事業者カードローン当座貸越根保証とは+セーフティーネット保証制度とは+流動資産担保融資保証制度(ABL保証)とは+特定社債保証制度とは

信用保証協会の「事業者カードローン当座貸越根保証」とは?

手軽に融資を受けられるうえに融資枠を確保できる制度

信用保証協会では中小企業を対象としたさまざまな保証制度を用意していますが、その中でもカードローンを利用し、利便性の高さを備えた制度が事業者カードローン当座貸越根保証です。

これは事業者カードローンを利用することで、必要なときに資金を調達できる非常に便利な制度となっているのが大きな特徴です。

融資を受ける際には事前にいろいろと準備が必要ですし、審査をはじめとしたさまざまなハードルをクリアする必要があります。

その一方で中小企業の場合、資金繰りの悪化や当座の現金を確保するのが困難な状態に陥るなど、急ぎで資金調達を必要とするケースが少なくありません。

景気の動向や取引先の経営破たんなど、危機が連続して迫ってくることもあります。

それだけに資金調達は必要なときに迅速にできるかどうかが重要なポイントとなってくるわけです。

それに対して銀行の保証は審査をクリアするのが難しいだけにとどまらず時間がかかる、必要なときにすぐに調達できないといった難点も抱えています。

こうした事情から、つい消費者金融をはじめとした金利が高めの融資を利用してしまい、利息が膨れ上がったり多重債務の陥ったりといった苦境に立たされることが多くなるのです。

事業者カードローン当座貸越根保証はそうした問題をクリアし、必要なときに簡単に融資を受けられる制度として設けられました。

最大のポイントは事業者カードローンを利用してCD・ATMを使って資金調達ができる点です。

融資を受けるときにどうしてもつきまとう手続きの面倒を省くことができるだけでなく、さまざまな事情で事業所の地元以外の遠隔地でお金を必要とするケースでもCD・ATMさえあれば調達することができるのです。

事業者カードローン当座貸越根保証の利用条件

まるで消費者金融の融資のような便利さですが、もちろんどの企業でも利用できるわけではなく、一定の条件をクリアする必要があります。

まず同一の事業で3年以上の実績があること、2期以上の確定申告を行っていること、申し込む金融機関との与信取引が6ヶ月以上あること。

この3点を満たしたうえで信用保証組合が定める財務要件などを満たしている必要があります。

つまり企業としての最低限の実績と経営状況が必要になるわけです。

保証限度額は100万~2000万円。

保証期間1年または2年。融資利率は利用する金融機関によって定められます。

用途は運転資金・設備資金どちらにも利用可能です。

なお、企業の場合は原則として法人代表者が保証人になる必要がありますが、個人事業主の場合は原則として保証人は不要です。

 

 

信用保証協会の「セーフティーネット保証制度」とは?

中小企業を救済する制度

中小企業の疲弊が日本経済の地雷原になっているといわれています。

先行き不透明な景気の動向はもちろん、経済のグローバル化・国際化の影響で大企業による中小企業の経営への圧迫などが大きな問題となっています。

そんな中小企業の厳しい経済状況が問題なのは、もしある会社が経営危機に陥ったり、破綻してしまった場合にはその会社の問題だけでは済まされないことです。

とくに怖いのは連鎖倒産です。

たとえばA社が破綻してしまった場合、取引関係にあったB社やC社が本来A社から受け取るはずだった決済の代金が回収できなくなってしまったことで経営の危機に追い込まれてしまう恐れがあります。

中小企業の多くは次の売り上げを回収できることを前提にギリギリのところで資金繰りを行っているパターンが多く、ひとつの企業が破綻状態に陥ってしまうと取引先の会社が連鎖反応のように破綻してしまう可能性があるわけです。

セーフティーネット保証制度はそうした経営危機に陥った企業の影響で連鎖倒産の危機に陥った企業を救済するために、資金調達の融資の際に保証を行う制度です。

なお、この制度が適用される範囲は幅広く、先述した取引先の企業の破綻だけでなく金融機関の破綻、さらには災害などによる経営不振などに対しても適用が可能となっています。

利用の際の条件やポイント

セーフティーネット保証制度はこうした危機に陥った企業ならどこでも利用可能ですが、その際には事業所がある市町村の村長、もしくは特別区長の認定を受けることが大前提となっています。

つまり自己申告で「思わぬとばっちりを受けて経営危機に陥っている」と報告するだけでは不十分で、そうした状況に陥っていることを客観的に証明する必要があるわけです。

保証限度額に関してはまず「一般保証限度額」と「別枠保証限度額」に2段階に分けられており、状況によって一般保証限度額にプラスして別枠保証限度額も利用することができます。

限度額はどちらも共通しており、普通保証では2億円以内、無担保保証では8000万円以内、無担保保証人の場合では1250万円以内となっています。

ですから担保や保証人を用意できるかどうかでずいぶんと状況が変わってくることになります。

利用の際には事業所がある市町村の商工担当課などに申請書を提出し、認定書を受け取ったうえで申し込むことになります。

もし不測の事態で経営の危機に陥っている場合には、正しい申し込みの手順を踏まえつつ、利用を検討してみてはいかがでしょうか。

 

信用保証協会の「流動資産担保融資保証制度(ABL保証)」とは?

中小企業や小規模経営者に保証を行う制度

中小企業や小規模経営者が経営を行っていくうえで大きな悩みの種となるのが資金調達の手段です。

ギリギリの経営状況で何とかやりくりしている企業も多く、また資金力が十分でないため、いざお金が必要になったときに自前で乗り切ることが難しいケースも多く見られます。

そんな時には必要なときに必要なお金を調達できる方法を確保することが求められるわけですが、中小企業ではなかなか難しい部分があります。

中小企業の資金調達を難しいものにしているのは担保となる資産の不足、具体的に言えば不動産担保の不足です。

融資を受ける場合には原則として担保を必要としますが、中小企業や小規模経営者は担保にふさわしい不動産や担保を持っていないことも多く、融資を受けにくい環境におかれているのです。

公的支援など担保がなくても融資を受けられる制度もありますが、一定の条件をクリアしなければならないなどハードルがあり、思うように利用できないケースも少なくありません。

不動産のような担保を持っていないからこそ経営状況が厳しく、お金を必要としているにもかかわらず担保がないから資金調達ができない、そんな悪循環が中小企業の経営を圧迫している面が、日本のビジネスシーンでは存在しています。

これは経営危機を乗り切れるかどうかだけの問題ではなく、新事業への乗り出しや経営改善に必要な資金を調達できないといった問題とも直結しています。

流動資産担保融資保証制度(ABL保証)とはそうした担保、とくに不動作担保に依存した融資制度の現状を改善するために設けられた制度です。

どのような制度なのか?

簡単に言えば不動産などの「安定した」担保がなくても、企業が持っている棚卸資産や売掛債権を担保にして、金融機関から融資を受けることができる制度です。

より正確にはこれらを担保にして融資を受ける際に、全国信用保証協会が保証してくれる制度となっています。

信用保証協会がその会社の信用保証をすることで金融機関が融資を行いやすい環境にするわけです。

保証限度額は2億円、保証期間は根保証で1年間、個別保証で1年以内。保証人は法人の代表者のみで可能です。

気になる信用保証料は借入極度額・借入金額に対して年0.68パーセント。

どうしても思うように資金調達ができず金融機関から融資を断られ続けている、という企業はこの制度の利用を検討してみてはいかがでしょうか。

全国の信用保証協会で受け付けています。

 

信用保証協会の「特定社債保証制度」とは?

社債を発行することで資金調達を目指す際の保証制度

企業が資金力を強化し、経営を安定化させたり新事業の立ち上げを行ったりする際の選択肢として利用できるのが社債です。

ただこの社債を発行するためには会社の信用が不可欠なため、経営が安定している企業や資金力に余力がある大企業では比較的利用しやすい一方、中小企業ではなかなか難しい面があります。

そんな社債の発行をサポートするための保証制度が「特定社債保証制度」です。

これは社債を発行することで市場から直接資金調達を目指す中小企業・小規模事業者を対象に設けられた制度で、中小企業の経営の安定化や改善をサポートするために信用保証協会が用意している保証制度のひとつになっています。

利用する際の条件

ただこの制度はどの中小企業・小規模事業者でも利用できるわけではなく、経営の規模、経営状況などで設定されたいくつかの条件・基準をクリアする必要があります。

基準は各項目ごとに(1)~(3)までの3段階が設けられています。

まず(a)純資産額では基準(1)では5000万円以上3億円未満、(2)では3億円以上5億円未満、(3)では5億円以上。

そのほか(b)自己資本比率、(c)純資産倍率、(d)使用総資本事業利益率、(e)インスタレスト・ガバレッジレーシオなどの項目が用意されています。

ポイントとなるのはこれらの項目・基準をすべて満たしている必要はないことです。

まず(a)を満たしていることが大前提のうえで「bまたはcのいずれかを満たしている」うえで、プラス「dまたはeのいずれかを満たしている」ことが条件となっています。

ですからこの制度が利用できるかどうか、項目に合わせて自分の会社の状況を詳しく確認しておく必要があるのです。

保証割合は80パーセント、発行時の限度額は5億6000万円が限度額となりますが、実際の保証限度額はその80パーセントの4億5000万円となります。

ですから経営状況や資金力、今後の利益の見通しなども踏まえた上で慎重に金額を設定することになります。

なお保証そのものは取り扱い金融機関との共同保証となります。

保証人は不要、保証期間は7年間です。

経営状況が厳しい、あるいは新事業に乗り出したい、ここで社債を発行できれば絶好のチャンスを活かすことができるのに…といったケースにこの制度を利用すると資金調達と資金力の強化に役立つでしょう。

なかなかままならない中小企業における社債の発行をサポートしてくれる魅力的な支援制度といえそうです。

無理のない範囲内で効果的にこの制度を活用できるよう、事前に入念な資金・事業計画を練った上での申し込みが求められるでしょう。