社長がもし働けなくなったらどうするの?
毎日頑張っている経営者の皆様、ふと、こんな不安に襲われたことはありませんか?
「自分が働けなくなったら、一体どうなるんだろう……」と。どんな立場で働いていても不安かもしれませんね。
でも、経営者である以上は、自分と自分の大切な人だけではなく、ビジネスの心配もしなくてはいけません。
そこで、経営者の皆様が使うべき保険について、様々な側面から考えてみました。
目次(もくじ)
- 方法その1・法人で医療保険に加入する!
1-1.なぜ、有効なの?
1-2.他にも効果がある?
1-2-1.節税できる。
1-2-2.福利厚生として使える。 - 方法その2・商工会議所の休業補償プランを使う!
2-1.どんな商品?
2-2.どんな補償が受けられるの?
2-3.どこの損害保険会社が関与しているの?
2-4.どうすれば申し込めるの? - まとめ~それぞれの商品の性質を知って、賢く活用を~
方法その1・法人で医療保険に加入する
法人(=会社)で医療保険を契約することは、経営者が働けなくなった場合の対策としてとても有効です。
押さえておきたいポイントを解説します。
1-1.なぜ、有効なの?
経営者・役員が倒れて入院した場合、その間は仕事ができません。
そうなると、売り上げが減少したり、業務が処理できなくなったりと、かなりの損失が生じるのは避けられないでしょう。
資金繰りに大きな影響が及ぶおそれもあります。
そこで、法人契約として医療保険を経営者・役員にかけていれば、保険会社から給付金が支払われるので、その間の損失を補てんできるのです。
1-2.他にも効果がある?
法人で医療保険を契約することには、入院した場合の備え以外にも様々な効果があります。
1-2-1.節税できる
法人で医療保険を契約する場合、次のいずれかの条件にあてはまれば、保険料(=掛金)を全額損金として計上でき、法人税の節税効果が見込めます。
1)給付金の受取人が法人になっている。
2)特定の経営者・役員のみならず、全従業員が加入していて、給付金の受取人が各個人になっている。
1-2-2.福利厚生として使える
経営者が働けなくなった場合、という話からは少し離れますが、法人で医療保険を契約する場合、従業員への福利厚生としても使えるという側面を無視するわけにはいきません。
従業員が体調を崩して入院した場合、見舞金を支給するという規定を設けている法人は多いでしょう。
医療保険を契約していれば、見舞金の原資としても使えます。
従業員に対しても、「福利厚生のしっかりした会社」としてアピールできるので、経営においてもプラスの効果が見込めるのはうれしいですね。
方法その2・商工会議所の休業補償プランを使う
法人なら、各地の商工会議所に所属している場合がほとんどでしょう。
実は商工会議所でも、経営者や従業員の体調不良を見据えた保険を用意しているのです。
2-1.どんな商品?
商工会議所会員事業者の経営者、従業員が病気やケガで働けなくなった=休業した場合、休業前の所得と公的補償の差額をカバーします。
生活水準を落とすことなく療養に専念するのが目的の商品です。
また、商工会議所が関与しているので、団体割引が適用され、保険料が格安になります。
2-2.どんな補償が受けられるの?
この商品で受けられる補償の特徴をまとめました。
1)病気やケガで免責期間を超えて働けなくなった場合、1か月あたりの平均所得額を限度に加入している補償月額を最長1年間受け取れる。
2)国内、海外、業務中、業務外を問わない。
3)入院、自宅療養を問わない。※医師により就業不能と判断されることが必要。
この他にも、各引受損害保険会社(後述)によって、様々な特約を付加することができ、幅広い経営者と従業員のリスクに備えられます。
2-3.どこの損害保険会社が関与しているの?
次の4つの損害保険会社が商品を提供しています。
なお、加入している商工会議所によっては取り扱いがない会社もあるので注意してください。
また、保険期間も損害保険会社によって異なりますが、中途加入が可能となっています。「入っておこうかな」と思ったらすぐに連絡してみましょう。
引受保険会社名 | 商品名 | 保険期間 |
---|---|---|
あいおいニッセイ同和損害保険株式会社 | しょとくらぶ 天災補償特約セット所得補償保険 |
毎年3月31日午後4時から1年間 |
東京海上日動火災保険株式会社 | ナイスパートナー 天災危険担保特約付所得補償保険 |
毎年3月31日午後4時から1年間 |
損害保険ジャパン日本興亜株式会社 | 所得補償保険 傷害総合保険(傷害補償プラン) |
毎年9月30日午後4時から1年間 |
三井住友海上火災保険株式会社 | 飛翔 天災危険担保特約付所得補償保険 |
毎年3月20日午後4時から1年間 |
2-4.どうすれば申し込めるの?
まずは、所属する商工会議所の事務所または引受損害保険会社に連絡し、パンフレットを取り寄せましょう。
その後、担当者から説明を聞いたうえで、所定の書類(加入申込書・口座振替依頼書・健康状態告知書など)を提出すれば、申し込みは完了します。
3. まとめ~それぞれの商品の性質を知って、賢く活用を~
経営者が働けなくなった場合の備えとして活用できる商品について紹介しました。
法人で契約する医療保険が、事業資金に充当できる性質を兼ね備えているのに対し、商工会議所の所得補償保険は、経営者個人およびその家族の生活保障としての性質が濃いのが特徴です。
それぞれの商品の性質を知って、賢く活用してください。
起業家・経営者が入っておきたい「就業不能保険」について
会社を経営している場合、働けなくなることは様々な方面に大きな影響を及ぼします。
でも、一番真剣に考えるべきことはありませんか?ご自身とご家族の生活のことです。一つの手段として、就業不能保険を検討してみましょう。
目次(もくじ)
- 経営者が病気・ケガで働けなくなることで生じる影響とは?
1-1.業務に及ぼす影響
1-2.自身の生活に及ぼす影響
1-3.リスクヘッジは? - 就業不能保険の特徴、メリット、デメリットは?
2-1.特徴
1)契約可能年齢と保障期間
2)保険料の扱い
2-2.メリット
1)「自宅で長期療養」の場合に強い商品である
2)毎月保障を受け取れる
3)保険料は控除できる
2-3.デメリット
1)給付対象が限定されている
2)免責期間がある
3)仕事に復帰したら保障は終わる - まとめ
1.経営者が病気・ケガで働けなくなることで生じる影響とは?
誰だって、病気やケガで働けなくなるのはいやでしょう。そのことがどんな影響を及ぼすのかまずは考えてみました。
1-1.業務に及ぼす影響
経営者は会社の業務に関する最終的な意思決定を行うのが一番の仕事です。
そのため、会社の業務が停滞し、ビジネスの展開に悪影響を及ぼします。
当然、いずれは資金繰りも悪化するでしょう。そのための備えも会社を経営する上ではしておくべきです。
1-2.自身の生活に及ぼす影響
今回はこちらの話を中心にしてみましょう。
仕事できないとなれば、ご自身の生活にも悪影響を及ぼします。日々の生活費、税金、住宅ローン、教育費など、働けない間も固定費はかかかっていくのです。
しかも、病気やケガの場合、治療・リハビリにかかる医療費がのしかかってきます。
収入はないのに出費が増える、というあって欲しくない事態が起きるのはわかりますよね。
1-3.リスクヘッジは?
ここで、リスクヘッジはできないのか、という視点で話を進めてみましょう。
万が一の場合、遺族年金や生命保険という形で、遺されたご家族の生活を補償することはできます。
また、病気やケガで入院した場合の治療費は、健康保険・医療保険・がん保険・傷害保険などで賄える部分もあるでしょう。
それでは、「運よく、死亡・高度障害・障害認定には至らなかった。
しかし、長期にわたる自宅療養が必要な状態となり、働けない期間が続く」場合はどうでしょうか?
実は、従来の保険商品ではこのようなケースをカバーするのはなかなか難しかったため、就業不能保険が登場したという背景が指摘できます。
2.就業不能保険の特徴、メリット、デメリットは?
一体、就業不能保険はどんな商品なのでしょうか?特徴、メリット、デメリットについてまとめてみました。
2-1.特徴
就業不能保険の一般的な特徴についてご説明します。
1)契約可能年齢と保障期間
現役で働いている人を想定した保険商品であるため、契約可能年齢は20~60歳までの間に設定されています。また、保障期間は60~70歳までを上限とする場合が多いです。
2)保険料の扱い
いわゆる掛捨です。貯蓄性はありません。
2-2.メリット
就業不能保険のメリットについてご説明します。
1)「自宅で長期療養」の場合に強い商品である
従来の生命保険は、自宅療養の場合は給付対象外となっていました。
そのため、収入は減るのに医療費はかさむ、という点で家計を圧迫するケースに発展することも多かったのです。
就業不能保険は、このようなケースに対処できる商品として注目されています。
2)毎月保障を受け取れる
月々の保険料の金額により異なりますが、働いて得られる所得の6~7割にあたる保障が受け取れます。
3)保険料は控除できる
就業不能保険の保険料は、介護医療保険料控除の対象となります。他の介護医療保険料と合算し、最高4万円まで控除できるので、忘れずに手続きを行いましょう。
2-3.デメリット
一方で、就業不能保険には次のデメリットがあります。
1)給付対象が限定されている
どんな病気やケガでも補償されるわけではありません。とある会社の就業不能保険の補償内容には、次のように規定されています。
<在宅療養>
病気やケガにより、医師の指示を受けて、日本国内の自宅等で、軽い家事および必要最小限の外出を除き、治療に専念している状態。
ただし、梱包や検品などの軽労働または事務などの座業ができる場合は、在宅療養をしているとはいいません。
つまり、何らかの仕事ができるほどであれば、給付の対象外となることを覚えておきましょう。
また、うつ病などの精神疾患、むちうち症や腰痛などで医学的所見が見られない場合も給付の対象外なので、注意してください。
2)免責期間がある
病気やケガで働けなくなったからといって、すぐに給付が受けられるわけではありません。
就業不能保険の場合、契約の内容にもよりますが、60日間または180日間の免責期間が設けられています。
つまり、働けなくなってから60日(180日)経過しないと給付は受けられない、ということです。
その間の生活費・医療費をどうするかも、就業不能保険を契約する段階で考えておくべきでしょう。
3)仕事に復帰したら保障は終わる
就業不能保険はあくまで「働けないこと」を前提とした商品です。そのため、どんな仕事であっても復帰できた時点で保障は終わります。
3.まとめ
従来の生命保険、医療保険などでは想定していなかった「長期の自宅療養で働けない」というケースを補完してくれる商品として、就業不能保険は注目されています。
ただし、対象となる状態が限定されており、免責期間もあるなど、利用にあたっては注意が必要です。
やはり、一番大事なのは、経営者の皆様が健康に気を付け、コンスタントに働き続けられる体制を整えることでしょう。
体制を整える上で、就業不能保険を上手に使ってください。また、ご自分一人で業務を抱え込まず、専門家のサポートもうまく整えて、体調を崩さないように気を付けましょう!
起業に会計知識は必要か?
起業相談に来られる方からよく頂戴する質問です。
まったく会計知識がありません。起業しても大丈夫でしょうか?と。
答えはNOです。
会計知識は必要です。
ですが、心配は無用です。簿記3級レベルでOKです。3級の試験を受けて合格する必要もありません。そんなのは時間のムダですから。
3級レベルの知識を得られる書籍を一冊読めば大丈夫です。
後述しますが、起業家の仕事は売上を上げること。会計・経理事務ではありません。
ですから、起業・経営に必要な会計知識さえマスターしておけば良いのです。では、必要な会計知識とは何を言うのでしょうか?見ていきましょう。
最低限の勘定科目は押さえておく
会計用語の貸方・借方という言葉を聞いたことがある方は多いと思います。そんな言葉聞いたことも無いよという方もご安心ください。
ググれば基本的な情報がたくさん出てきますので、時間があるときに調べてみてください。
事業経営をしていると、実に様々な取引が発生します。
- 現金で商品を仕入れた。
- 銀行預金から広告費を支払った。
- クレジットカード決済で接待交際費を支払った。
- 分割購入で事業用の自動車を購入した。 etc
事業規模の大小に関わらず色々あります。
これらの取引に利用する基本的な勘定科目や仕訳の仕方くらいは理解しておいた方がよいでしょう。
それさえできれば、あとは会計ソフトが自動的に決算書を作ってくれます。最近の会計ソフトは非常に優秀ですので。
どんぶり勘定で十分
さて、決算書という言葉が出てきました。
会社(又は個人事業主)は、定められた事業年度の中で事業を行います。商品を仕入れて、売上を上げて、経費を支払い、いくら利益が出たのか。
会社にはどのくらいの資産が残ったのか。また、借金が増えたのか。
1年に一度、会社の決算書(成績表)を作成して、税金を納めます。決算書は、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書の3つからなります。
貸借対照表は会社の事象年度末日時点の資産・負債・資本を表したもので会社資産の残高を表します。
損益計算書は、その事業年度にどれだけの利益を上げたのか、あるいは赤字になったのかを見る成績表。キャッシュフロー計算書は資金(現金)の動きを追ったもの。
起業家が持っておくべき会計知識として、この中の損益計算書はそんなに難しくありません。
要は、売上-経費=利益の計算がざっくりとできればそれでいいのです。細かな数字を気にする必要はありません。どんぶり勘定でOKです。
貸借対照表くらいは読めなければ話にならない
ですが、起業家たるもの、会社を経営していくわけですから、この貸借対照表位は、きちんと読めなければなりません。
自分の会社が何に投資を行い、どんな資産(あるいは負債)を作ったのか、自分自身が分からないなんてことはありえません。
今、会社にどのくらいの資産があって、借金がどれほどあって、自由に使えるお金はどのくらいあるのかが記載されている決算書。自分の会社の決算書が読めないなんて、まあちょっと恥ずかしいですね^^;
財務にも役立つ
金融機関から借入を行うときも、必ず決算書が求めれられます。最低でも2期分の決算書を提出させられます。
経営者が自分の言葉で貸借対照表の数字に対する質問に答えることができないとしたら、銀行マンは、どう思うでしょうか?「ここの会社の社長は自分の会社の財務状況すら把握できていないじゃないか。こんなところに大事なお金は貸せるわけないな」となりますよね。
貸借対照表を理解するということは、資本主義社会そのものを理解することにほかなりません。
資本主義社会をこれから生き抜いていこうというあなたが貸借対照表に関する知識を持ち合わせていない等ということはありえないのです。
当ページの最後で起業家が読むべき一冊をご紹介しておきますので、必ず読むようにしてくださいね^^
会計知識があれば黒字倒産を防げる
さきほどどんぶり勘定で十分という話をしましたが、一点だけ注意しておいてもらいたい点があります。会社の血液とも言われる現金。
赤字でもないのに、手元に現金が無くなって倒産してしまう会社が後を経ちません。
これも会計知識があればある程度は事前に防ぐことができます。
読むべき一冊
こちらのページで私が書評を書いていますので、一度ご覧になってみてください(決算書がスラスラわかる財務3表一体理解法)。
この本を読んで頂ければ、起業家がもっておくべき最低限の会計知識が身につきます。
起業を成功させたい、であるならば、最低限の会計知識は必須です。