■商品売買について
- 商品売買の5つの論点
- ・付随費用(引き取りの費用、発送費)
- ・返品(返品する/される)
- ・原価・有高の算定
- ・前払金と前受金
- ・クレジットカードでの販売
今の簿記上では分記法ではなく、三分法を用いる。
- 基本例)分記法
- 商品1個を80円で現金購入した
- (借)商品80/(貸)現金80
- 上記の商品を100円で現金販売した
- (借)現金100/(貸)商品80+商品売買益20
- 基本例)三分法
- 商品1個を80円で現金購入した
- (借)仕入80/(貸)現金80
- 仕入という費用の増加/現金という資産の減少
- 上記の商品を100円で現金販売した
- (借)現金100/(貸)売上100
- 現金という資産の増加/売上という収益の増加
➡三分法では商品という資産が増えることに関しては「仕入」とし、商品の売却と商品売買益については「売上」とする。商品に関する科目を、、、
仕入(商品という資産を費用と考える)
売上(収益と考える)
繰越商品(資産とする=普段は使用しない) の3つで示すから三分法という。仕入と売上は+と-でセットで考える特殊な方法。商品売買の時のみ三分法適用される。決算時に利益の詳細を出す。
●商品売買基本例
- ①1個800円の商品を10個、掛けで購入した
- (借)仕入8,000(貸)買掛金8,000
- 仕入という費用の増加/買掛金という負債の増加
- ②1の代金を、小切手を振り出して支払った。
- (借)買掛金8,000(貸)当座預金8,000
- 買掛金という負債の減少/当座預金という資産の減少
- ※自己振出小切手は当座預金から落ちるため科目は当座預金とする。
- ③1の商品を8個を1個2,000円で掛け販売した
- (借)売掛金16,000(貸)売上16,000
- 売掛金という資産の増加/売上という収益の増加
- ④3の売掛金を全額、先方振出の小切手で回収した
- (借)現金16,000(貸)売掛金16,000
- 現金という資産の増加/売掛金という資産の減少
●論点1:付随費用(引取の費用、発送費)
例1)A社はB社へ100円の商品を掛け販売した。なおB社は発送費用10円を現金で運送業者に支払った。(発送費はB社負担という契約)。
- A社側
- (借)売掛金100(貸)売上100
- B社側
- (借)仕入110(貸)買掛金100
- (貸)現金10
- ★簿記のルール上、取得するためにかかった費用は取得原価に含める。
例2)A社はB社へ100円の商品を掛け販売した。なおA社は発送費用10円を現金で運送業者に支払った。(発送費はA社負担という契約)。
- A社側
- (借)売掛金100(貸)売上100
- (借)発送費10(貸)現金10
- B社側
- (借)仕入100(貸)買掛金100
- ★こちらは取得する側のB社は発送費を払わないので、仕入110とするのではなく、別の費用が発生したとしている。
例3:A社はB社へ100円の商品を掛け販売した。なおA社は発送費用10円を現金で運送業者に支払った。(発送費はB社負担という契約)。つまりはA社が発送費を建て替えた。
A社側
- (借)売掛金100(貸)売上100
- (借)立替金10(貸)現金10
- あるいは
- (借)売掛金110(貸)売上100
- (貸)現金10
- でもよい。➡この10円は費用にはならず、債権的な勘定となる。立替金としても売掛金に含めてもOK。
B社側
(借)仕入110(貸)買掛金110
●論点2:返品(返品する・される)
例)
返品する側
①5月1日、商品(単価100円)を10個掛けで仕入れた。
(借)仕入1,000(貸)買掛金1,000
②5月2日、昨日仕入れた商品のうち、1個が色違いであったため返品した。
(借)買掛金100(貸)仕入100
★仕入した時の反対仕訳をするだけ(返品する側もされる側も同じ)
返品される側
①5月1日、商品(単価100円)を10個掛けで販売した。
(借)売掛金1,000(貸)売上1,000
②5月2日、昨日仕入れた商品のうち、1個が色違いであったため返品された。
(借)売上1,000(貸)売掛金1,000
●論点3:原価・有高の算定
- 例)
- 5月10日、商品(単価100円)を20個仕入れた。
- 5月16日、商品(単価130円)を10個仕入れた。
- 5月20日、商品を1個販売した(売価200円)。
- ➡販売した商品の仕入れ値はいくら?
★回答方法は2種類あり、どちらも正解。簿記の試験ではどっちの方法でやるか始めに指定あり。
先入先出法・・・先に仕入た商品の金額を仕入れ値にする。例でいうと最初に仕入れたのは100の商品のため仕入れ値は100円となる。後入先出法は昔使われていたが今は使用されていない。
移動平均法・・・仕入れした金額の平均金額を仕入値にする。例でいうと(100円×20個+130円×10個)÷30個=110円が仕入値になる。
●論点4:前払金と前受金
★商品の引き渡しまでは売上・仕入を計上してはいけない
売主側
①6月1日、1万円の商品売買の際に、前もって1,000の手付金が現金で支払われた。
(借)現金1,000(貸)前受金1,000
現金という資産の増加/前受金という負債の増加
※前受金は商品をとっておく義務。返金する(かもしれない)義務
②6月8日、残額が現金で支払われ、商品の引き渡しが行われた。
- (借)現金9,000/(貸)売上10,000
- (借)前受金1,000
- 現金という資産の増加/売上という収益の増加
- 前受金という負債の減少
買い主側
①6月1日、1万円の商品売買の際に、前もって1,000の手付金が現金で支払われた。
(借)前払金1,000(貸)現金1,000
前払金という資産の増加/現金という資産の減少
※前払い金は商品をとっておいてもらう権利、返金される(かもしれない)権利
②6月8日、残額が現金で支払われ、商品の引き渡しが行われた。
- (借)仕入10,000/(貸)現金9,000
- (借)前払金1,000
- 仕入という費用の増加/現金という資産の減少
- 前受金という資産の減少
●論点5:クレジットカードでの販売
例)
売主側
①2月2日、A社はB社に1万円の商品をクレジットカード払いで販売した。なお信販会社の手数料は売価の2%であり、商品販売時に手数料を計上する。
- (借)クレジット売掛金9,800(貸)売上10,000
- (借)支払手数料 200
- クレジット売掛金とう資産の増加/売上という収益の増加
- 支払手数料という費用の発生
手数料の200円は当座預金口座への入金額から差し引きされる。
②2月22日、信販会社C社はA社当座預金口座へ振り込んだ
(借)当座預金9,800(貸)クレジット売掛金9,800
当座預金という資産の増加/クレジット売掛金という資産の減少