株式会社の解散・清算手続き+株式会社解散・清算手続きにおける「清算人」について

株式会社の解散・清算手続きの概要

目次(もくじ)

  • 株式会社の解散方法について
  • 解散・清算人選任登記に必要となる書類例
  • 解散・清算人選任登記に掛かる登録免許税
  • 債権者保護公告とは?
  • 清算結了登記とは?
  • 清算結了登記に必要となる書類例
  • 清算結了登記に掛かる登録免許税
  • 解散・清算手続きの流れ
    |-STEP1 株主総会による解散の決議と清算人の選任
    |-STEP2 解散日の到来
    |-STEP3 管轄法務局への解散・清算人選任登記申請
    |-STEP4 登記申請後、遅滞なく、財産目録・貸借対照表の作成
    |-STEP5 官報に公告(最低2カ月間)
    |-STEP6 清算人による債務弁済後に、株主へ残余財産を分配する
    |-STEP7 清算事務終了後、株主総会の承認を受ける
    |-STEP8 管轄法務局への清算結了登記申請
  • 解散会社の復活(継続登記)手続きについて
  • みなし解散の復活(継続登記)手続きについて
  • よくあるご質問。株式会社解散・清算手続きQ&A
    |-「解散」と「清算」とはなんですか?
    |-会社をすぐに解散することはできますか?
    |-費用はどれぐらいかかりますか?
    |-解散すると、事業年度はどう計算すればいいですか?
    |-解散をしたときに法務局以外への必要な届け出は?

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株式会社の解散方法について

株式会社は、「定款で定めた存続期間の満了」、「定款で定めた解散事由の発生」、「株主総会の決議」などによって解散したときは、本店所在地においては2週間以内にその旨の登記をしなければなりません。

通常は、上記のうちの「株主総会の決議」によって解散します。

株式会社の解散登記は、会社の本店所在地を管轄する法務局に対して行います。解散登記とともに、その会社の清算事務を行う清算人を選任します。この清算人の選任登記は、解散の登記と同時に行わなければならないとの定めはありませんが、手間や費用の削減から、通常は、解散登記と同時に申請します。

株式会社の解散・清算人選任登記に必要となる書類例

  • 株式会社解散及び清算人選任登記申請書
  • 定款
  • 株主総会議事録
  • 清算人会議事録(清算人会を設置する場合)
  • 就任承諾書
  • OCR用紙
  • 委任状

解散及び清算人選任の株総会議事録のサンプルはこちら

株式会社の解散・清算人選任登記に掛かる登録免許税

  • 解散登記:30,000円
  • 清算人選任登記:9,000円

清算人に関する詳細は下記ページをご覧ください。

債権者保護公告とは?

解散及び清算人選任登記後、2ヶ月以上、債権者保護手続き等にかかる官報公告等を行います。

これは、最寄の官報公告販売所での申込みが可能です。

会社の清算事務手続きが終了したときは、株主総会で決算報告の承認を受けた日から2週間以内にその旨の登記を行います(参考:債権者保護手続きとは?)。

清算結了登記とは?

株式会社の清算結了登記は、会社の本店所在地を管轄する法務局に対して行い、登記申請には決算報告の承認があったことを証する書面を添付します。

決算報告を証する書面には、会社法施行規則150条の定めに従い作成された決算報告書と承認した株主総会議事録などが該当します。

株式会社の清算結了登記に必要となる書類例

  • 株式会社清算結了登記申請書
  • 株主総会議事録
  • 決算報告書

株式会社の清算結了登記に掛かる登録免許税

  • 2,000円

解散・清算手続きの流れ

STEP1 株主総会による解散の決議と清算人の選任

会社を解散することを決めた場合、まずは株主総会の特別決議で解散決議を行い、合わせて解散日を決めます。

この解散日をもって会社が解散されたと登記されます。解散後、会社は事業を行えなくなりますので、今まで業務を行ってきた取締役等はその存在意義がなくなり、取締役に代わって清算人が会社の残務整理(=清算事務)を行うことになります。

清算事務を行う清算人は代表取締役がそのまま就任することが多いですが、第三者でも問題なく、清算人の選任を解散決議と同時に行うのが一般的です。

STEP2 解散日の到来(総会決議日と同日の場合もあり)

解散日から会社は事業活動を継続することができなくなりますので、残務整理(=清算事務)の範囲内でのみ会社が存続します。

清算人が会社を消滅させるためこの残務整理を行います。これらの清算事務が終わらないと清算結了をすることができません。

STEP3 管轄法務局への解散・清算人選任登記申請

登記申請に必要な書類を作成して、解散日より2週間以内に管轄の法務局へ「解散」と「清算人の選任」の登記申請を行います。申請者は代表取締役ではなく代表清算人となりますので、間違わないようしてください。

STEP4 登記申請後、遅滞なく、財産目録・貸借対照表の作成

解散日の翌日から清算事務を行います。

まず、清算人は解散時の財産目録及び貸借対照表を作成し、株主総会の承認を得る必要があります。

財産目録とは、清算開始時における会社の資産や負債の財産状況を示す内訳書であり、貸借対照表は財産目録に基づいて作成されます。

STEP5 官報に公告(最低2カ月間)

会社が帳簿などで把握している債権者には、個別に通知(催告)を出さなければなりません。

この通知とは別に、官報に解散公告を掲載しなければなりません。この公告は最低2ヶ月間と決まっており、公告期間が終わらなければ、債務を弁済することができません。

官報への公告は必ずしなくてはいけないこと(法定事項)なので、一人も債権者がいない場合でも必要です。

STEP6 清算人による債務弁済後に、株主へ残余財産を分配する

清算人は公告期間が満了したら債権者に対して債務の弁済を行います。債務の弁済が終了してもなお財産が残っている場合は、株主に財産を分配します。これで、清算事務が完了となります。

STEP7 清算事務終了後、株主総会の承認を受ける

清算事務終了後、清算を結了するため清算人は決算報告書を作成します。決算報告書は株主総会で承認を得る必要があります。決算報告の承認後、清算結了の登記申請を行います。

STEP8 管轄法務局への清算結了登記申請

登記申請に必要な書類を作成して、株主総会での決算報告が承認されてから2週間以内に管轄の法務局へ清算結了の登記申請を行います。

登記が完了すると会社の法人格が完全に消滅することとなります。清算会社の帳簿や清算に関する重要な書類などは、清算人が10年間保存しなければなりません。

◆上記各手続きについて、より詳細に知りたいという方は、弊所公式サイトのこちらのページも合わせてご覧ください。→株式会社解散手続き:株式会社変更手続きサポートセンター

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解散会社の復活(継続登記)手続きについて

会社を解散したけれど、やっぱり会社を復活させたい場合、清算結了登記の前であれば解散前の状態に戻すことができます。

株式会社では「株主総会の決議」により解散することが多いのですが、下記の事由によって解散した場合は、株主総会決議によって会社を継続することができます。

  1. 株主総会の決議により解散
  2. 定款で定めた解散事由の発生
  3. 存続期間の満了

解散前の状態に戻して解散前の会社と同一性を有する会社にすることを「会社の継続」と言います。

ただし、解散したときに取締役や代表取締役は抹消されていますので、会社の継続が決まったからと言って解散前の取締役や代表取締役が当然に復活するわけではありません。

株主総会で会社の継続を決議すると同時に新たな取締役を選任する必要があります。

なお、例え解散前と同じ取締役が選任されたとしても「再任」とはならず、改めて「就任」として取り扱われます。

株式会社の継続登記手続き 取締役会設置会社の場合

◆継続登記手続きの流れ
  1. 株主総会の開催(会社の継続、取締役の選任決議)
  2. 取締役会の開催(代表取締役の選定)
  3. 管轄の法務局へ会社継続の登記申請
◆継続登記の必要書類例
  • 株主総会議事録
  • 取締役会議事録
  • 就任承諾書
  • 印鑑証明書
◆継続登記の登録免許税
  • 継続登記:30,000円
  • 役員変更:10,000円
  • 取締役会設置:30,000円

合計 70,000円

※上記の他、株式譲渡機関を変更する場合・監査役を設置する場合は別途1万円が掛かります。

みなし解散の復活(継続登記)手続きについて

休眠会社の整理により「みなし解散」された会社であっても、みなし解散登記後3年以内であれば株主総会の決議により会社を継続することができます。

会社が解散すると代表取締役に変わって「清算人(代表清算人)」が解散した会社の清算事務を行います。みなし解散された株式会社においては、解散時に「取締役であった者」が法定清算人となります(定款に別段の定めがある場合を除く)。

しかしながら、みなし解散された会社には「清算人」の登記はされていませんので、継続登記の際にその前提として「清算人に関する登記」も合わせて行わなければなりません。

もし、取締役以外から清算人を選任する場合には、清算人の変更となりますので、法定清算人の就任及び退任の登記も行うことが必要です。

みなし解散の継続登記手続き 取締役会設置会社の場合

◆継続登記手続きの流れ
  1. 株主総会の開催 会社の継続、取締役の選任決議
  2. 取締役会の開催 代表取締役の選定
  3. 管轄の法務局へ会社継続の登記申請
◆継続登記の必要書類例
  • 株主総会議事録
  • 取締役会議事録
  • 就任承諾書
  • 印鑑証明書
  • 定款
◆継続登記の登録免許税
  • 清算人の登記:9,000円
  • 継続登記:30,000円
  • 役員変更:10,000円
  • 取締役会設置:30,000円

合計 79,000円

よくあるご質問。株式会社解散・清算手続きQ&A

「解散」と「清算」とはなんですか?

解散手続きには、段階があります。会社で解散が決まると、まずは「解散登記」を行います。

会社が解散すると、その会社の営業活動が終了し、取締役等の機関も停止します。かと言って、会社には通常、営業相手や債権者等が存在し、解散したからと寸断されては被害やトラブルが起きてしまいます。

そこで、会社の清算を行う「清算人」を決定し、その清算人が清算事務を執り行うこととなります。

清算事務が終われば「清算結了登記」を行い、この登記が完了すれば会社は閉鎖され消滅します。

「解散登記」だけを行い、その後放置したままで「清算結了登記」を行わなければ、会社自体は存続していることになるので、毎年の法人税が発生してしまいます。

会社をすぐに解散することはできますか?

解散が決まれば、解散登記を行うとともに、債権者等に広くお知らせをしなくてはなりません。

この知らせる方法として、「官報」というものに公告を掲載します。会社の解散公告は、最低2ヶ月間と決まっていますので、最短でも2ヶ月は会社の解散に日数を要すことになります。

また、会社はあるものの実際の稼働は全然しておらず、債権者なんていないという会社でも、官報公告は必ず行わなくてはなりません。

費用はどれぐらいかかりますか?

登記申請時に必要な登録免許税は、解散登記申請に3万円・清算人を決定する旨の申請に9,000円・清算結了登記申請に2,000円と、合計41,000円が法定されている費用です。

その他に、官報に公告を掲載する費用として約35,000円が実費でかかりますので、合計で約76,000円となります。そこに、書類の作成や登記の代行等、専門家を介せば手数料が加わります。

解散すると、事業年度はどう計算すればいいですか?

会社を解散させて解散登記を申請すれば、ここで一旦決算を迎えることになります。

通常決算申告と同じように、「解散確定申告」を提出します。そこから新しい事業年度が始まることになります。清算事務を経て、清算結了登記を申請します。

例えば、毎年4月1日~3月31日までが事業年度の会社が8月31日に解散したとします。

この場合、4月1日~8月31日で1期が終了となり、この時点で解散確定申告をします。そこから9月1日から清算事務に入り、最短2ヶ月間を経て清算結了を11月5日に迎えたとします。

この場合は、9月1日~11月5日でまた1期終了となり、この時点で清算確定申告書を行います。

解散をしたときに法務局以外への必要な届け出は?

解散届の提出先は、次のとおりです。

  • 税務署
  • 都道府県税事務所
  • 市区町村役場
  • 社会保険事務所
  • 労働基準監督署
  • ハローワーク

税務署へは、解散後2ヶ月以内に解散確定申告を提出しなくてはなりません。

 

 

株式会社解散・清算手続きにおける「清算人」とは?

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自分でできる!解散・清算手続きキット

株式会社の解散・清算手続きに必要な書類一式の雛型を同梱しております。官報公告にも完全対応。

穴埋め式ワードファイルと解説マニュアルがついていますので、一般の方でも楽々手続き完了。

とにかく、安く、早く、簡単に手続きを終えたいという方にはオススメです!

「清算人」とはどんな人ですか?

株式会社を解散する場合は、必ず、清算人を選任して管轄法務局へ選任の登記を行わなければなりません。

清算人とは、「株式会社の解散・清算事務を行う人」を言います。

解散の際には必要な手続きを法に則って行い、トラブルを未然に防ぐことが欠かせません。

株式会社が解散することでこれまで会社の運営に携わっていた代表取締役や取締役は当然に退任することになりますから、解散してからの各種手続きを行うために、「清算人」を選任する必要があるのです。

この清算人の選任は通常、株式会社の解散決議と同時に行います。解散決議や準備の段階で清算人を誰にするかを決めておくことも重要なポイントです。

なお、解散の際に特に清算人を定めなかった場合には退任する取締役が清算人となります。

清算人の選任に関してはもうひとつ、裁判所が専任するケースもあります。

清算人に相応しい人物が会社内にいない場合や、裁判によって解散を命ずる判決が下されたケースに適用されるものです。その際のポイントは会社解散によって何らかの損益が生じるなど利害関係を持っている人物の申し立てによって選任が行われることです。

ただ費用がかかること、手続きがかなり煩雑となることから広くは活用されていません。

清算人は誰でも、何人でも良いのか?

清算人の人数は、定められておらず、何人でも可能です。先述した選任をせずに解散した場合には取締役全員が清算人になることもありますし、その場合には代表取締役がそのまま代表清算人となります。

清算人の役割について

この清算人の役割、つまり権限はおもに3種類に分けられます。

1.現務の結了

1つ目が「現務の結了」です。つまりこれまで株式会社が行ってきた業務をできるだけ問題が生じない範囲内で終了・清算することです。これが基本的な清算人の役割といってもよいでしょう。

2.債権の取立ておよび債務の弁済

2つ目が「債権の取立ておよび債務の弁済」です。

これは株式会社の解散においてもっとも大きな問題となる点です。

株式会社ともなれば多くの取引先とビジネス関係を結んでおり、その中で利害関係が生じてきます。経営が上手くいかなくなったからといって解散しておしまい、というわけには行かず、債権がある場合にはきちんと取りたて、債務を抱えている場合には弁済を行うことになります。

解散する会社の勝手な都合で債権・債務を放棄するわけにはいかず、すべての会社や利害関係者が納得する形で債権債務関係を消滅させる必要があります。

3.残余財産の引渡し

最後、3つ目が「残余財産の引渡し」です。

会社の財産を整理・計算したうえで残ったものを株主に分配します。

◆上記各手続きについて、より詳細に知りたいという方は、弊所公式サイトのこちらのページも合わせてご覧ください→株式会社解散手続き:株式会社変更手続きサポートセンター