信用保証協会とリスク評価システム・CRDについて+商工会議所と信用保証協会+保証協会サービサーとは

信用保証協会とリスク評価システム・CRDについて

リスク評価システム・CRDとは?

個人事業主や中小企業の経営者の多くが利用している、信用保証協会。

使用保証協会の保証付き融資を申し込むと審査が行われ、申込企業の経営状態によって、9つに分かれた保証料率区分のうち、いずれかが適用されます。

これらの基準になっているのが、リスク評価システム・CRDです。

CRDとはCredit Risk Database(クレジット リスク データベース)の頭文字をとったもので、日本語に訳すと中小企業信用リスク情報データベースという意味になります。

CRDは中小企業庁の主導によって設立された、CRD協会が管理しています。

CRD協会に会員として加盟している信用保証協会や金融機関が、取引先の中小企業の財務データを提供しています。

CRD協会はこれらのデータを蓄積しており、現在約229万社の中小企業のデータが集められています。

中小企業の倒産リスクや、債務不履行リスクを審査

CRD協会は、集められた膨大なデータベースを分析し、業種や地域、事業規模といった同じ属性の中小企業グループについて、倒産確率などのリスクの指標を構築しています。

そして、これらの指標や統計情報などを、会員である信用保証協会や金融機関に提供しているのです。

これらのデータから、融資申し込み企業の業界内での財務指標などの偏差値や、経営状況の危険度、融資申込者が1年以内に債務不履行に陥る可能性を調べるデフォルト確率、将来の信用度の予測など、様々な情報がわかるため、融資審査では非常に重要なデータとして扱われています。

中小企業への融資は大企業に比べて、貸し出す金額が少ないのが一般的です。

しかしお金を貸す以上は、その企業の財務状況や将来性や倒産リスクなどを調べなければいけません。

一社ごとに信用度を調査していたのでは、手間も時間もかかります。

そこで登場したのが、膨大なデータベースを活用するCRDなのです。

全国の信用保証協会や金融機関から収集したデータをもとに、簡単に融資先のリスクがわかるのが特徴です。

これによって、速やかに審査を行うことが可能になりました。

このようにCRDは、信用保証協会や金融機関が融資を行うときの審査の基準となっています。

しかしそれだけでなく、CRD協会ではデータを活用した中小企業経営診断や統計情報の提供など、さまざまなサービスも提供しています。

また、中小企業再生支援協議会が中小企業サポートシステムにCRDを活用するなど、中小企業の実態調査や経営支援などにも役立っています。(記事の情報は2016年現在のものです)

 

 

商工会議所と信用保証協会

商工会議所とは?

商工会議所は中小企業や小規模事業者を支援し、地域経済を活性化させるための経済団体で、全国に514か所、事業所は125万か所あり、地域に密着したさまざまな支援を行っています。

経営面で困っている中小企業などが相談できる窓口であり、経営課題が解決するまで支援してくれます。

日本の99.7%の企業が中小企業および小規模事業者であるため、日本の経済活性化を実現するためには、中小企業の経営基盤を強化し、収益増加へと導くことが必須となります。

そこで地域の中小企業などのサポートを行うのが、商工会議所なのです。

中小企業などでは、さらなる飛躍のために新事業や新分野への参画、創業、海外進出を検討しているところが少なくありません。

しかし資金調達ができないために、あきらめてしまう事業主も多いのです。

また、事業再生や事業引き継ぎをしたくても資金面に大きな問題を抱えており、事業継続が難しい企業もたくさんあります。

これらの企業に対し、商工会議所は金融支援を行っています。

この金融支援面において信用性協会と連携し、信用保証付き融資を受けやすくする役割を担っています。

商工会議所と信用保証協会の連携事業

各商工会議所によって取り組みは異なりますが、主な連携事業として、多くの商工会議所が信用保証付き融資の申し込みの受け付けを実施しています。

商工会議所が中小企業者と保証協会の橋渡し役となって相談にのってくれるため、融資がスムーズに受けられます。

申し込み前に商工会議所が保証協会や金融機関に相談を行うため、審査が短くスピーディーな融資が受けられるのもメリットです。

このほかにも保証協会付き融資の申し込みで必要となる決算書や試算表、交渉を有利にすすめるための事業計画書などの作成の指導・アドバイスも行っています。

具体的な取り組みでは、東京信用保証協会と東京商工会議所が連携し、創業ゼミナールや融資補償制度、創業フォーラムを実施しています。

東京商工会議所が実施する創業ゼミナールに東京信用保証協会の職員が出席し、融資の申し込みを前提とした相談を受けたり、ビジネスプラン作成の助言を行ったりしています。

このように商工会議所と保証協会が提携し、お互いの強みを生かしながらさまざまな活動を行い、中小企業が融資を受けやすいようにサポートしています。

保証協会付きの融資を申し込む前に、お近くの商工会議所や信用保証協会がどのような連携事業を行っているのか調べてみましょう。

そして自分の会社にぴったりのサービスがあれば、積極的に利用しましょう。(記事の情報は2016年現在のものです)

 

 

 

保証協会サービサーとは?

信用保証協会のサービスについて

保証協会サービスは、信用保証協会が事業主に提供しているサービスで、個人事業主や中小企業の経営者が金融機関から融資を受けるときに保証人の代わりになることで、スムーズに融資が受けられるようにするための信用保証制度のことをいいます。

信用保証協会は小規模・中小企業の事業者が資金調達に困らないために設けられている公的機関で、各都道府県に1法人ずつ計47法人、さらに横浜、川崎、名古屋、岐阜、大阪に1法人ずつ計5法人、全国に計52の法人があり、地域の事業経営者に信用保証を行っています。

ときどき信用保証協会は、直接事業者にお金を融資する公的機関であると勘違いする人がいますが、そうではありません。

融資をするのはあくまでも金融機関で、信用保証協会は保証人の代わりになり、融資申込者の信用力を上げて金融機関の融資を受けやすくする機関なのです。

保証協会サービスのメリット

金融機関は小規模・中小企業への融資には、非常に慎重です。

確実に返済されるという見込みのある企業にしか、お金を貸そうとしません。

このため多くの小規模・中小企業経営者が信用保証協会のサービスを利用して、金融機関から融資を受けています。

保証協会のサービスのメリットは、直接金融機関に融資を申し込んでも審査に通らない場合でも、信用保証協会の審査に通って保証が受けられれば、金融機関から融資が受けられることです。プロパー融資を受けている場合でも、信用保証制度を利用することで融資枠の拡大が可能になり、より潤沢な事業資金が調達できるのもメリットです。

さらに長期借入にも対応していますから、月々の返済負担が軽くなるというメリットもあります。

法人の場合は代表者が連帯保証人になりますが、その他の保証人は必要ありません。

個人事業主の場合は、保証人は不要です。また、不動産担保がなくても利用できるのもメリットです。

保証協会サービサーとは?

保証協会の信用保証制度を利用して銀行から融資を受けているときに、何らかの理由で返済ができなくなった場合、保証協会がその債権を肩代わりし事業主の代わりに銀行に支払ってくれます。

その後事業主は、返せなかった分を保証協会に返済していくことになりますが、この返済金の回収業務を行うのが保証協会サービサーです。

本来ならこのような代位弁済は一括で返済しなければいけません。

しかし事業状況などを配慮して月々の分割払いに応じるなど、少しでも返済しやすいように柔軟な対応を行ってくれるのが特徴です。