手形割引と「ファクタリング」の違いって?+「ファクタリング」と消費税+「ファイナンス・リース」「セール&リースバック」による資金調達とは?

【どこよりも分かりやすく解説】手形割引とファクタリングの違いって?

手形割引とファクタリングは、「債券の早期回収」という目的が同じであるため、良く混合されやすい用語です。

しかし、この2つには明確な違いがあります。今回はその2つの違いを説明します。

■手形割引とは?

手形割引とファクタリングの違いを説明するのに当たり、この2つの用語の意味を簡単に説明します。まずは手形割引からです。

手形割引とは、支払期限がまだ先の約束手形を金融機関などで換金することです。通常、約束手形は先方の会社と「〇〇年△△月××日にお金を支払います(先方の会社からお金を貰います)」という約束をしています。

しかし、該当の日にちになる前に現金が必要になった時などは、△△月××日より前に金融機関へ換金してもらう事も可能なのです。

これを手形割引と言います。

ただし、本来換金できる日にちになっていないので、当然約束手形を発行した会社はお金を支払っているワケではありません。

そのため、金融機関は手数料や利息などを差し引いた(受取人からすると本来受け取る金額が「割引」された)金額を「融資」するようなイメージに近いです。

■ファクタリングとは?

つづいて、ファクタリングについて簡単に説明します。

ファクタリングとは売掛金を買い取ってもらう事です。例えば、A社が4/1にB社に対して100万円の商品を売ったとします。

B社の経理スケジュール上、月末〆切り翌々月15日払いになるので、B社がA社に100万円を支払うタイミングは6/15になります。

しかし、A社としてはどうしても5月末までに100万円の入金が必要であった場合に、ファクタリング会社に売掛金(B社から将来的に支払ってもらう100万円を受け取る権利)を買い取って貰う事が出来ます。これを「ファクタリング」と言います。

ファクタリング会社は1~3%程度の手数料をA社から貰う事で利益を出し、売掛金をB社から回収して、一連のファクタリングは完了となります。

■手形割引とファクタリングの違いは?

手形割引とファクタリングは確かに似ているところはあります。一番の共通点は「現金化を早めたい」という目的です。

手形割引の場合は、「約束手形の期日までに換金したい」という場合に手形割引を行います。

一方、ファクタリングも「売掛金を早く回収したい」という理由でファクタリング会社に売掛金を買い取って貰います。どちらも理由はキャッシュフローの改善を目的とした「早期回収」です。

返金義務があるかどうか

手形割引とファクタリングの1つ目の違いは返金義務があるかどうかになります。

手形割引は、約束手形が現金化できる期日の前に金融機関に手数料を引かれ(割引)現金化します。

しかし、先ほど言ったように、手形割引はあくまで「融資」のような意味合いになるので、従来の期日には返却する必要があります。一方、ファクタリングはファクタリング会社に売掛金を「買い取ってもらう」ので、返済義務はありません。

不渡りを起こすリスク

手形割引とファクタリングの一番大きな違いは、「不渡りを起こすリスク」があるかないかです。

結論から言うと、先方の会社(手形割引は「約束手形を発行した会社」、ファクタリングは「売掛金の債務を負っている会社」)が破たんした時に、手形割引は自分にも責任が追及されますが、ファクタリングはされません。

例えば、約束手形でB社から支払いを受けた後に期日前に手形割引を行い換金したとします。

その後にB社が破たんすれば約束手形は紙切れになります。しかし、上述したように手形割引は「融資」に近いので金融機関へお金を返す責任は残るのです。

一方、ファクタリングはファクタリング会社に「買い取って」もらうので、返金する義務はありません。

仮にB社からの売掛金をファクタリング会社であるI社に買い取って貰った後に、B社が破たんしたとします。その場合にはB社から売掛金を回収出来なかったファクタリング会社I社が損をします。

この点が手形割引とファクタリングの一番大きな違いになります。

銀行は手形割引を嫌がっている?

銀行は、基本的に手形割引を行うのを嫌がります。

主に、これらの理由からです。

  • 長引く不況によって企業の体力が低下、手形の信用力がなくなってきた。
  • 融通手形の懸念
  • 大企業自体が手形取引から遠ざかってきている
  • 事務の手間が掛かる

大企業の手形なら未回収リスクも軽減されるのでまだ応じてくれるかもしれませんが(取引額が大きいので銀行にとっては手数料収入が多く、リスクが少ない)、中小企業の手形はそもそも信用されていません(一部例外はあるでしょうが)。

これは他の金融機関、信用金庫や信用組合でも同様です。

中小企業の手形取引額は少額であることも多く、金融機関にとってはリターンが少ないのにリスクだけ高い。更に事務コストも掛かる。銀行が手形割引をしなくなれば、手形取引自体も減っていくのは当然ですね。

一方のファクタリングは通常、少額でもきちんとした売掛金があれば買い取ってくれる会社は多いです。

まとめ

現在、日本では、手形取引の件数は著しく減少しています。

一方でファクタリングの利用者は急増しています。

こちらのページ(中小企業の「これから」の強い味方、ファクタリングとは?)にも書きましたが、ファクタリングはアメリカでは100年近くと歴史が長く、既に日本の中小企業でも日常的な資金調達方法として、定着しつつあります。

ファクタリングの活用を検討している場合は、こちらのサービスを利用されると良いでしょう。

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消費税はどうなる?ファクタリングと税金について

債務先から売掛債権を譲り受け、現金化して債権先に渡すことで企業の資金繰りを助けるファクタリング。

ファクタリングを利用するときにしっかり理解しておきたいのが「税金との関係」です。

ファクタリングから資金を受け取ったときの、税金の仕組みはどうなっているのでしょうか。

ファクタリングと税金の関係についておさえましょう。

1、ファクタリングと消費税

まずは代表的な税金である消費税です。売上債権をファクタリング会社に提供した際、国税庁の見解をかみ砕くと以下の通りです。

本来、金銭債権(ファクタリングの場合は売上債権)を譲渡した場合、譲渡対価の5%を資産の譲渡等の対価の額として計算します。

ただ、「資産の譲渡を行った者が当該資産の譲渡等の対価として取得したもの」は非課税とする定めがあります。

ファクタリング会社から債権者が受け取った事業資金はこれに該当するため、非課税となります。

◇参考:国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/taxanswer/shohi/6405.htm

また、ファクタリングを利用することで債権者がファクタリング会社に支払う手数料も非課税です。

ファクタリングの手数料は相場10%~30%前後のため、ここに消費税が課税されるのか、課税されないかはとても大きいですね。

2、権利設定登記について

ファクタリングにおいて、すべての税金がかからないものではありません。

債権の所有者を債権者からファクタリング会社に移行するため、債権譲渡登記が必要になります。

一般的には、債権者の本社所有地の法務局にて譲渡登記の手続きを行います。債権譲渡登記と一言で言っても、細かくは債権譲渡登記、質権設定登記、延長登記などがあり、登記の種類によって事務手続きの時間も費用と異なっています。

申請の際は登録免許税として手数料がとられます。代表的な債権譲渡登記の場合、1件の債権の数が5,000個以下の場合は7,500円/件。

5,000個を超える場合は15,000円/件。収入印紙によって納付します。

3、法人税(所得税)について

ファクタリングは売上債権の現金化のため、会計処理上は「売上」であることに変わりはありません。

そのため、満期まで債権を有していても、時期を早めてファクタリング会社により現金を受け取っても、売上としての税金は課税されます。

株式会社であれば法人税、個人事業主であれば所得税や個人事業税です。

ここで気をつけなければいけないポイントは「決算」です。

決算によって法人税や所得税の額が(通期切り替えにより)リセットされるため、損失繰越のため赤字決算を進めている際はファクタリングの行使するタイミングに注意する必要があります。

4、税金の滞納があってもファクタリングは利用可能

ここから少し視点を変えて見ていきましょう。

よくファクタリングと比較検討されるのは、ビジネスローンです。

ビジネスローンは銀行などの金融機関からの「融資」のため、当該債務のほか、他の債務が残存している場合、また税金の滞納などがある場合は利用できない可能性があります。

対してファクタリングは「売上債権」という、そもそも会社が正当な営業活動により取得している権利です。

そのため、ファクタリングを利用するかどうかの際に、その法人(もしくは個人事業主)が税金を滞納しているかどうかは関係ありません。

唯一問われるのは、入金作業が阻害される「口座凍結の可能性のみ」。ファクタリングがとても便利な「経営者の味方」であることが伺いしれます。

ビジネスローンとの違いにもう一つ加えると、ファクタリングは負債の計上にならないため、ファクタリングの後でビジネスローンを検討することは可能です。

ファクタリングとビジネスローン、「どちらを使うか」ではなく、「どちらを先に使うか」という考え方も身に着けるようにしましょう。

5、納税資金にもファクタリングを活用しよう

ファクタリングと税金の関係はもう一つあります。

それは、そもそもの税金の納付タイミングでファクタリングを活用できる、ということです。

法人を持つ者の義務とはよくわかっていても、法人税や地方税を始め、税金納付のタイミングでのまとまった金額の請求はとても負担感があるもの。

法人税、消費税、源泉所得税などの納付で、売上債権のあるときはファクタリングを活用するようにしましょう。

「税金くらい滞納しても(たいしたことではない)」という経営者はいます。

ただ税金の滞納は不要な延滞税を生み出すにとどまらず、融資や資金調達といった経営上大切な局面で圧倒的なデメリットになります。

業績やバランスシートがどれだけ良くても、「税金を滞納している会社に融資や資金調達はできない」という恐れがあるためです。

ファクタリングの特徴を掴み、適切なタイミングで活用することによって、会社の発展にしっかりと繋げていきたいものですね。

 

 

「ファイナンス・リース」「セール&リースバック」による資金調達とは?

日本政策金融公庫などの政府系金融機関や民間銀行に融資を断られた場合、主に次の方法で資金調達を行わざるを得えなくなります。

  • ファクタリング
  • ノンバンク
  • 直接金融(増資や私募債)による資金調達
  • 社長個人からの借入など
  • ファイナンスリース、セール&リースバック

ファクタリングは、今注目の資金調達方法で、よく耳にする売掛債権担保融資とも異なって、売掛金を譲渡して(ファクタリング会社に売掛金を買い取ってもらう)資金を調達します。

ノンバンクもスピーディーな審査で早期融資が可能ですが、金利が高く、長期借入には向いていません。

株式会社の場合ですと直接金融である増資(新たに株式を発行するして出資金を募る)や私募債による資金調達も可能は可能なのですが、中小企業の場合は強力な応援者や資金力がある仲の良い取引先等が近くにいないと、難易度は高く実現可能性は低いと言わざるを得ません。

社長個人からの借り入れで資金不足を賄えればそれに越したことはありませんが、こちらも1人会社や中小企業の場合、会社の業績が傾けば社長の個人資産も同時に目減りしてしまうケースがほとんどです。

というのも、会社が傾きかけると、まずは社長個人の役員報酬を削ったり、報酬を取らなかったりして、経費の削減に努めるケースが往々にしてあるからです。

そもそも潤沢な資産があれば「経営者保証」を付けて金融機関から通常の借入が可能なはずですからね^^;

というわけで、前置きが長くなりましたが、今回は「ファイナンス・リース」と「セール&リースバック」による資金調達方法にスポットを当てて解説していきたいと思います。

ファイナンス・リースとは?

ファイナンス・リースとは、企業が利用したい物件をリース会社が代わりに購入し、一定の期間に渡って一定のリース料を企業から回収し、最終的には購入代金の全額回収を行う契約です。

例えば、500万円相当のトラックが必要になった運送業者さんの場合。大きな仕事が入って、すぐにでも増車しなければ仕事を受注できない。でも手元には500万円の現金はない。

手元になければ、リースか割賦販売で購入するしかありません。

このような場合でも、契約に要する時間も短く納車も早いリース契約を選択すれば、すぐにトラックを使って仕事が回せるようになります。

コピー機などのOA機器にもこのファイナンス・リース契約はよく利用されていますね。

コピー機を新品で購入するには通常50~100万円は掛かりますが、リース契約の場合は月々数万円で利用が可能ですから、その分の資金は浮きますね。

ファイナンス・リースのメリット

リース料金は全額損金処理が可能なので(購入だと減価償却や固定遺産税などが掛かる場合もあります)、節税にもなり、コスト管理も簡単にできます。

通常はメンテンナンスや保守契約がついているので設備の管理に掛かるコストや手間も抑えることが可能です。

リース料は通常は定額なので金利変動のリスクもありません。

ファイナンス・リースのデメリット

メリットも多いファイナンス・リースですが、当然デメリットもあります。

中途解約は原則としてできないのと、通常の融資に比べて割高(保守サービス料なども乗っているので余計に)、リース契約が終わっても物件自体は取得できず、利用を続ける場合は原則として再リース契約を結ぶことになります。

リースは払い終わったら自分のものになると勘違いされている方は結構多いのですが、そうではありませんので注意しましょう。

なお、割賦販売も初期にまとまった資金が不要という面では、リース契約と同様の効果があります。

セール&リースバックとは?

企業が所有している資産を売却して資金を得つつも、その資産をそのまま売却先から借り受け、使用し続ける契約を言います。

セール&リースバックの対象となる資産は前述のファイナンス・リースと同様多岐に渡ります。

自動車、機械設備、不動産、あるいは店舗一式をそのまま売ったりと多種多様です。

セール&リースバックは、一時的な資金が必要なときに資産を売却してしまうわけですが、その資産自体はそのまま利用し続けることができます。

先程の例で挙げた運送会社の場合で説明しますと、

まとまった資金が必要になるも、銀行融資は断られた→営業用のトラック(500万円)を売却→リースバックをしてトラックはそのまま継続して利用できる。

売却代金を得れると同時に、その資産を使っての事業継続も可能になるわけです。

なお、個人資産の自宅等でリースバックを行う場合は、こちらから申込が可能です。→ハウス・リースバック

まとめ

ファイナンス・リースとセール&リースバックは通常の資金調達方法とは異なりますが、実質的には設備資金や運転資金を金融機関から借入れるのと同様の効果を得られるのです。

つなぎ資金の調達、また資金繰りの改善方法などについては、下記ページでも解説しておりますので、参考にしてください。