、事業計画書はあなたの「言葉」がメインになります。

当サイトでは、その他にも融資・資金調達に関する解説ページもございます。ぜひ、参考にしてください。

 

 

日本政策金融公庫が融資をしやすい決算書とは?

融資を受けられるかを決めるボーダーライン

企業が銀行をはじめとした公庫から融資を受けるためには、信用を獲得することが必要です。

貸す側としてはちゃんと返してくれるような相手でなくては融資をするわけにはいきませんから、その点を非常に厳しくチェックしてきます。

一時期大きな問題となった銀行の「貸し渋り」の問題も、景況の悪化による中小企業の経営の不安定化が主な理由でした。つまり「景気が悪いから貸しても返ってこないかもしれない」と警戒されてしまったわけです。

それだけに融資を受けるためには公庫に「この会社になら融資しても大丈夫だろう」と判断できるような信用を獲得することが大事です。

そしてこの信用の獲得において決定的な要素になるといってもよいのが決算書です。

決算書は企業の通信簿のようなものといってよいでしょう。どういった経営状況にあるのか、現在、あるいは将来にわたって利益を得られるような環境にあるかどうか、資産状況はどうかなど、決算書でその企業の現状と将来性をかなり詳しく見極めることができます。

いくら言葉巧みにアピールしたところで決算書に経営状況の厳しさや見通しの甘さなどが現れていれば公庫は信用しません。

公庫が融資したいと思える決算書とは?

公庫が融資しても大丈夫、さらにはぜひ融資したいと思える決算書にはいくつかの共通点が見られます。

簡単に言えばその会社が健全な経営状況にあることを判断できる内容であることが求められるわけです。

もっとも理想的なのが貸付金や仮払金がないこと。そして自己資本比率が高いことです。

これらは企業としての資金力や体力を証明するものなので真っ先にチェックされるポイントです。

なお自己資本比率に関しては一般的に30%以上が「優良企業」とされています。

そして黒字企業の平均は25パーセントほどです。このラインをクリアしているかどうかを見ておきましょう。

そのほかには税金をしっかり支払ってきていること、投資している有価証券や所有している土地に含み損がないこと、売掛金や受取手形などが妥当な範囲内で使用されていること。

つまり身の丈にあった経営をしているかどうかが問われます。さらに会社の代表者をはじめとした個人の資金残があるかどうかも判断の対象となります。

銀行から融資を受けようと思った場合にはまずこうしたラインをクリアしているかどうかをチェックし、融資を申し込もうと思っている公庫の審査をクリアできるかある程度見極めておきたいところです。