第5章 「製品戦略」のポイントとは?-ヒット商品の条件や、ブランド戦略の基本と考え方-
1,製品、製品戦略とは何だろう(製品戦略の9つのポイント)
製品戦略は、これらをトータルに組み合わせる必要があります。どんなにすばらしい価格・流通・販促があっても製品戦略がなければ意味を成しません。製品戦略はマーケティングの4Pのスタート地点になります。
「製品戦略の9つのポイント」
パッケージング、サービス、アイデア、ターゲット、ライフサイクル、基本性能、デザイン、ネーミング、ブランド(本質的な要素)
「その他の補助的な要素」
アフターサービス、保証、配送、信用供与、取り付け
2、新製品を開発するための手順を知っておこう(新製品開発の7段階とは)
製品開発のプロセス
①アイデアの収集と吟味
②製品コンセプトづくり
③マーケティング戦略の策定
④事業経済性の分析
⑤製作品開発
⑥テスト・マーケティング
⑦生産と市場導入
3、「製品」はどのように分類されるのか?(最寄品・買回品・専門品に分類される)
マーケティング上の製品の分類①
<購買行動による分類>
最寄品(最寄の店で買うもの)→食品、雑貨、雑誌など
買回品(製品を比較して買うもの)→衣料品、家具、家電など
専門品(買うための努力をおしまないもの)→高級ブランド服、高級アクセサリー、高級カメラなど
マーケティング上の製品の分類②
<物理的特性で分類>
耐久財→家、車など長期間使用できるもの
非耐久財→化粧品、洗剤などの試用期間が短いもの
サービス→宿泊、カウンセリングなど無形のもの
<使用目的で分類>
消費財→食品、衣服など消費されるためのもの
生産財→工作機械、建築機械など生産するためのもの
4、ネーミングとパッケージングの効果とは(製品戦略には、名前と外見も大切になる)
ネーミングやロゴ・マークのできによって売れ行きにも変化する。
パッケージングは4つの役割を考えて工夫する必要があります。
パッケージングの役割
①デザインなどで消費者をひきつける
②物流を効率的にする→立方体や直方体は保管・梱包・運搬がしやすい
③ディスプレイの効率を上げる→上部に穴をあけたビニール袋のパッケージングは梱包はかさむが、陳列しやすい
④製品の品質を保持する
5、「ブランド」とはいったい何なのだろう(消費者に安心感、信頼感をもたらすものだが)
ブランドは製品戦略に必要不可欠。名前やデザインだけがブランドではない。
「ブランド」とは?
名前・記号・デザイン商標などもあるが、なんとなくかっこいいとか、漠然と素敵、といったものもブランドになる。
「ブランド」のメリットとは?
①高めの価格設定ができる
安心感・信頼感から、余計に対価を支払ってもよいと感じてもらえる
②品質の保証ができる
保証書や告知がなくても、商品に対する信頼感を感じてもらえる
③指名買いが期待できる
買ったことのない商品でも、安心して選んでもらえる
④継続買いが期待できる
ブランド・ロイヤリティーが生まれ、反復購買につながる
⑤類似商品を出にくくなる
ブランドを確立したほうが本家になり、商標登録すれば法的保護を受けられる
6、ブランド戦略の基本とは?(ブランドというものの、本質とさまざまな戦略)
ブランドにもさまざまな種類がある。
「5つのブランド戦略」
企業(コーポレート)ブランド
(例)ソニー・マクドナルド
事業ブランド
(例)パナソニック・プリンスホテル
ファミリー・ブランド
(例)植物物語、無印良品
製品群ブランド
(例)セブンスター・カップヌードル
製品ブランド
(例)アサヒスーパードライ・サントリーモルツなど
「ナショナルブランド」と「プライベート・ブランド」
ナショナル・ブランド→大手メーカーがつくる全国展開のブランド
プライベート・(ハウス)ブランド→流通業者がつくるブランド。(例)トップバリューなど
デザイナーズ(キャラクターズ)ブランド→主に有名なデザイナーがデザインになるブランド
ノーブランド→量販店などがブランドをつけずに一般名称で販売する製品
7、製品の「ライフサイクル」を考えておこう
製品のライフサイクルのカーブをつかむ。どんな製品にもライフサイクルがある!
主に 導入期・成長期・成熟期・衰退期 に分かれます。
製品の「ライフサイクル」とマーケティング
導入期 収益上は赤字→それでも販売促進策をとる
成長期 競合品が増える→バリエーションを増やすなど
成熟期 始業での価格が下がる→販売価格も下げる
衰退期 販売予算も減る→撤退も考える→新製品を開発?
8、市場における製品の位置づけを考えよう(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント=PPMの考え方)
通常、企業は複数の製品を生産・販売しているものです。そうすると、個別の製品戦略とは別に、バランスを考える必要が出てきます。つまり、複数の製品や事業分野を調整し、全体の利益と成長をはかることが求められています。そのための開発されたのが、PPMです。
製品全体のバランスを見るPPM
ここに各製品をプロットしていく。商品全体のバランスを見よう。
花形製品(スター) | 問題児(ワイルドキャット) |
金のなる木(キャッシュ・カウ) | 負け犬(ドッグ) |
花形商品・・・シェアを守りながら市場成熟期に金のなる木をめざす
問題児・・・資金をかけて花形商品にするか、撤退するか
金のなる木・・・このままできるだけ儲けを大きくする戦略を考える
負け犬・・・できるだけ儲けをふやす戦略を考えるか、撤退する