急な事業資金が必要になった場合の対処法(公的融資・銀行・ファクタリングなど)
ビジネスをしていると、突然事業資金が必要になることがあります。
このようなときに急いで資金を調達する方法には、どのようなものがあるのでしょうか。
公的融資・ビジネスローン・ファクタリング・手形貸付があります。それぞれ見てみましょう。
1.公的融資
公的融資と言えば、基本的には「信用保証協会付き融資(制度融資)」と「日本政策金融公庫」の2つの金融機関からの借入になります。
どちらも公的機関が運営をしていますので、利率は低く、融資期間も長く設定されているのが特徴です。また、無担保・無保証でOKな融資もあります。
業績が悪くなってから借入申込を行っても銀行は貸してくれません。「雨の日に傘を取り上げ、晴れの日に傘を貸す」とはよく言ったもので、その通りなのです。
資金繰りに困った場合は、まずは公的融資を考えましょう。
信用保証協会
信用保証協会には「予約保証制度」というものがあります。
この制度は、至急に資金が必要になったときに備えて、信用保証協会が提供する債務保証付き融資を予約できる制度です。
あらかじめ金融機関の審査を受けておくことで、急に融資が必要になったときに、すぐに融資が受けられます。予約制なのでリスクが高いため、審査は厳しくなります。申込時に財務諸表を提出し、審査に通らなければ利用できません。
しかし思いがけない理由で資金がショートした場合に備えて、予約保証制度に申し込んでおけば安心です。
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫の経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)は、急な売上減少など、財務状況が急に悪化した場合に利用できる制度です。
融資の限度額は4800万円。融資期間は設備資金で15年以内、運転資金で8年以内となっています。
中長期的に業績の回復が見込まれる場合に借入が可能です。
決算書と税理士の関係
これら公的融資の申請を行う上で一番のポイントは会社の「決算書」です。
決算書は言わば会社の成績表・通信簿です。
決融資機関の担当者は必ずこの決算書を確認します。
(融資が下りやすい決算書についてこちらのページで解説していますので参考にして下さい。→融資が下りやすい「決算書」とは?)
そもそもの前提として、期限内に税務申告を行っていない、顧問税理士を付けずに自前で確定申告を行っているなど、決算の内容が疑わしい場合は、融資は受けられません。
日頃から真面目に会計記帳を行い、専門家である税理士に税務会計の顧問に付いてもらっていれば、それだけでも担当者に対する印象は良くなりますので、融資の可能性も高まります。
急な資金繰りに慌てないように、顧問料などはケチらずに、税理士は必ず付けておくようにしましょう。
なお、税理士と言えど、更に専門が分かれていますので、できれば資金調達に精通した税理士に顧問に付いてもらうと良いでしょう。銀行筋と太いパイプをもった税理士事務所もありますので。
資金調達を得意とする税理士事務所の紹介はこちらから可能です。→資金調達に精通した税理士の紹介サービス
2.ビジネスローン(事業者ローン)
急な資金調達で、最も利用されることが多いのがビジネスローンです。
銀行からの融資は審査に時間がかかり、遅い場合は審査に通るまで1か月くらいかかることもあります。
しかし、ビジネスローンの場合は、コンピュータによる審査が行われるため、早ければ1日、遅くとも数日でお金が借りられます。
担保も第三者保証人も不要で借りられるのもメリットです。
ただ、ビジネスローンはスピーディーに借りられるのですが、金利が高めなのが難点となっています。
3.ファクタリング
ファクタリングも早急に資金調達する場合に、よく利用される手続きです。
ファクタリングとは、売掛債権をファクタリング会社に買い取ってもらって現金化する取り引きです。
借金ではありませんから、担保も保証人も不要。厳しい審査もなく早ければ即日、遅くても数日のうちに現金が得られます。
融資を受けた場合は、その後返済を行わなければいけませんが、ファクタリングは売掛債権の買い取りですから、返済の必要もありません。
4.手形貸付
銀行からスピーディーに融資を受ける方法に、手形貸付があります。
自社の手形を発行し、その手形を担保にして融資を受ける方法です。
銀行からスピーディーに資金調達できるのでおすすめの方法ではありますが、自社の手形を担保にするため、与信力の強い法人でないと利用できない点がネックです。
また手形貸付の返済期間は非常に短く、長くても1年とされていますから、返済の目処が立たないまま借りるのは禁物です。
さまざまな融資方法がありますが、少しでもスピーディーに、そして少しでも有利に融資を受けるためには、日頃からどのような融資があるのかを調べておくことが大切です。
また、申込時に必要な書類がすくに用意できるように管理しておきましょう。
つなぎ資金をスムーズに調達するには?
日々の会計記帳と資金管理がスムーズな「つなぎ融資」の基本!
国民の義務である適切な納税の為の税務会計処理と事業継続の為の資金繰りは、経営者の大事な仕事です。
急な資金調達需要が発生した場合、まずは金利が安く、無担保・無保証人制度も充実している日本政策金融公庫や信用保証協会からの融資を考えるわけですが、いきなり窓口に出向いて、担当者に
「資金繰りがきついからお金を貸してくれ!」
と言っても相手にされません。
当然のことながら、会社のこれまでの成績表とも言える「決算書」や、キャッシュの流れを確認するための「資金繰り表」などの提示が求められます。
正確な会計記帳と帳簿の作成が融資の可否を決める?
前述の通り、日々の会計記帳を正確に行っていない会社に、金融機関が融資に応じるはずもありません。
事業開始後に融資を受ける場合は、直近の「決算書」や「試算表」、後で説明する「資金繰り表」の提出を必ず求めれます。
急な資金調達に対応できるように、これらの書類をいつでも提出できるようにしておきましょう。
細かな作業は記帳代行業者や税理士にアウトソージングしよう。
取引や仕訳数もが多く、日々の記帳を正確に行うのが物理的に難しい場合は、記帳代行業者や、税理士に記帳を依頼します。
経営者であるあなたがやるべき仕事は、資金繰りの「把握」です。黒字倒産などをしてしまわないよう、財務の要点さえ押さえておけば、後は「どんぶり勘定」でもかまわないのです。ですから、実際の細かな作業や会計記帳は外注に出すか、スタッフに任せてしまいましょう。
経理人員を雇うのも一つの方法ですが、継続雇用となると固定費がかさみますので得策とはいえません。
経理を一人雇って月に20万円払うよりも税理士に依頼した方が安くつきますし、雇用による様々なリスク(労働トラブルなど)も回避可能です。
税理士に記帳代行&税務顧問を依頼したとしても月額で2~10万円程度です(事業形態・取引数・売上などによって変わります)。
記帳代行業者や税理士への手数料は当然、経費になりますし、先々資金調達が必要になることも考えれば、月々この程度の金額は支払ってしかるべきです。
税理士を付けているだけでも有利。
法人組織であるにも関わらず、税理士さんを付けていないと言うだけでも信用面では他社に劣ります。
金融機関は適切な税務申告を行っているか、決算の内容は健全か、顧問税理士は付いているかなどを当然見てきます。
中でも、会社に顧問税理士がいるか否かは融資の可否の判断に大きな影響を及ぼします。
税理士さんに決算をしてもらう場合の注意点
前述のとおり、税理士さんを付けて融資に望むことは絶対条件です。
ただ、一点、注意しておくべき事柄がありあす。
それは、そもそも税理士と金融機関では決算に対して目の付け所が異なる。という点です。
どういうことかと言いますと、税理さんは「節税」に、一方の金融機関は「利益」に重点を置きます。
社長であるあなた自身が節税ばかりに重きを置いて、無理な節税を行えばその分、利益は圧縮されます。
基本、利益が出ていない会社に金融機関はお金を貸しません。
税理士さんを雇う時は、この点については、詳細なすり合わせを行っておきましょう。
税理士と共に中長期的な財務プランを立て、節税を行いつつも、いつでも資金調達ができるような体制を整えておきましょう。
無理な節税と目先の手取り額だけにとらわれていると、急な資金調達に対応できなくなります。
適切な節税と先々の資金調達を見据えた決算を顧問税理士と組んでいくようにしましょう。
なお、現在、顧問税理士さんがいらっしゃらない場合は、こちらの税理士紹介無料サービスをご利用ください。弊所が提携している税理士紹介企業で、実績多数、社歴も長く、大変信頼のおける会社です。
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キャッシュは会社の血液。融資においても大事な書類。資金繰り表とは?
決算書同様に、資金調達に際して重要となるのが資金繰り表です。
この書類は、その名の通り、キャッシュの流れを現した書類です。
金融機関側からすると、
- 今後いつ資金が足りなくなりそうか?
- 資金が必要になるのはいつなのか?
- 今後いつ資金が余りそうか?
- 借り入れ希望額は本当に必要な額なのか?
これらの事項を資金繰り表で提示してほしいわけです。
本当にこの会社は「利子を含めた元本を返済できるのか?」「返済できる資金繰り計画を立てているのか?」を最重要視します。
金融機関は決算書で「これまでの実績」を見て、資金繰り表で「将来の展望」を見ます。
これらの書類で融資の申込み自体の妥当性も判断します。重要な書類ですね・・・
融資の申込みをする場合は、最低でも6ヶ月~12ヶ月分の資金繰り表を作成し、いつ資金が必要になり、資金がこのくらい必要なので、いくら貸して欲しい。と、資金繰り表をもって伝えなければなりません。
まとめ
資金繰り表も決算書同様、日々の会計記帳を正確に行えていることが前提の書類となります。
融資の基礎作りを怠るのは経営者の怠慢です。
税理士や資金調達の専門家(コンサルティング等)など専門家とタッグを組みながら、急な資金繰りにも対応できるような体制を整えておきましょう。
融資の審査で金融機関がまず最初に確かめる書類とは?
新規開業者と既業者では、融資を受ける際の金融機関側の審査基準が全く違います。
審査基準が違いますので、融資を受けるための対策ももちろん変わってきます。
新規開業者では事業計画書が非常に大事になってくるのに対し、既業者ではこの点は最重要視されません。
既業者の融資の現場では決算書が全てです。
それでは見ていきましょう。
損益計算書
まず、金融機関の担当者はこの損益計算書を確認します。
これは言い方を変えれば会社の成績表です。
会社の一年間の損益を表わしている書類ですので、既業者の場合、重要視されるのも当たり前のことだと思います。
この損益計算書を各項目ごとに見ていきますと、売上高と原価についての結果を確認することができます。
売上高は言うまでもなく開業当初から伸びている方が融資を受ける基準の際に有利だということは間違いありません。
しかし、これを原価率の方が上回っていれば全く意味がありませんので、売上高と原価率の割合が非常に重要となってきます。
仮に売上高が落ち込んでいたり、原価率が売上高を上回っていたとしても、それで融資が受けられないわけではありません。
金融機関側が融資を行うことによってこれらが改善できる見込みがあれば、融資可能となります。
そして、この二つと合わせて売上総利益も見られます。売上高から原価費用を除いたものですので、売上総利益を確認すれば売上高と原価率の割合がわかります。
次に金融機関が確認される項目として、販売管理費が挙げられます。
ここでは代表者の給与設定に関してのチェック、減価償却を限度額までしっかり計上しているかのチェック、適切な経費の支払いを行っているかのチェックなどが販売管理費の項目から確認されます。
この他の項目としては、営業利益や経常利益、特別利益などがあります。
営業利益は売上総利益から販売管理費などを除いた数字であり、経常利益とはその営業利益に営業外損益を加えたものになります。
この経常利益の結果が現在の会社の状態を示しているといっても過言ではありません。
もちろん、判断材料としてもかなり重要視される項目となります。
特別利益に関してですが、これは業務外での利益のことです。また業務外で損失を特別損失と言います。
経常利益とは異なり、一時的な収益、損失と見られますのであまり重要視されません。
賃借対照表
貸借対照表とは、ある時点での会社の財産を表わす一覧表です。
会社の資金だけでなく商品や店舗などの不動産も財産の中に入ってきます。
貸借対照表には財産だけでなく負債についても負債についても確認できますのでそのバランスが非常に重要になってきます。
ここまでの説明ですと損益計算書が担っている役割とあまり変わらないような気がします。
どちらも会社の状態を数字にして表わしているのですが、その表わしている期間に違いがあります。
損益計算書は一期分の会社の状態を示している書類に対し、貸借対照表は開業当初から現在までの財産状況を表わしている一覧表になります。
まとめ
以上、決算書(貸借対照表・損益計算書)について見てきました。融資の現場では会社の成績表とも言える決算書が最も重要になります。その他、下記ページでも銀行融資のポイントは解説しておりますので、
参考にしてください。