中小企業投資促進税制とは?+生産性向上設備投資促進税制とは?+研究開発税制とは?

中小企業投資促進税制とは?

■中小企業投資促進税制ってどんな制度?

中小企業投資促進税制とは、中小企業などの生産性を高めるための機械やIT機器の導入を促すのを目的とした税制優遇制度で、資本金1億円以下の中小企業などが対象となります。

コンピュータなどのIT機器やソフト、機械などを購入した場合に、購入価格の30%の特別償却か、7%の税額控除か、いずれかの優遇制度を受けられます。

ただし7%の税額控除が受けられるのは、個人事業主か資本金3,000万円以下の中小企業のみに限定されています。

対象となる設備機器は、(1)160万円以上の機械、(2)複数台で120万円以上のコンピュータ、(3)1台120万円以上のOA機器、(4)1台30万円以上、複数台計で120万円以上の試験・測定機器および、工具、(5)複数計で70万円以上のソフトウェア、(6)3.5トン以上の自動車、(7)内航船舶です。

さらに、これらの機器が、事業の生産性を高めるものであった場合、上乗せ措置として特別償却割合30%を即時償却として処理でき、個人事業主または資本金3,000万円以下の中小企業の場合は、税額控除割合を10%(通常は7%)に引き上げるといった措置が適用されます。

資本金3,000万円を超す法人の場合は、税額控除は7%です。

■生産性を高める設備とは?

税制優遇の上乗せ措置が受けられる生産性を高める設備とは、以下の2つに分けられます。

1つ目は、最新モデルのサーバー用電子計算機や測定器などで、旧モデルに比べて1%以上の生産向上性が見込まれるコンピュータ、試験・測定器に加え、データ管理のためのソフトウェアといった先端設備です。

2つ目は、生産ラインなどの改善によって、投資利益率が5%以上になるように計画された設備です。

■適用期間

中小企業投資促進税制には、適用期間が決められています。利用できる期間は、申し込んでから3年間で、最終リミットは2017年3月末までです。

中小企業の場合、設備投資は生産性向上に不可欠だとわかっていても、設備投資のための資金を工面できずに、先送りにせざるを得ないケースも少なくありません。

しかし、このような税制優遇制度を積極的に利用すれば、税制負担が軽くなり、設備投資に取り組みやすくなります。

ただ期間が限定されていますので、中小企業投資促進税制を活用するなら、今しかチャンスがありません。

特に上乗せ措置が受けられる生産性が高まる設備の購入の場合、申請などに手間がかかるので、顧問税理士に相談しながら早めに手続きすることをおすすめします。

 

 

生産性向上設備投資促進税制とは?

■設備投資をして節税しよう!

生産性向上設備投資促進税制とは、上質な設備投資について、特別償却50%か、最大4%の税額控除が受けられる優遇税制措置です。

対象となるのは青色申告をしている法人または個人事業主で、(A)最新設備、または(B)利益改善のための設備に費やした費用について優遇措置が受けられます。

■(A)最新設備

最新設備は(1)160万円以上の機械装置、(2)単体で30万円以上かつ合計で120万円以上の工具・器具、(3)120万円以上の建物、(4)単体で60万円以上かつ合計で120万円以上の建物附属設備、(5)単体で30万円以上かつ合計で70万円以上のソフトウェアが対象です。

ただし最新モデルであること、生産性が従来設備に比べて平均1%以上向上していることが条件となります。また申請には、設備を購入したメーカーが発行した証明書が必要です。

■(B)利益改善のための設備

利益改善のための設備は(1)160万円以上の機械装置、(2)単体で30万円以上かつ合計で120万円以上の工具・器具、(3)120万円以上の建物・構築物、(4)単体で60万円以上かつ合計で120万円以上の建物附属設備、(5)単体で30万円以上かつ合計で70万円以上のソフトウェアが対象です。

中小企業の場合は投資利益率が5%以上であることが条件で、事前に投資計画を立て、公認会計士か税理士の確認を受けた上で、経済産業局へ申請する必要があります。なお、投資利益率は(営業利益+減価償却費)の増加額/設備投資額で算定します。

(A)の最新設備の場合、単体での設備投資でも申請でき、事業計画書を作成する必要がないので、比較的簡単に利用できるメリットがあります。

■適用期間

生産性向上設備投資促進税制には、適用期間が設けられています。特別償却50%が受けられるのは、2014年1月20日から2016年3月31日まで。

最大4%の税額控除が受けられるのは、2016年4月1日~2017年3月31日までです。

2016年4月以降は特別償却50%の税制措置は現在では利用できませんが、最大4%の税額控除の適用なら2017年度中は利用できます。目前に期限が迫っていますから、設備投資を考えておられる方は、早めに手続きを行ってください。

■注意点

この税制措置では、中古品や海外で使用する設備は対象外となるなど、対象となる設備が限定されています。機器購入や設備投資の前に、これらの税制対象となるのかどうかを確認しておくことが大切です。

(これらの情報は、2016年6月時点のものです)

 

 

 

研究開発税制(試験研究費の総額に掛かる税額控除制度と中小企業技術基盤強化税制)とは?

■研究開発税制について

研究開発税制とは、民間企業の研究開発を促し、日本の経済成長力や国際競争力を高めることを目的とした優遇税制です。

法人税の申告の際に、試験研究費が経費として計上されている場合に、その事業年度の法人税の支払額の一部に控除が適用されます。

研究開発税制は(1)試験研究費の総額に係る税額控除制度、(2)特別試験研究に係る税額控除制度、(3)中小企業技術基盤強化税制、(4)試験研究費の額が増えた場合等の税額控除制度の4つに分かれています。

このなかでも中小企業の事業主にとって大切なのが、(1)の試験研究費の総額に掛かる税額控除制度と、(3)の中小企業技術基盤強化税制です。

■試験研究費の総額に掛かる税額控除制度

この制度は、法人税から試験研究費の一部が控除される優遇制度で、青色申告をしている法人が対象となります。試験研究費として認められるのは、新製品や製品の改良などに必要な試験研究に必要な原材料費や、人件費などです。

■中小企業技術基盤強化税制

この税制は、中小企業を支援するための税制優遇措置で、法人税の支払額から、試験研究費の12%までの控除が受けられます。ただし、法人税支払額の20%が上限となっています。

(2)の特別試験研究に係る税額控除制度は、オープンイノベーション型の特別試験研究費に対する控除制度で、特別試験研究費の20%が控除されます。

(4)試験研究費の額が増えた場合等の税額控除制度は、2017年3月末日までの間に開始する各事業年度において研究費が増えたり、研究費が事業年度の売上金額の10%以上になったりした場合に、利用できます。

4つの制度のなかから、自分の会社に当てはまるものを選ぶのがよいのですが、(2)は大規模な試験研究が対象となっていますし、(4)は研究費の増額が発生したケースとなります。

このことから考えると、中小企業の場合は(1)と(3)の制度を利用するケースが多くなります。

ただし、研究開発に関する税制優遇制度は細かな決まりなどが設けられているので、利用する際には事前に税理士に相談し、適切なアドバイスを受けながら研究開発を進めることが大切です。

特に中小企業の場合、専任で研究に当たるだけの人材が確保できず、一人の研究者が複数の案件を抱えていることも多いものです。このようなケースでは、業務の区切りをどこに置くのかなどの判断が難しくなります。

研究開発費の計上についても、プロのアドバイスを受けることをおすすめします。