中小企業再生支援協議会とは?+中小企業再生ファンドとは?+経営者保証に関するガイドラインとは?+経営セーフティ共済の活用法

中小企業再生支援協議会とは?

中小企業再生支援協議会とは中小企業の事業再生を支援する目的で設立された支援機関のことです。中小企業再生支援協議会は、中小企業が健全な企業経営を行なえるよう必要な支援を差し伸べます。

基本的に中小企業の事業再生には2つの方法があります。それは裁判所を通じて行なう法的な事業整理と、裁判所を介さずに事業再生を行なう任意整理です。

中小企業再生支援協議会は後者の裁判所を介さない任意整理を選択する企業をサポートする役割を担っています。

中小企業再生支援協議会には事業再生に関する経験豊富な専門家が在籍しています。中小企業からの経営相談に応じ、相談内容に従って適切に対応します。

初回の段階では相談料を含めて利用は無料です。

相談段階で事業再生ができない場合は、企業の事業再生計画を策定して必要な支援措置を講じます。具体的には債務整理に関するヒヤリングや債務の返済計画の立案、事業再生を行なうための経営改革などの支援です。

事業が行き詰った中小企業は経営を立て直すために専門家のサポートを活用することが欠かせません。

中小企業再生支援協議会は任意整理をサポートしますが、公的整理に近い方法で事業再生を行なうため、企業の経営状況を適切に回復させることが可能です(公式ページ:中小企業再生支援全国本部)。

 

 

中小企業再生ファンドとは?

中小企業で、債務超過など経営面での問題を抱えている会社は珍しくはありません。しかし、一方でそのような中小企業の中には稼げるだけのポテンシャルを持っているところも多く、現在の危機を乗り越えれば何とかなるケースも多いのです。中小企業再生ファンドは、そのようなポテンシャルを持っていながらも経営危機に陥っている会社を支援するためのファンドです。

金融機関や中小企業基盤整備機構、投資会社、地域経済活性化支援機構など様々な組織が中小企業再生ファンドの投資に携わります。投資した会社が経営危機から立ち直り再建すれば、債権の売却などの方法で投資した組織も利益を得られるのです。

すでに発行済の株式や新株予約権付社債を取得する、金融機関が所有している貸出債権を買い取り放棄することで借金を減らす、中小企業再生支援協議会と連携して再生計画を作る、その分野の専門家を派遣して経営の立て直しを図るなど、中小企業再生ファンドは様々なアプローチをしてその企業が再生できるよう尽力します。

中小企業再生ファンドの力を借りたい、そのような場合は経営計画や資金計画を作成しないといけません。中小機構の地域本部とも相談した上で、投資会社を探します。

 

 

 

経営者保証に関するガイドラインとは?

経営者個人に借金を肩代わりさせるのは日本経済にとってマイナス。

中小企業庁・金融庁の後援のもと、日本商工会議所・一般社団法人全国銀行協会が事務局となり、経営者保証の提供がない状態での融資や保証債務の整理における中小企業・経営者・金融機関共通の自主的なルールとして策定・公表されたガイドラインを指しています。

中小企業においては、金融機関からの融資において、経営者および家族・親族などの個人が返済を保証すること=個人保証が広く用いられています。

個人保証により円滑な資金調達ができる一方、次の3つのリスクも指摘されてきました。

1)倒産・廃業時におけるリスク

倒産・廃業時に経営者自身が債務の返済を行う責任が生じるため、経営者自身の財産を失う可能性が高くなっています。

2)事業承継時におけるリスク

事業承継の際、後継者が個人保証をためらうため、円滑な事業承継の妨げになっています。

3)事業再開時におけるリスク

企業が倒産した場合、個人保証を行った経営者が破産に追い込まれ、信用情報に登録されるため、再度会社経営に乗り出すのが事実上困難な状況に陥ります。

これらのリスクに対処するため、次に掲げる条件を満たす場合、本ガイドラインを活用し、経営者保証なしの新規融資、経営者保証の解除、有利な条件での保証債務の履行・整理が行える仕組みが構築されました。

<本ガイドラインの対象者>

次の条件をすべて満たせば、対象者となり優遇措置が受けられます。

1)主債務者が中小企業である。

2)保証人が個人であり、主債務者である中小企業の経営者等である。

3)主債務者である中小企業と保証人であるその経営者等が、弁済に誠実で、債権者の請求に応じて負債の状況を含む財産状況等を適切に開示している。

4)主債務者と保証人が反社会勢力でなく、そのおそれもない。

<中小企業に求められる経営状況>

1)法人と個人の分離

役員報酬・賞与・配当、経営者個人への貸し付けなど、法人と経営者との間の資金のやり取りについて「社会通念上必要な範囲」を超えないようにする体制を整備し、適切な運用を図らなくてはいけません。

2)財務基盤の強化

財務状況や業績の改善を通じた返済能力の向上に取り組み、信用力を強化しなくてはいけません。

3)情報開示

自社の財務状況を正確に把握し、金融機関からの開示要請に応じて、資産負債の状況・事業計画・業績見通し及び進捗状況などの情報を正確・丁寧に説明し、経営の透明性を確保しなくてはなりません。

なお、ガイドラインの活用及び前提となる経営状況の整備に関しては、専門的な知識が必要となるため、弁護士・公認会計士等の専門家のアドバイスを仰ぎながら進めるのが望ましいでしょう。

日本政策金融公庫も積極的にガイドラインの運用を行っています。

日本政策金融公庫の公式ページでも公開されているように、民間銀行だけでなく、公的金融機関の代表格でもある日本政策金融公庫も、ガイドラインに基いて業務を行うように努力すると述べています。

「経営者保証に関するガイドライン」に基づき、誠実に対応してまいります:日本政策金融公庫HP

公庫においては、努力するだけでなく、実際に経営者保証が不要の制度を多数設けています。

起業家や中小企業経営者が積極的に活用すべきはやはり日本政策金融公庫ということになるのでしょう。

日本政策金融公庫の各制度についての詳細はこちらのページで解説しております。

日本政策金融公庫の経営者保証免除特例制度について

<参考>

中小企業庁:経営者保証に関するガイドライン

→ http://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/keieihosyou/

経営者保証ガイドライン – 全国銀行協会

→ http://www.zenginkyo.or.jp/abstract/adr/adrsme/guideline/

経営者保証に関するガイドライン

→ http://hosyo.smrj.go.jp/

 

【どこよりも分かりやすく解説!】経営セーフティ共済の活用法とそのメリット

 

創業間もないベンチャー企業、中小企業にとって一番怖いことって何でしょうか?

色々あるはずですが、取引先の倒産はかなり怖いことでしょう。

売掛金が回収できなければ資金繰りに影響を及ぼす上に、最悪の場合は連鎖倒産にまで発展する可能性もあります。

どうにかして、リスクに備える手段はないのでしょうか?

一つの手段として提案したいのが、経営セーフティ共済です。ぜひ押さえておきたい知識を徹底解剖します!

目次(もくじ)

  1. 経営セーフティ共済とは?
  2. 経営セーフティ共済のメリット
  3. 経営セーフティ共済のデメリット・注意点
  4. 経営セーフティ共済に加入できるのは?
  5. まとめ

1.経営セーフティ共済とは?

1-1.リスクヘッジとして活用できる

経営セーフティ共済は、独立行政法人中小企業基盤整備機構が提供する共済です。

正式名称は中小企業倒産防止共済ですが、経営セーフティ共済という通称が一般的に用いられています。

毎月一定額の掛金を納めていれば、取引先の倒産などによりキャッシュフローが悪化した場合に、納めた掛金の最大10倍の資金を借り入れられる仕組みです。

ベンチャー企業、中小企業において、取引先の倒産などによる経営上のリスクヘッジの手段として活用できます。

2.経営セーフティ共済のメリット

2-1.連鎖倒産を防止できる

経営セーフティ共済の最大のメリットは、連鎖倒産に備えられる仕組みを有していることです。

取引先が倒産した場合、実際の損害額と納付済掛金の10倍の金額のうち、どちらか少ない金額を融資してくれます。数字を用いてみましょう。

  • 取引先が倒産し、3,500万円が貸し倒れた。
  • 納付済掛金は250万円。

→この場合、3,500万円>250万円×10倍=2,500万円より2,500万円の融資が受けられます。

2-2.掛金を全額経費にできる

経営セーフティ共済の掛金は、全額経費として損金に算入できます。節税をしながら万が一に備えられるという意味でもメリットが大きいです。

2-3.幅広く備えられる

掛金は毎月5,000円から20万円までの間で設定できます。最大800万円まで積立可能です。月10万円掛金を設定したら、80か月にわたって積み立てられます。

2-4.解約しても掛金が戻ってくる

12か月以上掛金を納付していれば、解約しても掛金が戻ってきます。経費として計上することで節税できる分を貯金する、という効果があるのもメリットです。

2-5.一時貸付金が利用できる

取引先の倒産以外の理由で臨時の事業資金が必要となった場合に利用できる制度です。

納付期間に応じて最大で掛金の95%相当額の融資が受けられます。12か月以上掛金を納付しているのが利用条件です。

3.経営セーフティ共済のデメリット・注意点

3-1.実質的には無利息ではない

貸付自体は無利息となっていますが、貸付を受けると共済金の貸付額の10分の1に相当する額が払い込んだ掛金から控除されます。

つまり、2,500万円を借りた場合は250万の掛金が消えてしまうのです。10%の利息を支払っているのと同じと考えてください。

3-2.解約のタイミングに注意

解約した場合、解約返戻金が受け取れますが、掛金の払込期間が40か月未満だと元本割れします。

さらに、12か月未満では解約返戻金は0円となるので掛け捨てと変わりません。利用する場合、解約のタイミングに注意しましょう。

3-3.解約返戻金を受け取った時点で課税される

掛金は経費として損金に算入できるので、一時的に節税できます。

しかし、共済を解約して、解約返戻金を受け取った場合には課税されるのです。

法人は支給を受けた時点での益金として、個人事業の場合は事業所得の雑収入として経理・税務上の処理が行われます。

4.経営セーフティ共済に加入できるのは?

4-1.会社または個人の事業所の場合

会社または個人の事業所の場合、資本金の額または出資の総額、常時使用する従業員数のy条件で加入資格があるか判断されます。

どちらか一方に該当すれば加入資格があるので覚えておきましょう。わかりやすく表にしました。

業種 資本金の額または出資の総額 常時使用する従業員数
製造業、建設業、運輸業その他の業種 3億円以下 300人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
小売業 5,000万円以下 50人以下
ゴム製品製造業(自動車または航空機用タイヤおよびチューブ製造用ならびに工業用ベルト製造業を除く) 3億円以下 900人以下
ソフトウェア業または情報処理サービス業 3億円以下 300人以下
旅館業 5,000万円以下 200人以下

4-2.組合の場合

組合の場合、形態によって加入できるかどうかが定められています。

これも分かりやすく表にまとめました。

加入できる 加入できない
企業組合
協業組合
共同生産、共同販売等共同事業を行っている事業協同組合
事業協同商組合
商工組合
医療法人
農事組合法人
NPO法人
森林組合
農業共同組合
外国法人

6、まとめ

経営セーフティ共済はベンチャー企業、中小企業にとって、万が一の場合のセーフティーネットとして活躍してくれる共済です。

節税、資金調達の面で大きなメリットを有しています。

しかし、実際に融資を受けたときは掛金が減るなど、制度を熟知していないと活用が難しいのも事実です。

導入・活用については、税理士などの専門家のアドバイスを受けて行うのをおすすめします。