当ページでは、株式会社設立手続きの中でも最も重要となる「定款の作成」と「公証役場での定款認証」について、8つのポイントに分けて解説しています。
公証役場へ行く前に必ず確認しておいていただきたいポイントです。
ご自身で手続をされる場合はもちろん、行政書士などの専門家に電子定款の認証代行の依頼をお考えの方にとっても、これらの事を理解されているか否かで、業者とのやり取りのスムーズさやそのスピードに大きな違いが出ます。
是非、ご参考にしていただければと思います。では、どうぞ。
目次(もくじ)
- ポイント1.そもそも株式会社の「定款」ってなに?
- ポイント2.定款認証とは?
- ポイント3.公証役場って?
- ポイント4.定款認証は全国どこの公証役場でもいいの?
- ポイント5.公証役場では何をするの?
- ポイント6.公証役場では何がもらえるの?
- ポイント7.定款が紙の場合と電子との違いって?電子は印紙税がゼロ円になるって聞いたけど?
- ポイント8.定款認証後の手続きは?
ポイント1.そもそも株式会社の「定款」ってなに?
定款は「ていかん」と読みます。たまに「約款」と間違われる方もいらっしゃいますが、約款(やっかん)ではありません。
この定款はこれから設立しようとする株式会社の規則等を定めたもので、発起人同士が話し合って作成します。
会社の名前や事業の内容、会社の所在地をどこに置くのか、取締役は何人にするのか、代表取締役はどうやって決めるのか、株主総会はどうやって開くのか等、これから作る会社の根本的なルールを定款で定めます。
この定款に定められたルールに従って会社を運営していくので、実は大変重要な物なのです。
ちなみに発起人とは株式会社を設立する企画者であり、1株以上出資しますので、会社設立後は会社の最初の株主となります。
会社を設立したいと思ったら発起人となって、どのような会社を設立するかを考えながら定款を作成していきます。
多くの人が初めて定款を作成すると思いますが、一旦作成して公証役場で認証を受けると、その後、変更するには会社設立前であれば原則として再度公証役場での認証が必要ですし、設立後であれば株主総会の決議が必要になりますので、最初の定款をどのように定めるかが重要なのです。
ポイント2.定款認証とは?
発起人同士が最初に作った定款のことを「原始定款」と言います。
この作成した原始定款はこのままではただの紙と同じです。原始定款は公証役場で公証人の「認証」を受けて初めて効力を生じます。
定款認証とは、正当な手続きによって定款が作成されたことを公証人が証明することです。この認証行為は公証人の権限ですので、公証人以外が認証をすることはできません。
定款認証後、法務局へ設立登記の申請を行いますが、公証役場で認証を受けた定款でなければ受理されません。
ポイント3.公証役場って?
公証役場は、各都道府県に置かれている法務省・法務局所管の公的機関です。
○○公証役場、○○公証センター、○○公証人合同役場などと名称に違いはありますが、内容に変わりはありません。
東京都ではほぼ区ごとに置かれていますが、地方ですと県内に2箇所しかない所もあります。公証役場は全国におよそ300箇所ありますが、日本公証人連合会のホームページに一覧で掲載されています(全国の公証役場一覧)。
公証役場には法務大臣から任命された公証人が執務を行っています。公証人は元裁判官や元検察官等、長年法律関係の実務経験を有していた人であり、認証を与える権限を持っています。
ポイント4.定款認証は全国どこの公証役場でもいいの?
定款認証を受ける公証役場は「会社の住所(本店所在地)と同一の都道府県にある公証役場」です。
例えば「東京都中央区」に会社を置く場合、「東京都内」の公証役場であればどこでも構いません。
あくまでも「会社の住所(本店所在地)」の置く住所で決まりますので、発起人や取締役の住所とは関係がありません。
発起人が大阪府内に住んでいても東京都内に会社を置く場合はもちろん「東京都内」の公証役場で認証を受けます。
もし管轄の公証役場以外で認証を受けた場合、その定款は無効になります。定款認証前に公証人がチェックしますので公証役場を間違えることはまずありませんが、注意してください。
ポイント5.公証役場では何をするの?
公証役場では定款認証を受けますが、それほど難しいことではありません。
もちろん認証を受ける前に定款原案を作成し、何度か公証人と内容についてやり取りする必要はありますが、認証そのものは簡単に終わります。
まず公証役場に電話をして、株式会社を設立したいので自分で作成した定款原案をチェックして欲しいと伝えましょう。
公証役場によっては定款原案をFAXで送信すれば確認してくれる所もありますが、直接足を運んだ方が打ち合わせもスムーズにできると思います。
公証人が定款の内容をチェックしてくれますので、修正事項があればそれに従います。
最終的に内容に問題なければ、次に定款認証の日時を予約します。公証人が出張等で不在の場合やスケジュールが埋まっている場合もありますので、予約もせずに勝手に公証役場へ出向くのは控えましょう。
そして、認証時には原則発起人全員が公証役場へ出向きます。
発起人が複数名の場合は、発起人の一人に代理人になってもらうこともできますが、委任状が必要です。
実際発起人が複数名の場合は、代理人に委任することがほとんどです。定款をチェックしてもらう際に認証時に必要な書類も聞いておきましょう。
ポイント6.公証役場では何がもらえるの?
まず公証役場へ定款認証時に必要な書類を持参します。
- 定款(印刷したものを3部)
- 発起人全員の印鑑証明書(原本を各1枚)
- 収入印紙4万円分
- 身分証明書(運転免許証など)
- 発起人の実印(発起人以外の場合は認印)
- 委任状(代理人の場合のみ)
予め定款の内容はチェックしてもらってるので、当日は用意した書類を渡せばOKです。その場で定款認証の手数料5万円を現金で支払います。
定款3部のうち1部が公証役場の控えですので、2部返してもらえます。そのうち1部が会社保管用の原始定款、1部が登記申請用の定款です。公証役場用の定款には収入印紙4万円分を貼付けます。
会社保管用の原始定款は会社設立後に税務署等への開業届けの際や銀行口座の開設時等に必要ですので、大切に保管しておきましょう。
登記申請用の定款は登記申請の際にその他の必要書類と合わせて法務局の窓口へ提出します。
ポイント7.定款が紙の場合と電子との違いって?電子は印紙税がゼロ円になるって聞いたけど?
定款は紙で作りますが、パソコンを使って電子(データ)で作ることもできます。紙でもデータでも内容は全く同じものですが、定款を紙で作成すると印紙税法で規定する課税対象となりますので、4万円の収入印紙を定款に貼り付ける必要があります。
ところがデータで定款を作成すると課税対象とはなりませんので、この4万円の収入印紙が不要になります。つまり同じ定款なのにデータで作ると4万円を節約することができるので、最近では電子定款で作成されるのが一般的です。
ただし、データで作成するためには事前にソフトを購入したり、専用のシステムをインストールしたりと手間と費用がかかります。費用が数万円掛かりますので、自分で電子定款を作成するのは現実的ではありません。
そのため予め電子定款に対応している専門家に依頼することがほとんどです。
もちろん専門家に手数料を支払わないといけませんが4万円掛かることはありませんので、手数料の負担だけで定款認証が行えます。また、専門家に依頼すると公証役場との事前の打ち合わせもしてもらえるので、自分で手続きするよりもメリットがあります。
当事務所でも電子定款認証代行業務を行っております。印紙代4万円をゼロ円にし、更に公証役場とのやり取りも全てを任せたいという方は、こちらのサイトからお気軽にお申し込みください。→電子定款認証代行.com
ポイント8.定款認証後の手続きは?
定款認証後は、法務局へ提出する登記申請用の書類を作成していきます。
インターネットなどで書類のひな形が公開されていますが、登記申請に必要な書類は、設立する会社の機関構成や出資内容、定款の記載内容等によりそれぞれ異なります。設立する会社にとって必要な書類を作成しましょう。
書類は法人の実印または個人の実印で押印しますので、印鑑の種類を間違えないように注意してください。
登記申請後に書類に不備が多いと申請が却下されますので、事前に法務局へ出向き事前に確認したほうが確実に手続きを進めることができます。
ただし、法務局はどこでもいいわけではなく「会社の住所(本店所在地)を管轄する法務局」です。公証役場は会社の住所がある都道府県であればどこでも良いのですが、法務局は独自の管轄がありますので、予め法務省のホームページでどこが管轄なのか調べておきましょう。もし申請先の法務局を間違えると申請が却下されます。
公証役場とは違い法務局へ登記の申請をする際には予約は必要ありません。法務局へ登記申請書類を提出した日が会社の成立日です。法務局では郵送での申請も受け付けていますが、設立日の希望がある場合は直接持参した方が確実です。
なお、法務局でも出張所などでは商業登記の事務を行っていない法務局がありますので注意してください。