特別清算とは?+会社更生とは?

特別清算とは?

赤字で解散したときに行う手続き

特別清算とは会社が経営危機に陥り、さまざまな立て直しを試みても再建の可能性がなかく、債務が超過したときに行う手続きです。

株式会社が店じまいをすることを解散といいますが、破産以外で解散した場合は、その後に会社の財産の清算を行う必要があります。

黒字の状態での清算であれば通常清算と呼ばれる清算を行いますが、債務超過の状態で解散する場合は特別清算が義務付けられています。

債務超過とは、現在の財産では負債をすべて返済できない状態のことです。

言い換えれば、会社が現在保有している不動産や設備など、すべての財産を売却しても借金を返済できない状態です。

特別清算は債務超過の疑いがある株式会社に対して行われるので、債務超過になりそうだという状態の会社も、すでに債務超過に陥っている会社も特別清算の申し立てをすることが可能です。

特別清算のメリットとデメリット

特別清算は破産に比べて手続きが簡易で、比較的短期間で処理が行えるメリットがあります。

また清算人を会社が選べるのもメリットです。破産の場合は裁判所が破産管財人を選任しますが、特別清算では会社が弁護士などに依頼できるので、会社側に配慮した財産の処理を行ってもらえます。

また破産というとマイナスの印象が大きいのですが、特別清算は破産に比べてインパクトが少ないので、ある程度体面が守られるというメリットもあります。

このため親会社が営業不振の子会社を解散させるときに利用することが多いのが特徴です。

というのも特別清算は、債権者の3分の2以上が同意しなければ行えないからです。

金融機関はまず特別清算に同意しませんから、一般的な会社の場合はなかなか特別清算が行えません。しかし債権者のほとんどが親会社である場合は3分の2以上が同意が得やすいため、子会社を清算する方法として利用されることが多いのです。

また破産は会社でも個人でも行えますが、特別清算は株式会社だけしか行えません。

有限会社などの場合は特別清算ができないというデメリットがあります。

つまり特別清算は経営破綻を起こした株式会社を、法的な手続きを行って速やかに清算する方法ですが、親会社が赤字の子会社を整理する場合によく利用される手続きといえます。

特別清算を検討する場合は、まずは弁護士に相談しましょう。

特別清算では破産時の破産管財人のように、裁判所が財産の管理をする人を決めるわけではなく、会社が弁護士に依頼できます。このため裁判所に申し立てを行う前に弁護士に状況を説明し、アドバイスを受けることが大切です。

 

 

会社更生とは?

起業を存続させるための裁判手続き

会社更生とは会社更生法に基づく債権手続きです。

株式会社だけに適用されるのが特徴で、現在は経営難に陥っているものの、将来的に再生が可能と判断される会社が営業を存続する目的で行います。

このため一般的には大きな会社が会社更生手続きを行い、中小企業などの場合は民事再生手続きを行うのが一般的です。

裁判所に実費として納める予納金も高額で、上場企業の場合は3,000万円から5,000万円、非上場企業でも2,000万円から3,000万円程度は必要とされています。

会社更生手続きではまず、裁判所と話し合って予納金の額を決めることから始まります。

予納金の額が決まると、会社再生手続きの申し立てを行います。申し立てを受けた裁判所は、保全管理人を選任し、会社の財産の管理を保全管理人に一任します。

保全管理人は財産を調査して再建が可能であるかどうかを判断し、裁判所に報告をします。

裁判所が保全管理人から報告を受けて、再建の可能性ありと判断すると、更生手続きの開始が決定されます。

同時に更生管財人を選びます。その後、債権者は裁判所に更生債権届出を行い、更生管財人が届け出に基づいて債権を調査します。

そして財産の評価などを行って更生計画案を作成し、裁判所に届け出ます。

更生計画案が提出されると関係人集会が開かれ、更生計画を認めるかどうかの採決を取ります。

更生計画が認められると、裁判所は更生計画を認可し、その後は更生計画どおりに資産の売却や経営の見直し、借金の返済を行います。

そして返済が完了するか、裁判所から確実に完了すると判断されれば、更生手続は終了します。

メリットとデメリット

会社更生の手続きにはいくつかのメリットがあります。

まず、債権届出期間までに届け出のなかった債権は失権するというメリットがあります。

また担保権も租税債権も会社更生手続に取り込まれるので、担保権者と交渉する余地が生まれます。

デメリットは管財人が会社の経営権や財産を管理するため、経営者に権限がなくなり、経営責任を厳しく問われることです。

また手続き開始から終了までに長い期間がかかるのもデメリットです。さらに資金援助を行う金融機関がこれ以上の援助は行わないと決めた場合は、裁判所は申し立てを受け付けてくれません。

これは裁判所が会社更生の開始を決定したのに、金融機関からの援助が受けられなくてさらなる経営破綻を起こすのを防ぐための処置です。

このため金融機関の意向によっては、申し立てが受け付けられないことがあります(これらの情報は2016年現在のものです)。