保険契約者貸付制度とは?+知的財産権担保融資とは?+事業性評価融資制度とは?

保険契約者貸付制度とは?

生命保険の解約金を担保にして資金を借りる方法を、保険契約者貸付制度と言います。

単に契約者貸付制度と呼ぶ場合もあります。いずれも生命保険を担保にする点が特徴です。

通常の金融機関の融資とは異なり、生命保険会社から資金を借ります。

保険契約者貸付制度では、解約払戻金の70%~90%程度の資金を借りられるのが一般的です。

保険契約者貸付制度は生命保険加入者が利用できる貸付制度ですが、契約者本人しか借り入れができません。

第三者が、誰かの生命保険を担保にお金を借りることはできないため注意しましょう。また、保険契約者貸付制度で貸した資金は複利が適用されてしまうことから、返済期間が長くなるほど負担する金利手数料も増加します。

利率は保険会社により異なりますが、長期返済を行う時は返済額の確認が必要になります。

短期用途の資金として利用するのが向いているでしょう。

返済期間中に満期金などが発生した場合、返済額から差し引かれる点も注意が必要です。

保険契約者貸付制度で資金を借り入れる際は、入念な返済計画が求められます。

金融機関などの融資とは異なる性質がありますので、デメリットも考慮して利用を検討することが重要です。

 

 

知的財産権担保融資とは?

知的財産権担保融資とは、特許や商標、著作権など、無形の知的財産を担保にして融資を受ける制度です。

知的財産権に当てはまるものであれば、特に形式を問わない点が特徴です。

従来型の不動産担保融資などと比べ、知的財産を担保に出来る点が最大のメリットであり、土地や建物などの固定資産を持っていない場合でも融資を受けられます。

特に不動産など担保に設定できる資産を持たない企業や個人でも、容易に資金調達を出来る点がポイントです。

知的財産権担保融資で決定される融資の上限額は、担保とした知的財産権がもたらす利益や採算性・将来性などを考慮して算出されます。

これらを考慮した上で知的財産権の価値を判断し、融資上限額が決まるため、将来性があり、利益を生み出すものほど融資の上限額も増加します。

特許などを持っているなら、知的財産権担保融資による借り入れも検討の余地があると言えます。

ただし、融資可能額は知的財産権の価値に左右される欠点があります。

特に特許に関しては、公開前のものは対象外のため、特許取得済み、あるいは出願中のものを担保に入れなくてはいけません。

また、担保を評価する際に手数料が発生する場合もあるため、融資に必要なコストを確認してから利用しましょう。

 

事業性評価融資制度とは?

将来性も加味して融資を決定する制度

事業性評価融資制度は一般的な融資制度とは異なり、これから取り組もうとしている事業内容を評価し、その事業性はもちろん、将来性をも考慮したうえで融資が妥当かどうかを判断する制度となっています。

中小企業庁、金融庁、日本政策金融公庫などの公的機関が積極的に制度の推進を行っています。

通常、企業に対する融資は経営状況が最大の判断材料になります。

簡単に言ってしまえば「この企業は借りたお金をきちんと返せる経営状況にあるのか」が問われるわけです。

安定した経営が続いているのか、万一のときに持ちこたえられる資産があるのか、借入金が多すぎる、税金を滞納したことがあるといった問題を抱えていないかどうかなど。

純粋に経営上の余力を重視するわけです。そのためなかなか経営状況が安定せず、資産も十分に持っていない中小企業の場合、銀行に融資を依頼しても断られてしまうことが多いのです。

しかしそうした中小企業ほど事業を進めていくうえでお金を必要としているのが実情です。

また、経営を安定化、革新するためには思い切った取り組みが必要なケースも少なくありません。

変化が激しい現代ビジネスでは新しい取り組みに積極的に乗り出さないと生き残るのが難しい面もありますし、逆に新事業への積極的な進出が一気に業績を伸ばすチャンスをもたらすケースも増えています。

経営の規模がもともと少なく資金繰りに苦労している中小企業の場合、新しい取り組み、経営の革新をしようと思っても資金力がついてこないために挫折してしまう、中途半端に終わってしまうといったことも少なくないのです。

経営状況だけで融資が妥当かどうかを判断してしまうと、こうした中小企業が経営を改善する機会をつぶしてしまうことにもなりかねません。

それでは日本の経済全体にとっても大きなマイナスになってしまいます。そうしたことから創設されたのが事業性評価融資制度なのです。

その特徴とは?

この制度の最大の特徴は事業内容とその事業にどれだけ可能性があるか、魅力や成長の可能性を考慮したうえで融資を行うかどうか決める点にあります。

つまり申し込んだ企業の経営状況があまり安定していない場合や、これから手がけようとしている事業の内容がその企業の規模を超えていてリスクが大きいといった場合であっても事業そのものに魅力がある、成功の可能性が高く、十分に融資した分を回収できると判断した場合に融資を行うわけです。

その意味では投機的な部分も大きな制度ですが、中小企業にとっては資金力の足かせでなかなか取り組めなかった新事業への進出ができる魅力があります。

もちろん審査をクリアする必要がありますが、新事業の計画がある企業にとっては申し込んでみる価値が十分ある制度といえるでしょう。

日本政策金融公庫では、農林水産事業において、事業性評価融資制度を取り入れています。

農業経営基盤強化資金(スーパーL資金)という融資制度において、事業性評価融資による実質無担保・無保証の貸付が可能になっています。